『私の名前』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
題.私の名前
自分の名前の由来を思い出すたびに、
あなたのような人になりたかったって
ずっと思ってしまう。
私の名前
親からの生まれて初めてのプレゼント。
いい名前をもらったなと思う。
これからもこの名前大切にしたい。
"私の名前"
6文字中5文字の母音が"A"で、かつ名字が"花家"だから小さい頃に何回か「女の子みたいな名前」って言われて、それ以来──中学に上がったくらいの頃からあまり言われなくなったが──自分の名前が軽くコンプレックスだった。
名前は"大我"と男の子によく付けられるような名前なのに──最近では女の子にも"たいが"と名前が付けられることもあるとかないとか──と心の中で講義したり。
けどまぁ、両親が付けてくれた大切な名前だし、気に入ってはいるけど…。そうなんだけど、やっぱちょっと複雑で、ハッキリと"気に入ってる"とは言えない訳で…。
けど、なんの脈絡もなく急に──渡した書類を確認しながらだったから恐らく俺の署名を見て──
「お前の名前、良いな。」
なんて言われて。思わず、
「はぁ?」
って──急だったので驚いて思わず──我ながら怪訝で不機嫌そうな声色で聞き返したけど、
「綺麗で柔らかな、素敵な名前だと言っている。」
そう言われて、恥ずかしさと嬉しさが込み上げてきた。
勿論、両親が付けてくれた名前を褒められたのは嬉しいけど、それだけじゃなくて。
それまで、幼い頃に「女の子みたいな名前」と言われてコンプレックスだった名前を、"良い名前だ"と言われて。もういい歳した大人だっていうのに、自分より年下の彼に、"素敵な名前だ"と言われて、なんだか心がとても晴れやかで、じんわり暖かくなって、思わず目を閉じて言葉を反芻して喜びに浸っていた。
それからというもの、あの時言われた言葉を一言一句間違わず記憶していて、毎朝あの言葉を反芻して"自分の名前は胸を張って誇れる素敵な名前なんだ"と言い聞かせて、あの時感じた嬉しさと喜びをもう一度感じて1日をスタートさせるのが毎日のルーティンになった。
ずっと呼ばれてきた名前。
改めて自分で口にだしてみると
実感が湧かない。
でも、
きっと大事なものなんだろうと思う。
生涯背負っていくその名を
大切にしていきたい。
#私の名前
#4 私の名前
病院の待合室で呼ばれると必ず注目を浴びる
その後の違った感も毎度の事
早く結婚したい
但し「沢尻」と「唐田」以外で!
「みどりさんって本名なんですか?」
「ええ、そうです
緑が好きだからちょうど良いでしょう
それより…さんなんて付けなくていいよ
呼び捨てで呼んでください」
こんなことまでした仲なんだからと、
言いかけて口を塞ぐ
ベッドの上に散らばった紫色の下着が
なにか言いたそうにこちらを見ている気がしたからだ
「じゃあ、みどり」
一糸まとわぬ姿の彼女は
頬をあからめながらそう呼んでくれた
返事の代わりに頬ずりをすると
とろけそうな甘い溜息が私の耳を溶かす
甘い囁きに導かれるまま
私は何も考えずに彼女の熱に触れた
みどり、みどり
私の耳奥に響く
甘くてせつげな声
この声を聞いて心動かされない人間は、
おそらく私以外にはいないだろう
この声に、
欲は掻き立てられても、
私の感情は、心は、微動打にしなかった
私の心は、
私の名前が最後に呼ばれたあの時以来、
ずっと冷えて固まっているから
あの人が凍りつかせた心と共に
私は私の本当の名前も封じ込めた
もう誰にも呼ばれたくない
もう二度と傷つけたくないし
傷つけられたくもなかった
本当の私をさらけ出して生きる覚悟が
無くなってしまったのだ
彼女の声がピークに達するとともに
私の体にも一段とその熱が伝わってくる
しかし、私の永久凍土は今日も独り安寧だ
この先も、ずっと
お題 「私の名前」
僕の名前はとても素敵な由来があります。
本名が言えないため、由来も語れませんが…
私の名前
自分の名前は嫌い…二十年余り、父から聞かされた名付け親と、名前の由来…そんなに嫌なら殺して欲しかった…
私の名前をあだ名で呼ぶ異性は身内とあの人だけだった
1人増えたよ珍しくてびっくりしてしまった
大したことではないのだろうが、どきっとしたのだ
私はそのことを特別に感じていたのだ
あの人にもそのことは伝わっていたことだろう
だから特別に扱ってくれた
そのことを話したらどんな反応するのかな
もう興味なんてないのかな
私の名前
私はアプリでの名前は本当に適当。
Tシャツとか、
ファイルとか、
コップとか。
思い入れを入れない。
「今日が峠になると思います」
医者から言われた言葉にすぐに反応できなかった。むしろどこかで聞いたことのある台詞だったから、事の重大さを瞬時に感じ取れない。だがこれは、ドラマのセリフでも小説の世界でもない。僕の目の前で最愛の人が宙を舞った。突っ込んできたのは何トンあるか分からないダンプカー。警察が駆けつけた時には、運転手は人が見えなかったと弁明していたが、言い逃れのできない完璧な前方不注意だった。僕は、信号を渡ってくる彼女を道の反対側で待っていたから何の怪我もしなかった。けれどもう、心臓が張り裂けそうで生きた心地がしない。目の前で人が轢かれるシーンを、まして僕の、大切な人を。目を閉じても耳を塞いでも記憶として残ってしまっていた。何度も嘔吐感に襲われてトイレに行くけれど、昨日から何も食べていない身体からはもう胃液しか出てこない。
