『桜散る』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「枯れ木に花を咲かせましょう」
おじいさんが木に登り、灰をまきました。
すると不思議なことにが起こりました。
なんと辺りの木に桜が咲き始め、辺りがピンク色に染まったのです。
まだ寒い時期と言うのに、お爺さんの庭だけが、まるで春の風景でした。
それを見た近所の人たちは、起こった出来事に驚いてしまいました。
「こりゃすごい。これからはあんたの事を、花咲か爺さんと呼ぼう」
近所の人たちは、ニコニコ笑ってました。
花咲か爺さんは、最近飼い犬が死んだり、道具を無くしてしまったりと不幸続き。
なので、近所の人たちは花咲か爺さんが楽しそうにしているのを見て、ホッとしました。
そして、「せっかくだから花見をしよう」と言って、皆で花見の準備をしていた時の事です。
花見を準備している人たちに、声をかける人物がいました。
「おや、楽しそうですな。儂も混ぜてもらえますかな?」
その人物は何を隠そう、花咲か爺さんの隣の家に住む意地悪爺さんです。
意地悪爺さんは、嬉しそうに季節外れの桜を眺めていました。
「何しに来た? 意地悪爺さんよ」
「言いがかりはよせ、何しないさ。
爺さん――いいや今は花咲か爺さんだったか……」
意地悪爺さんは、いかにも悪そうな顔で笑います。
「ふん、どうだが…
まあいい、貴様の因縁も今日もまでだ。」
「ほう、今日は随分と威勢がいいな、花咲か爺さんよ。
その手にある灰が、お前の頭をお花畑にしたか?」
「ぬかせ、その減らず口をきけなくしてやる」
花咲か爺さんは、意地悪爺さんを睨みつけます。
花咲か爺さんはこれまで、意地悪爺さんにたくさんの意地悪をされてきました。
もはや我慢の限界だったのです。
今回も意地悪されてはたまらないと、追い出すことにしました。
ですが、意地悪爺さんは、心外と言わんばかりに肩をすくめます。
「おやおや、花咲か爺さん。喧嘩はよくないな。話し合いをしようじゃないか?」
「ふん、お前と話す言葉など――」
「そういえば、貴様の婆さんはどうした?」
花咲か爺さんは、訝しみました。
なぜなら、婆さんはそこで花見の準備をしているはずだからです。
花咲か爺さんは、不思議に思いつつも振り返ると、そこで信じられないものを見ました。
婆さんは、意地悪婆さんに包丁を突き付けられていたのです
卑怯にも意地悪爺さんは人質を取ったのです。
「花咲か爺さん、これで自分の状況が分かったか?」
意地悪爺さんは、意地の悪そうに笑います。
「動くなよ、儂も人殺しをしたいわけじゃない
「……何が望みだ」
「花咲か爺さん、貴様の持っている灰をよこせ」
「なに?」
花咲か爺さんは持っている灰を見つめました。
「儂はそれを殿様に献上し、褒美をもらう。
なにせ、花を咲かせる魔法の灰だ。
とてもお喜びになるだろう」
意地悪爺さんの笑いは、より意地悪になっていきます。
「儂も出来れば話し合いで済ませたい。 だが渡さないのであれば……」
意地悪爺さんの言わんとすることに、花咲か爺さんは顔を歪ませました。
「さあ、どうする?」
「……いいだろう、その代わり婆さんを離せ」
「灰が先だ」
「分かった」
花咲か爺さんは、意地悪爺さんにゆっくり近づきます。
「ほら、これだ」
「ククク、これで儂も大金もち――」
「くらえ!」
花咲か爺さんは、手に持っていた灰を意地悪爺さんに投げつけたのです。
「ゴホっ、貴様何を」
意地悪爺さんは、投げつけられた灰でむせてしまいました。
そして舞い上がった灰は、桜をさらに咲き進めます。
咲き進んだ桜は、花を満開に咲かせた後、一斉に散りはじめ花びらを落とします。
ですがその量が尋常ではなく、辺り一帯が桜の花吹雪でいっぱいになり何も見えなくなりました。
「くそ、花咲かの奴め。なんてことをしやがる」
意地悪爺さんは、むせながらも半吹雪が収まるのを待ちます。
そして、ようやく周囲が見えるようになった時、意地悪爺さんは驚愕しました。
