『月に願いを』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「月に願いを」
新月に願いを込めて、祈りを歌として捧げますので。
満月に感謝しつつ、眠りにつく事をお許しください。
間違えて発言した
ということにしたいけれど
そうもいかない
だって、本音のようなものだから
月に願いを
「月に願いって、元ネタは何?」
遊びに来た友達は雑誌から目を離さずに、声だけをこちらに飛ばした。
「知らん。歌かなにかじゃないの?」
マニキュアを塗りながら答えると、それが彼女の気に入るものではなかったようで、「つまんないの」という声とともに読んでいた雑誌が飛んできた。
「願うと、どうなるの?」
「知らないけど、落ち着くんじゃないの?」
片手分が終わった私は雑誌を投げ返す。
ストレス発散の方法に、声を出したり言葉にして吐き出すといったものがあったと思う。
声に出すことで目標をはっきりさせるとか、諦めるとか、何かしらの納得でもするんじゃない? そう答えると、彼女は「そういう考え方ね…なるほど」と雑誌をしまう。
「私も、今度月に願ってみるわ。
好きな人との両想い」
がんばれ〜と応援すると、彼女は窓からまだ明るい空を見上げた。
次の日から、彼女はこれまで以上に一緒にいることが多くなったけど、何を願ったの。
月を見上げてこう願う
「神様どうか私を愛してくれる世界に連れて行ってください」
寝付けない夜に外に出てみる
白銀の月が眠る街を静かに照らしていた
柔らかな影が私と共に歩いている
誰もいない道は静かで
虫たちの声がよく響いてくる
空を見上げると
まぁるい月が高くから私を見下ろしていた
お月様 今夜は私とおしゃべりしましょう?
他愛もないつまらない独り言を
月は何も言わずに静かに聴いてくれている
・・・どうかこの平和な夜が永遠に続きますように
「月に願いを」
お題《月に願いを》
世界が零れ落ちてゆく物語。
夢見は、いつも朝霜に。
永遠を夢見た月に願う。
世界を巡りゆく、許可がほしいと。
物語を、変えることを。
月は対価を望み、それを空白の少女は受け入れる。
いつだって願いには、それ相応の呪いが必要だ。
地球誕生のほぼ同時期から
月はそこにいてくれて
その引力が潮汐をうんで
おかげで地球はゆっくり自転
月がなくては1日が 8時間の高速自転
昼の時間は3〜5時間
始終強風が吹き荒れて
地球上の生物も生活も一変
いまも毎年約4センチ
地球から離れていっている月
お願い遠くへ行かないで
ずっと側にいてほしい
「月に願いを」
#432
昨日は仕事が上手くいかずに、雨に当たって反省しまくっていたところ、恋人に見つかり自宅へ連行、自分の身体を大事にしなかったことへのお説教が待っていた。
これも反省だなと考えながらお風呂に入ったあと、温かいココアと一緒にそばにいてくれた。
「大丈夫だよ」
という言葉と共に。
今日は仕事も休みだから二人でゆっくりしていると、雨の音もしなくなった。
「雨、止みましたね」
窓の外を覗いた恋人が笑顔で言う。
どんよりした空気と気持ちは、天気と共に軽くなったのが分かる。いや天気だけじゃない。
「今日、月は見えそう?」
そう彼女に言うと
「うーん……まだですね」
「今日は難しいかな?」
「寝て待てば出てきてくれるんじゃないでしょうか」
「寝て待てって?」
「そう!」
屈託なく笑う彼女に、楽しさが込み上げて、不覚にも笑ってしまった。
「お月さまにご用事が?」
首を傾げて笑う恋人。
「そうですねぇ。明日の仕事は更に頑張れるように、お願いしようかと」
冗談交じりで言うと、彼女は笑って〝大丈夫ですよ〟と返してくれる。
「じゃあ、早いけど。寝て待つ?」
「そのまま起きられないかも」
ひとしきり笑ったあと、片付けをして、月が出るのを待つことにした。
そんな〝寝待ち月〟の夜。
おわり
お題:月に願いを
太陽よりは物憂げで
ホタルよりは力強い。
見上げればいつもそこにいて
静かに夜を照らしてる。
どうかその優しい光で
あの子の悲しみを包んであげて。
静かな幸福に包まれて
微笑む夢を見られるように。
新月から願いをかけよう
あの人の後ろ姿を想いながら
やがて横顔になり
満月があの人のあたたかい微笑み
になるように。
月の光ってのはさ、太陽光の反射なんだ。
そこに何かを掛けるとな、跳ね返って、逆さになるんさ。
いいかい、あまり軽はずみに言葉を放るもんじゃないぞ。
茶をすすり、イカサマ占い師がニヤリとした。
【月に願いを】
月に願いを
誰も隣に居ないから、そこからでいいので私をぼんやり照らしていて下さい。そうしたら少しは救われるので。
日々家
“月に願いを”
お月さま
もし願いを1つ叶えて下さるのならば
また、あの頃に戻して下さい
あの、愛に満ち溢れた日々に
どうかどうか
こんなに荒んでしまった私になる前の私の日々に
月に願いを
君は窓越しに 僕を見た
手を結んで 願いを言ってた
月に願いを
鳥になりたい
この檻から飛び出したい
うさぎの君は 月の僕にそういった。
「月に願いを」
部活終わりの真っ暗な学校の廊下を先輩と一緒に帰っている。
月の明かりが窓から優しく差し込む。
先輩は私より背が高く、話す時はいつも少し見上げている。
先輩が微笑んだとき月の照明があたり、ほのかに影ができた。
私は思わず息を呑んだ。
なんて綺麗な笑顔なんだと。同時にこうも思った。
この短い廊下の中だけでもいいから、もっと先輩の笑顔を見ていたいと。
そして私は月にお願いをした。
この時間だけでも先輩を照らして、と。
あたなが幸せになりますように。
まんまるい綺麗な満月に
今夜、そう願う__。
「月に願いを」
ついつい
月に長居をしてしまった
そろそろ帰還せねば
レバーを戻して 背筋を伸ばす
窓の外には本物の新月
真実の私は 何を願おう
哀しみばかりのこの地上で
生身の頼りなさで
【月に願いを】
この手の話は…
正直信じていないのだ
ワタシは昔から現実主義だ
アイドルなどの推しも出来たことがないし
神なども本来、信じてはいない
誰も信じられる人がいなかったせいだろう…
何かに縋ることすら出来ない人間は
夢見ることを憚れる
だから
信じられるのは自分だけ
何かを叶えられるとすれば自分だけなのだよ
願掛けで叶うくらいなら…
とっくにしてるのさ
いや、
とっくに幼い頃にしてきたさ
でも結局
自分を守れるのは自分だけだったんだ
ワタシは
月にも
星にも
願いなんてしない
やるもやらないも
叶うも叶わないも
自分次第だ
ワタシはそれを諦めない!
月に願いを
月に願いを
星に祈りを
望んでばかりの
他力本願の日々
あの人は甘いものが何よりも好きだ。洋菓子から和菓子までこよなく愛し、自ら作り上げる数々の品は絶品だ。
そんな彼が今日ご馳走してくれたタルトも、筆舌に尽くし難い程美味しかった。
ご馳走様、と言おうと彼の方を向くと視界が見知った色に包まれ、唇に触れた。
あぁ、そういえばお菓子より好きなのはこちらだったか。
食べられてばかりではないぞ、と押し返すようにして蕩ける。他の何にも変えがたいこの時間はどんなお菓子よりも甘く柔らかで、二人の大好物なのだ。
お題:『お菓子より甘く』