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私の名前


遠くの方で、誰かが呼んでいた。優しい音で紡がれるそれは、宝物のように大切で、愛しい私の名前だった。
「名前は、親からもらうもので体の次に大切なものだから」
そう笑顔で言った君が、そっと背中を押す。
まだ来るのは早い、と微笑み、しばらくは来なくていい、と言った君の顔がどんどん霞んでいく。
目が覚めたら、真っ白な天井が広がっていて、少しだけ消毒の匂いが鼻をかすめる。ああ、病院か、と気づいたのと同時に、ひどく安心したような顔をした両親がそこにはいた。

7/20/2023, 1:35:37 PM