『海の底』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
――誰かが、呼んでいる。
いや、『叫んでいる』の方が正しいのか。
えっ、どうして私を浮き上がらせるんだい?
海の魚さん。
私を餌にしてくれてもいいのに。
あっ、そうか。
私は汚くて醜いから、食べたくもないよね、そんな肉塊。
私は『必要とされていない人間』だから、海の底に身を隠そうとしたただけだよ。
なのにどうして。
私の体は、勝手に、上へ上へと浮かんでゆく。
嗚呼、何故……
私はあの太陽に手を伸ばしているのだろうか。
見たくないくらい輝いて、眩しくて、嫌なのに。
〜海の底〜
海の底に沈んでいた私
そんな私の手を取って
光を見せてくれた貴女
そんな貴女の優しさに
たくさん抵抗してしまった
勿論暗くて寂しいけれど、
静かに留まっているだけで良い、
そんな海底から出るのが怖かったから
光を求めてしまう、そんな自分に
素直になれなかったから
それでもかつて、海の底に沈んだ貴女は
明るい光の中で生きる強さを得る、
その前に深海を見た貴女の言葉は
私の冷えた心を暖めるのに十分だった
たくさん迷惑をかけてしまった
そしてきっとこれからもかけてしまう
ちょっと日差しが強くなると
微かに気温が変わると
少し雨が降ってくると
すぐ海に沈んでいって、
海の底に戻りそうになってしまう私
でもその度に、いつも貴女は
私を包み込んでくれる
日差しから、雨から、どんな物からも
守ろうとしてくれる
それは決して過保護じゃなくて
私が我慢出来る時は静かに寄り添って
私の成長を見守って、手を握っていてくれる
そして私の弱い心が耐えられなくなって
泣きながら沈んでいく前に
貴方はいつも、優しく抱き留めてくれるんだ
だから私も頑張ろう
成長して、もっと強くなろう
だって、私を救ってくれた、そんな優しい貴女に
寄りかかってばかりではいられないもの
決してただ強いだけでない貴女
私が唯一心から笑える、大好きな
貴女も繊細で、私を守って鋭く痛い日差しを
浴びていい人じゃない
私が憧れて、何処までも尊敬する
貴女も華奢な姿で、私を守って強く冷たい雨に
打たれていい人じゃない
でも、私が謝っても、黙って抱き締めてくれる、
そんな貴女だから
私は感謝を込めて、
成長した自分に向かって努力するんだ
それがきっと、貴女に私が出来る、唯一の恩返し
いつか、貴女の元から自立して、
そして、貴女と寄り添え合える、
そんな自分になれたらいいな
【海の底】
「どうしたの?ぼーっとして」
大きな青い瞳が私の顔を覗き込む。
隣国からやって来たこの美しい女性は、数ヶ月前、沢山の国民が見守る中、私の妻になり、そして我が国の王妃となった女性だ。
その日は、どこもかしこも夜通し宴が行われ、祝いの声が止むことがなかった。
今でも、彼女は時折話題にする。
あんなに祝福されたことは、人生で一度もなかったと。
「いや、何でもない。行こうか」
彼女の細くしなやかな手を取り、庭を散策する。
美しく咲き誇った花々が、甘い香りを漂わせている。
楽しそうにドレスの裾を揺らす彼女とは裏腹に、私はまたも、宙へ視線を彷徨わせた。
そういえば私はあの日も…今のようにどこかぼんやりとした気持ちで、彼女の横に立っていた。
国民の祝福の声も、ざわざわと、まるで遠い波音のようで。
私は、きっと彼女を愛していない。
『愛』というものを考える時、なぜか私の頭の中には、見知らぬ光景が浮かぶのだ。
ゆらゆらと揺れる水面、海鳥の鳴き声、潮風に靡く金色の髪、美しい歌声。
誰かに話せるはずもない。
彼女と結ばれるその瞬間でさえ、私は見たこともないはずの海の世界に思いを馳せ、心ここにあらずだったのだから。
私を海の底から引き上げた、あの白魚のような手は誰だったのか。
海の底で確かに聞いた、あの美しい歌声は。
忘れられないのに、はっきりと思い出せない。
あの優しい歌声、風に揺れていた金色の髪、冷たい手、その長い足は…
「ほら、バラが綺麗ですよ」
ふっと意識が現実に戻り、私は彼女に微笑みかける。
むせ返るような薔薇の香りが、ぼんやりとした記憶を、砂のようにさらっていく。
いずれ、全て思い出せなくなってしまうのだろう。
あの声も、髪も、手も。
泡のようにパチンと、弾けて消えてしまうのだろう。
暗く深い、海の底へ。
海の底
地球からは出ることができるのに、海の底にはまだ行けない人間。海の底の一番深いところには、生き物は存在するのだろうか。
迷い鯨のよどちゃん。
怖かったんだろうね。
痛かったんだろうね。
不安だったんだろうね。
頑張ったね。
仲間がいる海の底で安らかに…
人魚姫は広い海の泡に
なってしまったけれど
