『空模様』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
午後から天気は急速に崩れるでしょう。
朝のニュースで見た天気予報は見事に当たった。今にも泣き出しそうな空の色をしている。その予報を見たくせに、私は傘を持ってきていなかった。家に着くまでには何とかもつだろう、と高を括っていたからというのもある。その他に理由はもう1つ。傘を忘れれば、あの人に迎えを頼む口実ができるからだ。心配性な彼は私がメールで頼むより先に律儀にメッセージをくれた。
“雨降りそうだよ。迎えに行こうか?”
読みどおりのメール内容に笑いそうになるのを堪えながら返信を送る。よろしくお願いします。その数分後にすぐさま返事はやってきて、どこか近くの場所で時間潰して待っているように指示された。大人しく、改札を出たすぐそばのコンビニに入り立ち読みをして彼のことを待つ。適当に手に取った本は日帰り旅行プランを特集したタウン雑誌だった。温泉とか果物狩りができるツアーなんかも載っている。
カラフルでポップなページを眺めながら内心は冷めた気持ちを抱いていた。あの人が私を旅行に連れてってくれることなんてきっとこの先も一生無いんだろうな。家族が居て、帰る場所がちゃんとあるあの人には私と旅行に行こうなんて絶対に言えない。こうして、雨の日に車で拾ってくれるくらいの逢瀬しか許されないのだ。だから夢見ちゃいけない。高望みしてはいけない。願っていいのは、いつも帰る時間帯に雨が降りますように。それくらいしか、赦されないのだ。
やがて雨が降り出してきた。望み通りの天気になったのに、空模様と同じで私の心は晴れない。まるで自分の心が泣いてるよう。こんなこと、いつまでも続けちゃいけないのに。分かっているのに振り切れない。あの人が優しいからいけないんだ。私が、弱すぎるからいけないんだ。
小さく溜息を吐いて雑誌を元の位置に戻した。そろそろ彼が到着しそうなのでもう外で待つことにした。雨の匂いが辺りに充満している。別に嫌いじゃなかった。私の孤独を隠せそうなアスファルトの匂いだった。
空をよく見上げるようになった
青空をみたり、ツバメをみたり、
月や星をみたりすることが増えた
この地球の中、私の存在なんてちっぽけなんだろうなと思う。
大したことないんだろうな
まだまだ平凡かも
平和なんだ。きっと
舞
今の私の
心の中は
黒光りしながら波立つ
夜の海のようです
あの日
想い引きちぎって
必死の思いで
終わらせたのです
胸を叩きながら
想いを止め
泣きじゃくる日々を
選んだのです
なのに
自分だけが
苦しいかのように
また
私を呼ぶなんて
好きだなんて
愛してるだなんて
絶対に
言わないくせに
そんな
ずるい貴方に
涙隠して
つく嘘が
私
だんだん
上手になるようです
「夜の海」
鮮やかな青空に、高く立体的な入道雲
今日も恐ろしい酷暑の中、なんとか働いた
家に着いて小腹を満たしていると
空は明るいのに雷が鳴り始めた
外で夕立に降られなくてよかった
ちょっと荒れそうな予感
なんか雨が降りそう
アスファルトに落ちる音
なんか雷が鳴りそう
遠くで轟く荒々しい音
太陽が出てきた
ムシムシした匂い
キラキラした滴
蝉の合唱がまた始まる
私の思うことを綴り伝える。
読んだ君から返信がある。
当たり前のようで奇跡のようなこと。
幸せな気持ちでいっぱいだ。
今日も晴れ…
あーあ、また同じこと書くんだろうなあ。僕の夏休みの絵日記は八月に入ってから、同じ言葉が続いてる。
『雨を降らそう』
吾亦紅が窺う 空のご機嫌 あめが降れば 池でとんぼがダンスをするだろう だいぶ前から晴天晴天 記憶違いもあったかな? 空模様を記したノートは案外無いものだ シャーペンの芯が潔く折れた時 少しばかりの雨が降るだろう
今日は楽しいお出かけだっていうのに、空模様はあいにくの雨。どうやら君も曇り顔。うなりながら何か調べものをしている様子。
何を調べているんだろう、僕にも見せてよと聞いても返事は返っては来ないから相当集中してるみたい。
仕方ないからおとなしく待っていよう。クッションを抱きかかえて待っていると、君があっ、と声を上げた。なになに、どうしたのさ。
急いで駆け寄ってみると君は嬉しそうに何やらお出かけの準備を始めた。僕も急かされて玄関へ。
「雨でも遊べるドックランを見つけたよ!さぁ、行こう!」
やった!お出かけができるんだね!
それじゃあ早く行こう!
