『現実逃避』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
これは、ただの現実逃避だ。
わたしは辛くても、絶対に顔に出さない。
悲しくても楽しそうに、腹が立っていても穏やかに、苦しくても嬉しげに、笑顔をつくる。
みんなにはわたしはいつも機嫌のいい明るい人に見えているだろう。
それはみんなの為だと、ずっと思っていた。
みんなを嫌な気分にさせないため、空気を暗くしないための思いやり。
心のどこかでずっと美化していた。
でも気付いてしまった。
これは現実逃避だ。
みんなを思うふりをして、本当は辛い気持ちを自分から隠すためだけの現実逃避だ。
自分に笑顔の目隠しをして、痛みから逃げるため。
そのためだけに笑っているのだ。
辛いのを忘れようと知らんぷりをして笑って、みんなの為だと言い訳をして自己肯定感を上げて。
本当は真っ暗な闇の中にいても、お日さまの下だと錯覚させて自分を騙す。
現実逃避でしかないのに。
でもわたしはやめない。
今日もそっと目隠しをつけ、明るく笑う。
いつか、目隠しを外してくれる人に出会えるまで。
涙もふいて、口角をあげて。
さあ、帰ろう。わたしの居場所に。
ほんとに現実逃避したい
眠すぎる
【現実逃避】kogi
現実逃避
「早く正社員の仕事を見つけなよ」
たまに、姉に仕事の話をすると必ずこう言われる。そう正しいことを言われるからたまになのだ。
わかってるよ、私も正社員になったことがあるからわかる。正社員の方が給料もちゃんともらえるし、ボーナスもあったり、社割があったり、いろいろな面でメリットがあって、世間から見てちゃんとしていると思われるのは正社員だってわかってる。でも、一日中ごろごろしたり、何本も映画を見たり、そんな現実逃避みたいなことをしたいんだよ。アルバイト生活だから金銭面で少し辛いけど、今、すっごく楽しいんだ。だから正社員の生活はもうちょっと待って。現実逃避できるのは今のうちだから、たくさんしておかなきゃ。
その名も
「学校めんどい現実逃避✺⋆* (⸝⸝⸝´▽`⸝⸝⸝)⋆*✺」
『現実逃避』
きっとほとんどの人が現実逃避したいって思っているんじゃないかな。
人生ぶちあげー!!フゥー最高!!なんて。
そんな毎日を思う人なんてほんのひと握りのポジティブで出来てます!な人だけ。
あー今この場から逃げたい…考えたくない…ピンチだ…どうしよう…途方に暮れる。
現実逃避したくなる。
できたらどれだけ楽か。
でも出来ないから人間って気づかない内にちょっとずつでも解決できる生き物なんだよなぁ。
なんやかんや言っても。
その場を乗り切れる事が出来る。
どんな形であれね。
なーんて思いながら。
頼まれたら断れなくて。
山積みのやらなきゃいけない事から。
現実逃避したいなとリアルタイムに思いながら。
さぁやっていきましょう。
#現実逃避
逃げたっていいじゃない
選ぶ道は色々あるから
生きてるだけでもいいじゃない
誰かが責めたとしても
それぞれの人生
でもそんなふうに割り切れるまで
時は優しさばかり運んではこない
待ってて…と叫んでも
苦しみは早足で追い立てるから
でも覚えていて
自分を許せるのは自分だけだよ
まあ、いいか!
それだけでもいい
自分の哀しみには少しだけ
鈍感なくらいでいいのだから
現実逃避
嫌なことがあると現実から逃げ出したい時がある。
現実逃避の仕方は人それぞれ。
僕の場合は、ゲームをするかYouTubeを見るか。
今の現代っ子らしい現実逃避の仕方だ。
学校での逃げ方は読書が一番適してた。
文章を読んでるだけで頭の中に物語ができる。
まあそのせいで、友達や同級生の人たちは僕に話しかけてこずにそっとしといてくれた。
思えばありがたいことだけど、友達に聞くと近寄ってくんなオーラというのが僕から出ていたらしい。
僕、、何もしてないのに。
そんなこんなで人との関わり方がわからなくなってしまい、今に至りますが。
個人的に言うと、もう一人でいい。
そしたら現実逃避とかしなくて済むじゃん?
