『梅雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私は、梅雨が嫌いだ…なぜなら、雨に濡れたりするし、気分も落ちるからだ…傘ささなくちゃいけないし、面倒い。だけど、彼と相合傘出来るのは、嬉しいけど、今日は、彼と一緒では無い…でも、雨は、農作物が育ったりとメリットも勿論ある。雨が嫌いな割には、時には、雨に濡れて帰りたい気分の時もある…私は、憂鬱な雨の日が嫌いだ…
梅雨
ザーザーと降る雨の隙間からたまに悲鳴が聞こえてくる。
やめて!やめて!と。
声の方向に目線をやれば、女性が子どもに向かって言っている。
大体雨の日そう、子どもが水たまりを見つけては陽気にジャンプをしてそれを見た母親が悲鳴をあげている。
失礼だけど、あぁもうそんな時期か、とその姿に梅雨を感じてしまっている。
でもなぁ、正直子どもが水たまりの上を跳ねたいのはよくわかる。自分が小さい時だってそうだった。
白線の上は何故か歩きたくなるし、アスファルトの段差の高いところを歩きたくなるし、ガードレールに触りながら歩いた時もあった。そこら辺に落ちてる大きめの石にだって毎回何かしたらのアクションを起こしてた気がする。
止められないよなぁ、と去年の梅雨も同じ事を考えたかもと傘の中ちょっと笑いを浮かべて足早にその場を離れた。
雨を見るととなりのトトロを思い出す。雨は名作の源だ。
梅雨時季の雨は始まりも終わりもなく、
日本中がペトリコールとゲオスミンの間にいる。
等しく平等に降り注ぐ雨の間、
どれだけの匂いを感じられるだろうか。
梅雨は天の悲しみの季節だと言っていた頃があった。もう雨降らしの仕組みは知っているけれど、今でも時々思う。雨が降る様は、天が抱えきれない何かを溢しているようで。
梅雨が、やってくる。
毎年鬱々とした気持ちになるこの季節に、もうそろそろ嫌気が差していた。
髪はうねるし、お気に入りの服は汚れるし、迂闊に日向ぼっこも出来ない。傘は必須だし、寒いんだか暑いんだか分からないから、カーディガンが手放せなくて荷物も増える。
「傘、持ってるんですか。」
地鳴りのような低い音色は、背格好が山のような男から発せられていた。
いつの間に近くに来ていたのか、その距離は近く、真横にいるくせに視線は空模様にだけ集中している。
「えぇ、忘れちゃったんですか?」
「そうみたいで。いつもは持ってきているんですが…」
聞いてもいない言い訳を、少し照れくさそうに話す。大きな体の割に物言いは柔らかい。その見た目で損をしたこともままあるだろうと、余計なお節介が頭を過ぎる。
顔は優しげだが、あまりの背の高さに、そもそもその表情が見えないといった具合だ。この男の人好きを考えると、過ぎるものもあるものだ。
「送ってあげましょうか。」
何の気なしに言ってみたものの、この時期だ、持ってる傘は折り畳みだし、私の身長では彼を守れず、彼を守るなら私は相当雨に振られることは請け負いだった。
同じことを考えたのだろう、彼の目が見開かれた。とんでもないという風に、首をぶんぶんと横に振る。
既に雨の中を走ってきたのか?まるで水分を吸収しきった犬が身震いしたみたいだ。
「傘を、借りてもいいですか。ビニール傘を買ってきます。」
はて、と考える。私たちの背には、既に終業し閉まってしまった会社の扉しかなく、悲しいかなこの辺りに暖まれるような場所もない。
コンビニに買いに行くくらいの時間なら待つことも吝かではないが、何となくそれも勿体ない気がした。
「じゃあこうしましょう。コンビニまでは送ります。そうしたら、傘を買ってください。」
譲る気のない私に気付いた彼は、鞄を手前に抱きかかえ、ぎゅっと縮こまった。
私は何だかんだこの男の挙動が好きなのだ。だから、こんな大雨の中この男を送るなんて発言をしてしまう。
180cmを優に超える大男のくせして、無邪気で大人しい幼稚園児のような素直さ。今も無理やり中腰で、私が濡れないようにしようと必死だ。
それを見て少し、可愛がりの気持ちが芽ばえる。私は大概意地が悪いのかもしれない。
「もし貴方が濡れたら、タオル、買ってきます。」
「分かりました。じゃあ、行きましょうか。」
辿り着いた頃には案の定、雨に降られ濡れていた。だが、彼の気遣いを感じさせる程度には収まっていたし、誰がどう見たって、彼の方がよっぽど濡れていた。