36.『空模様』
いつものように捧げた神食を下げるため、奉段の簾を捲ると、空になった皿の上に封筒が置かれていた。一見すると白い封筒でしかないが、日の光に透かしてみると物を咥えた使い烏の絵が浮き出てくる。使い烏が嘴に咥えている物は、要件によって異なる。今回の使い烏は、松明。つまり、島外からの迷い人の来訪を知らせる手紙だった。
蛍は帯に手紙を挟み、お盆を持ち、階段を降りる。奉段は神託室の一番上に設置されている。神殿で最も広い部屋なのに、神は人がギリギリ座れるくらいの狭い奉段から下に降りることはない。そして、蛍が神食を下げにくる頃には大抵、器は空になっている。
島に唯一存在するこの神殿では、国祖神を奉る重要な役割を務めているが、誰もその御姿を目にすることはない。島でただ一人の島守神官のじいさまも、神食を毎日作る茜も、たまに神に「道標」をしてもらいに訪れる村人や島民以外の来客も、神を見たことがない。
そしてそれは、神託者として生を受けた蛍も同様だった。
いつの間にやら完食された皿を洗い場に持って行った蛍は、その足でじいさまの元に向かう。
事務室で仕事をしていたじいさまに、蛍は手紙を渡した。
「来客か」
じいさまは丁寧な手つきで封を開け、その手紙を読む。読み進めているうちにその表情は険しくなり、机に手紙を置いたじいさまはんー、と不機嫌そうな呻いた。
「夜明の奴め、どうせ死なんからとわざと通しおったな。相手は正真正銘の王子様じゃというのに」
島外に滞在する夜明は、この島を繋ぐ橋渡しをしている。
「迷い人がお越しになる。明後日の朝、海に道を作りなさい」
明後日?蛍は首を傾げた。今は昼餉が終わったところだ。いつもならこの後すぐに海に行き、来客が迷子にならないように道を作る。
「海はこの後、嵐に見舞われるそうだからな」
じいさまはため息をついた。
厄介な客だ。蛍が部屋を出る際、じいさまがぼやいた。
眩しい陽射しに、蛍は目を細めた。
来客者は、嵐の中、海を渡るらしい。雨の気配など感じられないが、島も雨風が強くなるのだろうか。
最近何をやっても上手く行かない
一桁間違えた見積書を上げるし、何も無いところで転んだ
電車は乗り過ごして遅刻
今日は朝ごはん用のパンにカビが生えていた
お祓いでも行った方が、というには不幸の規模が小さくて、ふんぎりがつかない
だから、気の持ちようだと思っててるてる坊主を作った
心の空模様、曇のち晴天を望む
地平線の果てで嘆く風
山々を駆ける厚い雲
直に雨が降るだろう
#空模様
空模様
不安定な空模様
カラダも心も…
同じきもち
一緒だね
今にも泣き出しそうな、と表現されそうな真っ黒な空。
降り出さない内に早く温かいお家へ帰らなきゃ。
そこには出迎えてくれる人がきっと待っている。
だから早く帰ろう。
でも、どこに――?
ぽつりと涙が頬を濡らした。
/『空模様』8/19
【空模様】
『最近雨ばっかだね』
「そうだね」
私は雨があまり好きではないけど、君は前に好きって言ってた気がする
今バス停にいるのは私と君だけ
わざわざ雨の中、こうして外に出るなんて私と君ぐらい
『そういえば今日バスが遅延してるらしいからもう少しだけ一緒にいてよ』
「何それ。別にいいけど」
あぁ、ずるいよ
これだからまた雨が続けと願うばかり。
雲が全くない日に気分が落ちていたりする
でもそれでもどこか雲の多さと私の気持ちが
同じ時があると私は感じるただそれだけ
私と同じだよって伝えてあげたい
『空模様』
ジリジリと肌を灼く痛いような日差し。
晴れ渡る夏の青空は、吸い込まれそうなくらい色鮮やかだけど、その下で暮らすヒトは暑さで息をするのさえ苦しくなっている。
エアコンを効かせた車の窓に馴染みの公園が見えてきた。木々の緑が濃く、夏の光に溢れている。
でも人影はない。
まるで時間が止まっているみたいだ。
一旦緩んだ車の速度がまた上がり、奇妙な景色はすぐ窓から見えなくなっていった。
8日目 お題:空模様
今日の空模様は良くなかった。これからきっと雨が降るだろう。朝から頭痛はするし、仕事でも上司に怒られる。何もいいことがない。仕事終わりに気晴らしに飲みにでも行こうかな、と考えて店に行くもやってない。最悪な日だ。なんて考えてると雨が降り始めた。傘をきちんと持っていたからまだよかった。そんななかLINEの通知が来た。彼女からだ。
「傘を忘れたから迎えに来て欲しい。」
ちょうど近くにいたから迎えに行くと彼女は嬉しそうにわらって僕の傘に入ってきた。雑談をしながら歩くとさっき起こった嫌なことが全て吹き飛んだ。まぁ、、、こんな日も悪くはないかな。
空も色んな模様があれば楽しいかもしれない
ストライプ マーブル模様 千鳥柄
でもきっと、この真っ青な空ほど美しい模様はないんだろうな
「空模様」
生まれて初めて運転した車は、タローくんのフォード・マスタング。60年代のシートベルトも無い古い車で可愛くてオシャレな赤いオープンカーだった。どこかの駐車場で何人かでこっそり練習させてもらった。ほんのちょっとだったけど、古い車だからステアリングも重たいし、コントロールが難しくてすごくドキドキしたのを覚えてる。
実際に公道に出て運転したのは、トモヤのISUZUインパルス。夜中の大通りを何度も練習させてもらった。
アメリカは助手席に免許を持っている人が座って、練習をしてから、車を持ち込んで試験を受けるのが普通。試験の費用は当時12ドル。筆記試験は、先に試験を受けた人から試験問題をもらって、3パターンくらい暗記した。
アメリカでの生活に車は必要不可欠。ちゃんと教習もあるし車も借りられるけど、みんななるべく車を買う方にお金を使いたいから、留学生同士助け合ってみんなで免許を取った。
私は少し前に免許を取ったサカイのホルクスワーゲンのゴルフを共同名義にしてもらって、実地試験を受けて合格し、写真を撮ってサインをし、その場で免許証を受け取った。