『澄んだ瞳』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
澄んだ瞳
君はいつだって、僕のことをまっすぐに見る
僕のことを信用しているのか
それとも
何もかも見透かされているのか
君の思っていることは、僕にはわからない
ただ
君の澄んだ瞳に
いつだって引き込まれているんだ
僕のこんな気持ち
君は気付いているだろうか
君のことを、どうにかしてしまいたい
こんな黒い想いを知っているだろうか
ただただ
君は今日も僕のことをまっすぐに見てくれている
ある古い書物の民族・種族欄1ページ目の一節にて。
その昔、ある種族が存在している。
種族は「アイ・アイ族」と呼ばれた民族だ。
「アイ・アイ族」の特徴として、瞳が宝石で出来ていること。綺麗で澄んだ瞳、「アイ・アイ族」にはまだ知らざる驚きを隠せない秘密の行動をする民族。
ハンターたちはその「アイ・アイ族」の瞳を求め、瞳を盗るハンターがいた。
あまりにも非情で、残酷だ。
民族は減って、いまでは「幻の宝石民」と語り継がれるようになった。
この世界には色々な種族が存在する。
ー オリジナル小説・ドゥコ作中の書物ノン・ドゥカ・ドゥコから ー
そんなに澄んだ瞳で私のことを見ないで。
貴女が思うほど、私は賢くも、優しくもないんだから。
そんなに澄んだ瞳で私のことを見ないで。
貴女が考えているよりも、性格良くないんだから。
純粋で、綺麗で、素直な貴女みたいになりたい私は、精一杯取り繕ってるの。周りに好かれようとして、好きな人に好かれようとして、自分の居場所がなくならないように、ちょっとだけ人よりも外れたところに居ようとして。
本当は貴女みたいに澄んだ瞳で、
本当は貴女みたいに澄んだ心で、
晴れやかな空の下過ごしたいだけなの。
そこに行くには何もかも足りなくて、取り繕っていないと、
自分の足元が崩れていきそうで、周りが壊れそうで、
ずっとずっと怖いの。
汗に塗れて油に汚れて、髪の毛だって見てられないのに、汚れない瞳。
あの人の瞳が闘志を燃やし、焦りを滲ませ、生気を漲らせること。それから、わたしに向かって穏やかにたわんで、澄みきること。それだけが、たからもの。
あなたのその澄んだ瞳で見つめられると、
何もかも見透かされてる気持ちになる。
そして、私はあなたに嘘をつけなくなる。
だから嘘をつくとき、あなたの目を見れなくなる。
そう、今も。
「好きな人はいるの?相手はだれ?」
あなたにそう問われて少し戸惑った。
…あなたに決まってるじゃん。
でも、正直に答えても叶わないのは分かってる。
それなら正直に言わない方が傷つかないだろう。
私はそう思った。
あなたの顔から少し目線を外して答える。
「好きな人?さあ、どっちでしょう?」
「絶対その反応はいるじゃん!ねえ、教えてよ」
心の中で謝りながらも再び誤魔化す。
「いるって言ってないよ?
とにかく、ご想像にお任せします」
ほんとは嘘つきたくないんだよ?気づいて欲しい。
でも、あなたは私より10歳年上で、しかも同性。
叶わないじゃん。
だから、今日も私はあなたに嘘をつく。
あなたのことが好き。
それは変わらない。
いつか伝えるから、それまで待ってて欲しいな。
#澄んだ瞳
ずっと
じーっと
わたしの顔を
見つめてる。
見られてるこっちが
ちょっと
恥ずかしくなっちゃうくらい。
ミルクは
美味しいですか?
たくさん
飲んで
大きくなぁれ。
#澄んだ瞳
#澄んだ瞳
無駄なものを削ぎ落とした美しい体。
今日も無心で走る君。
大勢の人達の期待に応えた君をカメラが捉える。
澄んだ瞳に釘付けになる。
所詮ギャンブルだろと言われようが
この気持ちは純粋である。
君を見る為
今日もせっせと馬券を買うよ。
私は彼の瞳をみた
彼の瞳は澄んでいた
人には悪や闇が奥にある
そんなことを忘れるほど綺麗な瞳だった
「あぁなんて綺麗で心が澄んでいるんだろう」と想う
そして私の目には涙が流れた
cat
あなたの澄んだ瞳に映る「好きな人」。
私のこの淀んだ気持ちが足枷にならないように、
私はあなたの恋愛相談にのる。
あの子の目は左右色が違うからってみんな仲間はずれにする。
大人も気味が悪いと言って近寄らない。
でもぼくはあの子の目がすごく好きだ。
左目はぼくたちと同じ色で
右目は真っ白で何ものにも染まらない孤高で澄んだ瞳をしている。
すごく、綺麗だなあ。
#澄んだ瞳
『澄んだ瞳』
君の、その澄んだ瞳には何が見える?