どうして、キミなんだ。どうして、僕は庇うことなく突っ立っていたんだ。どうして、どうして。頭の中でそればかりが延々とループする。
そして彼女の名前を何度も呼ぶ。アカリ、と大好きなその名前を何度も、何度も。どうか、助かってくれ。お願いだから。僕のそばから居なくならないで。
日付が変わって間もなくの頃。看護師が僕のいるロビーにすっ飛んできた。
「奥様が……!」
言葉を最後まで聞かず僕は全速力で彼女のもとへ走る。病室の前には病院の関係者がいやに集まっていた。無理やり掻き分け、部屋の中へと押し入る。昨日僕に死刑宣告のような言葉を告げた医師がベッドのそばで気難しい顔をしていた。
――嫌だ。やめてくれ。
「アカリ!!」
彼女はベッドの上で横たわっていた。ベッドサイドモニタには、彼女の心拍数が表示されていて、規則正しくリズムを刻んでいた。つまり、
「……助かった……の、か」
「先ほど目を覚ましました」
医師が崩れ落ちる僕の上で淡々と答えた。助かったんだ。無事だったんだ。良かった。本当に、良かった。その瞬間に目から涙が溢れ出てきた。昨日から水すら口にしてないのに、いったいどこからこの水分は集まってきたんだろう。
「ヨウちゃん」
聞き間違いかと思った。ゆっくり視線を上げると、アカリの瞼が薄っすら開いている。僕は乱暴に顔の涙を拭って彼女に近付く。
「良かった、アカリ。本当に……良かった」
「ヨウちゃんの、声が聞こえたんだよ。私の名前、いっぱい呼んでくれたでしょう?」
呼んだとも。生涯できっと1番口にするであろうその名を。気が狂ったようにずっと呼んでいた。その声がまさか届いたというのなら。
「ありがとう。呼んでくれて」
僕が言う前に彼女がふわりと笑ってそう言った。こちらこそ、僕の心の叫びを、受け止めてくれてありがとう。そう伝える時には、また涙がとめどなく流れた。でもこれは、嬉し涙だ。
そんな子に恋しているの?
私が居るのに。
叶うわけない恋なの?
そっか。
私の名前は「救世主」を意味する。我が子を幼いうちに亡くした両親にとって、後から生まれた私の存在は文字通り救いそのものだったようだ。だがそんな両親からの思いは皮肉にも私の生き心地を窮屈にするばかりだった。私は故人の生まれ変わりとされたのだった。
成人してからもしばらくは死んだはずの人間と重ねられたトラウマに苛まれた。自分が自分として生きている実感が出来なかった。亡霊と一体化した立場を脱することが出来たのは生涯のパートナーのおかげだった。私の精神の不安定さや気まぐれを従え、磨き抜いた才能を見抜き、発信すべき方向を取り決めてくれる絶対的な存在だった。彼女のおかげで私は亡霊の影を伺わせるものでしかなかった自分の名前を、心から胸を張って名乗ることが出来る。
「天才画家、サルバドール」と。
テーマ:私の名前 #249
私の名前は男の子でも女の子でもいるの。
まぁ、私は性別なんてないんだけど。
親が付けてくれた名前だから、
大切にしないとね。
私の名前
名前は単なる記号
ハンドルなら思い入れもあるけど
自分で名を決めさせらても困る
それでも自分でつけた名ではない
名前が私ではない
私は名前でもない
それはあくまで
私以外が判別する為にある
音が好きな名はなくもないから
響なのかもしれない
人が2人しかいなかったら
私とあなたでこと足りる
ある程度の数がいなくちゃ必要すらない
それが名前ですよ
私の名前は
私は嫌いではない
私にはそれだけですね
それでも
他人の名前よりは忘れられない
それが私の名前
私の名前
遠くの方で、誰かが呼んでいた。優しい音で紡がれるそれは、宝物のように大切で、愛しい私の名前だった。
「名前は、親からもらうもので体の次に大切なものだから」
そう笑顔で言った君が、そっと背中を押す。
まだ来るのは早い、と微笑み、しばらくは来なくていい、と言った君の顔がどんどん霞んでいく。
目が覚めたら、真っ白な天井が広がっていて、少しだけ消毒の匂いが鼻をかすめる。ああ、病院か、と気づいたのと同時に、ひどく安心したような顔をした両親がそこにはいた。
お題:私の名前
「はじめまして」
聞かずとも知っている。
お前の名前。
それは曽ての私の名前。
お前に託した私の名前。
お前に託した私の祈り。
お前は何も覚えていない。
「名は何と言う」
「私は――」
お前が知る名
お前を殺した私の名前
その口で紡ぐ
苦しいとき、逃げたくなったときは私の名前を呼んでね
いつでも、駆け付けるよ
僕は僕を好きになる
君が好きと言ってくれた名前だから、
もう自虐したりしないよ
明日は君に会えるかな
人は忘れ去られた時に
本当に消えゆくのではないかな。
汚名も栄華でも語られ綴られ
騙られ、ねじ曲げられて
どうか
私の名前を
忘れないでください。