半さ梶井さんは、花吹雪で視界が塞がっている間に、人質を救助し意地悪婆さんを縄でぐるぐる巻きにしていたのです。
「形勢逆転だな、意地悪爺さんよ」
意地悪爺さんは、自らの不利を悟り、逃げ出そうとしました。
ですが辺り一面の桜の花びらで滑って転んでしまいました。
その機を逃すまいと、花咲か爺さんは縄を持って意地悪爺さんをぐるぐる巻きにしてしまいました。
捕まってしまった意地悪爺さんは恐怖に顔を曇らせます。
「お前たちをお奉行様に突き出す。 今までの証拠と一緒にな。
生きているうちに、牢屋からは出られまい」
こうして意地悪爺さんと意地悪ばあさんは、これまでの悪事を全て暴かれ、一生牢屋で過ごすことになったのでした。
そして二人を奉行に突き出した帰り道のことです。
花咲か爺さんは、婆さんと一緒に夕日を見ながら歩いていました。
「爺さんや。本気でこの灰を捨てるのかい?」
「婆さん、本気だ。この灰は争いを呼ぶ……
この世界にあってはならないものだ」
「分かりました。爺さんの言う通りにしましょう」
そういうと二人は、持っていた灰すべてを辺り一面にまきました。
すると周囲の枯れ木に花が咲き始め、すぐに満開になり、そして散り始めました。
「これでいい。桜は春に咲くからいいんだ」
花咲か爺さんは散っていく桜を眺めながら、呟くのでした。
めでたし、めでたし。
◆
「分からん、何にもわからん」
とある小学校の職員室で、教師の一人が一枚の原稿用紙の前で呻いていました。
これは、この日の授業で『昔話をアレンジしてみよう』と言ってクラスの生徒に書かせたものです。
しかしそれは建前です。
実は彼女のクラスには問題児がおり、何を考えているのか分かりません
だからその子供の考えている事を少しでも知るために、作文を書かせたのでした。
ですが、結果はご覧の通り。
最後こそいい話風に終わっているのですが、途中の展開が支離滅裂で、結局何がしたかったのか分からない。
教訓もよく分からないし、そもそも何が『めでたし』なのか?
「ていうか、小説書けなんて言ってないんだけど……」
書いてきたものは、どう考えてもラノベに影響されたようにしか思えません。
『もしかして小説家になりたいのか』と思いつつも、これ以上の分析は無意味だと諦め帰ることにしました
校門を出ると、彼女の目の前をピンクの花びらがヒラヒラ落ちていきました。
「桜散ってる。もう春も終わりかな」
彼女は桜吹雪の中、夏の訪れを感じながら家路につくのでした。
〝桜散る〟
黄砂で霞んではいるが、綺麗な青空が広がっていた。
桜散る空は、春の風と、少しだけ夏の予感がする。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去ってしまうように感じるためその瞬間を楽しんだ方がいいと感じるけれども、その一瞬の楽しさの影に普遍的な楽しさがあることに気づけない。失くなったものを考えすぎるあまり、何を持っているかに気づけていない。
今もネガティブな気持ちに囚われすぎているだけで今日で何を得たかを振り返れておらず、いつの間にか得たものすら失くしている。
「桜散る」
もう随分と暖かくなったもんだ。この辺りには桜散る季節が来たから、桜目当ての観光客もまばらになってきた。
「桜、もう散っちゃったか〜……。ちょっと前まで咲いていると思っていたんだけどな〜……。しっかしニンゲンは現金だなぁ!!!散ったらすぐに観にこなくなるじゃないか!!!」
……仕方のないことだ。ただの木を見ていても、そんなに楽しくないからな。
「む〜……まだまだ桜の季節を味わっていたいよぅ〜……あ、コレは……?!」
「ねぇ!!!八重桜はご存知かい?!!」
まぁ、一応。この辺りではあまり見かけないが。
「八重桜が見頃を迎えたらしいよ!!!一緒に見に行こうよ!!!」
どこまで見に行くつもりなんだ?
「えーっと、ココなら家から近いよ!!!行こう!!!」
まだ準備もしていないのに手を引かれる。ちょっと待て!
