――誰かが、呼んでいる。
いや、『叫んでいる』の方が正しいのか。
えっ、どうして私を浮き上がらせるんだい?
海の魚さん。
私を餌にしてくれてもいいのに。
あっ、そうか。
私は汚くて醜いから、食べたくもないよね、そんな肉塊。
私は『必要とされていない人間』だから、海の底に身を隠そうとしたただけだよ。
なのにどうして。
私の体は、勝手に、上へ上へと浮かんでゆく。
嗚呼、何故……
私はあの太陽に手を伸ばしているのだろうか。
見たくないくらい輝いて、眩しくて、嫌なのに。
〜海の底〜
1/20/2023, 3:13:26 PM