『絆』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「絆、ねぇ……」
両親はこの名前をどんな気持ちで僕に付けたやら
親権争いを終えて離婚届に判を押す様子に
はぁー、とため息ひとつ
#絆
どういう形でもいいって言ったけどさ
「はいこれ、どうぞ」
手渡されたのはコッペパンのサンドイッチだった。最近お気に入りのパン屋でのイチオシ商品なんだと楽しそうに語る彼女は大変可愛らしい。
お礼を言って財布を出すと野暮なことはするなと押し留められ、代わりにスマホの画面を突きつけてきた。
「次はここ、ここのパフェ行こうよ」
春らしく桜色で溢れる写真と高く盛られたクリームをアラザンやマカロンやらがこれでもかと華やかに演出している。甘い物好きの私にはたまらない一品なのがよく分かる。速攻でスケジュールを組んで、絶対に攻略するぞと誓い合う。彼女がいてよかった、最高すぎる。
スライスされた合鴨をグリーンレタスが包み込み、隙間には玉ねぎとマスタードが詰め込まれたサンドイッチを頬張る。スパイスの効いた肉の旨味とそれをほどよくまろやかにしてくれる野菜の甘み。それをビネガー漬玉ねぎが爽やかさを足して飽きさせずマスタードがしっかり最後を締めてくれる。
食リポはダメダメでも罪悪感を感じさせない美味しさがここにある。いや、本当に。すごく美味しい。
「美味しそうに食べるねえ」
買ってきた甲斐があったと彼女は笑う。素晴らしいお店を見つけた上に提供してもらえるなど感謝しかないので、感謝を伝える方法の一つとしてしっかり味わっているのである。伝わっていたのなら嬉しいな。
これからも一緒に美味しいもの食べようね、と言うとそうだねと頷いてくれる。幸せだなとまたパンを頬張る。その度に彼女は笑ってくれる。優しい女神だ。
まさか胃袋の絆だとは思わないでしょ
【題:絆】
恩着せがましい集団あの時は
顔すらも見る余裕もなくて
緩やかに繋がる願い明日には
もうない命かもしれぬけど
#絆
この春、人事移動がある
現在、わたしの中に入ってくる情報では、わたしは移動 今までいた20年ほど毎日通った場所から離れ、新たな場所へ!楽しみ〜!
これも何か新たな絆を創るため
仕事だけでは無い絆
絆
【絆】
人は、嘘をついて人に優しくする。
人は、誰にも話せない秘密がある。
人は、上辺だけで決めつける。
だから、絆というものは、脆いんだ。
醜くて、緩くて、脆い。
すぐ簡単に解けるし、すぐ簡単に消えてしまう。
時には、結んだ絆が自分の首を絞めることさえある。
だから、今の数少ない絆を大切にしよう。
それがたとえ、上辺だけでも、利用されてるだけでも
今いる人たちに、ありがとう。
「絆」
「絆」の字
「きずな」と読めば結びつき、「ほだし」と読めば束縛の意味
君と僕ふたりの間にある「絆」 どちらで読むのが正解でしょう
絆
絆ってなんだろ
勝手に繋がってると思い込んだ浅ましさの事かな
切れずに残っていると信じているあたしの愚かさか
死んでからのあなたいつでも愛おしく二礼かならず首を差し出す
絆
糸へんの漢字でもあるし
白いロープを
思い浮かべる
端がほつれた
古いロープ
片手で持つと
指先が触れ合わない程の太さ
上手くいっている時には
思い浮かばない
苦しく辛く
ひとりぼっちで
逃れられない時
このロープの先に
変わらずいる人を
私は求める
泣きながら引っ張る
絆
何か素敵な言葉だと思い
漢字の成り立ちを調べてみました
家畜の足を逃げないように繋ぎ止める
縄
網
紐
自由を縛るもの
いいところが一つもない…
「絆」
暗闇の中に
ひとつ光が浮かんでいた
光に向かって
私は必死に手を伸ばす
光は宙を舞い
するりと私の手を掻い潜る
光の動きに合わせ私も踊る
踊るたびに
身体は闇の中で
硬かったり
鋭利だったりする
何かに当たり
身体はひとつ、
またひとつと
削れ、えぐれ、切られ
なくなっていった
