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春、夏が通り過ぎて、あっという間に秋が来た。
ついこの間高校に入学したばかりだと思っていたけど、もう秋になっていたなんて、季節の流れは早いものだ。
高校に入学して、キラキラな青春を送ると決めていたのに、現実はテストや授業や課題で大忙しで、全然青春なんかない。

青春なんかないんだ。現実はそんなに甘くない。

自転車で高校に向かう。
秋風が吹いて、少しだけ寒い。




「大陽くん」




青空の下でなびく黒髪がとても綺麗な、そんなクラスメイトに声をかけられた。
僕は自転車、彼女は歩き、僕は彼女が居るところまで行き、話を聞こうと思った。


「私、太陽くんのことが好きなの。付き合ってほしくて……」





思いもよらぬ言葉に、僕は固まってしまった。
僕も彼女のことが好きだからだ。





「僕も、好きだったよ。君のこと。」







少し冷たい秋風が吹く、青空の下で




1つのカップルが誕生した

11/14/2024, 12:59:53 PM