『絆』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
損得を越えたところにある絆
そういうものに、いつも助けられてきた
絆
久しぶりの友人とのランチ。
今日の相手は、少し前に退職した女性。
いつも仕事中、私を気遣ってくれていた彼女。
歳は一回りも下だけど、なんでも言える人。
先日、体調を理由に私も退職した。
ランチの話題は、近況報告・上司の愚痴・これからの事。
仕事で知り合い、大人に成ってからの友人は貴重である。
今後も仲良くしてね。
《絆》
騎手と競走馬 ビールにはジョッキ シャンプーといえばリンス 一度は短針を追い越しても必ずまた追いかけて戻ってくる長針 縦の糸はあなた横の糸はわたし 心と心を繋ぐ糸電話的なもの 見えないけどある
友達だろなんて、そんな軽々しく言わないで。
このぐちゃぐちゃな糸を更に絡ませないで。
君は僕を友達だなんて言うけど僕はそう思ってなんかない。
そう思ってなんかいないんだ。
何度も何度も糸を切ろうとしても君はすぐ繋ぎ合わせてくる。
あぉもうやめてくれよ、そんな風に扱わないでくれ。
優しくしないで、構ってこないで。
……この糸が赤色じゃないって自覚する度に胸が痛むんだ。
君と僕を繋ぐこの糸は『絆』、『愛』なんかじゃないって事初めから気付いてたのに。
それでも嫌になる程君が好きなんだ。
だからどうか、僕が繋ぎ合わせようとするこの赤色に気付かないでくれ。
【絆】
些細なことで大喧嘩して
幼い頃からの友情は壊れた
それでもやっぱりアイツが気になって
けれど連絡する勇気もなかった
ある日僕は街で知らない男たちに絡まれ
金を要求された
断ると男たちは逆上した
喧嘩が弱い僕は一発二発と殴られ
もうダメだ、と思った時
アイツが現れた
男の一人を一発殴り返したあと
僕を連れて走った
落ち着いてから
どうして助けに入ったんだ、と聞くと
当たり前だろ、と答える
街に来たらたまたま
僕のことを見かけただけなんだろうけど
見て見ぬふりだって出来たはずなのに
あの時はごめんと謝ると
俺もごめんと言って笑う
やっぱり僕らは見えない糸で繋がっていて
きっとこれからも一緒に笑ったり
助け合ったりしていけるだろう
これが絆というものなんだ、と気付いて
僕はアイツに微笑みかけた
絆 一度ほつれてしまった″糸″は元には戻れません
【絆】相手の情にひきつけられて、心や行動の自由がしばられるという意味
絆される、の方が自分にはピンと来る。
恋愛をしている時は常にそんな感じ。
依存体質なのだろう。
そんな自分自身に酔ってる気さえしてくる。
嗚呼、
友情だったりプラスの意味で使える関係性を築ける人達が心底羨ましいよ。
絆とはなんだろう。
私には13年仲のいい幼馴染がいる。彼女にだけはそういう仕事をしていること、ホストクラブに通いっていたこと、全て伝えている。
新宿に住む前日2人で河川敷を歩きながらふと私は伝えた
「明日からさ新宿住むんだ。暫くこっちには帰って来れなさそうでさ。風俗やらされるんだよね、笑」
彼女は少し悲しそうな顔をしていた。
約束したことがある。
辛くなったらLINEをしてくること。逃げたくなったら帰ってくること。
2つの約束を交わし、次の日から私は新宿に染まった。
ホス狂はもう辞めた。それでも金銭感覚は戻らず風俗を続けている。
ホストクラブに通うのをやめて、残ったのは薄汚れた体だけだった。あの時に結婚しようと親にまで会わせてくれた彼とは勿論結婚なんかしていない。
担当だった君。
ヒモとして養っていたあの人。
頑なにお店には呼ばず本カノを貫いてくれたあの人。
スカウトマンなのに体を売ることを許してくれなかったあの人。
皆関係は切れてしまったけど、あの時の数ヶ月は確実に絆があった。
正しくはそう思いたいだけ、なんですけどね。
