『理想郷』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
相反するものがなければ
それは叶えられない
治したい医者には
病人が必要
癒したいヒーラーには
傷ついた人が必要
勝利し崇拝されたいヒーローには
負け役の悪人が必要
夫々の役割を
演じながら生きる
この世は舞台
経験の宝庫
地球
全てを忘れて
降り立った
ここは遊園地
艱難辛苦
喜怒哀楽
全てを味わい尽くすまで
輪廻は続く
苦労の無い
痛みの無い
ただ真っ直ぐの道には
何の感動も無い
喜ぶには
喜べないものが必要
幸せを感じるには
不幸を味わわねばならない
悲しみも無い
苦しみも無い
どんな望みも全て叶う
そんな
何時の時代も誰もが
求め続けている世界
理想郷
闇で瞬く光
一瞬の煌めきだから
それは美しい
それが永遠なら
なんて退屈な世界
「理想郷」
刺さらない棘がもぎ取られた花束の一つ一つの茎と泡の消えるつぶらな音と、交わらない日々と削れた錆が降りかかるくらいの距離の心はいつも鍵の形で
『理想郷』
理想郷について考えたことはあるか。
人が理想郷と呼ぶこの世界で、僕は毎日のように考える。本当にこの世界は理想郷なのだろうか、と。
確かに他の世界に比べ、争いはなく、平和であると言えよう。意見を言うのも、行うのも自由だ。
縛るものなど何も無い。法律という他の世界にあるらしい、制限するものもこの世界にはない。
それでも平和なのは、この世界が停滞した世界だからなのだろう。進化しない代わりに、平和を得た。この世界は本当に、理想郷なのだろうか。
僕はこの答えをこれからも考え続けていく。.........たとえ、その結論が何を生み出すのだとしても。
どこからともなく
光が舞い降りる
からだに触れると
憂い心とも溶け
意気に燃えれば
鋭く貫流する
積光の上を
ふわりと転がる
/ 理想郷
「理想郷」
迷い込んだ人が成長する
いいものとも悪いものとも限らない
(注釈)現在、男児出生の際には、すみやかにインケイを切除、フグリは発育状況を見て、後に二分の一、もしくは全摘出が推奨されている。(人科法による)
(注釈)現在、養育資格を保持する成人が、妊娠と出産を希望する場合、母性にのみ種子選定の権利が生じる。(保人法による)
(注釈)現在、子供を養育する期間、資格更新を基準として、その環境への補助が行なわれる。(内国法による)
長い混乱の果て、科学が導き出した新しい風は、“男という病の排除”だった。
社会の中の性比率が整うと、犯罪は大きく減った。
もちろん人口も激減するが、想定内である。
誰もが目にした新しい風は、間違いなく、この星の意思なのだ。
【理想郷】
いじめもケンカも戦争も、あらゆる争いのない世界。
醜い犯罪のない、誰一人脅かされる者の居ない世界。
飢えも渇きも病の苦しみも、老いの恐怖もない世界。
これこそ理想郷。誰もが望み、憧れる幸福な世界だ。
正直に言うと、今も僕はこの通り強く確信している。
「理想郷は消去法ではつくれないよ」
そんな風に君が否定するものだから一寸腹がたった。
例え夢物語だとしても、理想なのだから良いだろう。
僕は、その苛立ちをうっかり口にしてしまったんだ。
「それなら君は付いてこなくていい」
僕は厳しい戦いへ身を投じ地獄の日々を生き延びた。
そして辛く苦しい年月の果てにここまで辿り着いた。
戦争も犯罪もなく、恐怖や苦しみもなくなった世界。
安らぎのなか、風が穏やかに吹きそよぐ幸福な世界。
そして僕が君を連れてくることのできなかった世界。
僕が「要らない」と言った全てが消え去ったここは、
僕の願い通りであり、けれど、もはや理想郷でなく。
************
「理想郷」
************
所感:
なぜそう書き進めてしまうのか自分でもよく分析できていないのですが「君」と「僕」を文章に登場させると、もれなく「僕」が可哀想な人になってしまいます。
理想郷
誰も居なくなった教室
静けさに覆われた真夜中の町
世界の輪郭がぼやける
夜空、夜明け、星、月、太陽
理想郷
桃源郷、エデン、シャングリラ。
理想郷は、他にもたくさんあるけれど、
私は、もっと身近に理想郷の幸せが、ほしい。
なにせ、私は、とっても欲張りだから。
もっというなら、この星ごと、理想郷になればいい。
だから、いったでしょ?