必要な時にその時だけ頑張れば後は楽なもんよ。
他人にどう思われているのかは確かに気になる。
けど、そんな事考えてたら嫌な方にしか考えが進まない。
だから、考えちゃダメだね。
人間関係で疲れた方へ。
あんま気を張りすぎると辛いだけです。
もっと楽に生きましょ?
誰だって一番大事にしたいのは自分。
その自分自身を傷つけて壊さないでください。
僕はねるねるねるねを、色を楽しむ為じゃなく、本当は現実逃避に利用しているのではないか。
現実の色に絶望し、せめて練っている間だけでも、理想の色に期待する、ふりをしたいだけではないか。
しかし、こんなことを考えるのはよそう。
本来、お菓子というのは楽しいものなのだから。
ああ、こんな結末なんて誰が予想できる。
こんな死に方なんて。誰が思いつく。
こんなこと、こんな…………
視界に飛び込んできた天井の白。
体にまとわりつく汗と布。
寝起きと思えないほど脈打つ心臓。
どれも、これも、不快で気持ち悪くて、
嫌だ。
このまま、また、目を閉じて、
もう起きたくない……
「あれ?まだ寝てるの」
聞こえないふり
……目覚めたくない
あんな現実、受け入れられるわけないだろう?
2024/02/27_現実逃避
題 現実逃避
私は山里里奈。友達も沢山いて幸せ者だ!
私はいつもどおりにクラスの扉を開けた。
「おはよ」元気よく挨拶をした。しかし皆は無視をした。いいんだ。気持ちが伝わっていれば!
私は席についた。 しかしクラスメイトはゴミを見るような目で見る。なんで???
「また来たの?里奈」と友達の嘉穂が言った。
そして私はわかった
あっそっか、私いじめられてるんだ
歌を歌って
現実逃避
好きなメロディで
現実逃避
友達と話すのも
クラスメイトと話すのも
疲れたときに現実逃避
深呼吸しても
手首を眺めても
薬を買っても
現実逃避にならない。
何をしようか現実逃避。
歌を歌うのも
絵を描くのも
現実逃避になりゃしない。
助けてなんてSOS
誰にも届きはしないんだ。
だから僕だけのSOS
それはきっと現実逃避
私は誰からも逃げている
正直関わりなんてしたくない
最善を尽くして避けている
しかし
それはいけない
カレらはどうなる?
私の補助を必要としてるのに
それからも
逃げる気なの?
いけないよね
カレらだって頑張ってるのに
私が頑張らなどうする
気を飛ばして綺麗に
新しい気を持って
前へ進まな
どうかな
私は逃げない方が
好き?
逃げられない人に
捕まった
固定すれば
大丈夫
私の男達は
とっても怖いね
ぴーぷー
今の時代
現実に豆腐屋さんなんて
いるのかしらねえ?
違うわーってかあε=(ノ・∀・)ツ
話しを勝手に作るな!ーってかあε=(ノ・∀・)ツ
お題は現実逃避じゃあーってかあε=(ノ・∀・)ツ
逃げるのか?
