青春 藍

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花束

雨が降って、どんよりした空気が漂う今日。
私は、近所の花屋に立ち寄った。
扉を開けると、花屋独特のあの匂いに包まれた。
「いらっしゃいませ」
ドアベルが音を立てると、おしとやかな女性の声が小さな店に響いた。
私は、女性に向かってこう言った。
「花束をつくってもらえませんか?」
すると、女性は頷きながら、
「お花のオーダーは、ございますか?」
と、言った。
私は、少し考えて、5種類の花をオーダーした。

女性から、花束を受け取ると、私は、金だけ払い、
店の外に出た。
外に出ると、雨はすっかり止んでいて、水溜りが照りつける太陽を映していた。

病院に着く頃には、空一面が東雲色に染まっていた。
中に入り、いつもの場所へ向かう。
「大切な妻」が待っている場所へ。

「遅くなってごめん。」
小さく呟いて、花束を置く。
返事はない。
この時間だと、眠りについているのも当然だ。
ブルースター、マリーゴールド、キキョウ、白いダリア、ピンク色のガーベラ。
色とりどりの美しい花束の匂いが、病室に漂った。

『花束』
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花言葉
ブルースター    『幸福な愛』
マリーゴールド   『変わらぬ愛』 
キキョウ      『深い愛情』『永遠の愛』
白いダリア 『感謝』『豊かな愛情』
ピンク色のガーベラ 『感謝』『崇高美』

今回は、かなり時間をかけた力作です。情景の表現の仕方を試行錯誤して書いたので、意識して読んでくださると嬉しいです。




2/9/2023, 1:44:40 PM