やがて
私は宙を舞う光を見上げる事しか出来なくなり
光は天に昇り夜空に群れる星の中に加わっていった
どんなに捧げても
あの光の群れには繋がれない事をわかった私は
目を閉じ
完全な闇の中で
独り溶けていった
確か今年の一文字として選ばれたこともある漢字だと思う。『絆』って日本人好みの言葉だと思う。一致団結して苦しい時代を乗り越えようという前向きなイメージがある。でもそれってちょっと怖い。何度転んでも起き上がるまで応援されて休むことを許されない
荷馬車に括り付けられて地面を這いずらされる市中引き回しのようだ。
題『絆』
絆
一緒に何かを成し遂げた時
何かあると気にかけてくれる
何かあれば必ず力になろうと思う
世界は誰かの大きな脳の中。
人と人の絆はシナプス結合みたいなものだと思う。神経細胞と神経細胞がつながる接点で、そこを通って信号が行き来する。
そこに絆がある。
「だから、俺とお前は太い絆で結ばれているのさ。」
そう言うと彼女が言った。
「え? 赤い糸じゃないの?」
赤い糸は、たぶん神経線維だろう。信号を運ぶ長いケーブルみたいなものだ。
『絆』と『赤い糸』、どちらが本当の愛なんだろう?
絆と呼ぶには変だけれど
お酒がなくちゃ過ちは生まれなくて
惰性で燻らせた紫煙が
私たちの視線を交わらせたのを覚えている
ずるずる繋いでった日々が何かを紡いで
それは紛うことなきインモラルだったが
正直なとこ
馬鹿な私たちにはこれくらいが良かったと思ってる
よく似たもの同士の私たちは
惰性と衝動で生きてる私たちは
毒と知らぬままにこの日々を過ごしてしまった
それが確かにこの命を紡いだ
なってしまえばと言うか、2人になった時から、着々と別の景色を積み上げてきた
缶ゴミが出なくなっても
ライターが必要なくなっても
それでも柵越しに伸びてった2人分の煙を覚えている
おそらくね
その時でも忘れないよ
これからの日々には、二人の日々があったことを
私はずっと、忘れない
ずっと昔から貴方とは繋がっていた
離れても貴方の存在は消えなかった
ときどきどうしているのか?と思い浮かべ
会わない時間が流れていった
再会は絆をより深め合い求め合い
あれからこうなることを待っていたかのよう
私たちは例え離れてもまた出会う運命だろう
あの時流した涙の理由は、私よりもみんなの方がきっとよく覚えている。
絆
色々書いていたら自分しかわからない日記のようになってしまった
am3:00だからまあいいかな、で投稿する
目の前の問題があって、世界と日本の問題があって、どちらも逼迫している
どうにも立ち行かない
こんな時代に生まれてしまった
けど、こんな時代に生まれてしまった仲間たちがいるのだけが唯一の救いかな 絆ってヤツ
最終的に、自分の面倒は自分で見なきゃいけないんだけど
だからみんな家族をほしがるんだろうな 最近やっとわかった
でもそのための家族ってなんなんだろうね 自分の欲望のために関係性を消費してるんじゃないかって
こういうことねちねち考えてしまうから、目の前の問題が解決しないんだろうな
幸い周りの人間には恵まれて、現実を生きていると世の中案外悪くないなって思うことの方が多いんだけど、板越しに見る情勢は不安なものばっかり
何もかも跳ね返せるくらいの力が欲しい
こういう時、生物が好きでよかったなと思う
私のいう生物は、生き物という意味と、生物学という意味を含む
生物も生態系も、私の感情を意に介さない
辛い時に好きな生き物と偶然出会うことができて、それはまるで私のことを慰めているみたいだけど、実際そんなことはない
本当に偶然で、なにがしかのアルゴリズムで動いていて、生物も生態系も私の感情や思想を全く反映しない、そのことに何度慰められたかわからない
私が死んでも何も変わらない生物のことが好き
最近教授と雑談していて気がついたが、私は思っていたより自分を消費されるということが嫌いなのかもしれない
