『狭い部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
狭い部屋
実家の階段の下にごく狭い部屋がある。収納場所といったほうがいいような空間だが、こどものころは懐中電灯を持って入り込んでお菓子を食べたり本を読んだりした。少しかび臭いそのごく狭い部屋は小学生が寝転がったり座ったりできる、誰も邪魔しにこない私だけの空間だった。この夏久しぶりに実家に帰ったのでその狭い部屋を覗いてみた。大人になった体には小さすぎる扉に半身押し込んで懐中電灯で照らすと、壁一面に大きく赤いラッションペンで書かれた「ズルイズルイ」と見覚えのない字。
この狭い部屋で。
色々なことを考えてる。
この広い世界のこととか遠い未来のこととか。
どんな場所でも無限大の思考は奪えやしない。
広い部屋に
自分だけのベット
快適だけど少し寂しい
昔は一緒のお布団で
くっついて寝たね
窮屈だったけど暖かかったな
狭い部屋
柚葉は夫の転勤によりそれまで勤めていた仕事を辞め昨年の秋からヘルパーのパートを始めた。
いつか役に立つかと初任者研修を取得していたしヘルパーは時間の融通が効くためだ。
「独居で困っている身寄りのない、か弱い高齢者の役に立ちたい」
という、どこかボランティア的な陶酔した気持ちもあった。
だが実際には家族の手を借りられない、全く身寄りのない独居老人は殆どいなかった。
家族が近くに住んでいるが介護まで手が回らない、県外に遠く離れているので介護できない、一緒に住んでいるがヘルパーの助けが必要だ、の順に利用者は多かった。
そういえば柚葉自身も核家族だな、と思った。
市内に暮らしている義両親と仲が悪いわけではないが同居なんて考えられない。
弱くて助けるべき立場であるはずの高齢者は柚葉を
「おい!!お前!!」
または
「あんた」
と呼びつけ横暴な態度で接した。
近くにいる家族はたまに様子を見に来て
「狭い部屋で掃除が大変なわけでもないのに、全然綺麗になってない!」
「痩せているがちゃんと食事はとらせているのか?」
とクレームをつける家族もいた。
「それなら自分で面倒見ろ」
と内心毒づいたりもした。
中には
「なんで若いのにこの仕事してるの?人の下の世話なんてよくやれるね?」
と嫌味なことを言う者までいる。
これも利用者とその家族のストレス発散という形で役に立ってるんだろうか…
けれど対象的に優しい利用者と家族もいた。
「あなたが来てくれて本当に良かった!」
「助かったよ!ありがとう」
といつも感謝の言葉をくれた。
そんな言葉には柚葉も嬉しくヘルパーの仕事にやりがいさえも感じた。
これを労働力に見合わない低賃金への嫌味も含めて
「やりがい搾取」
と呼び蔑む人もいるらしい。
けれど、やりがいのない仕事なんて続けられるだろうか?
接客業におけるカスハラが社会問題になっているように、どんな仕事だってきっと大変なんだ─
と考えていた柚葉の手がピタッと止まった。
だから仕方ないんだ、とこんなに毎日自分に言い聞かせながら無理して続けるような仕事だろうか?
24歳、まだまだ仕事は沢山あるのに?
「おいっ!お前なにしてる?!テレビのリモコン持ってこいって言ってるだろ!!」
「はい、今行きます」
寝室のベッドに転がっている利用者にリモコンを手渡す。
「台所のお掃除も終わりました、そろそろ退室しますね」
エプロンを外し記録を書き利用者からサインをもらい
「ありがとうございました、またよろしくお願いします」
と笑顔で一礼し退室する。
そして
─永遠に─
「失礼いたします」
と玄関のドアを静かに閉じた。
お題 「狭い部屋」
狭い部屋というか押し入れに入ると俺はワクワクしてくる。確かにそこは狭いのだが、入る時ときに探検をしている気持ちになるのだ。中なんてたかが知れてるというのに見ない訳にはいかないのだ。バッて開けて、すぐ目の前に壁があってもそれを触って叩いてその奥に隠し部屋が無いかを確認するのは絶対だ。押したり、天井も床もしっかり確認する。そして隠し部屋があるという手掛かりを掴めなかったとしても、きっとそこにはあるのだろうと思い、開いた先の部屋の大きさや、間取りとかを寝転んで考えるのだ。その時に匂う香りはその考えた記憶と共に残り、またそこを開けた時に思い出し、壁や天井、床を俺は触るのだ。昔は気付かなかった何かがあるかもしれないと幾つになってもやるのだ。だから狭い押し入れだとかが大好きだ。見えない何かを想像し、それに思いを馳せるのがとてもワクワクするのだ。それはどんなに歳をとっても変わらないだろう。おじいちゃんになってもやるかもしれない。それが俺のワクワクなのだから。
息子が修学旅行。
ママ今日はひとりぼっち。
狭い家なのに。
1人ご飯。
静かすぎる。
無理、寂しすぎる。
帰ってくる明日が待ち遠しい。
【狭い部屋】
私は閉所恐怖症だ。このことを知っているのは家族と親友だけだ。幼い頃に母が亡くなって義理の母ができた。最初はとても優しくて大好きだったけど1ヶ月する頃には本性をあらわにした。私がなにか粗相をすると"狭い部屋"に閉じこめる。意識が朦朧として気づけば布団に寝かされてる。そんな毎日が続いた。義理の母は私が閉所恐怖症だって知らないのかな…。今日も"狭い部屋"に閉じ込められる。光が見えた時、私の意識は途切れた。
寝るだけの部屋
北側の部屋で、昼間は薄暗い。
ただ夕方になると光が差し込み
暑い部屋となる。
でも、エアコンはよく効く
あっという間に
涼しくなる。
寝ていると寒さで目覚める。
いつも、部屋を片付けて
少しでも広げたいと思うが
もう、捨てるものがあまり
ない。
なんとなく散らかって
いるが、落ち着く。
今日も、夕食と晩酌の後、
この部屋で寝る。
四畳半 部屋 どのくらい?
