『桜散る』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「桜散る」
まだ、落ちたくないよ。
まだみんなに見てもらいたいよ。
笑顔で眺められたいよ。
まだ、役に立てるよ。
【#60】
桜散り
緑へと衣替え
冬眠し
また桜が咲く
同じことのリサイクル
たったそれだけ
それなのにこんなに人の心をかき乱す
桜散る
この想いが散るときも
あんなふうに
綺麗だったら
良かったけれど
浮かれた男とは対象的に、女は沈んだ表情をしていた。
「こんな日なのに、もっと笑えよ」
男が咲き乱れる桜と『入学式』の看板を背景に、女に向かって言った。
女は溜息交じりに答える。
「笑えないよ。だって、やっぱり、違うもん」
彼女は元々別の学校を受験していた。しかし結果は桜散り、滑り止めで受けていたこの学校に通うことになってしまったのだ。
変わらず暗い表情をしている女に、男は少し苛ついてしまった。
「笑えって! 俺がいるだろうが! 俺がおまえを笑顔にしてやるから」
思わず告白していた。
男は内心喜んでいた。彼女が受験に失敗したことに。
俺は嬉しい。おまえも喜べよ。一緒にいられるんだ。絶対に楽しくなる。楽しくする。おまえを笑顔にする。
女が顔を上げた。
「何言ってんの。あんたは希望の学校に浮かれて嬉しいのかもしれないけどさ。落ちた人の隣でずっとヘラヘラしてて不快だったわ。あんたの隣で笑顔になれるわけないじゃん」
冷たい表情を向けている。
風が強く吹いて、桜の花弁が勢い良く散っていった。
『桜散る』
母が逝き
人里から少し離れた所の火葬場で
最期の別れをした帰り道
緩やかな坂道の両側には
満開の桜並木
無数の桜の花びらが
微かな風に乗り
はらはらと
はらはらと
次々と
次々と
舞いながら
まるで
別れを惜しむかのように
散り続けていました
散る桜を見る度に
母を恋しく想います
桜の花が
良く似合う母でした
# 桜散る
桜散る。
外に出れば、もう桜の花びらはほとんどアスファルトに散ってしまい、葉桜になってしまっている。まだほんのわずかに花びらが残っている箇所もあるが、今日は風が強い。明日には残った花びらも散ってしまっていることだろう。
桜の木の下には死体が埋まってるって言うだろ。桜の木が死体を養分にしてさ。だからあんなに綺麗に咲いてんだよな。じゃあ桜の木が散るときって死体の養分を吸い終えたから?でも桜は花が咲いてなくても一年中養分が必要だよ。きっと誰かが毎回死体を埋めてるんだな。そうに違いないさ
まだ4月だというのに真夏日
着る服に迷う
春は何処に消えてしまったのだろう
慌ただしい新学期の準備に追われているあいだに春一番も吹き過ぎていってしまった
川沿いの自転車道を走る
はらはらと名残の花弁が降る
頭の中で響くのは
静かに流れ落ちるような琴の調べ
(桜散る)
:桜散る
「不幸でいてくれてよかった」
桜は散るから美しいのだと。人は死ぬから良いのだと。
そうかもしれない。桜は満開が美しいと思っていたし、人は死なないほうが良いと思っていたが。
散る前に見ようと人は桜に集まる。散れば見向きもしない。花見は聞けど葉見は聞かない。
人の死は創作において使い勝手がいい。安易に衝撃を与えられるし感動させることができる優れもの。何より人が死ぬストーリーは売れる。
そうか。
「不幸でいてくれてよかった」
地獄みたいな場所で生きてきたから今のお前がここにいる。お前をお前たらしめる重要な要素。痛み、苦しみ、恐れ、孤独。一つでも欠けていたらお前に興味を示さなかっただろう。お前が不幸でいたからこうして出会うことができた。お前が不幸でいてくれてよかった。ありがとう、不幸でいてくれて。
人が好むもの、感動するもの、心動かされるもの、興味を示すもの、そういった類のものは実に“自分勝手”らしい。
振り幅が大きければ大きい方が感情は動く。桜も、死も、そうだ。
残酷さや不幸があるから慈愛や幸福を感じ取られる。