絵に書いたような世界か、あるいは、正義を謳う英雄が
世間という名の偽善者に潰される世界か。
嵐が来ようとも
「嵐が来ようとも絶対俺はずっと、りいの隣にいるから。
世界中のみんながりいの敵だとしても俺はずっとお前の味方だ。愛してる。だから俺を信じて付き合わないか?」
高校2年の夏、彼氏に振られて1人で泣いていた私に彼は真剣な顔をしてそう言った。
そんな告白が今の弱ってる心には痛いほどに響いた。
私は必死に涙をぬぐいながら笑顔を作って
「ありがとう。」
そういって、彼の言葉に頷き彼の手をとった。
ーそれから3年後ー
「あゆくん!大丈夫!?
怪我して救急車で運ばれてびっくりしたよ。
痛いところない?多分入院だよね!
なんでも言ってね。なんでも持ってくるし今度は私があゆくんを支えるからね?ていうか、ほんと無事で良かったよ〜」
3年前あゆくんは傷ついた私に『ずっとお前の味方だ。愛してる。』と言ってくれた。今までずっと一緒にいてくれたあゆくんには感謝の気持ちでいっぱいだ。
今はお互い大学生で、大学を卒業したらしたら結婚してくれとも言われていた。
だから今度は私だ。あゆくんが怪我で辛くてもわたしが支えるんだ。
そう言う気持ちであゆくんに笑いかけた。
するとあゆくんは
「はっ?誰あんた?」
っ!?
あ、ゆくん?
あゆくんどうしたの?
あゆくんは学生の時私に告白してくれる前のような冷たい他人を見るような目つきをしていた。
「あ、ゆくん?誰あんたってりいだよ?
今までずっと一緒だったりいだよ?どうしたの?」
あゆくんの変わりように恐怖を抑えながら聞くと、
「あぁ、小川さん来てらっしゃったんですか。
今から大事な話をします。
ひとまずこちらへ。」
あゆくんから返事が来る前にお医者さんが来た。
「はい・・・・・・・・・・」
どういうこと?
あゆくんのあの目、私に学生の時告白してくれた前のようだった。あゆくんは私に告白してくれる前、中学生の時に女関係で酷い目にあったらしくて女嫌いだった。
ただただ混乱しているとお医者さん言いにくそうに話し出す。
「小川さん。
落ち着いて聞いてください。
松原あゆとさんは事故の際、頭を強く強打し、人間関係の家族以外のことの記憶を失くしてしまいました。日常生活には支障はありませんが、高校生になってからの交友関係などの記憶をなくしています。
しかし、中学生になるまでのことは覚えているようです。松原さんの頭の中ではおそらく自分が忘れてしまった人物は消え、自分の中で成り立つようになっていると思います。
脳に良くないため、無理に思いただせることは絶対に避けてください。」
う、そでしょ?
信じられない。あゆくんが私のことを忘れているなんて・・・・・・・・・・
そこからの先生の話は上手く頭に入ってこなかった。
話が終わりあゆくんのいる病室に向かう。
どんな顔してあゆくんと会えばいい?
あゆくんは私の出会ったことも高校生の時告白してくれたことも全部忘れてしまっているんだ。
あゆくんにもう一度あの敵意を込められた目で見られるなんて想像するだけでも辛かった。
行きたくない。
でも行かないと。
どんなに酷く接されたって私はあゆくんが好き。大好き。その思いはずっとこれからも変わらないんだ。
よし。行こう。どんなこと言われてもあゆくんと一緒にいるんだ。支えるんだ。
覚悟を決めて笑顔でノックをして中に入る。
「ちっ、女かよ。
入ってくんな。俺は女が大っ嫌いなんだ。
りいだかなんだか知らないけど出ていってくれ。
空間に女がいるだけでも迷惑なんだよ。」
っ!