「…しまったな、やっぱり濡れてる。待っててください。」
彼は焦ったようにコンビニに駆けていった。私も中に入ってしまおうかと思ったが、冷やかしになるのも面倒なので、外で待つことにする。
傘に跳ね返される雨の音を聞いていると、何を考えていても全て吸収されてしまう。思考が定まらない。全く今日の夕飯が決まらない始末だ。
あぁ、冷蔵庫の中には何が入っていたっけ…。
「お待たせしました。これ、あの、タオル…」
おずおずと差し出されたそれを受け取り、濡れてしまった彼の髪を拭いてやる。
「な、先に腕とか、ほら肩も、冷えちゃいますよ。」
慌てたように彼が私からタオルを奪い取り、私の肩にそっと当てた。
「今日、寒いですよね。」
「え、えぇ。だから、早く拭かないと風邪引いちゃいますよ。」
幸いなことに、冷蔵庫は空っぽだった。
「お鍋、食べに行きましょう。」
梅雨が、やってきた。
今年の梅雨は、悪くないかもしれない。
あなたと出会ったのは、五年前の今日
梅雨入りした雨の日
思い返せば、私があの時に傘を忘れたのは
運命に出会うためだったのかもしれない
雨が降り出しそうな空を見上げる
「雨が降るから、帰ろうか」
「カエルさん」
雨とカエルが好きな君
梅雨の時期に生まれたからかな
「もうすぐパパが帰ってくるから
カエルさんとバイバイしようか」
「うん、ばいばいかえるさん」
あなたと作った宝物の手を握って、歩き出す
梅雨は家族みんなの記念日だから、帰りにお花屋さんで紫陽花でも買っていこうかしら
雨の音とともに
ダンスをしよう
たくさんの星たちとともに
私たちの鼓動に合わせて踊ろう
そして手を取り合い調和を祈る
地球に向かって宇宙に向かって
そしてハートで融合し
虹のシャワーを浴びよう
プリズムの中で
梅雨に濡れる君が好き
田舎のバス停までの道のりで「傘ないから入れてよ」なんて行って傘に入ってくるキミ。
キミがいつも折り畳み傘を通学カバンに入れてるのを知らないフリをした僕。
お互い様だな、なんて内心苦笑しながら少し濡れてしまったキミにタオルを渡し田舎道を歩く。
バス停がもっと遠ければいいのに……なんて思いながら。
梅雨に濡れる君が好き
「単位足りてんのー?卒業出来る?」
突然降り出した雨から逃れてコンビニの軒先で濡れた髪を拭きながらニヤリと君は笑う。
仕方がないから勉強みてあげる、なんて言ってるけれど勉強道具持ってきてるのバレバレだからな?
梅雨に濡れる君が好き
「降るかな、なんとかもってくれるといいな……。」
暗く広がる曇天を見上げつつ白無垢姿の君は憂鬱そうにため息をつく。
でも、そんな姿すら愛おしくて抱きしめたら気崩れるからって怒られたのはいい思い出かな。
梅雨に濡れる君達が好き
前日から入念に準備して出かけたピクニック。
突然の雨に追われ逃げ込んだ屋根のあるベンチで涙ぐむ娘をあやすキミ。
ふくれっ面になりながらもお弁当を食べる娘に笑いつつ、タオルで2人を拭いてあげる。
梅雨に濡れる君が居ないのは寂しい
娘が独り立ちし、孫も生まれ今年も梅雨の時期がやってきた。
残念ながら、もうキミは隣には居ないけれど近々私もそちらに行くよ。
だからもう少しだけ待っていておくれ。
それじゃあそろそろ行くよ、孫たちが遊んでおくれとうるさいんだ。
また来るから、ね。
そう言って梅雨の雨に濡れる墓石をそっと撫でてから帰路に着く。
それは明日かもしれないし、来週かもしれないし、数ヶ月後、それとも数年後かもしれない。
でも必ず迎えに行くからそれまでもうしばらく待っていてくれよ。
そしてまた笑ってくれよ、ずぶ濡れだねって。
梅雨 あまり好きでわないが
季節的には必要だよね
自然が求める人もね
梅雨なんて嫌いだ。ジメジメとして憂鬱にさせてくるから。でも不思議と雨の音は嫌いじゃない。どこか寄り添ってくれているような気がするからだろうか。
田んぼに溜まった水が海に見えた。
朝になって雨が止めば私の住んでいる三階スレスレまで雨水が溜まっていて、腕を突っ込んでかき混ぜれば、機能停止した信号機が揺れる。水溜まりを踏めば、お前の顔が歪むように。
お天気雨という意味での、狐の嫁入り。昔の人にはそれくらい不思議な現象だったのだろう。冷たい雨が日差しで気持ち悪い温度にぬるくなる。あったかいね、って笹沼は笑う。その心は私のものだったんだろう。