「うん??」
マスク。あと防護メガネ。
「あ〜……花粉か〜。……完全に多くのひとがイメージする不審者そのもの……って感じの格好だね!!!もうちょっと明るい色の服を着たまえよ!!!そしたら多少はマシになるんじゃないかい???」
まともな服がないからこのまま行く。
「そうかい……。まあいいか……。」
今日はさわやかに晴れている。
「いい天気だね!!!お花見日和だねえ!!!」
あんたはご機嫌そうに前を歩いていく。
「ほらほら!!!こっちこっち!!!」
そんなに桜が気に入ったのか。……よかった。
自分も自然と早足になる。
「着いたね!!!」
……こんな所に寺なんてあっただろうか?この町で暮らしてしばらく経ったからある程度は把握できているつもりだったが、意外と知らないことがあるもんだ。
「入場料はないみたいだよ!!!」
早速ずけずけと入っていこうとしているのを自分は止めた。一応、挨拶は忘れないように、な。
「おじゃましまーす!!!」
おじゃまします。
「うおー!!!コレが八重桜かい?!!華やかだねぇ!!!桜餅が木に実っているようで美味しそう!!!!」
見頃を終えた枝垂れ桜とソメイヨシノを横目に自分も八重桜のもとに歩いていく。確かに可愛らしい花だ。
花びらが何重にもなっていて、ふわふわの綿飴のようで……あれ?
「あ!!!ねえ!!!ここでも桜餅を売っているみたいだよ!!!食べようよ!!!」
そう言われると思って、お金は準備してきた。
「わーい!!!」
桜餅を食べながら、寺の庭を眺める。
古い木の香りと桜餅の香りで、なんとなく懐かしい気持ちになった。
「ここすごいね!!!色んな桜の木が植えられているし、桜餅も食べられるし、あと、あの建築技法は……!!!」
……古い建物のことを聞かれても答えられないぞ。
「そんな〜!!!」
でも、楽しそうでなによりだ。あんたは自分の時間を全て──殆ど眠りもせずに──宇宙に注いでいる。ぱっと見苦労しているようには見えないが、きっと計り知れない程の労力を現在進行形で割いているんだろう?そんな毎日だからこそ、こういう小さな喜びがあってもいいはずだよな……?
「そこまで深くは考えてないよ」
「んまぁでも、八重桜も見られたし、桜餅も食べられたし!!!今日は満足ってとこかな!!!」
「さて、帰ろうか!!!せっかくだからまた明日も来ようね!!!」
明日も、か……。でも、自分でもわかる。こういうゆっくり流れる時間が好きになっていく自分がいることに。
昼下がりの陽の光の中を2人で歩く。
そんな時ふと思った。
いつまで、こんなふうに過ごせるんだろう?
きっといつかは別れが来る。
桜の花が咲いて、やがて散るように。
きっと、いつか。
「そんなことを心配しているのかい?!!まだそんなことは考えなくっていいよ〜!!!それよりもさ、ほら、スーパー寄らない???桜餅、また食べたいんだよね〜!!!」
全く呑気なやつだ……。
でも、あんたらしくて安心したよ。
さて、スーパーにでも行くかな。
桜が散っても日々は続く。
読みかけの本の頁の間から、いつのものかもわからない桜の花びらが出てきた。
また来年。
桜なんて一年中咲いているのに、春のほんの一瞬だけ有り難がるのは何故かな。
テーマ「桜散る」
桜散る
(本稿を下書きとして保管)
2024.4.17 藍
桜は綺麗だけど、すぐ散ってしまう。もっとこの景色を楽しみたかったけど、残念だ。また、来年だね。
1人ベンチに座っていると、いろいろな景色や人々をみることができる。
湖の上に浮かぶ花
犬の散歩に来ている人
春、落ち葉を出す、くすのき
ジョギングをしている人
私は1人、タバコをふかしながらいろいろな情景を見る
ただただ、何も考えず見ているだけ。
突然突風が吹くのも春の景色の一つ。
ふと、右を向くと、桜散る中に貴方を見た気がした。
空を見上げた。
5年前に他界した、貴方を感じる場所。
お題『桜散る』
『桜散る』
今日はやけに雨が強くて、まるで梅雨になったかのようなくらいの雨だった。