入ってすぐ鋭く強い言葉の刃が飛んできた。
でも、ここであゆくんのいうことに従う訳には行かないんだ。
負けない。どんなことを言われても。
「ごめんね。私、小川りいっていうんだ。よろしくね。」
笑顔で言う。
「よろしくなんてしねえし。出てけよ」
睨みながらあゆくんは言ってきた。
やっぱり辛い。
「ごめんね。それはできない。私はあゆくんの側にいるからずっと。
見て!今日は天気だね!あゆくん退院したらまた走りに行けるね!」
あゆくんはすごく走るのが速くて走るのが好きなんだ。
だからいつも夕方は走るのが日課なの。
「っ!なんてお前がそれを知ってるんだよ。
てか、はやくか」
「好き、大好き」
あゆくんがおそらく「はやく帰れよ」と言おうとしたのを遮って言う。
あゆくんが私と少し打ち解けてきたらもう一度今のあゆくんに気持ちを伝えようと思ってたけど、どうしても気持ちが抑えきれなかった。
私に冷たいあゆくんを見てもその姿を見るだけで愛しいと言う気持ちが溢れるんだ。
「はっ?俺のことよく知らないくせに告白とかなんだよ。どうせお前も俺のこと外見だけ見て告ってんだろ?
女ってみんなそんなもんだもんな。
って、何泣いてんだよ。きもっ」
泣いて、る?
慌てて目元に手をやると涙で濡れていた。
あれっ?泣くつもりなかったんだけどな〜。
涙を頑張ってぬぐいながら必死に笑顔を作ってもう一度言う。
「ご、ごめん!
でもね。本当に好きなんだあゆくんのこと」
どんなに嫌いでも好きになってもらう。
それが私にできることなんだ。
あゆくんは私の顔を見て何を考えるような仕草をして荒い息を吐きながら頭を抑えた。
「はぁ、はぁ、痛い。」
「大丈夫!?」
そう言って背中をさすろうとした。
「触んなっ!」
あゆくんは顔をしかめながらもそう叫んだ。
「ほんとに1人にしてくれ!」
そう、だよね。
ごめんね。
「分かった。」
そう返事して病室を出た。
sideあゆと
「はぁー。
なんかドット疲れたな。何だよあの女」
まだ直らない頭の痛みを感じながら俺はため息をついた。
買い物行ってたらバイクにひかれて、病院送りきなるし、起きたら知らない女がいるし、その女は急に現れて告ってきて、しまいには泣いて帰って行った。
まだ出会って一日も経ってないのに告白なんて。どうせ、外見だけを見ての告白だろう。
うんざりだ。
俺は中学の時、女から裏切られて散々な目にあった。だから女なんて大っ嫌いだ。
しかも、女なんてやっぱりすぐ泣くしうざい。
なのに、りいって子のあの泣きながら無理して笑ってるような笑顔を見たら心が痛むのと同時に、頭が痛くなる。
なんかすごく悪いことをしたような。
あの子を傷つけてはいけないような。
そんな気がする。
今まで女に対して傷つけないようにとか考えたことなかったのに。
何でだよ。
ていうか、俺何を買いに買い物に行ったんだっけ?誰かに頼まれたような気がする。誰だ?
まぁ、いっか。
あの女のことなんて忘れよ。
sideりい
あんなに面と向かって拒否されたら流石にしんどい。
でも、仕方ないよね。あゆくんは私と過ごしたことすべて忘れてるんだもん。
こんぐらいで落ち込んでちゃダメだよね!
自分に気合いを入れて家への道のりを急いだ。
次の日
私はあゆくんの入院するための着替えなどを持って行きに病室に持って行こうとあゆくんの元へ向かっていた。
1ヶ月前にあゆくんとは同居し始めたんだ。
だからあゆくんの荷物は全部うちにある。
あゆくんは私と暮らしていたことも忘れているからびっくりして嫌がられなければいいな。
そう考えているとあゆくんの病室の前まで来ていた。
よしっ!今日も頑張るぞ!
コンコン
ノックするけど返事がない。
寝てるのかな?