なら、そうだ、やはり、お前が不幸でいてくれてよかった。この幸せはお前の不幸で成り立っている。
【桜散る】
桜が咲く頃から葉桜になるまで
期間限定の花粉症になるらしく
くしゃみ、顔の痒み、目の痒み、
今は血液検査でアレルギーを特定できるそうですが
だからって症状が治まるわけもなく
今年も一段落つきました
久々に感じる春の嵐。
降水確率100%の大雨と雷。
それらによって少しづつ散り出したある桜は満閉となる。
またある桜は蕾のまま少しずつパラパラと落ちていく。
満開になるのはあと少しの時点で春嵐。
桜散る時期早きなり。
162テーマ【桜散る】
桜散るこの時期。
新生活に目を輝かせる。
新しい出会いが多いこの季節、期待や不安に満ち溢れているでしょう。
少し前までは別れの時期。
出会いあれば別れあり。
それでも縁が結ばれていればどんな形であれいつかは交わるもの。
桜散るとだけ聞けば受験の失敗の意味もあるけれど、人との繋がりをとても感じられる良い季節だなと私は思う。
人の出会いは一期一会。
大切にしていけたら素敵ですね。
お前を剥製にして、永遠にしてしまうのはどうかと提案した時、「いずれ散るから美しいのよ」と言われた。
そうでもなかった。
お題:桜散る
お花見をしましたか?とあの人は聞いて
いえ、まだですと私は答えた
ありきたりな会話から話は弾み
花は開き特別なものとなる
けれどもやがて
決められた長さの蝋燭のように
小さな灯火は消え
またお話ししましょうと
ありきたりな別れの挨拶を残し
暗闇の渦の中に彼は消え去った
私の心に記憶の葉を残して
夢見る心が頭を過るも忙しすぎて時間切れ。桜散る、が今日のお題と来たが、まだこの街では咲いてない。
そういえば、私は「花が終わって葉桜になってきた」とか、「すっかり葉桜だ」とは言うけど、「桜が散った」とは言わないな…。花が終わればつまらぬなどとは感じない。桜が花咲く支度は、前年秋から始まる。冬芽で冬を越え、気温累計が一定まで達すると、狂いなくその時点で咲く。「季節外れに狂い咲き」などという表現があるが、その前のタイミングでストンと冷え込んだ期間が必ずある。それからの気温累計が開花条件を満たしただけだ。
私のすみかの裏に、桜の木と松の木があった。松は年中緑絶えないが、桜は季節の巡りで皆さん御存知の移り変わりがある。花が咲くのも楽しいが、この桜は散り方もすてきだった。私は2階に住むが、窓の外を流れる緩やかな風に、桜の花びらも流れて来る。なんともほほえましい、柔らかな楽しみだった。
松も桜も、お隣の敷地にあった。桜の木にウロができ、倒れたら恐いからと、お隣のおばあちゃんが業者に依頼して伐ってもらっていた。残念だが仕方ない。目蓋の裏に、流れる春を仕舞っておく。
桜散る
もうすぐ咲きそうだね
キレイに咲いたね
散り始めたね
見ればわかることを
共感したいんだ
君と
さくらさくら
静かに咲く花
恋しいあなた
春風に乗せて
舞うひとひら
さくらさくら
人は何を思う
花は何を思う
風は吹く強く
大地を染める
さくらさくら
忘れないでと
わたしに囁く
微かな音色で
美しいままに
『桜散る』
桜が散れば一緒に春も終わったって感じがして、その度に「春ってこんな短かったっけ」ってなる。記憶の中だと春ってもっと長かったはずなんだけど、なんか気がついた頃には終わってる。春ってそんな感じの季節だ。
力強くそして優しく
美しく咲き誇り
散る時も力強く
また優しく美しく
たくさんの人に感動を与え
散っても何度も咲き誇る
そんな女性になる
『桜散る』
メンタル強いと無神経で
メンタル弱いと卑怯者
そんな時代に生まれてきたら
ほんとにつらいときも泣けなくなった
私は私、で生きてたら
空気読めない自己中判定で
人の目を気にして生きてたら
ウケ狙いの八方美人になってる
不合格が表示されたスマホを握りしめて
空に舞うソメイヨシノを見てた
「一緒に受かろうね」って約束した皆のこと
本当は全然好きじゃなかったから
私いま、ほっとしている。