お金って、お金を通した愛って、人工甘味料みたいなんですよ。甘くて甘くて、嘘の甘さだと知っててもまた欲しくなっちゃう。
その甘さに酔っていたあの期間の没入感と言えば堪らないですよね。
VRのAVみたい。
あの時に書いた君との物語は甘くてものすごく苦くて、色鮮やかだった。
去っていく友人の背を見送って、膝から崩れ落ちた。
夕焼けに溶けていく彼女の髪は美しく、未来への希望で光り輝いていた。今しがた打ち捨てた私との友情など、きっともう、どうでも良い。
彼女との想い出は、鮮度を失い、私の胸を錆で満たしていくのだ。
彼女はそうならないだろうけど。
私を捨てたことも忘れて、悠然と明日を生きるはずだ。切り替えが早いから。記憶を美化しがちだから。そういう癖まで理解していたのに、私は上手く、彼女の友達をやれなかった。
嫌いきれない。
憎みきれない。
好きだった。
もう逢うことはない。
今まで貴方と作り上げてきた絆はきっと嘘じゃない
そう信じたかっただけなのよ。
無駄に細くて白い右手の薬指に所有物の証が光る。
これが我々の絆かね。
嫌じゃないの。
もちろん。何なら左手でも良いくらいだ。
残念ながら絆、だなんて綺麗な気持ちは込めていない。
これは呪い。自由を奪う拘束具。
最もこんな物であんたを縛れるとは思えないけど。
なるほど確かにこれは絆、だな。
絆
ふわりと結ぶのが好きだよ
蝶々のように可愛く結んで
サテンのリボンは情熱の色
プレゼントみたい特別だよ
出逢えたことが奇跡ならば
忘れないように心に刻むよ
信じたこと高め合ったこと
確かに存在した生きた証を
『絆』
あなたがどんな絶望にあっても
夢の登場人物たちは夢主の幸せを最後まであきらめないし
手を変え品を変えあなたに気づいてもらおうと頑張るし
味方役も友達役も、たとえ嫌われ役であっても
みな必死に演じて今の状況を伝えようとするのです
【あなたの幸せをずっと願っているよ】
【応援してるぞ、がんばれ!】
そんなふうに無条件で味方でいてくれるのが夢(自分自身)だと思ってる
これ以上の絆ってあるかなぁ
[絆]
絆
きずな、って発する音も漢字も
キラキラしてる感じがあまり好きじゃない
テレビを見てると震災後に
使われてるイメージが強いからかな
あとは学生時代の部活とか
綺麗事で丸められている様な気がして。
みんながみんな簡単に絆で
結ばれてるとは思えなくて。
他人に強いられる様なものじゃなくて
本人が感じ取るものなんじゃないかな
今にも切れそうな細い糸より
太くて丈夫な糸がいい
その糸は信頼、感謝、愛で
丈夫になっていくんじゃないかな
って勝手に思ってる
#知らんけど
『君と僕との間には強い絆があるものだと思ってた。』
ピコンっと音を立てて画面上に現れたメッセージには死ぬほど胡散臭い言葉が書かれていた。
「浮気したくせに、どの口が言うんだよ。」
あまりの言葉の気持ち悪さに、私は思わず心の内を言葉に出してしまっていた。
2ヶ月前、付き合って一年になる彼氏が、知らない女の人と一緒にいるところを見た。
それも、よりによって、休憩1時間2000円と書かれた看板を掲げた建物に入っていくのを。
それを私は今、LINE上で問いつめていた。
自分の浮気を認めさせて、それを理由にその浮気野郎と別れるために。
別れ話をきりだすと、証拠の写真までこっちは持ってるって言うのにも関わらず、画面越しの馬鹿は言い訳がましく、クサイことを言い始めた。
『誤解だよ』
『君に浮気なんて疑われるなんて思わなかった』
『そこまで君に寂しい思いをさせてたならごめん、謝るよ』
『でも、僕がそんなことすると思われてたのには傷つくよ』
『せめて、こんなLINEなんかじゃなくてきちんと話をしよう』
お前みたいなやつに、面と向かって話すことはないと、怒りに任せて返信しそうになったがすんでのところでそれは飲み込んだ。
別に、私はホテルに入っていった彼の行動だけを見て浮気と確信づけた訳では無い。