でも荷物置かないといけないし。
どうしよ。まあ、さっと置くだけならいいか。
「失礼しまぁーす。」
恐る恐る中に入るとやっぱりあゆくんはねていた。
ふふ。
やっぱり可愛い寝顔。
あゆくんが記憶をなくす前は朝早く起きてこっそり寝顔を見てたな。
少しだけ寝顔に見惚れてしまう。
でも、すぐ我に返った。
いけない!早く荷物を整理しないと。
棚に荷物を整理していると
「りい。愛してる。」
えっ?
あゆくん思い出した?
慌ててあゆくんを見るけどあゆくんは目をつぶったままだった。
寝言か。
でも、やっぱり寝言でもあゆくんに名前を呼んでくれるなんて嬉しいな。
るんるん気分で整理を続けて5分が経った時
「ううーん。」
そんな声が聞こえてあゆくんの方を向くと
あゆくんは目を開けていた。
「わっ!?」
突然のことにびっくりして思わず小さく声が出てしまった。
「またお前かよ。人が寝てる間に。
次は何だよ!てか、俺の荷物勝手に触んな。」
昨日の冷たい目で見られて怖気づく。
「あぁ、ごめんなさい。体調大丈夫?」
昨日事故に遭ったばかりだからどっか痛いところないかな?
「別に。なぁ、お前は何で昨日も今日もここに来る?何で俺のことを知っている?」
それは・・・・・・・・・・・
言えない。言えないよ。
今のあゆくんには。
女嫌いなあなたに、私とあなたは付き合ってたんだよ。高校の時告白してくれて救われたんだよ。
なんて。
言えない。
だからただ私は愛を伝える事しかできないの。
「好き・・・だからだよ。愛してるから。」
目を真っ直ぐに見て言うと
「っ!何なんだよ!好き、愛してるって。
お前と会ったことも話した事もねーだろ!
俺の、俺の何を知ってんだよ!
どうせ、外見しか見てないんだろ?
お前も他のみんなと同じで!
俺は嫌いだ。あんたなんか知らねー」
あゆくんはそう吐き捨てて外を見る。
「だよねっ。あゆくんは何で急にって感じだよね。でもね、でも、外見なんかじゃないの!
本当に心の底から愛してるの。
あゆくんの中身が好きっ!
女嫌いで女の子には冷たいけど、優しさだってあることを知ってる。
友達思いのことも家族思いなことも全部知ってるの!私はその優しさに救われたの。あなたに救われた!だから私を信じて、私を知ってそれで私のことをあゆくんが好きになれたら付き合ってほしい。私はいつでも何日でもあゆくんの側にいる!だから、信じてっ!?」
堪えきれず涙が溢れた。
それを見てあゆくんはびっくりしたようにそれでいて泣きそうなりながらこっちを見て言った。
「分か、った。まだ何も知らないくせに嫌いなんて言って悪かった。
俺がお前に何をしてやって、こんなに思ってくれているのかはわからないけど、信じる。お前の名前を教えてくれ。」
っ!あゆくん・・・・・・・・・
嬉しい。やっぱりあゆくんはあゆくんだ。
記憶を失っても優しいあゆくんだ。
「私の名前は小川りい。
あゆくんと同じ大学生だよ?よろしくね!」
これからがスタートだ。
もう一度あゆくんと・・・・・・・・
sideあゆと
俺はりいがいなくなった病室で1人さっきのことを考えていた。
気持ちよく寝ていた時になんか音がして誰かいるのかと目を開けたらそこには昨日の女がいた。
またこいつかよ。今度は何をしにきたんだよ。
人の荷物触って。
そんなふうに思い睨むと女は慌てたように言った。
「あぁ、ごめんなさい。体調大丈夫?」
俺の体調を気遣うように聞いてきた。
別にお前から心配されたくねぇし。
勝手に人の部屋入って、来んなって言ったのに今日もまたきている俺の嫌がることをする女する女にはな。
昨日からこいつはなんで俺に構うんだ?
ガキの頃会ったりしたのか?
でも、だったら覚えているはずだし。
何でだよ。
「別に。なぁ、お前は何で昨日も今日もここに来る?何で俺のことを知っている?」
そう聞くと女は躊躇したように間を開けて答えた。
「好き・・・だからだよ。愛してるから。」
はぁ?またそれかよ。好きって、愛してるって俺達会った事ねえのになんてそんな薄っぺらい告白してくんだよ。
怒りがピークに達して怒りに身を任せて言葉を投げつける。
「っ!何なんだよ!好き、愛してるって。
お前と会ったことも話した事もねーだろ!