死は多くの人にとって消費しないと乗り越えられないから
海を見ていると、学問的な面白さとは別の、こういう意味で、生物が好きだと再認識させられる
夜の海は黒曜石みたいだと思う
磯の香りは生き物が腐った匂い
夜の海に足を掬われて流されたら、少なくとも朝までは助けに行けない、と先生に言われた だから気をつけてねと
最初の頃は夜の海が怖かった、攫われたら本当に死ぬと思ったから いやほんとは、今も少し怖いけど
波の音が低くただ響いていて、誰も私のことを見ていなくて、死ぬつもりは一切ないけど、ただ海は、私がどうしようもなくても順風満帆でも、どうやら私の何倍ものスケールでそこにあるから
波の音、潮の匂い、黒いかたまりが押し寄せたり引いたり、ここにいると自分の存在が許される気がする
生物は海から生まれたが、いずれ海に還れるのかな
みんな墓に入りたがるけど、私は死んでまで社会の檻に閉じ込められたいとは思えない
ここでの正しい漢字は還る、だけど、帰る、を使いたい 私の帰るところは海って思えたらいいのに、変な人間
だいぶ前、人が私の尊敬してた人のことを、生きづらそうな人だよね、と評していてなるほどなと思った
生きづらそうな人というラベリングの仕方が目新しかったのもあるし、私はそういうところに人間的な魅力を感じてるのかもしれないなと気づいた
でも私は自分のこと生きづらい人とは思いたくない
これはプライドとかとはまた違って、私はこんなに人にお世話になってるのに生きづらいとか言っていいのか
今ふと、質問よく行ってた予備校の先生に、あなたにはあなたの哲学があるんだと感じる、と言われたのを思い出した
これは私の哲学だから、生き方の
それで生きづらいって言うのは違うってことかも
馬鹿みたいな文章
どこからが本当でどこからが他人に見せるために書いている文章かまったくわからない
でも今日は校正とかしていないから、考えたことそのまま出力してはいる
相対でないと言葉は生まれないみたいな話もあるし
すくなくともマジョリティではない、ということがある程度アイデンティティになっている 恥ずかしいことに
変な人間であるという自覚はあって、自我を出していないつもりなのに個性的だよねって言われたのがショックで
普通に固執している一方、自分の思想にプライドがあり、つまり変な生き方を良いと思っているという矛盾
人間の矛盾しているところ(そしてその矛盾に自覚的であれてしまうところがなお)好きなのに自分の矛盾は許せない矛盾の入れ子構造
今年はいろんな人と会えた
今年、というか今年度
春、夏は今思えばずっと焦ってたかも
これは今日教授とも話したことだけど、やっと身の回りが落ち着いたはずなのに趣味の何しても楽しいと思えなくて、とにかく前に進まなきゃみたいな気持ちがあった
今もそれを拭えてるとは言えないけど、
色んな人がいて、その人の人生で大事にしてるものが違う それも素敵だよなと思えるくらいには余裕ができた
実名は出せないけどいい出会いだったと思う
卒業されるけど
教授にもお世話になりっぱなし ありがたいことだと思う
少しずつ人生良くなってると思う 私にバンザイ
絆
切っても切り離せない
使い方を間違えば
致命時な足枷となる
この街は、見えない糸で溢れかえっている。
それに気づいたのはいつだっただろうか。
自分にだけ見える、不思議な糸。赤いようで、青いような。白かと思えば、黒に見えるその糸は、人と人とを繋いでいる。
その糸について、誰かに話したことはない。話そうと思ったことは何度かある。けれど話そうとする度に、必ず何かが起きる。まるで話すなと言わんばかりに。
「多いなぁ」
嘆息しながら、速足で学校へと向かう。
糸を避けることはしない。見えない糸は触れることもできないからだ。
見えるがために避けたくなる気持ちを堪えながら、無心で道を歩いていく。
糸を気にせず楽しげに談笑しながら歩く生徒たちが羨ましい。何故自分だけがと、いつものように心の内だけで不満を露にして糸を睨んだ。