自分に、そう問いかけた。
許さない。赦されない。そんなこと。
生まれたのが罪だった。生きていくのが罰だった。
君と話したことを思い出す。
「一緒に逃げよう」って。
通知をオフにして
現実逃避なんてしてみる
気になって気になって
結局、アプリを開く回数が増えていく
けじめなんて付かずに
ただ一人、みじめになっていく
―現実逃避―
僕は“この世”を知ってしまった
この世の秩序や成り立ち、ルール…
僕は、その‘’現実”が理解できなかった
いや、理解なんてしきれていた
でも、この事実が信じられなくて
信じたくなくて
それでも…!と、足掻く程、藻掻くほど、
所詮、これは逃避なんだぞ
という正論が、自分の中で突きつけられる
でも今更、知らないふりをして
今まで通り生きていくことを考えれば、
それはそれでゾッとするし、
想像がつかないんだ
逃避すればするほど、
現実が加速して追いかけてくる
『現実逃避』が昨日のお題だったが、
一昨日もそれっぽい感じの内容であったし、
今自分もまさに現実逃避をしている最中であるようにも思うので書かないことにする。
最近、
自分を裏切り続けているせいか情緒が不安定である。
良くない。
自分で良いと思える文を投稿し続けていたかったが、先日はほとんど自分の為の文を書いてしまったので、楽しみにしてくれていた方がもしいればごめんなさい。
『物憂げな空』はまたいつか書けたら書きたいと思います。
上げていた文を読んでしまって
うーん、と思われた方に届けば良いが、
私の考え方を述べておくと、
『Twitterでも実際に対面する相手でも、合う人は合うし合わない人は合わない、それで合わない人が離れていって、合う人との時間が増えて人生がより有意義なものになるなら、逆に素晴らしいことだ。良くできている…』
そのような考え方をしている。
ので、自分が悪いと思った時はちゃんと謝るし、
その点については現実逃避をしている訳でも
どうでも良いと思っている訳でもない。
とりあえず面白くない話はこのくらいにしておいて、
昨日は母との韓国語の勉強、第二回を開催したので、その時のことについて書こうと思う。
長くなるが、思い出を忘れない為に、
念の為覚えている限り、思い出せる限り、
すべてを書いておこうと思う。
昨日の朝、姉から連絡があり、一体何だろうかと
不安に思いながら折り返したのだが、
どうやら母は最近、
物忘れが激しくなってしまっているらしい。
それを防ぐためにも勉強を始めたつもりだったのだが、始めるのが遅過ぎたのだろうか。
仕方がないよなぁ、人間だもの。
大丈夫だよ、忘れたら、同じものを見た時も、新しい感動を味わえるようになるんだ 忘れるというのも、人間の素晴らしいスキルの一つなんだよ 良い意味でも悪い意味でも 長い人生を生きていく為に必要なことなんだ
姉は仕事中で、短い通話を終えた後
そんな風に1人呟いてみたものの、
やはりショックはショックで。
つらいものはつらくて。
少し泣いた。
でも、それをそう感じるのは本人じゃなくて、周りの人間で 母さんは70近くなってからでも初めての推しが出来て、母さん自身は生活を楽しめているなら本当に良かったよね
母さんの場合、忘れられないほど苦しいことがあるわけじゃなくて、忘れても問題無いくらい、他愛もない日常を送れてるってことなんだ
物忘れがひどくなると色んなことが起きるかもしれないけど、人間の一生だから それはどうにもできないことなんだよな 最後がいつ来るかもどうなるかも、それはわからないけど なるべく幸せに生きてもらえたらそれで
そんな風に考えて気持ちに区切りを付けた。
さて、今回も朝10時から勉強を始めたのだが、
先ほどの件には触れない方がいいだろうと考えていた。
しかし少しでも刺激があった方が脳にもいいのではないかと思い、前回とは違い、ビデオ通話をしながら勉強をしようと考えた。
(私は人から好かれている自信をもちづらい所がある人間なので、これだけ言い切れるのはかなりすごいことなのだが、)母も姉も私の事が大好きなので、嬉しい気持ちや、愛の力だなんてものを信じたい、とも思ったのだ。
10時になったので
「勉強するかー!」とメッセージし、
「いいよ」
と返ってきたのでビデオ通話をかけたが、出ない。
ビデオ通話をもう一度かけたが、出ない為、メッセージで話しかけると通常の通話が掛けられて来た。
応じた後ビデオ通話に切り替えた。
「せっかくやしビデオ通話にしようよ。
母さんも映して?…ビデオ通話、って無い?