俺の、俺の何を知ってんだよ!
どうせ、外見しか見てないんだろ?
お前も他のみんなと同じで!
俺は嫌いだ。あんたなんか知らねー」
もう、ほんとにお前なんか大っ嫌いだ。
てかこんなに言ったらどうせ女は泣くんだろ?
酷いとか勝手に言って泣くんだろ?
でもそんなこと知ったこっちゃねー
最悪、女が泣き叫ぶのを覚悟しながら外を見ていると
「だよねっ。あゆくんは何で急にって感じだよね。でもね、でも、外見なんかじゃないの!
本当に心をあゆくんの心の中から愛してるの。
女嫌いで女の子には冷たいけど、優しさだってあることを知ってる。
友達思いのことも家族思いなことも全部知ってるの!私は優しさに救われたの。あなたに救われた!だから私を信じて、私を知ってそれで私のことをあゆくんが好きになれたら付き合ってほしい。私はいつでも何日でもあゆくんの側にいる!だから、信じてっ!?」
その女は泣かなかった。
今にも泣きそうになりながらも強く訴えてきた。それで俺は悟った。
こいつは別に外見で好きになってきた訳じゃないんだ。ただ、何で俺を好きなのかはわからないけど、ちゃんと俺の心を見てくれる。
じゃあ、俺は昨日と今日彼女を平然と傷つけていた。ただ純粋に俺を好きだと言う女の子に。
俺は最悪だった。
「分か、った。まだ何も知らないくせに嫌いなんて言って悪かった。
俺がお前に何をしてやって、こんなに思ってくれているのかはわからないけど、信じる。お前の名前を教えてくれ。」
この子を信じたいと思った。
俺に酷いことを言われてもただ本気で気持ちを伝えてくれる強くて真っ直ぐな子を。
「私の名前は小川りい。
あゆくんと同じ大学生だよ?よろしくね!」
りい・・・か。
なんか知ってる。
なんだ?この違和感。
初めてじゃない。この子の名前は。
知ってる。ずっと前から知ってる。
何だ?思い出せない。
りい?
君は俺と会ったことがあるのか?
その謎に包まれる答えは、りいがいなくなってしまったこの部屋ではどうしようもなかった。
sideりい
そしてあゆくんは無事退院し、それからはあゆくんと一緒に住んでいた家には一旦住むのをやめてお互い実家に戻った。
お母さんに今のあゆくんの現状を話したら心配されたけど、笑顔で受け入れてくれて実家に。そして、今は毎日あゆくんと会っている。
「あゆくん!お待たせ!」
今日もカフェで会う約束をしていた。
あゆくんは最初はぎこちなかったけどだんだん会っていると前のあゆくんに戻ってきた。
でもまだ完全に記憶をなくす前のあゆくんでは当たり前にない。
私と今のあゆくんの関係はまだ友達だから。
でも、少しずつでいいんだ。
少しずつ好きになってもらえればそれで幸せ。
「りい!来たか!りいの好きなカフェラテ頼んで置いたぞ?」
「うん。ありがとう!」
私はどんなあゆくんでも好きなんだ。
2人で何気ない話をして盛り上がる。
大学の先輩の愚痴とか、その日嬉しかったこととか。
そんなことを話していると、急にあゆくんが真剣な顔をして言ってきた。
「りい。今日一日空いてるか?
空いてたらちょっと出かけないか?」
どうしたんだろう?
「うん。空いてるよ?どこに行きたいの?」
「まぁ、ちょっとな。」
聞いてもあゆくんは答えを教えてくれなかった。
それからカフェをでて、あゆくんに連れられるままに足を運んだ。
連れてきてもらった先は海だった。
青い空に綺麗に澄んだ海。
綺麗・・・・・・・・・
海に見惚れていると
「りい。」
あゆくんが呼んだ。
ん?
「どうしたのあゆくん?」
「りい。りいのことを好きになった。
今まで待たせて悪かった。俺と付き合って欲しい。」
うそっ!?ゆ・・・めっ?
