とある恋人たちの日常。

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 昨日は仕事が上手くいかずに、雨に当たって反省しまくっていたところ、恋人に見つかり自宅へ連行、自分の身体を大事にしなかったことへのお説教が待っていた。
 
 これも反省だなと考えながらお風呂に入ったあと、温かいココアと一緒にそばにいてくれた。
 
「大丈夫だよ」
 
 という言葉と共に。
 
 今日は仕事も休みだから二人でゆっくりしていると、雨の音もしなくなった。
 
「雨、止みましたね」
 
 窓の外を覗いた恋人が笑顔で言う。
 どんよりした空気と気持ちは、天気と共に軽くなったのが分かる。いや天気だけじゃない。
 
「今日、月は見えそう?」
 
 そう彼女に言うと
 
「うーん……まだですね」
「今日は難しいかな?」
「寝て待てば出てきてくれるんじゃないでしょうか」
「寝て待てって?」
「そう!」
 
 屈託なく笑う彼女に、楽しさが込み上げて、不覚にも笑ってしまった。
 
「お月さまにご用事が?」
 
 首を傾げて笑う恋人。
 
「そうですねぇ。明日の仕事は更に頑張れるように、お願いしようかと」
 
 冗談交じりで言うと、彼女は笑って〝大丈夫ですよ〟と返してくれる。
 
「じゃあ、早いけど。寝て待つ?」
「そのまま起きられないかも」
 
 ひとしきり笑ったあと、片付けをして、月が出るのを待つことにした。
 
 そんな〝寝待ち月〟の夜。
 
 
おわり
 
お題:月に願いを

5/26/2024, 11:14:08 AM