うん、映った映った。
母さん、頭しか映ってないよ」
私は笑いながら言う。
母も、久しぶりに私の顔が見られたからか、
嬉しそうに笑いながら、
「母さん、歳とったなぁ。」
と言った。
確かに、私も久しぶりに母の顔を見たが、少しずつ
おばあちゃんになってきているように感じる。
今朝姉から聞いたこともあって泣きそうになり、少し涙が出てきたが、眼鏡をかけた目元を、ただちょっと気になっただけに見えるよう、
ごまかすように擦った。
私の髪の乱れなどを見てか、
「寝起き?」なんて言われて。
画質がそこまで良くないからかバレなくて良かった。
「旦那さんは?おるの?」
「いや、今日は仕事。最近は出社しよるんよ。」
「そうかぁ。大変じゃぁのう。」
「そうなんよねー、大変そうやわ。
在宅できたら良いんやけどね。
こないだまでは在宅やったんやけど。
母さんは、朝は何してたの?」
「洗濯よ。
…今日は姉ちゃんが朝早くから仕事やってな…」
そのまま姉から聞いた事については触れずに
勉強を始めようと思っていたのだが、
今朝こんな事があった、と自ら話してくれた。
ご飯を炊いたと思ったら予約を夜に設定していて炊けておらず、姉が弁当を持っていけなかった。
バタバタしたからかまた頭がちょっとふらふらしていた。(母は脳の血管が細く、以前脳卒中を起こしそうになっていた。早くに病院に行った為今はかなり改善され元気にしているので良かったが、たまにふらふらするらしい…。)
心配されて、親戚の子どもの名前を言っていけ、と言われたが、どうにも◯◯おばさんの子どもの名前が思い出せなかった、と。
ならばと思い、まずは韓国語の勉強の前に、
明るい雰囲気の中、自然に、笑顔で会話しながら、
親戚の名前クイズを出すことにした。
「じゃあ、母さんの姉妹の、
1番上のお姉ちゃんの名前は?」
「その子どもは?」
「じゃあ、その◯◯ちゃんの子どもは?」
「母さんと1番仲が良い姉妹は?」
そんな風に話して、自分もふと思い出せなかった子の名前は、年賀状に書いてあったな、と思い出し、
そうだ、◯◯だ!と言いつつ、
ビデオ通話で年賀状を映し、漢字を見せた。
母がどうにも思い出せなかった子の名前は、
「どっちも1文字の子よ。」
「あ〜、どうやったかなぁ…。」
「じゃあ、伝えるから覚えておいてね。◯ちゃん。」
「ああ…!上のお姉ちゃんの名前かね?」
「うん。下の子の名前はわかる?
ちょっと難しい漢字の。」
「あぁ…うーん、わからん。」
「◯ちゃんだよ。」
「え?」
「◯ちゃん。」
「あぁ…!
もっと簡単な名前にしてくれたら良いのになぁ。」
「そうやねぇ。」
笑いつつ、和やかな雰囲気の中クイズをした。
普段遠いところにいて離れている私の前だから心配させないように気を張っている為かもしれないが、
思っていたより全然普通に見えて、
少し安心したし、楽しかった。
クイズも終わり、じゃあ、勉強するか。
と、今日の本題である韓国語の勉強に移る。
前回勉強した、母音と子音について復習した。
韓国語の、ツ、の話。
本には載っていなかったが、츠が1番日本語のツ、に近い音らしいということ。上の方の人がツ、とする。と決めていて本にも載っている쓰は、ッス、という音になるらしいということ。
わかりやすいように、あと話したかったのもあり。
第一回でも話した、韓国語の勉強をしようと思うきっかけとなった、グノーシアの韓国人のファンの人のツイートにも出てくる、私の大好きなセツの名前は、
세츠と書く。
それを伝えるべく、グノーシアの考察を書いている、使っていないスケジュール帳の新しいページを使い、大きめに書いた세츠という文字をビデオ通話で映して見せる。
すると母もそれを見ながらノートに一生懸命書き込んでくれて、嬉しかったしちょっと面白かった。
セツってどんな人?と聞かれたので、
確かに知っていた方が覚え易くもあるだろうと思い、
私は嬉々としてSwitchのセツの写真を見せた。
「ちょっと待ってよ…、
うーん、どれを見せればいいかな…。
うん、これにしようか。こんな人!!