「ほんとに?」
信じられないと思いながらあゆくんに聞く。
「ああ、ほんとだ。
りいが好きだ。」
嬉しいっ!
あゆくんの2度目でも両思いになれたんだ。
「はぃ!ぜひお願いします!」
そう返事して微笑んだ。
そして2人で海を満喫してから帰り道を手を繋いで歩いた。
そして、あゆくんが信号を渡ろうとするところで突然止まった。
「った!痛い!はぁ、はぁ、はぁ、りいっ!」
えっ?あゆくん?
突然あゆくんが倒れた。
何で突然?
あ!ここ、あゆくんが事故に遭ったところだ!
だからこの場所を見て混乱したのかもしれない。
とにかくあゆくんを病院に連れて行かないと。
私は急いでタクシーを拾い病院に向かった。
緊急であゆくんことを事故の時見てくれた先生にしてもらえた。
「あの!あゆくんは大丈夫でしょうか。」
また、あゆくんに何かあったらどうしよう。
「大丈夫ですよ。体に異常はありません。
ただ、倒れた場所が事故の場所だったので何か記憶が重なり合って混乱してしまったのかもしれません。今日は泊まっていってください。
明日もう一度確認して、何も異常がなかったら
明日には帰れるでしょう。」
良かった〜。
その日私は安心してあゆくんの手を握りしめて眠りに堕ちた。
「ん。」
私は朝の5時頃に目が覚めてしまった。
あゆくんはまだ起きていなかった。
あゆくんが起きた時誰もいなかったら寂しいよね。
手を握ってあゆくんが起きるのを待っていると
「りい。」
あゆくんが目を覚ました。
「あゆくん。どう?体痛いとこない?」
水を渡しながらそう聞くと
「りい。俺、全部思い出した。」
えっ!思い出した?
全部?うそっ!
「ほんと?私と一緒に住んでたことも?
高校の時告白してくれたことも?全部?」
あゆくんは頷いた。
「うん、思い出した。
あの、あの、ごめん!りい!
俺、記憶をなくしてりいに会った時、酷いこと言ったよな。ほんとごめん。きもいとか帰れとか迷惑だとか。すごい最悪なこと言った!
ほんとごめん!
りいを守るって言ったのにりいの側にいるって言ったのに・・・・・・・・最低だ。」
あゆくんは泣きながら謝った。
違う、違うよ。あゆくん。
「違うよ。あれはあゆくんのせいじゃないもん!あゆくんは記憶をなくしても、私を好きになってくれたんだよ?私が信じて?って言ったら、信じるって言ってくれた。
だからあゆくんは記憶をなくしてもどんなあゆくんでも私の味方をしてくれるし、私が愛してる、大好きなあゆくんだったんだよ!」
だから自分を責めないで?
そんな気持ちであゆくんを見ると涙で澄んだ瞳をして笑ってくれた。
「ありがとう。
りいが諦めないでくれたおかげで、りいが信じてって言ってくれておかげで今がある。
これからもよろしくな。
今度こそどんなことがあっても離さないし、味方だから。りい。愛してる。もう1度言う。
大学卒業したら結婚してくれ。」
嬉しいっ!
やっぱり諦めずにあの時あゆくんへの気持ちを忘れないで真っ直ぐ伝えて良かった。
「はいっ!喜んで!これからもよろしくね!」
愛しい人に向かって微笑んだ。
1度、記憶を失くしてしまったあゆくん。
でも、愛を伝えることで1番大切な人、
あゆくんは私のもとへ帰ってきた。
これから先、何があっても私達は永遠に一緒だ。どんな嵐が来ようとも2人で守り抜いていす。
最愛の人の隣で。
完
完結しました!
今まで読んでくれた方ありがとうございました。
#澄んだ瞳
彼は、いつも周りから”鉄仮面を付けているようだ"と言われることが多い。
まぁ確かに、皆の前では彼は基本的に無表情だし、感情をあまり表に出そうとしない。
だけど、僕は知っている。
「わぁ〜!!見てみろよ!!すっごい綺麗だぞ…!!」
彼が本当は、表情豊かなことを。
空を見上げる時も、地面に咲いているお花を見る時も、彼の瞳はキラキラと輝き、子供のような反応を見せるのだ。
いつもの大人のように冷製でしっかり者の彼も好きだけど、子供のようにはしゃいでる彼も、僕は大好きだ。
ねぇ。なんで私があんたたちの機嫌取りなんかしなきゃいけないの?