約2ヶ月近くかけて証拠と浮気相手の把握までして、きちんと黒だと裏付けてからの言動なのだ。
言い逃れしようたって無駄だし、させるつもりは毛頭無かった。
その旨を話したところ、相手から返ってきた言葉が冒頭の台詞だ。
めんどくさい。
その一言に尽きる。
交際当初は私の行動を監視するがごとく過干渉してきたくせに、落ち着いてきたかと思えば浮気とは器用なものだ。
所詮、お前が言っている絆は、世間一般的な清く美しいものとは似つかないものだ。
独占欲にまみれた手綱で相手を自分の欲を満たすために振り回して、飽きたら器用な事に、浮気相手までつくるとは。
ただの束縛男だと見くびって油断してしまっていた。
失念だ。
まぁ、初めての彼だと浮かれていた私がいた事も事実だが、その事実を入れたとて、冒頭のセリフには解せないものがある。
絆とかいう大層な言葉に自分の汚い欲を置き換えて私を繋ぎ止めようとしたことはかなり重罪だ。
私は怒りのままに、携帯のキーボードをフリックする指を早めた。
長文のメッセージにはこれからの事の運びとお前の言い分は何一つ受け入れないことを暗に書き入れて、別れることを断言した。
別れが決まった後の私の行動は早かった。
部屋にあるアイツ関連のものを全てダンボールに詰め込んで着払いでアイツの部屋に送った。
別れた後、しつこく何通か立て続けに通知が入ったが、それは全て無視して、最後には相手のSNSを全てブロックして関係を絶った。
――そして見てみろ、私との間に絆があると抜かして見せた癖に数ヶ月もすると、完全に私たちの関係は他人同士になっている。
正に馬鹿馬鹿しい、二度とあんな言葉遣いをしないで欲しいと心から思った。
まぁ、本来絆という意味には呪縛や束縛の意味もあるらしいではあるから間違ってはいないのだろうけど、束縛といった意味でもアイツは私を逃がしてしまっているのだから結局、結果的にアイツは間違っている。
どちらの意味でも有言実行は成せていない。だから、これぐらいの悪態は見逃して欲しい。
そしてどうか、多くの人には絆という言葉を誰かを縛り付けるためには使って欲しくない、アホらしいではあるが、なんとなく、そう思った。
―――その言葉が持つべき意味
お題【絆】
わたしの遺伝子には
それは備わっていなかった
いつも羨ましく思い
トライするけれどエラーばかり…
キズナ、キズナ…
絆といえば、最近は鬼滅かなやっぱり。
本来の意味はしがらみに近いらしい。
家族の絆に転嫁して、公助(福祉)が撤収しているともされていて、いいイメージがない。
絆って言葉を耳にはするけれど、
正直あまりにも壮大すぎて、意味なんてよくわかってはいなかった。
絆よりも、縁の方がよく使う。
切っても切れない仲なんて、そんなには無い。
私は切ったら終わりにしてしまうから。
繋ぎたい人にだけ、縁を切らないように自分から繋ぎにいく。縁の延長線みたいなものが絆という気がする。
誰にでも絆が存在するのなら、運命の人と絆で繋がってるはずなのに。
何で見えないんだろうか。
それにしてもこの絆は随分と太く厚く硬くほどくに手間が掛かるものだと、あなたは言う。ほどいて抜き取ってみればあの日あなたから抜け落ちた髪の毛だったりするし、あるいは彼女のお気に入りの服からほつれた糸だったりする。いつかあなたがた二人で作ったナポリタンの麺の一本だとか。そういったものが絡まり続けて、上手く逝けないのだと言う。彼女のか細い泣き声が聞こえてくる。その声は絶え間なく、解いたばかりの思い出の代わりに入りこむので、あなたは困って仕方がない。
私もやはり震災を思い出す。当時宮城に住んでいて被災した。非日常的な毎日を過ごしている中で、家族や友達や先生が居てくれることは変わらず、そこに安心感があった。絆と呼ぶには大袈裟かもしれないが、あの経験を通して感じた団結感のようなものが、まさにそれなのかもしれない。
#5 絆