可愛いやろう…?」
「ほ〜!この子が、セツ?」
「そうなんよ…。
この子は、男の子でも女の子でもなくてね…。
軍人さんなんよ…。
いい感じやろ…?」
「ふんふん…。確かに、ええ感じやわい。
目が赤いんやねぇ。」
「そうなんよね!だけどね、水色も入っとって…。
感情の揺らぎとか、びっくりした時とか、
水色が出るんよ…。どれを見せればいいかな…。
うん、これでいいやろ。ほら、こんな感じ。」
「ほ〜ん!ほんとや…。
(至極幸せそうな私の顔を見て)
ええねぇ、良かったねぇ。」
「うん!本当に良かった…。」
そんな風にして話した後、
最近何やってるの?と母さんに聞かれたので、
…何をやってるかな…と考え。
私の若干現実逃避気味になっている部分について、
頑張んないとなぁ。そろそろどうにかしたい。
というような感じで色々話し、
最近やっていることについて思いついた。
この2月からここで小説を書き始めたことは以前話したし、姉ちゃんは読みたいと言ってこのアプリを始めて2日目に書いた『スマイル』と、後日談を簡単に書いた『花束』を読んでくれたが、母さんは読まなかったそうだし、最近グノーシアの小説も書いたがそちらも読む感じでは無いだろう。
私は先ほども話した、グノーシアのセツが好き過ぎてイメージアクセサリーまで作っている。
寝室のベッドフレームの上に居てもらっているセツ(のぬいぐるみ)に来てもらい、ネックレスのようにセツの首にかけている私が作ったブレスレットを、そのまま母さんに見せる。
「ほら〜、見て!せっちゃん。可愛いやろう?」
「それ(セツのぬいぐるみ)も、作ったん?」
「いや、違うよ!これはね、
タイ◯ーオンラインクレーンゲームっていう、
ネット上でできる、ゲームセンターとかにある
こうやって(セツの上に手を翳し、クレーンゲームの
アームの動きをして)取るやつで…」
「ふーん!それで取ったん?」
「いや、取りたかったんやけど、その頃にはもう
せっちゃんは無くてね…。◯◯っていうところで
良い感じの値段で売ってくれてたからそこで…。」
「あ〜、そうなんや。」
「うん。私が作ったのはこれ、ネックレスみたいに
しとるけど、ブレスレット作ったんよ。」
「おーおー、へぇー、細かいのう。」
「(セツの首から外して見せて)そう、これがね、
最初別の色で作っとったんやけど、ちょっと
せっちゃんの色とは違うなあ、濃いなぁ、
と思っとったんやけどね、浅◯◯駅の西口から
降りたら、今まで見た事のない店があってね、
そこにこの、まさにせっちゃんっぽい色のビーズが
あって、本当に良かったわ。
元のやつは元のやつで置いとこうと思っとったん
やけど、紐が伸びて、ちょっと…大破してね。
こっちの色で作り直したんよ。」
そこまで話して、ブレスレットをセツの首に戻し、
自分の顔のすぐ横にセツを掲げて、
ビデオ通話の画面に映す。
「そうなんやねぇ。
…うん、ほんと、可愛いねぇ。」
「ふふ、そうなんよ、可愛いやろう…?