きっと愛する王子様を生かして
海の泡になった慈悲深い人魚姫は
海の底でひとりのあなたにも
陽の光を届けてくれるように
微笑んでくれるでしょう
__海の底
“海の底”
ここは、陸
ここから見る海はキラキラしていて、綺麗な水色だ
太陽でキラキラ輝くのは宝石のようで、美しい
私はその宝石のような海の中へ入ることにした
海の中はとても綺麗だと思ったからだ、
海に潜ると、魚達は群れていた、
そして亀も泳いでいた、けれどその亀は
漁業のあみに絡まっていてとても泳ぎにくそうだ。
そして、もう少し下に行くと、
ビニール袋、空き缶等のプラゴミが落ちていました。
私の知っている海は、表面は綺麗な宝石だけれど、
内側は、こんなにも苦しく悲しくなる
私は海を綺麗にしようと思いゴミを集め始め
色んな人達に話して、海を綺麗にすることを考えた。
海は、太陽に照らされ、輝く宝石のよう
海の中も、綺麗なものにしようと決めた。
環境問題に添えながら考えさせて頂きました。
🥀
海の底
海の底には何があるんだろう。
個性豊かな深海魚たちが泳いでたりするんだろうか。それとも沈没船がただ静かに佇んでいるのかな。
誰かが隠したお宝が眠ってたりするのかな。それともはるか昔に栄えた都市が沈んでたりするんだろうか。
もしかしたら、その都市には今も誰かが住んでいたりして、なんてことを考える。
海底には色んなものが眠っていると言う。私たちがまだ知らないだけで、まだ見つけていないだけで。
海の底へ、今日も僕らは夢を見ている。
あなたへの想いは
深い深い海の底へ……
もう2度と心に浮かんで来ないように。
やっとの思いで沈めたの。
だからお願い。
私に優しくしないで。
好きになってはいけないあなた。。
ずるいよ。。。
とても暗くて冷たいところに1人。
ねぇ、ここまで潜って、迎えに来て。
愛してるって言って、あなたの息を分けて。
『海の底』
海の底なんて僕は一瞬でたどり着ける
だって君がいるから
ここはどこ
真っ暗で何も見えない
暗い、怖い、誰か助けて
大声で叫んでも手を伸ばしても
聞こえない、届かない
あぁ、、、
どんどん身体が沈んでいく
深い深い海の中にいるみたい
惨めだ
こんな気持ちになるなら
もっと自分を褒めてあげれば良かった
もっと楽しめば良かった
そしたら、気づいたかもしれないのに
今いる場所が浴槽にたまる程度の深さだってことに
とおる人魚は海の底で、陸に上がってしまった彼女の事を思い出していました。
よく笑う子でした。人間の捨てたゴミを誤って食べてしまった魚たちを助け、海藻のかくれんぼではいつも真っ先に見つけ出してくれました。
そんなあの子は何処ぞの人間に誑かされて、遠くに行ってしまった。
何も言わないまま。
どうして。
彼女の輝く鱗が懐かしく思える程、遠くだった。
とある人魚は自嘲気味に笑いながら海の魔女の下へ向かう。どうやら魔女は、代償を払う代わりにこの美しい尾鰭を醜い人間の足に変えてくれるらしい。
何でも良かった。たとえ声が出せなくても泡になっても後悔はない。彼女を見つけ出せるなら、それだけで十分有り難かった。
ねぇ、何処に居るのかな。
はやく、そこは暗いよ。
みにくいものしかない、汚い世界。
わたしとかえろう。
あのころの、きれいなままの海の底に。
海の底まで人間がたどり着くことができたら、
そこにはどんな景色が広がっているのだろう。
よく海と宇宙は同じだと聞く。
宇宙が未知の世界のように、海も未知なる秘密を
持っているんだろう。
知りたい気もするが、秘密のままであってほしいと思う。
追い求めるものがなければ人生楽しくないと思うから。
〔普通〕
—ヒトは海の底で暮らすことはできない。
空気無いし。
水圧で潰れちゃうし。
肌ふやけちゃうし。
魚は山の上で暮らすことはできない。
水無いし。
大気圧で内臓引っ張られるし。
肌カピカピになるし。
私が普段の生活で普通だと思ってることも、
きっと誰かにとっては普通じゃないんだろうな。
私はヒトの一生しか過ごすことができないから、
ワタシの一生しか知ることができないから、
相手のことを理解する努力だけは続けてみたい。
…海の底だってなかなか良いところのはずだから。
久しぶりに夜1人で歩くと、
ついこんなことを考えてしまう。
ツンと鼻を刺激する空気が、
まだ冬真っ只中であることを伝えてくる。
嗚呼、語り合う友ってかけがえのない存在なんだな。
見上げた空は、深い海の底の夢をみていた。
#海の底:9
あぁ、何故このなことになったの考える、まさか乗っていた船が沈んでしまうなんて、もうすぐ、呼吸ができなくなる。あぁ、最後に見る景色が海の底になるなんて、でもあぁ神秘的だなぁ。
恋と、愛の違いは深さなんだそうだ。