私は、とっても欲張りな、幸せ者なんですにゃ。
あ!うちのご主人様が、私を呼んでいる。
にゃー。
ごろごろ。
よかったな。今日も幸せな我が愛猫か。
そこは架空の地。個人の理想・欲で出来た世界。
そこには個人の秘めたる欲望・理想が数多く存在している。それ故、強欲であればある程にその地は形を成す。
欲がその地を立体的に構築していく。美しくも醜くも。
その地は完成を知らずに進化していく。
欲が増えるほど変わっていく。更なる理想の姿へ。
欲という本性が露わになる世界。
個人の理想・欲望が創り出す
─ 理想郷(ユートピア)─
‐理想郷‐
樂しく遊戲んで地獄逝き
神樣嗤つて蹴つ飛ばして
地平線から水平線
後悔なんか絶對しない
腦内モルヒネドバドバ出して
驅け上がつては墮ちて逝こ
普通てなによ樂しけれあいい
説教なんか絶對ヤだね
綺麗事上等遊戲ばうよ
樂園なんかあれあしない
冷靜と狂氣の狹間で
血湧き肉躍り地獄逝き
共食ひしあつて一緒くた
混ざり合つたら寂しくない
幸せなんか人其れぞれ
神樣なんかに決めさせない
人生は戦いだ
強く思い描く私のユートピアは
夢物語に近いのかもしれない
だが掴めそうなほどはっきりと象られている
誰にも語らず自分の内に秘めた理想郷を
人生のフィナーレにするために
私は挑み続ける
僕は
天使に会ったことがある
妹の面会に行った時
病院の待合室で呼ばれるのを待っていた
なんだかそわそわして
購買でガムを買っていくつも噛んだ
天使って別に
頭の輪っかもないし 服が白いわけでもない
いつのまにか 隣に座っていて
僕には背を向けて
反対側の誰かと
理想郷について話していた
気がつくと いなくなっていて
天使と話していたのは
酸素チューブと点滴をつけたおばあさんだった
おばあさんは妹と同室だから
顔は知っていた
おばあさんは僕に会釈すると
酸素ボンベと点滴台をひきつれて
廊下の奥に消えた
翌週の面会日は月曜日
僕はまた妹に会いに行った
なんだか暗い顔をしているので
聞いてみたら
あのおばあさんが亡くなったらしい
あの日の夜中に急変して
異常に気づいたのは妹だったらしい
あれから何年も経った
妹はあのあとすぐに 無事退院した
だけど
天使のことは 誰にも言えずにいる
おばあさんは理想郷に行けたかな
天使って
頭の輪っかもないし
白い服を着てるわけでもない
でも会った時すぐわかる
ヒトじゃないなって
もちろん
天使じゃなくて
死神だったかもしれないな
「理想郷」
理想郷 そんなもの 人それぞれだ ただ、同じ目標 同じ理想に立ち 共に行けるなら それは輝く未来へ続く理想に立ち 共に行けるなら それは輝くかけがえのない未来へ続く
楽園とは名ばかりの地獄
好きなものだけを詰め込んで
何がどこにあるかすら分かりやしない
遠く空の高いところに
美しく気高い空の使者と
暗く深い海の底に
麗しく儚い海の使者
地上に現れる理想郷は
ニンゲンたちの最後の砦
大荒れの時化の中で船を操舵する。
私の人生はいつもそうだ。
耐え難い試練があるか、凪で一休み出来るか。
いつかはどこかに辿り着くのだろうか?