本当見るたび可愛くて愛しくて幸せでねぇ…。」
「うんうん…!ほんとに良かったなぁ…。
…それ、軍服?」
「! そうなんよ!わかるんや…??」
…そうして一通り話し終えた後、
じゃあ、そろそろ始めようか。と、
韓国語の母音について書き込み式で復習していった。
合間合間にも、近況など、いろんな話をしながら。
介護系の仕事をしている姉は最近忙しいらしく。
「・・・---で、帰りが…22:30頃よ。」
「そうなんや…やばいね。
一体何があるんやろうね?」
「監査があって書類整理が忙しいんやと思う、
3/3…今週いっぱいまでやなぁ。」
「兄ちゃんは最近どうしてるの?」
「あー、兄ちゃんな。最近連絡が無いんよ。
連絡が無いってことは忙しいんやろうなぁ。
いつもは夜勤の時とかに…月1回くらいでかな、
連絡があるんやけど。」
「そうかー。
また母さんから連絡してみたら良いわい。」
「そうやな。また姉ちゃんがおる時にでも…。」
「姉ちゃんもおる時に話すんやね。」
うん。夜やけんな。
ああ、なるほど。
兄ちゃんにもこっちから母さんについて連絡しておくべきかな、とも思ったが、兄ちゃんのことだ、
直球で母さんに、
最近物忘れが激しいんやって?大丈夫なん?母さん。
などと言って心配しかねない、ような気がして。
だからといって心配を隠して話をさせるのも兄ちゃんが可哀想か、どうか… と思ったが、とりあえず、
また連絡してあげてね、くらいは伝えておこうかな、
と今書きながら考えて思った。
そうやって会話をしながら考えている間に、
韓国語の어이우에오(あいうえお)の書き込み、
それを使った日本語の単語を書く、
などのページを終えて、次のページを見る。
子音やその他の文字を使った、これから先やっていく「かきくけこ」以降の色々を紹介するようなページで、ちょっと複雑かな…。
母は、今やった母音の復習ページの
最後の3問だけのテストで、
う、だけわからなかった、とのことだった。
新しいところを進めるより次までにそこをしっかり覚えた方がいいだろうし、母も疲れていそうだったのでこの辺にして、雑談でもすることにした。
今回は1レッスン、見開いた2ページ分だけ進めた。
「これから母さんは何するの?」
「姉ちゃんに、今日は危ないけん車に乗るなって
言われとってねぇ。買い物でも行こかと思った
けど、家におるよ。」
「そうかそうか…。
また散歩にでも行ったらええわい。」
「散歩かぁ…。」
「…そうよ。推しと散歩せなあかんやろ。」
「ふふ、推しと?」
「そうよ、推しと。
私もせっちゃんを連れて出歩きたくて
いい感じのバッグが無いかと探しよるんやけど、
あったんやけどどうにも売っとるのが海外の〜?
サイトみたいな感じで、なんかなぁ…って…。」
「ふ〜ん、なるほどねぇ…。」
「もう女児用のでも良いかなとも思ったけど、
あんまりにも夢かわでねぇ…。高いは高いし…。
『お気に入りのぬいぐるみと、お散歩に行こう!』
みたいな…。可愛いし夢かわも好きやけど、
自分がそれを身に付けるとなるとうーん、
どうかなって…。
やっぱりシンプルなのがいいしなぁ。」
「ははは、そうなんやなぁ。
母さんも韓国ドラマが好きになってから、
日本のドラマがどうにも面白くなくってなぁ。
いっつも同じドラマを観よるけど、
何回観ても面白いんよ。」
「そうよなぁ、何回観ても幸せになれるもんな。
ええなぁ。」
「うん…。…ああ、そろそろ11時半になるし、
終わろうかね。」
「…うん。そうやな。じゃあ…
あっ、次はいつにする?」
「…ああ、そうやな。
母さんはいつでもいいけどな。」
「そうか。私も…いつでもいいけどな。
明日でも、明後日でも…。」
…そうか。じゃあ…明後日にしようか。
うん。じゃあ、木曜日にまた、ね。
雑談が終わり、通話も終えた。
母さんは大丈夫かな、
姉ちゃんがあんなに心配してたのは、
どんな様子だったからなのかな、と思いつつ
Twitterを見たり返信をしたりせっちゃんを見たり、
税金を支払ったり生活必需品を買い足したりしつつ
昼間を過ごした。
夜、グノーシアのファンである
日本のフォロワーさんと通話をしていたら、
仕事を終えた姉からメッセージが来た。
---
◯ちゃん、今日はありがとう。
母は、最近、ちょっと変で、人や物の名前が出てこなかったり、今朝はご飯が炊けてなくて、それは前もあったんだけど、何か様子が変で、テレビとU-◯EXTとの画面の切り替えも、いつもやってる事なのに、分からんって言って全然出来なかったりしてたから、心配になって、でも、姉ちゃんは今すごく忙しくて仕事休んだりできないから、◯ちゃんに電話かけちゃったの。ごめんね。
今帰って来たら、やっぱり夕方ごろしんどかったらしいけど、今は大分良くなったみたい。
母は、水分不足だったかもって言ってる。
明日、病院に行くように頼んだからね。
何事も無ければ良いんだけど。
---
そうか…。と思った。
姉ちゃんも本当に忙しそうな中、
母さんがそんな状態で、2人とも心配だった。
今朝旦那さんにも話をして、返信をした。
---
母さん1人で行くんよね?大丈夫かな、
私と通話しながら行くとかした方がいいんかな?
