『楽園』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
温泉に入ると、思う。
ここは楽園だなぁ、と。
生まれたままの姿で、ゆっくりと肩まで浸かって、のぼせそうになったら腰かけて浸かって、調節しながら入る。
人によっては、サウナの方が整うというけれども、私は断然、温泉派である。露天風呂だとなおよし。
その浸かっている温泉には効能があったりする。リラックスして入りながら、美肌や腰痛や肩こりなどに効くとは一石二鳥すぎる。
露天風呂なら、四季折々の景色をみることができる。
冬は寒くて夏は暑いが、それでこその露天風呂だ。
鳥のこえが聞こえたり、川のせせらぎがきこえたり。
紅葉を楽しめたり、新緑の気持ちよさ、真っ白の世界に雪を溶かす温泉。
五感全てで楽しめるのだ。
時にはお酒を呑めることもある。
裸で効能のあるお湯に浸かって四季を感じながらお酒をいただく。
極楽、なんて言葉を聞くが、実際の極楽に行ったことがないので、私はこれを「私の中の楽園」だと思っている。
【楽園】
楽園/2023.4.30
ここは楽園。
みんな優しい。
笑顔で迎えてくれる。
見たくないものを踏み潰して。
その上に成り立つ“楽園”。
ここは楽園。
みんな優しい。
優しくされなかったものは、弾かれる。
楽園……か…
あったらいいね
そんなのが
でもきっと見つからないよ
だって、楽園があったとしても
必ず格差が出来るから
人間なんて必ず格差を作る生き物なんだから
きっと楽園なんて見つからないよ
きっと…ね
楽園
毎日が鳴り止まぬ騒音の中
やっと見つけられた静かな場所
鳥の囁き、川の瀬せらぎ、
心安らぐ私だけの場所
ここだけが私の楽園
また明日も来よう
ねえ、この世界にさ、天国ってあるのかな。
もしも話だよ。
あはは!そんなに真剣に考えないでって!
わかってるよ、そんな事考えてもどうにもならないって。
あ、もう時間だ。部屋に戻らなきゃね。
それじゃ…またあした。
「…僕らに天国なんてないんだよ。」
そんなこと言えるわけなかったから、せめて君の後ろ姿にだけ本当のことを教えてあげた。
天国も地獄もない。
ここはそんな、楽園なんかじゃないんだよ。
『楽園』
「楽園」それは、言葉じゃ言い表させない程、楽しく、心が和らぐとこだと、私は思う。
世の人間は、「楽園」を、ずっと求めてる。そこで、私は思ったのだ、
「どうせ、ある訳ないのに」と、
何故ならば、この世の中は、争いごとや、差別が絶え間なく続いている。そんなモノが「楽園」と言えるのか。「そうでは無い」皆、口を揃えて言うだろう。
なのに、辞めようとも、辞めさせようともしない。「楽園」を求めるがあまり、人を傷つけ、やりすぎると殺してしまう、なんてこともあるだろう。
この様な事が続いているから、「楽園」なんて、夢のまた夢なのだ。
〜楽園〜
楽園へと向かう足がるんるんとリズムを刻む。止まろうにも止まることは出来ない。きっと君が私を呼んだことによって私はそちらに向かっているのだろう。リズムを刻み体が踊り出す。扉の光で良く見えないが君が立っている。あぁこのまま進めば楽園へとたどり着く。すぐに楽になれる。私は今空へと飛び出した。
“私は楽園に生まれた精霊です。”
目の前にふわふわと浮かぶ小さな少女はそう言って深々とお辞儀をした。
ボクは何が何だか分からず、まだ寝ぼけているのかと目を擦ったが、やはり目の前には浮いている少女、精霊が笑ってこちらを見ていた。
“今日から私は貴方の精霊です。-さま。”
聞き取れない言葉に、思わず首を傾げる。ボクの名前を呼んだのだろうか。だとしたら間違っている。