入学式を終え、クラスのグループもそこそこできてきたんだ。
得意ではない共感をこの2週間でたくさんしてきた。
初授業でテストないわ〜と言われ、それなあと返し、ここの学食のカレースパイシーで美味しいね!なんて言葉にはほんとそれ!と返す。
でも本当は、初めましての授業でひたすら授業の流れを話されるくらいなら全然テストの方がマシとか思うし、カレーだって、私は辛いのが苦手で、なれない辛さにお腹を痛めた。
でも、お母さんに言われたんだ。
「高校生になったら仲良い子作るのよ〜それが青春なんだから!」
確かに中学時代は割とひとりのことが多かった。
でもそれは私が好きでひとりをしていたし、誰かと特別仲良くなりたいとも、特定の誰かに執着心が湧くこともなかった。
お母さんは私がいじめられてたと思ったのか、私立を勧めてきた。
「私立は綺麗で、学食だって広くて、おいしいものがたくさんで、大学行くならある程度名前のある私立の方がいいのよ。」
そんな、パンフレット見ればわかることを娘はどう反応するのか、、と胸を震わせた表情で聞いてくるもんだから、私は特に言葉もなく、こくりと縦に首を振った。お母さんは嬉しそうだった。なんなら、制服の写真を私に見せて興奮した様子で私にこう語りかけてきたんだ。
「あなたの白い肌にこの色の制服は似合うと思うの。それに、リボンでもネクタイでもどっちでもつけていいみたいなのよ?選べるなんて贅沢な学校よね〜!あなたはきっとリボンが似合うと思うけど、ネクタイもつけてみたらキリッとして、意外といいのかもね!」
と。
私は人と比べて長けているところがなかった。そう思っていた。きっとそうなんだ。
まぁ、よく言えば平均。悪く言えば特徴がない。
だからお母さんは名高い高校を勧めてきたのかな?
そんなの、私に関係ないのに。私は私で、学校の名前はあくまで私の飾りなのに。
お母さんは私のことをわかったようで、何もわかってない。だふん、親の心子知らずというもので、お母さんも同じことを思ってると思うんだけど。
でもね?お母さん、私は全然この学校行きたいと思わないし、私の行けるレベルでもないんだよ。本当はこんな本音を言えたらいいのに。お母さんがヒステリックになることが怖くて、私は中学校に入ってからずっと本当に思うことはほとんど言えずにいた。
お母さんは女性で、中学校のクラスメイトの半分は女性。いや、まだ女の子。でも、お母さんのヒステリックが怖くて、この子達もいつかお母さんみたいに叫び散らして、キッチンにあるものを全部投げてきたりするのかと思うと、怖くて。それなら、ひとりがいいと思ったんだ。なのに、それなのに、そのお母さんの勧める私立は女子校だった。
私は自室で書き投げるようにお母さんの愚痴を書きに書き尽くした。本当は大好きでいたいのになんて気持ちもあって、涙が出てきた。
そんな受験生話があり、今は母の期待通りのお友達のいる娘をしている。
別にこの子が好きなわけではない。その子が好きなわけでもない。あの子が好きというわけでもない。毎日毎日、昼休みになるたびに集まって、先生の愚痴とか、授業の意味わからないねーなんて話す。本当にこれがお母さんの求める私だったのかな?
だんだんしんどく感じてくるのに、お母さんの理想にならなきゃと必死になって、苦しいな、苦しいな。とプールを習ったばかりで息継ぎが全くできない状態なんじゃないかと思うくらい苦しかった。本当に、苦しいんだ。お母さんが、お友達たちとのプリクラとか、タピオカを飲みにいた写真を見るたびに満足げな顔をするのに、私はその顔がいつの間にかおぞましいと、この世の人だと思えない気持ちになった。
なんで?大好きなお母さんなのに。わからない、私が好きなお母さんは機嫌のいいお母さんで、ヒステリックなお母さんは怖いし。何が何だかわからなくなってきて、あー、どーでもいいや。と思った。
今年は桜が散るのが早いなあ。
落花流水。
羨ましい。綺麗に咲いて、散る姿すら美しい。
川に花びらが落ちて、ゆらりゆらりとゆっくり流れて行く様子もなんだか綺麗で。
私もこうなりたい。
