『秋風』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
春、夏が通り過ぎて、あっという間に秋が来た。
ついこの間高校に入学したばかりだと思っていたけど、もう秋になっていたなんて、季節の流れは早いものだ。
高校に入学して、キラキラな青春を送ると決めていたのに、現実はテストや授業や課題で大忙しで、全然青春なんかない。
青春なんかないんだ。現実はそんなに甘くない。
自転車で高校に向かう。
秋風が吹いて、少しだけ寒い。
「大陽くん」
青空の下でなびく黒髪がとても綺麗な、そんなクラスメイトに声をかけられた。
僕は自転車、彼女は歩き、僕は彼女が居るところまで行き、話を聞こうと思った。
「私、太陽くんのことが好きなの。付き合ってほしくて……」
思いもよらぬ言葉に、僕は固まってしまった。
僕も彼女のことが好きだからだ。
「僕も、好きだったよ。君のこと。」
少し冷たい秋風が吹く、青空の下で
1つのカップルが誕生した
秋風が立ち、あなたはこの部屋を出ていった。
浮気もたくさんされたし、構ってくれないことも多くて私はあなたに完全に愛想が尽きたと思っていた。
そうだと思っていたのにあなたのいなくなった部屋に
一人残された私は毎日泣いている。
今日はふたりでススキを見に来た。
奥さんになった彼女のお腹には、新しい家族が宿っている。家族が増える前に彼女をひとりじめしたくて、のんびりとゆっくりと秋の景色を見に来た。
ひとつ、風がふきぬけていく。
秋の香り、ススキ同士が触れ合って優しい音楽を奏でてた。
少しだけ冷たい風に、俺は彼女へ上着をかけると、柔らかい笑顔を向けてくれる。
誰よりも、誰よりも幸せな時間。
次は三人で。
おわり
一八二、秋風
もう季節は秋になった。肌寒い時間が増えて、落ち葉も道に散るようになった。
私は、ー私たちは、いつの間にか大人になった。
「久しぶり」
「久しぶりだね、元気?」
急に中学時代の同級生から「先生と結婚が決まったからみんなにお祝いしてほしい」と連絡が来た。先生というのは教育実習で来ていた人で、大学に上がってから運命的な出会いをして、付き合うことになり結婚となったそうだ。特別親しかったわけではないが、他の元クラスメイト達も少なからず来るカジュアルな場にするから参加者の数を集めたいと言われると断りにくい。
その日は中学校から近い居酒屋さんでみんなでお祝いすることになっていた。みんなといっても結局集まったのは半数ほどで、小規模の同窓会のような形になってしまったが、本人は満足そうにしている。誰でもいいから、自分たちのしあわせの形を見て欲しかったのかもしれない。
途中抜け出して、タバコを空にふかしていると、扉が開いた。ひょい、と顔を出したそれに、軽く声をかける。
「…何年振り?」
「えー…わかんね、結構だった気がする。」
あの頃、野球坊主で真っ黒に焼けてグランドを走り回っていた影などないくらい整った髪をした彼が、タバコ片手に隣に腰をかけた。
「なんか、すごいよね。みんなもある程度来てるし。」
「いや、ただ単に呑みたいってやつもいるだろうよ。知り合いのお店だから金額少し安くしてもらえるってアイツ言ってたぞ。」
「そうなんだ。だから来たの?」
「俺?あー…まあそうかもな。お前は?」
「私は…なんでだろうね。タイミングかな。」
一口すって、吐く。夜はもう白い息が出るようになった。下を向いて、以前のようにミニスカートは履けなくなったな、とちょっと考えてしまう。
「昔さ、一緒に海行ったよな。覚えてる?」
「あったねーそんなこと。私が押したら海に落ちちゃったやつでしょ?あの後めっちゃ怒られてたよね。」
「ほんとーにあの日の母ちゃん怖かったよ。まじであの後土下座したんだからな。」
「あはは、若気の至りでしょ。」
お互いにタバコをふかしながら笑い合う。昔は仲が良かった。それはお互いの認識だと思う。高校に上がってから違うところになって、連絡も取らなくなって、それから…。
「どう?結婚生活は。」
「いやー嫁さんが昔の母ちゃんみたいな人でさ、めちゃくちゃ怖いんだ。まあ、俺のせいなんだけど。」
そう、ー彼は、大学の時に付き合った彼女と結婚したとSNSで見た。可愛い子だった。割と若い段階での結婚だったから友人との間でも話によく上がった。
結婚式には呼ばれなかったし、行くつもりもなかった。
「…でも、別れるんだ。今年中に。」
「えっ、なんで!?…とか聞いちゃダメだよね…ごめん!」
「俺が子供作れない体質らしくてさ、嫁さん子供好きだからどうしても自分の子供がほしいって。俺の責任だし、ある程度慰謝料みたいなものも渡して別れるつもり。」
重たい話してごめんな、と続けて言いながら下を向いてタバコを咥えた。何かを言おうと思ったが、何も言えそうになくて私は口をつぐんだ。
「いいんだ。今日はさ、みんなの顔が見たくて。」
「…そっか。それ、みんなにはまだ言えないよね。」
「まあ、別れたら流石に報告するよ。ただ、なんとなくお前にはさ、言いやすくて。」
何か、期待をされているのだろうか。フォローも何もできるわけじゃないし、女としての魅力も対してない私が、彼に何かしてあげられるわけでも、してあげたいわけでもないが、そういう話を聞くと同情はしてしまう。しかし、この同情心は彼のプライドを余計傷つけるだけだ。
「それもまあ…タイミングなのかもね。色々。」
「ざっくりいうとそうなのかもな。嫁さんも仕事から一歩引き始めてたから余計に家庭に夢を持ってたみたいだったし。」
「なんで私に話したの?」
「えー…いや、実はさ、俺お前のこと好きだったとかではないんだけど…あの夏のことずっと忘れられなくてさ。楽しかったんだと思うんだ。野球ばっかだった俺を、試合に負けてべそかいてた俺を、あの日近所だからって理由だけで海に連れ出してくれただろ?