「――そういえば」
ふと、疑問が沸き上がる。
糸は人と人とを繋いでいる。しかし、糸にはその先があった。
地面。家の中。学校。海岸。先は様々だが、多くは同じ場所へ向けて伸びている。
糸はどこまで続いているのか、あるいはどこから来ているのかを確かめたことはない。今まで気にもならなかったことが、何故か気になって仕方がなかった。
立ち止まり逡巡する。糸の先を確かめた所で、意味があるのか分からない。歩いていけないほどの遠い所まで伸びている可能性だってある。
「でも、気になるからなぁ」
誰にでもなく言い訳をして、通学路を逸れて歩き出す。
学校に行った所で授業がある訳ではないのだ。そもそも卒業を控えたこの時期は自由登校で、一日ぐらい休んでも何の問題もない。
誕生日の計画を練っている友人は怒るかもしれないが、プレゼントよりも皆で遊びに行きたいと伝えている。それに、サプライズにするべきかを悩んでいたようであるから問題はないだろう。
「飽きたら戻ればいいだけだしね」
小さく笑い、糸に集中する。いくつもの糸が向かう先を目指して駆け出した。
そうして辿り着いたのは、一本の大きな木が立つだけのとても静かな場所だった。
糸の先は木の幹の中に溶け込むようにして消えている。しばらく幹を見つめ、ふと気づいて顔を上げた。
「ここって……」
木に見覚えがあった。
いつ見たのだろうか。眉を寄せて記憶を辿る。
忘れてはいけないはずだった。焦りに似た感情が込み上げ、さらに眉が寄る。
「いつだったかな……確か……」
「こんな所で何してんの?」
不意に後ろから声をかけられ、声にならない悲鳴が上がる。
弾かれたように振り返れば、小さな少女がこちらを見て笑っていた。
「えっと、あの……」
「ねぇ、こんな所で変な顔して何を考えてるの?」
首を傾げて問われるものの、何も言えずに呆然と少女を見つめる。
何を言えばいいのか分からない。少女との間に陽を浴びて煌めく透明の糸を見て、息を呑んだ。
「学校をさぼるのはいけないんじゃないかな」
「自由、登校……だから」
震える唇が、ようやく言葉を形にする。
胸が苦しくて、息が上手に吸えない。聞きたいこと、言いたいことはたくさんあるのに、言葉として形にするのが難しい。
忘れてはいけないことを忘れてしまったことに、酷く痛みを覚えていた。
「糸、は……」
「糸?あぁ、これのこと?」
掠れ、呻くような呟きに、少女は目の前の透明な糸を掴んで見せる。
「これはね、絆だよ。人と人、人と土地を繋ぐ、見えないけれど確かにある糸」
「絆……」
あぁ、と声が漏れた。
納得すると同時に、堪え切れなかった思いが滴となって溢れ落ちる。泣きながら、しゃくり上げながら、ただ静かに笑った。
「そっか、だから私には見えたんだ」
「そうだね。終わりの日に生まれた、希望の子だから」
両親の言葉を思い出す。
何もかもを失って、それでも私は生まれてきてくれたのだと。小さな命は両親だけでなく、避難所の人たちにとっての希望になったのだと。
写真で見たこの場所には、この木以外何もなかった。けれど皆この場所を離れず、一から街を作り上げた。
だからこの街は、糸で溢れかえっていたのだ。
「それじゃあ、もう行くね。体に気をつけて、私の分まで長生きしてよ」
「うん……ありがとう、お姉ちゃん」
あの日、行ってきますと言って家を出た姉が帰ってくることはなかったという。
写真の中で笑う、成長することのない姉。時々感じる気配に、姉の優しさを感じていた。
これからもきっと、側にいてくれるのだろう。繋ぐ糸は確かにあるのだから。
「大好き」
姿の見えなくなった姉へ思いを告げて、涙を拭う。木に背を向けて歩き出す。
もうすぐ誕生日だ。その日は一日中楽しんで、笑って、感謝を伝えよう。
「そうしよう。私は希望の子なんだから」
密かに決めて、笑顔を浮かべながら駆け出した。
20260306 『絆』