やばそうやったら私が1週間や2週間や、帰るでな
今すぐそんなやばいって感じではなさそうに、
私の前やから気を張っとったんかはわからんけど、
心配したよりは元気そうに感じたけど…
---
まだ大丈夫そう
姉仕事ごめん
---
7:52ごろに返信が来ていたが、
こんな朝早くからあんな夜遅くまで仕事をしているという事だろうか、早く落ち着くといいが…。
今日病院に行くとのことで、原因が判明して、
無事に平穏な生活が送れるようにと、祈っている。
次の韓国語の勉強は明日だ。
以前の脳卒中になりかけた時のことを思えば、
入院することになる場合もあるかもしれないが、
あの時も早めの判断で病院に行き、
生き永らえたのだから。
あの時の症状も、治ったのだから。
もし明日一緒に話せなかったとしても、
命に別状は無く、しっかりと休んで回復をすれば、
平穏無事に生きられるはずだと信じている。
…ああ、厄年について思い出した。
今日は念のため厄除けに行ってこようと思う。
やれるだけのことをやろう。大丈夫だ。
現実逃避
「逃避」が後に来てるので
「現実」の方が強い
必死に逃げても、立ち向かっても結果は同じ。
ヤツは当たり前のような顔をして、僕たちの首を刈る。
こうして僕が目の前の現実から逃げて、ロクに集中もできないゲームを続けている間にも、ヤツは刻一刻とその距離を詰める。
「9/1」
それが、僕が恐れる死神の名前だ。
部屋にかけたサッカー選手のカレンダーに視線を遣る。
メッシの左足がサッカーボールに光速を与える瞬間のアップ。
その下には、8月の美しい日付たちが並んでいた。
アレが一枚捲れただけで、おぞましい死神が姿を現すなんて、想像もできないほど、この光景は麗しい。
おそらく次の写真はドーハの悲劇の瞬間とかだろうな。
「セプテンバー……ね」
洒落臭い響きだ。
一見スマートでいて、実際、関わってみると薄っぺらさがすぐに露呈してしまうような、そんな印象だ。
女のことばかり考えて、友情を蔑ろにしても、堂々アホ面晒していそうだ。
実際、こいつと過ごした時間のほとんどは印象にない。
暑くもなく、寒くもなく、大きなイベントがあるわけでもなく、実に中途半端だ。
「絶対友達にはなりたくないタイプだよな」
それに比べて8月はどうだろう。
丸みを帯びた親しみやすいボディに、豊かなイベント。
動物も植物も、あいつといる時はみなエネルギーに溢れている。
「オーガスト」
無骨で飾り気のない感じが、好感が持てる。
少しアツすぎるところもあるが、それでも楽しさが勝るのが、オガちゃんのいいところだ。
思わずアダ名で呼んでしまっても、ニカッと笑ってくれそうな、そんな安心感がアイツにはある。
そんなことを考えている間に、3機失っていた。
やめやめ、とコントローラーを置いて、スマホを見る。
刹那、透華からのLINEの通知が視界に飛び込んだ。
マズい!