私も、咲いて綺麗に散って、さらに水に浮かびながら流れたい。
おかしいな、私って、よく言えば平均で、悪く言えば特徴がないはずなのに。
私が憧れているものは、咲いていても、散っていても、流れていても美しくて、人々が見惚れるものなんだ。
あー、私も、さくらになりたい。
サクラ。
あ、思い出した。私、名前が桜愛だ。漢字じゃわかりにくいよね、ひらがなだと、さくら。カタカナだと、サクラ。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
この物語は私のたった15年の最後の誰にも言わない、見せない、利かせない、心の日記。
最後の日記なの。
最後にするの。
お友達のみんなも、お母さんも、お父さんも、ありがとう。
桜って、散った姿も綺麗って、お友達も昨日、晴天という言葉が合うくらいの天気になんか言ってたし、お母さんも小さい頃、お花見をしたときに、桜は咲いてても綺麗だけど、散った姿も様になるわよね、と言っていたよね。私覚えてるよ、お母さん。
お母さん、今まで育ててくれてありがとう。
お父さん、私と顔を合わせないくらいお仕事頑張ってくれてありがとう。
私、散るよ、散って、綺麗だねって、言われるようになるね。
なんか、最後って思うと、今までの気持ちが嘘だと思うくらい、楽になって、嘘みたいに、泣きたくなった。
私は門限をこの日初めて破った。
携帯電話の通知が止まらない。
なんだかうざかった。
だから、まだ中途半端な高さだけど、ケータイを放り出した。
そっからは1分も、5分もわからないまま、どのくらい時間をかけて崖に向かって歩いたかなんてわからないけど、ひたすら歩いたんだ。
朝日が見えた頃、私は最後の感動を心にしまった。
そして、両腕を広げて、地面向かって、崖へ飛び降りたの。
桜散る。
雨に打たれて散りゆく桜
僕らの春を彩ってくれた
風を泳ぐ 薄い花びらが
来年もまた 青春を彩る
桜散る
桜を見るのも好きだけど、散るところが一番好き。って友達が言ってました。その子とは疎遠になりましたが、たまに思い出します。私は何故そう思うのか今でもわかりません。
君の背は知らぬ顔して門を抜き萌ゆる若葉に花嵐吹く
題目「桜散る」
舞い散る 流れゆく 桜 嗚呼
離れ落ちる 振られてゆく 桜 桜 嗚呼
ひらひらと ふらふらと 淡々と 歩いていく
悲しみも 楽しみも 君も 僕も 乗せて
桜が散る。花が散るのは風と季節のうつりかわりのためであって、何かの予感ではないのだ。
強いて言うなら、夏の予感に向かって散る。
失敗した、と思う。そうしていつも自分を見失う。ちょっとしたきっかけで軸から外れ、所在なく右往左往する。よく分からないまま、落ち込みながらももがくうちになんだか着地する。
そうしてすべて終わったあと、見上げてみたそこに、何が見えるだろう。見てきただろう。
そうだ、そんなに悪くない。良い景観なんだ。ちらちら舞う桜の花びらも、心地よい風も、それで、明るくて優しい色合いの若葉も。こうありたいと自分に願ったことを成し遂げられずに、落ち込むことも多いけど、桜が散るのは自然の摂理。だから流れに身を任せてきっと良い。
桜散る
桜が
ハラハラと
目のまえで
散るのを
見る度
なんとゆうか
儚さを
感じてしまう。
桜の花びらが
わたしの
全身を包んで
舞い踊った
こともある。
あれは
キレイで
不思議だった。
わたしが
好きな
桜の色は
淡いピンク。
それよりも
薄くても
濃くても
ダメで。
満開の
桜を見ると
つい
こころが
踊ってしまう。
でも
儚く散る
頃になると
もう新しい
季節を感じる。
新緑の息吹を
感じてしまう。
4月と5月の
挾間に居る。
そんな感じ。
桜が散ると
ひとつの
寂しさも
覚えてしまう。
桜を
楽しめる時期は
ほんとに
短すぎて
あっとゆう間。
だからこそ
日本人は
桜が
大好きな人たち
なんだろう。
今年もまた
日本の
あちこちで
桜が
散ってゆく。
色んな人の
想いを乗せて。
みなさんは
今年の桜
見れましたか?