感謝してるんだ、今でもすごく。
だから、お礼が言いたくて。」
ありがとう、と続けられて、あの夏の少年が重なる。あの日、あの夏の暑さが一瞬だけ脳に蘇る。塩の匂いのする、あの時間を。
「私は、」
「俺、九州に行くんだ。だから顔見てお礼言いたかったっていうのもあった。打算で友達のお祝いしてずるいけどさ。」
私の言葉を遮って、彼が立ち上がる。タバコはもうほとんどなくて、灰皿に押し付けて火を消したけれど、それもほぼいらないくらいだった。私は話の途中で吸えなくなって半分ほどまだ残っているタバコを片手に、彼を見上げた。コートがかすかな風でひらひらと靡いている。
「私も、忘れないよ。元気でね。」
好きだったなんて、私に言わせない顔で彼は笑ってた。
【秋風】
「秋風」
今吹く風は
もう白風ではないけど
秋に吹く風は
乾き気味で好きだな。
酷く赤く辛い日々
未だ何も見えて来ない
ひたりひたり歩み続け
どこへ行けど暑く熱い。
さらりふわり風が撫でる
頬は水を得たと思う?
前をしかと見ればそこに
新たな風が迎えに来たよ
――サメの言うことにゃ、
秋風
秋の夜はなんだか寂しい
バイクの後ろはあまり風が来ないけど
冷たい空気は感じるから、
1年の終わりの始まりが来た気がして、ずっと続いて欲しいと思うけど
秋風が触れると寂しくて心がぎゅーってなるから
早く新年が来ないかなとか思っちゃうよね
この気持ちわかる人いる?
朝家を出て、「さぶっ」ってなる感じ
澄んだ空気の感じ
でも寒すぎない感じ
今日も頑張るしかないかぁ〜となる感じ
#秋風
秋風
星の下
夜風に吹かれながら
お勉強
紅茶の香り
とんでゆく
秋風
風が冷たいね
秋が来たのかな
いやこれは冬の風だね
秋は来ないの
夏と冬が喧嘩してるからね
秋はどこかに
いってしまったのかも
しれないね
秋風というにはちょっと気温が低すぎたので、視覚的に秋の割合を増やしてみた。栗と、ぶどうと、柿。食べ物ばっかりじゃないと言われたから、もみじと庭に咲いてたコスモスも。
これだけあれば、あの風も秋を運んでるのを思い出して、ちょっとは冬の淋しさを後回しにしてくれるんじゃないかな。
秋風
秋風が吹いてきた
「もう秋か」
秋風と遊んでいる葉っぱたち
秋風を涼しく受けている動物たち
秋風に挨拶をしている木の実たち
秋風がたくさんの物たちに届いていく
秋風が秋を知らせてくれる
秋風が秋を作ってゆく
...もうすぐ秋が始まる
芽吹きそうな種がモグラみたいに奥深く潜ってね、
心に小さな穴が開いたの。
あの穴はあまりにも愛らしく埋めたくなかったの、
歪んでとても醜かったのに。
あたしはね、芽吹きそうな種がすごく憎かったの、
土竜は眼が見えなくて…。
あの日、植えた種を探したよ。故郷で
"魚みたいな瑠璃職人に居場所はありませんよ"。
魚さんはただ佇んでたよ
あたしはね、深く気持ちいい朝を迎えたよ。
なにか足りないの、わかんない。
『しつい』
秋風が吹いたから秋なのか
秋だから吹いた風を秋風だと思うのか
たぶん、どっちも正しい
秋風に限らずだけど、
秋を感じることが起こったから、
今は秋だと感じるのだろうし、
時期的に今は秋だと思っているから、
この涼しい風を秋風だと思うのだろう
とはいえ、今はそうでも
最初はこういう気候を秋と定義しよう
となったのだろうから、
そもそもの始まりというのは、
秋風が吹いたりしたから秋なのだろう
これもたぶんだけれども
*11/12「スリル」10/14「高く高く」加筆しました。
──今日も君の風は優しいね。
同居人の操る風は、季節によってなんだか雰囲気が違う。
冬は冷たい雪の気配を、春は花の匂いを、夏は涼しさを運んでくる。
そして今の季節。秋の彼の風は、寂しさを纏っている。
(秋風)
後日加筆します。
吹き抜ける風が、頬から、手から、熱を奪ってゆく
かじかんだ手は、赤くなって
紅葉した紅葉が、美しい赤に染まっている
美しい景色とともに吹く風は、服の間を縫って体から体温を奪っていく
ふと、人肌が恋しくなる
誰かに抱きしめてほしい、何も言わなくていい、ただぎゅってしてほしい
今日だけで…
この、冷たい風が吹いている間だけでいいから
【秋風】
『秋風』
秋の風は寂しんぼ。
たぶん、1人で街を吹き抜けるのがイヤなのよ。
だって、あんなに綺麗に色づいた
赤や黄色の木の葉を連れていっちゃうから。
秋の風は寂しんぼ。
たぶん、その寂しんぼが私にうつったみたい。
だって、ちょっと風に頬を撫でられただけで、
あの人に会いたくなっちゃったから。
寒いけど まだ半袖で 大丈夫 ショートパンツで いけるとこまで!
【秋風】
秋風
寂しくて…哀愁
秋風
そっと…寄り添う
涙…
狂い咲き 忘れられてる風鈴が壊れるように揺れ叫んでる
題-秋風