なんで私にだけ冷たいの?
あぁ、やっぱり私はまだ、勘違いしているんだ。
“もしかしたら。まだ愛してくれるかも”って。
無駄なのに。
なんで、親は普通に子どもとかに向かって思ってるのに子どもは少し怒ったりしただけで「喧嘩売ってんの?」って。
なんで私にだけ?兄貴も怒ってる時同じようにして?
…そういうこと。
私がやっぱり嫌いなんだね。
存在自体、要らないんだね。
そうなら言ってくれればいいのに。
自殺するから。
だってそうしたらマイナスなことなんてないでしょう?
誰も悲しむ人のいない。そして私が死んだらたぶんだけどお金入ってくるし給付金のお金私の残ってるって言ってたよね?
それで遊んで暮らせるじゃん。
家族みんなが大好きな兄貴の欲しいゲーム、本、なんでも買ってあげたら?
私にしてこなかった分だけ。
ふふっ
ほんとうにここの家族全員大嫌いで、とても腹が立つ
もし、私という主人公の物語があっても、なにも面白味もない、バッドエンドにしようかしら。
…こんな気持ち綴ってるだけのものなんて見てて面白くないかもしれない。でもね、私の存在を知って欲しいの。家ではろくに褒められない。ただ道具として見られてるだけだから。私はほんとうに本当に寂しいの。ずっと虚しいの。
こういうとこでしか存在できないの。
誰も見てくれないから。
だから許して。
澄んだ瞳
拡がる波紋
空が浮かび虹を宿す月明かり
揺れては虚空に沈む
その水面の先に
君は何を映すのだろう
夢の様な此処ではない何処かに
なにが浮かび、なにを語る
こんなのはただの独り言に過ぎない
問いかけとはつまるところ
そこにある答えを映す明かりなのかもね
『澄んだ瞳』
小さな子供の瞳が、とても澄んでいて綺麗な理由は、外的刺激がまだ少ないからなのだそうです。
大人になってしまうと、白目が大気や色素沈着などで汚れてしまうのだとか…。
美意識の高い方は、白目の美白も気にするようです。
確かに、年は素敵に取りたいですもんね。
他に何も浮かばないので、詩の創作します。
『澄んだ瞳』
目を閉じると 黒い世界
透けた瞼の 赤い世界
目を閉じても 見える世界
彼女の光なき澄んだ瞳は
どんな世界を見ているのか
目を閉じても 見えない世界
ときおり瞳の中に
悲しみをたくわえて
黒々とした湖を持つ人に会う
心ない人がいたずらに石をなげ入れ
水面が波立とうと
濁ることのない 深い湖
どうかそこにすまう
魚にはならないで
心のかよう生き物でいてほしい
けれど
砂漠に隠された井戸のような
それを美しいとも思った
無理に枯らさなくて
いいんじゃないかな
その水でしか
潤わない渇きがあるのなら
『澄んだ瞳』
「コクリコ坂から」という映画を観たことがあるかな。
僕はスタジオジブリの作品が好きでね、この映画はかなり上位に入る好きな作品だ。
とても古臭いが、懐かしい感じもする青春映画だ。
その中で出てくる詩がある、好きなので記しておく。
少女よ君は旗をあげる
なぜ
朝風に想いをたくして
よびかける彼方
気まぐれなカラスたちを相手に
少女よ今日も紅と白の
紺に囲まれた色の
旗は翻る
―風―
こんな風に愛を語りたい。
澄んだ瞳
それは、子猫や子犬の瞳かな。
疑うことのないその瞳。
子猫か子犬、飼えたら良いな。澄んだ瞳で見つめられたら、最高ね!
自分の歳考えて、最後まで面倒見れる自信ないから辞めときます。
逢いたくても
逢えない寂しさは
果てしなく広がり
熱い想いは
徐々に
諦めに苛まれて行く
恋しいと
呟いた言葉は
土砂降りの雨音に
かき消され
行き場を失くす
深い溜め息
孤独感
夜の闇の中で
息を潜めて
ただ一人
夜明けまでの
時を
虚しく数える
☆ 長い夜 (228)