ここまで考えて気づいた。
目標を持たずに海に飛び出している事に。
そうだ理想郷を思い描こう。
それがこの航海の目標だ。
「昔に戻りたい」
君がポツリと漏らした一言。
昔は楽しかったね。
特に何があった訳ではないけど、毎日が輝いていた。
大人になった僕たちは、現実を目の当たりにし、
だんだんとあの頃の輝きを失ってきた。
今はしんどいけど、もう一度手を取り合おう。
自分の輝きを取り戻すことは大変だけど、
相手の輝きは取り戻せるから。
お互いに輝きを取り戻したとき、
あの頃のような楽しい毎日が過ごせるから。
ひたすら笑って、泣いて、お互いに遠慮なく、
自然体で過ごせたあの時のように。
そして、思い出の場所でまた会おう。
そこは僕らの理想郷。
〜理想郷〜
なぁ知ってるか?
ささやく人の声が、すれ違いざまに鼓膜を撫でる。少し距離があいた頃にどよめきとざわめきが場を揺らす。
なにそれすげーじゃん!
めっちゃいい!
え、でもマジなの?
やばくね?
行ってみようぜ!
増す一方のボリューム。楽しそうで何より。その様は若者の特権だから。
話の内容は何となく察しがつく。まことしやかに広まった、夢みたいな条件の求人の話だろう。そこで働く人の紹介以外では応募することが出来ないという特殊な条件のもと、破格の給金でありながら仕事内容はある屋敷に住むだけ、というもの。立地は僻地でありながら、娯楽にもさして事欠かない。自然豊かなアクティビティに、最新の電子機器の類も揃っている。居心地が良過ぎて、行ったやつはまず帰って来ない。夢みたいな話だよな。
だけどまぁ、普通に考えてみようか若者たち。
誰も帰って来ない。本当に?どんなに快適に設えた場所であっても、誰一人帰らないなんてことがあると思うか?
もし仮に誰一人去らないのであれば、求人が出続ける理由は?
人づてにしか辿り着けない、正規のルートで求人が出ないのはどうして?
夢のような生活に憧れる気持ちもよく分かるが、起きながらにして夢の中にいるのは、あんまりいい気分じゃないぜ。
独り言のように頭の中で考える。彼らがまやかしの夢に飲まれないように祈りながら。その間も体は勝手にどこかへ向かう。
今やこの体の全ては俺の意思のもとにない。脳に埋め込まれたチップから出る電子信号が全ての権利を奪ってしまった。意識だけはぼんやりあったりなかったり。感覚的には夢を見ている時や、金縛りのそれに近いような気がする。
なぁ知ってるか?若者たち。まばゆい理想はきっと、雪のように儚く脆いんだ。
〉理想郷
清くてあたたかい、
誰も争わない、嫉みも憎悪も侮蔑もない
罪深くてもそうでなくても、救われる世界
それを人は、「何」と語るのか
例えば
夢半ばに倒れた誰かの生きる世界。
例えば
添い遂げなかったアイの成就する世界。
例えば
多くの犠牲を得ずに理想が叶えられた世界。
ともすれば、それは『理想郷』と呼ぶべきモノだろう
しかして、
例えば
苦しみを背負って倒れたのに
「起き上がれ」と生かされる世界。
例えば
寄せられ囁かれた愛の言の葉が
「全て嘘」で浮薄な恋人を持つ世界。
例えば
多くの「希い」の下進んでいったのに
騙った偽善者だ独裁者だと詰られる世界。
誰かの『理想郷』はややもすれば
誰かの『███』になるかもしれない訳だ
この世にありふれた願いは、正に鏡に写る万の華。
見方を変えれば美しいが、そうでない事もある
原初の欲求こそ同一であっても
そこからくるくると感情を纏わせ
簡単に違う『願望』へと転じさせる。
紛う事なく千差万別。
全ての願いを結集なんてさせたら
何が出来るかなんてわかりゃしない!
そりゃあ区別も差別も戦争もなんだって起こる筈さ、
…おや?長々と語る『僕』は一体何が言いたいのかって?
統合された、或いは「心のない」人間…
いや、ヒトガタの集まりでも無い限り、
全て救われる真の理想『郷』なんて無いさ
って話だとも
そんなに重く考えなくていい。
なんせこれはただの、フィクションなんだからね!
齧って欠けた林檎の果実を片手に
心の羅針盤に身を任せ
海を渡り山を超えて
まだ誰も知らぬユートピア
この目で見てみようじゃないか
── 理想郷 ──