かぽっと外して交換したんだ。マウスピースみたいにさ。使う年齢じゃないけれど、そういう感じだ。僕と私と笹沼の心。同じ軽さなのに重みが違う。何故だろう。
水溜まりにうつる笹沼の顔をふみつぶす。「うわあ」と大きな声が不快に脳内に響く。反対にうつる笹沼の顔が歪む。
<梅雨>6.2
No.8
─梅雨─
梅雨が好き。
私の心を表しているように思えるから。
梅雨が好き。
涙や鳴き声を搔き消してくれるから。
梅雨が好き。
君が好きと言ったから。
すみません、眠いので手抜きです。
作者より
梅雨の時期は憂鬱
雨もたまには好き
雨音は癒されるから
でも、ずっとは嫌
不便だし、気分が少し落ちるから
梅雨のもっと嫌なところは
夏を連れてくること
私は夏が少し苦手
体調を崩しやすくなってしまうのと
夏は人を集めるから
楽しいイベントが多いから
出かけるとあちこちに人混み
私は人が多いところが苦手だから
合わないみたい
梅雨の時期は
紫陽花が綺麗だから眺めて
気分を紛らわす
『梅雨』
雨の降る日が多くなる時期が今年もやってきた。
雨音が好きだとしても雨の降る日が多すぎると如何しても洗濯が思うようにはいかないので困る。
「師匠~、風邪を引きますよ~」
「あぁ…ごめんね」
「も~…これでも心配しているんですよ!!
雨の日なんて特に!!!」
「どうして?」
「…雨が降っている日の師匠は、
何処か遠い目で空を見上げていらっしゃるので、
目を離した瞬間に居なくなってしまいそうな気がして」
…驚いた。
まさか我が師と同じ状態だったとは。
「とにかくお気をつけ下さい…お願いですから」
「ありがとう」
「相変わらずわかった、とは言って下さらないんですね」
「断言できないことに頷いてしまうのは無責任な気がしてね」
「…そうですか」
…師匠、貴方様がこの空を見上げていらっしゃった理由が今はよく分かります。
なぜなら今の私の眼には、雨雲と雨そのものを挟んでいても分かるほどに主張してくる太陽の光はとても魅力的に映っていますから。
しんどい、メモ帳と書いてまちがえました。
見なかったことにシテクダサイ。
『梅雨』
またいつか
笑ってくれたら
それでいいから
今はただ
泣いて泣いて
眠りにつこう
土地を潤し
作物を育て
我々に栄養を与えてくれる
恵みだ
ありがとう
#梅雨
梅雨は鬱蒼とした雨が降ります。
あなたたちの体を清め、
高い次元へと導くでしょう。
今までの鬱憤や蓄積された感情を
その雨に預け、洗い流してください。
そして地球のエネルギーを吸い込みましょう。
梅雨の期間、新たな芽が控えています。
その芽吹きを待ちながら、
夏の訪れと共に生命力が開花します。
梅雨
梅の実が熟す頃だから梅雨と呼ばれる、と聞いたことがある。
夏に飲む梅ジュースは甘酸っぱくて格別旨かったから、
ばあちゃんの梅仕事をよく手伝っていた。
黙々と梅のヘソを取る僕を、あいつはニコニコ見てたっけ。
「会いたいな」
ふっと、言葉がこぼれる。
「会いに行けばいいのよ。おばあちゃん喜ぶわ。
最近、あんた顔色悪いし、気分転換してくれば。」
母さんの勘違いだ。
でも、最近、酷く疲れている。
確かに、いつも明るいばあちゃんの顔を見れば、少しは
元気になれるかもしれない。
思い出が詰まった場所だけに複雑ではあったが、久しぶりに
ばあちゃんちへ行くことにした。
「やっとこさ着いた」
「よく来たね。雨のなか大変だったろ。
おや、だいぶお疲れだね。痩せたんじゃないかい。」
「ちょっと前から色々あってね。」
「あの子は一緒じゃないのかい。
まさか愛想尽かされたんじゃ…」
血が逆流したって、こうはならないってぐらい
驚いた。
「ばあちゃん、あいつのこと覚えてるの?」
「当然でしょ。なんで、そんなに驚くかね」
あの日から初めて、あいつを覚えている人に出会えた。
幻じゃなかった。あいつは、どこかにいる。
溢れそうな涙をぐっと我慢する。
もう一度、あいつを探そう。
今日も雨。昨日も雨。明日も雨の予報だ。
梅雨の季節。ああ、今日も体育館は湿気が凄そうだ。床の感触も変な感じだろう。
部活ますます面倒だな、なんて思いながら体育館へと繋がる渡り廊下を歩く。
近い未来、梅雨の香りを感じるたびにこの日々を思い出すことも知らずに。
「梅雨」