狭いからこそ!秘密基地みたいで楽しいかも!
すみっこ暮らし!!!!
あなたのことを思えば想うほど
檻の中に自分を閉じ込めるように
自縄自縛の世界
狭い部屋は泊まってないです
エアコンもかえてもらったし
インターフォンもかえてもらった
ミントも水栽培で元気だし
ラジオもある
花籠にひまわりも増えた
クッションで座ってうたた寝をする
悲しまないで
また出てくるから
信じてくれてありがとう
またお話ししましょう
読んでるから
返事するから
自信を持って書いて
日日はかかりそうだけど
そんな簡単に諦めたりしないから
ここでも動きにくくなってるから
送らないと決めた
そこは妥協したくなくて
かわいいからかわいいままでいてね
狭い部屋35
狭い部屋には
今まで興味を持った趣味の数々
諦めた物や続けている物、始めたばかりのもの
片付けようとすると
あの頃の自分が「捨てないで」と
懇願してくる
そして、「再チャレンジしてみて」と
諦めた物を指差す
仕方ない
もう少しだけ付き合ってやるか
ため息混じりに返事をする
ねこと暮らすこの狭い部屋。
仕事から帰ってきて思うのは、
私たちは救われたんだ、という事。
色々な運命のいたずらでこの部屋に住んでいる。
漂流する離れ小島の様な、この狭い部屋。
4月
部活の衣替えの時期
部長が変わって、新入生も入ってくる
私の部活はそんなに規模が大きくない
40人は余裕で入る音楽室に、
15人だけ…
でも、今年はたくさん入部してくれた
今までに比べてだけど…
先輩が引退して、また広くなった音楽室を
新しい人が埋めてくれる
あんなに広いと感じた音楽室が
今は狭く感じるほどだ
私ももう4年目
今年もこの狭い音楽室で
目まぐるしい一年が始まる
お金がなくて出かけられない
それでも暖かい部屋で
2人で鍋を食べて
音楽を聴きながら
笑い合えたら幸せだよね
そんな『普通』が嬉しい
1つの布団でくっついて寝られる
狭い部屋がぼくは好き
狭い部屋
私は広い部屋と狭い部屋だったら、狭い部屋が好きだ。狭い空間で本とか映画に浸かりたい。
一人の空間を大事にしたい。
でも、視野は広く、心は広い方がいいな。
『狭い部屋』
狭い書斎が欲しいです。
狭い部屋だからこその居心地の良さがありそうですし、狭さ故の「自分だけの特別なスペース」って感じがしませんか?
秘密基地みたいな。
狭い狭いこの部屋。
私は、そこに閉じこもっている。外に出るのが怖い。
でも勇気振り絞って外に出てみると、世界はこんなに優しいんだと気づくだろう。だって
世界は広いんだから。
【狭い部屋】
狭い部屋にぽつんと一人
「寂しいな」とは思うけれど、なんだかんだで落ち着くから此処にとどまっている。私は外に出ない。外に出ても不甲斐ない私はすぐ帰ってきてしまうだろう。まともな職にもつけない私は、本当に、不甲斐ない。今日もまた此処で一人過ごす。
狭い部屋
大掃除をした。
自分の持ち物を把握するためにも
しまってあるものを一度全部出してきて並べた。
まず、毎度のことながら
あちこちからお札や小銭が出てきた。
ずぼらな私が大掃除をすることができるのは
これがあるからだ。
普段あちこちにしまってしまうのもやめられない。
もう捨てたと思っていた半袖も出てきた。
首元が少しへたれてきているが
気に入っていたものなので何度か着ようと思う。
狭い部屋なのに
何があるのか把握できてないことに
我ながら呆れた。