本当に何者なのかと眉をひそめて彼女を見ると、あぁ、と納得したように目を瞑った
“私たちの世界とは名前が違うのでした。_シンさま。よろしければ、私の名前をつけていただけないですか。”
待って、状況がよく分からない。
そう言おうとしたけれど、なぜだか声は出なかった。
なぜか、彼女を知っているような気がして、ボクの口は勝手に動いていた。
“_サキエル...はい。私はサキエルです。”
“これから楽園へ行きましょう。シンさま”
その瞬間、彼女は世界で1番幸せそうな笑顔でそう言って手を掴むと、白い空間へと向かって飛び込んだ。
[楽園]
舞い落ちる桜 夢を見た
遥か自由なあの空で
薄ピンクの翼に身を任せると
優しい風がキスをする
このまま あの光の先へ飛んで行けば
きっと楽園まで行けるはず
〜楽園〜
楽園 El Paraíso
地球は本来なら楽園である
多く生き物が進化と共に
絶滅を繰り返し生きてきた
人類は他の動物よりも
頭脳を進化させ
様々な科学技術を生み出して
便利な工業製品を生産し
生活は格段に楽になり
社会は成熟して来た
と思いきや
まだ愚かな人間は
同じHomo sapiens という同じ種の中で
限られた資源を巡り奪い合い
殺し合いをしている
楽園である地球
本当に美しい楽園の地球が来る日を
私は待ち望んでいる
愚かな人類よ
いつ目覚めるのか
早く目覚めてくれ
楽園に辿り着く道の途中
あと何度
人を地獄につき落とせばいい?
どんなけ考えても楽園というものが
僕にはわからない
【楽園】
#5
題.楽園
あちらには天使も死神もいる。
その存在なんて紙一重。
椰子の葉を揺らす風
白い砂浜に寄せる波
青い青い海 水平線
色鮮やかな花々 鳥や蝶
パラダイスアイランド
桟橋にひしめく豪華なクルーザー
巨大なリゾートホテルでは
世界からの旅行客が笑いさんざめく
でも
気づいてしまった
この島のすぐ裏手には
スラムで生活する人々
貧困と暴力 犯罪
苦しみが対になっている
そんな楽園が
欲しいんじゃないんだ
「楽園」
#92
空っぽの死に損ないと腐敗物に満ちた世界
血溜まりを足跡で隠しガラクタばかり築く畜生どもの薬園
苦しみのない幸せな生活ができるところ。
私は、あなたの
そういう場所になりたかった。
「楽園」
楽園と呼ばれる土地の存在は知っていた。ゴミ臭くて腐り落ちかけたようなところにいる俺達には、まったくもって縁がない場所だ。
「そうか?」
すると右耳に酷く冷たい声が届いた。それに相槌は打たないけれど背後の大男はそのまま続ける。
「まあたしかにここも酷ェ場所だが、お前らが楽園とやらに縁がねェとまでは……。いいか、死ぬ気ってのは人をなんにでも変えるんだぜ。どこにだって連れてってくれる」
ふたたび無視を決め込んだ。なんと驚くことにこの大男は幽霊で、生きた人間との会話が楽しいらしく、俺が返事をすれば嬉々として語り続ける存在だ。二度ほど経験したのでそう理解している。
それから数時間。俺は黙々と手前のスクラップの山から光沢に特徴のある金属を探し出していく。ついでに大した値打ちはなくとも屋根代くらいにはなる工業品も。
これらは鋭利な欠片も混ざっているから慎重に探らなければいけなかった。作業用の手袋すら買えないし傷口から広がる病気に対処する余裕はない。
「なァ、おい、国の外に出ねェか」
手を止めた。
「外にはもっとデカい国もある。あの楽園なんて目じゃねェほどの楽しい場所だってある。俺がいるんだ。煩いだろうがお前より経験もある。子供ひとりくらい外に出してやれる――」
「いい、いらない」