的確かつ迅速な判断により、僕はスマホを投げ飛ばした。
すぐに床に伏せて、被害を回避しようとするが、もう遅い。
目の玉に彫られたのかと錯覚するくらい、その文章は鮮明に僕の意識に残っていた。
「課題終わった?」
ぐっ。
突如、胸に痛みを覚えて、蹲る。
心臓発作か?
いや、それにしては痛みのインパクトが薄い。
これは突発的なダメージでなく、持続ダメージ。
水に落としたインクがじわりと滲むように。
体内に痛みが浸透していく。
「何やってんの、慎ちゃん」
ドアノブがぐるりと回って、見知った姿が現れる。
透華は、のたうつ僕を見下ろしていた。
「透華、何しに」
限界を大幅に超越して、ようやく言葉を紡ぐ。
「いやLINE、返信なかったからどーせゲームでもしてんだろうなと思って」
「鍵、かかってたはずだろ」
「私、おばさんから合鍵もらってるから」
人の親から勝ち取りすぎだろ、信頼。
透華は床にへばりつく僕の横でテーブルを出して、座った。
「じゃ、やるよ。課題。一日頑張ればどうにかなるよ。言ってもちょっとは進んでるんでしょ?」
微笑む表情に微かな悪意も含まれていないことは分かっている。
だけど、だけど。
僕は。
「ごめんな、透華。成績も良くて、教師からの信頼もあるお前には分からないだろうけど。僕は」
声は震えていた。
透華は真剣に聞いてくれている。
それなら僕も、真剣に。
「1ページたりとも、課題をやってはいないんだ」
自分を仲間はずれにして、世界中の時が止まったような静寂が部屋を訪れた。
「あ?」
聞いたこともないようなドスの利いた声。
それが透華の声だと気づくのには、時間がかかった。
僕は自然と土下座の体勢をとっていた。
もはや、方法は一つしか思いつかなかった。
真面目な透華が許すとは思えなかったが、一つだけ。
息を、吸い込んだ。
「写させてください!」
虚空に響いた声の姿を捉えようとしているかのように、透華は視線をさまよわせる。
「そんなことしたらすぐバレる。いくら上手にやっても来週のテストがあるんだから。再来週のテストの範囲は課題から出る。成績悪ければ一目瞭然だよ」
この反論は予想していた。
後は返す刀で一発。
「バレない方法が一つだけある!」
申してみよ、と目が語っていた。
納得できなければ、その首(ガラクタ)撥ねるぞ、とも。
「次のテストで10番以内をとる!」
「ほう」
続けてみよ、と顎をしゃくる。
「答えを写した時点では僕はアホです!愚かで惨めな砂利カス野郎です!ただ、これから再来週のテストまで、僕は必死こいて勉強します!そうして、テストでいい点とれば、教師も納得してくれるハズです!どうでしょう!」
excellent、boy
タダのアホウかと思っていたが、なかなか見どころのあるやつじゃないか、と言っている気がした。
恐る恐る顔を上げると、透華は形容しがたい微妙な表情をしていた。
「うーん、まあ、筋は通ってなくもない……のかな?ここで無理に自力で解かせるよりは、その後一生懸命勉強した方が、効果もあるだろうし……オッケー!今回だけだよ!」
「よっしゃー!」
「ただ、私を不正に巻き込んだんだから、もし10番以内取れなかったら……分かってるね?」
「なんなりと」
「慎ちゃんのお父さんの前でギャン泣きします」
考えてもみなかったが、それが一番ダメージが大きいかもしれない。
ただ、頷くしかできなかった。
外はまだ明るい。
遅れた蝉が一匹だけ、鳴いていた。
8月が励ましてくれているような気がした。
現実逃避しにゲンジボタルを見にいって
あまくゆれる水面
たてよこななめと紫陽花の角度を真似て
弾け飛ぶ、
鳥かごに残された木の実