今年限りの
風景を
どうか
焼き付けて
下さいね。
その目に
その心に
その手に。
桜とともに
あなたの
愛しい人が
どうか
思い浮かび
ますように。
黄道十二宮のうち12番目、双魚宮の主人は人魚と魚、またはツバメである。
魚は、揺れる星の海をその水中で眺めていた。
その巨体を包んであまりある包容力を持つ星の海は、あまりの広さと深さに海と言われているが、実際は女神の落ちた湖を模しているものである。双魚宮には大きく流れる河が2つに、その端々に水が流れ着く湖が点在している。それ以外の箇所は陸地になっており、その陸地には処女宮から貰った桜の木が植えてある箇所もあった。
流石は豊穣の女神の性質も混同されているおとめ座から譲られたものであるからか、嫋やかな色合いの花は盛大に咲き誇ってその存在感を見せつけている。
それを水中から魚は眺めていた。星の瞬きの中で輝く光がゆらゆらと揺れてなんとも幻想的ではあるが、水上に存在するその桜の木は遠く高く離れたところにある。
魚と紐で結ばれている半身が魚の少女は、魚の巨体にその白くか細い身体を預けて同じく水中から桜を眺めていた。うっとりと頬を桜の色に染めて水面を見上げる少女の姿は、その美しさに魅入られているのがありありと分かった。
魚はゆっくりとその巨体を動かすと少しずつ少女から離れていく。最初は突然に動いたその巨体に驚いたように瞬きした少女は、自分から離れていく巨体に対して物哀しげに手を伸ばしてその鱗を指先で撫でる。その指先のくすぐったさに僅かに身を捩りながら魚は少女から離れて水面へと近づいていく。魚の巨体と少女の鰭とで繋がっている紐が上へ上へと伸びていった。
そのまま勢いよく水面に飛び出した魚は、その上半身をツバメの姿に変えると羽根を広げて宙を舞う。
巨体だった魚の身体が小さなツバメのそれに変わっても、その身体には紐が結ばれており水中の少女としっかりと繋がっていた。
小さな羽根を最小限の動きで風に乗ると、桜の枝にツバメの身体を滑り込ませて桜の花を一つ小さな嘴に咥え込んだ。そのまま身を翻して、流れるように水面に飛び込んだ。
勢いよく飛び込んだ水中はある程度の深さまでは進んだが、ツバメの上半身が水を弾いて浮こうとする。下半身の魚の尾鰭を動かそうとしたところで、少女の両手がツバメの身体を優しく包み込んだ。魚の巨体とは違い、可憐な少女の両手で覆うほどしかないツバメの身体が安心したように力を抜いて少女に身を預けた。
そのツバメに頬を寄せて、水面近くまで追ってきていた少女はまた水中の奥へと沈んでいく。ぷつぷつとツバメの嘴から小さな泡が漏れて水面へと上がっていく。
ある程度まで沈んだ少女が両手を広げると、ツバメの小さな身体が再び魚の巨体に戻った。巨体をゆったりと動かして少女の周りを一周した後に、その目の前で口を大きく開けた。
大きな空洞の中に、桜の花が一つ、瞬いていた。
しかしそれも魚が口を開けた瞬間に入り込んだ水に流れて花びらが歪んで、ほんの少しの力でくっついていたのだろう水中でバラバラに崩れて散った。
小さなツバメの身体では桜の花をただ一つしか持っては来れなかった。しかも少女の手に触れる前に桜は散ってしまった。
あんぐりと口を開けたままであった魚だったが、視線はぷかぷかと水中に浮かんで流れていこうとする花びらを追っていた。目の前の少女の表情を伺えなかったのだ。
だから、死角から少女に飛びつかれて魚はそのバランスを崩した。尾鰭を盛大に揺らして、口元から幾つもの泡を出しながら少女は魚の巨体を両手いっぱいに広げて礼を伝える。
少女の動きが水中の中で大きく動いて、長い髪がゆらゆらと揺れる。魚にはきらきらと瞬く光の中で、水面の桜色が映り込んで少女の髪も桜色に染まって見えた。
“桜散る”
初めて君を見かけたのは、春も盛りの四月だった。
放課後、部活へ急ぎ廊下を歩いていたとき。風に乗って、歌声が聞こえてきた。
どこからだろう。と、興味を惹かれて見渡せば、窓の向こうに、中庭を横切る君を見付けた。
掃除当番だったのだろう。
箒を抱えて運びながら、歩くリズムに合わせて鼻歌を口ずさむ。歌声の主は彼女なのだとすぐに気が付いた。