日も落ちてきて手元が覚束なくなるまで残り少ない時間帯だったから。おおよその収集物のキリが良かったから。
俺はいくつか理由を付けて大男を振り仰いだ。少し色づいた太陽が向こうに透けて見えていて、ああ、こいつって本当に幽霊なんだなと思った。
「いらない。妹も一緒に出られないなら、俺はここで生きて死ぬ。楽園なんてどうでもいい」
「……妹がいるのか」
大男が知らないのも無理はなかった。俺はこの得体の知れない、憑いてくる存在を妹の前に連れて行こうとは思わなかったし、今も思ってない。
だって彼女は、どうしてこんな場所に生きているんだと縋りつき、詰りたくなるほど、美しかった。
まさに掃き溜めに鶴。
近所の頬がこけた奴が言っていた、その言葉が俺の手足の指針だ。飢えた鼠たちに見つかった鶴がどうなるかは考えたくもなかった。そいつは死んだから、もう妹の顔を知る者は俺しかいない。俺だけが妹を守れる。
「お前、兄貴なんだな」
大男は煙草をつけようとして一度固まり、それからやめた。
「じゃあ、妹も連れていく計画を立てなきゃな。正念場だぞ! 死ぬ気で、絶対、やり遂げろよヒーロー」
俺は目を見開く。ぴったり大男の顔の向こうに太陽が見えていた。普段なら眩しくて直視できないそれが幽かに光度を落として、血も滴るいびつな笑顔を明るく発光させている。
「……妹の前でその怖い顔したら許さねえから」
「なんでだ!? 笑顔だったろうが!」
そうか、この大男は俺をヒーローにしてくれるんだ。遠い昔に感じたことのあるような、ないような、そんな懐かしい歓喜が湧き上がってくるようだった。覚えてもいない両親が背中を押してくれるような。まるで普通の家族のような。
そしてそれと同時に恐れと悲しみが身を包む。
笑って手を貸してくれるこの幽霊こそ、死ぬ気でヒーローになったんだなと悟ったからだ。それで死んだんだ。きっと、間違いなく。
どうかこの優しい大男の向かう先が楽園でありますようにと、俺は初めて太陽に祈った。
楽園とは何だろうか?
一人一人が違うものを想像するだろう。
辺りがお菓子で埋め尽くされていたり、漫画やゲームが山ほどあったり、楽園とは人それぞれなのだ。
でも、僕が想像する楽園は......."天国"だ。
お題 楽園
蜘蛛の巣張る、夏の日。
あんな人生、嫌で
こんな人達が、嫌で
どこに行くかも決めずに飛び出した、夏の日。
どれだけ走ったのか。どれだけつまづいたのだろうか。それすらも分からないほどに、ただ走った。
メラメラと自分の体力を炙り出す陽がしつこく追って来るみたいで、余計に走った。
やがて走り終えた先は果てしなく海が続いていて、もう走れなかった。
広く深い海は、二度とこのばしょから出られない事を物語っていた。
楽園は、ないことを
お題
楽園 より
結婚の知らせが届いた。私は式に招待されていない。した、という噂を聞いた。
昔から親に気厳しい躾を受けていた。当時の私にはそこから逃げるという考えさえ持てなかったが、高校の時にあった彼女はそんな私を叱りつけて私に親の言うことを無視して遊ぶ、ということを覚えさせた。
私は買い食いも寄り道も初めてのことで、親から禁止されていた自分の好きな服を買うということも高校生になって初めてやったのだった。
大切な人だった。それなのに、今では原因さえも忘れてしまった些細なことで大喧嘩をして疎遠になった。SNSはブロックされて、共通の友だった人も私から離れていった。
私は彼女のことなんて忘れればいいのに、どうしてもふとした瞬間に彼女と笑いあったあの時を思い出すのだった。
彼女といるその時間が、わたしのとっての自由であり足枷のない楽園だった。