恋は浅く、愛は深い。
浅い頃の恋は綺麗で透明で、愛が深まってしまえば深まってしまうほどにその美しさからは遠くなっていく。深く、深く、愛し合ってしまったなら、お互いに相手から抜け出せない。所謂共依存、とでも言おうか。海の底よりも深く愛し合ってしまった彼らは、心まで相手に食い尽くされてしまったのだろう。
海の底
海の底は暗い。
行ったことないけど。
海に行った記憶が小学生の頃で止まってる。
《海の底》
時々全てを投げ出して誰も来れないであろう海の底に沈みたくなる時がある。別に何かある訳ではない。仕事だってやりがいがあるかは分からないけれど人の役に立っていると感じるし、友人関係だって良好なはずだ。それなのになぜか全てが嫌になる。深い深い海の底に沈んでしまいたくなる。
ガヤガヤと居酒屋特有の騒がしさが沈んでしまった私の気持ちにはちょうど良いのかもしれない。感傷に浸りすぎず、酒にも飲まれ過ぎず、ただ淡々と時間が過ぎる。
「先輩浮かない顔してますね。大丈夫ですか?」
声をかけてきたのは私の2歳下の出来の良い後輩だった。人懐っこい笑顔と相手がどんな人であろうとすぐに打ち解けてしまう巧みな話術。私とはまるで正反対の性格でその性格が羨ましいと思ってしまう。
「ああ、ごめんね。せっかくの飲み会なのに。ちょっと疲れちゃっただけだから気にしないで。」
「先輩いつも頑張ってますからね。本当に先輩のこと尊敬してますよ。でも、疲れたならちゃんと休まないと。」
「ふふ、ありがとう。多分酔いが少し回っただけだと思うから大丈夫だよ。」
「お水1つ頼みましょうか?あ、それとも外の空気吸いに行きます?」
「んー、ちょっとだけ外に行こっかな。」
「了解です!じゃ、行きましょう。」
「へ?」
「え?」
どうやら私は彼と一緒に外に出るようだ。てっきり1人で出るものだと思っていたから、間抜けな声を出してしまったことが恥ずかしい。
「ふー、外気持ちいい。先輩寒くないですか?」
「大丈夫だよ。外気持ちいいね。」
「ですね。俺もちょっと疲れたんで一回外に出たかったんですよ。」
「君も疲れることあるんだ。」
「流石に人間なんでありますよ。てか、先輩の中で俺のイメージどうなってるんですか。」
「うーん、なんでも出来る後輩?」
「そんなオールマイティーな人間じゃないですよ。先輩こそ何でも出来るイメージですけど。」
「まさか。買い被りすぎだよ。いつも全部投げ出したいって思ってるような人間だよ?」
「そうなんですね。まあ、その気持ち分かりますよ。なんか全部ぐちゃぐちゃにしてどっかに逃げたくなる時俺もあるんで。」
「君も、あるんだ。」
知らなかった後輩の一面。真面目そうな彼からまさかぐちゃぐちゃだなんて言葉が出てくるとは思わなかった。けれど、逃げ出したいと思う気持ちを持っているのは私だけではないのだと思うと少し安心する。
「私ね、たまに全部投げ出して光が届かないくらい深い海に落ちたいって思うの。」
「え、」
「別に今の人生が嫌な訳じゃないよ。そうじゃないんだけど、何て言うかな、上手く言葉にできないけどとにかく誰もいない場所に行きたいなって思う時があるの。」
「先輩も俺と同じですね。」
「ね。でも、私意気地無しだから海の底まで行くことは出来ないんだろうな。私上手く泳げないからきっと沈んじゃう。水面に出られないのも怖いからなあ。」
「なら、」
「ん?」
「その時は、先輩が沈んでしまいそうな時は俺が引き上げます。先輩が沈まないように、絶対に水面まで連れていきますよ。」
あまりにも真剣な彼の顔に言葉が詰まる。別に本当に海底まで沈もうだなんて思ってはいない。けれど彼の真剣なその顔と声に、根拠の無い安心している私がいる。
「ふは、ふふ、何も本当に海底まで行く訳じゃ無いんだから、そんな真剣な顔しなくても、んふふ」
「先輩、笑いすぎですよ!こっちは本気で心配してんのに。」
「ふふ、ごめんね。でもありがとう。君のお陰で元気出たよ。でも、そろそろ中戻ろっか。話してたらお腹空いちゃった。」
「…そうですね。先輩、」
「どうしたの?」
「さっきの言葉嘘じゃないですよ。どうしても辛い時は俺のこと頼ってくださいね。」
「…うん。あ、君もいつでも私のこと頼ってね。どこまで君の力になれるか分からないけど、私に出来ることは全力でやるよ。」
「それは、頼もしいですね。」
「でしょ?」
えへへ、と笑うと彼も釣られて笑っていた。きっと海の底から水面に上がるのは簡単なことではないのだろうけど、不思議と彼となら簡単に上がれてしまいそうだななんて思いながら店の中へと入っていった。
Fin
今しばらく、海の底で潜伏中。
海藻のようにただただ揺らいでいたい。
何も何も考えず、ただただ揺らいでいたい。