散りゆく桜の下、舞う花びらをまとって通り過ぎていく。その姿は桜の精か、お姫様のようにとても綺麗で。
風が運んだ歌声を、僕が聴き惚れていただなんて、君は知りもしなかっただろう。
あの時の軽やかな歌声が忘れられなくて。
しばらくの間、クラスメイトや演劇部の仲間に君のことを尋ねて回ったんだ。
けれども、君のことを知る者は誰も居なくって。
あれは本当に桜の精か何かだったのかな、だなんて。一度は君を探すことを諦めた。
そうして学業と部活動に明け暮れて、彼女のことも忘れかけた頃。
季節は巡ってその年の秋。
文化祭当日のステージで、漸く僕は桜の君と再会を果たしたんだ。
演劇部の準備にも目処が立ち、空いた時間を潰そうと体育館を訪れたときだ。
予定なら、歌唱コンテストの最中で、参加者が順に歌声を披露しているはずだった。
それなのに、その場に流れる音楽はなく。進まない演目に、客席の方も訝しんでざわめき出しているところだった。
近くにいたクラスメイトを捕まえて事情を聞けば、参加者の一人が舞台に上がったものの、一向に歌い出せずにいるらしい。
その件の舞台上の人物を見上げて、思わず僕は、あっと息を飲んだ。
あの時の、桜の歌姫がそこに居たんだ。
緊張で動けずにいるのだろう。
顔は徐々に俯いて、ギターをぎゅっと握り締める姿は張り詰めて。その体は明らかに震えていた。
脇に控えた進行役の生徒も、イレギュラーな出来事に、どうしたものかと考えあぐねているようだった。
やがて僕の周りからも、「あいつ、本当に歌えんの?」と、ひそひそ話が大きくなり、野次が飛ぶのも時間の問題に思われた。
咄嗟に、声を張り上げた。
「待ってましたー!」
演劇部で鍛えた声が、体育館に響き渡った。
集まっていた観客たちがぎょっとして僕を振り返る。
ざわめく声は止んで、会場が静まり返った。
舞台上の君も、驚いた様子でこちらを凝視しているのが見て取れた。
構わず僕は呼びかけた。
「大丈夫! 頑張って!」
僕の声に続いて、おそらく彼女の友人やクラスメイトたちだろう。
彼女たちからも少しずつ、「頑張れ!」とエールの声が沸き起こる。
あの声を持つ君なんだ。
巡り合わせたこの機会。
ここで 歌わないなんて、勿体ない!
頑張れ!
僕らの思いが届いたのか。
大きな深呼吸の後、怯えるようにして立っていた彼女の雰囲気がぴりりと切り替わる。
そうして掻き鳴らされたギターの音色に、先程までとは違う意味でのどよめきが体育館に広がった。
知らなかった。歌だけじゃなく、彼女はギターの腕も確かだったのか。
驚く僕らに畳み掛けるようにして、満を持して彼女が歌い始める。
その声は、あの春の日と変わらぬ歌声で。
正しく僕が探していた歌姫だった。
軽快なリズムと曲調に、誰が始めたか手拍子も加わって。
彼女が無事に歌い終わったとき、会場は大歓声に包まれた。
「あ、ありがとうございました!」
我に返った彼女は、内気な女の子に逆戻り。
吃りながら、恥ずかしそうに慌てて舞台袖へと消えていく。
そんな彼女を見送る間も、拍手はずっと鳴り止まなかった。
斯くしてお祭り騒ぎは幕を閉じ。
他の参加者に大差をつけて、満場一致のもと、彼女は堂々の一位を勝ち取った。
後に国民的歌手となる、彼女の最初のステージのエピソード。
あの体育館のライブから。
いや、皆が君に気付く前。
桜の下で歌う君を見付けたときから、僕は君に夢中なんだ。
今や大スターの君に無謀かな?
だけど、無名だった頃の君に恋をしたのだから、今更仕方がないよね。
君は僕のことをただのファンだと思い込んでいるようだけれど、そろそろこの気持ちを打ち明けても良いだろうか。
きっと君は驚くだろう。
これからもずっと輝いていて。
恥ずかしがり屋で格好良い。
桜の国の、お姫様。
(2024/04/17 title:025 桜散る)
作品No.18【2024/04/18 テーマ:桜散る】
桜散る
イコール
受験に落ちた
そんな
中学校の卒業式を終えたばかりの
宙ぶらりんな私ー!
二次募集で受かった高校で
それなりに楽しく過ごせるから
大丈夫!
前を向け!