俺の名前は竹中颯太。現在、2児の父親だ。
上の子は女の子でもう小1になる。
下の子は男の子で、5歳だ。
そんな俺だが、2日後、なんと結婚記念日だ。
結婚したのは、もう6年も前になるのか……
と考えていると、妻の紗由莉に話しかけられた。
「ねぇ、2日後、結婚記念日ね。今年は何しようかしら?」
「今年は子供達も一緒に何かするのはどう?」
「いいわね、2人とも、何したい?」
「ぼく、ゆうえんちにいきたい!」
「わたしも!」
「遊園地か…懐かしいな笑」
「私達もよく行ったわね笑」
「よし、行くか!」
そうして、俺達は遊園地に行くことになった。
当日。
「おとうさん、ぼく、あれのりたい!」
「あ、観覧車…!」
「わたしものりたい!」
そして、今に至る。
最後に観覧車に乗ったのは、
6年前の妻と結婚前のデートだった。
俺はここで告白したんだ。
「ぼく、しょうらいおねえちゃんとけっこんする!」
「え……?」
「あら……!」
「なにいってるの!きょうだいはけっこんできないんだよ!」
「え……そんな…」
6年前の今日、ここでひとつの夫婦が誕生日した。
そして、6年後の今日。
子供が増え、楽しく会話をする家庭が誕生した。
「きょうだいのたからもの」
1ねん2くみ はるのかなと
ぼくには、たいせつなたからものがあります。
それは、ぼくがいつももっている、このえんぴつです。
このえんぴつは、におにいちゃんがくれたものです。
おにいちゃんが
「これは、おばあちゃんからもらったたいせつなえんぴつだから、ずっとたいせつにもってたんだ。これ、あげる」
といって、ぼくにくれました。
そのあと、ぼくとおとうさんとおかあさんが帰ったあと、おにいちゃんはなくなってしまいました。
もしもおにいちゃんがこのえんぴつをくれなかったら、ぼくはおにいちゃんからもらうものがなかったことになります。
なので、このえんぴつは、ぼくにとってさいこうのおにいちゃんからもらった、さいこうのたからものです。
これからも、このえんぴつを、たいせつにしていきたいです。
そして、ぼくもおにいちゃんみたいに、これからうまれてくるいもうとが、いちねんせいになったら
「これは、きょうだいのたいせつなもの」
とおしえて、たくしたいとおもいます。
「きょうだいのたからもの」
「あ……もう25か…」
小学生してるって思ってたらいつの間にか中学生になってて、中学生してるって思ってたらいつの間にか高校生になってた。
そして、高校生してるって思ってたら、いつの間にか25歳になっていた。
俺はこの歳になってようやく、時の流れが早いことに気がついた。
小学生の時は、明日が早く来ないかなとか、夏休みまだかなとか思ってたのに、今ではもう明日だ、夏休みなんてない、と思ぅようになった。
もし俺に子供が出来たら、
想い出は大切なんだ。
って教えたい。まぁ、彼女すらいないけど…笑
そんな俺にも、たくさんの想い出がある。
その想い出をどうやってしまっていくかが大切だ。
ちゃんとしまえてないと、覚えている想い出はほんのちょっとだけになってしまう。
俺は
ちゃんとしまえているようだ。
春、夏が通り過ぎて、あっという間に秋が来た。
ついこの間高校に入学したばかりだと思っていたけど、もう秋になっていたなんて、季節の流れは早いものだ。
高校に入学して、キラキラな青春を送ると決めていたのに、現実はテストや授業や課題で大忙しで、全然青春なんかない。
青春なんかないんだ。現実はそんなに甘くない。
自転車で高校に向かう。
秋風が吹いて、少しだけ寒い。
「大陽くん」
青空の下でなびく黒髪がとても綺麗な、そんなクラスメイトに声をかけられた。
僕は自転車、彼女は歩き、僕は彼女が居るところまで行き、話を聞こうと思った。
「私、太陽くんのことが好きなの。付き合ってほしくて……」
思いもよらぬ言葉に、僕は固まってしまった。
僕も彼女のことが好きだからだ。
「僕も、好きだったよ。君のこと。」
少し冷たい秋風が吹く、青空の下で
1つのカップルが誕生した