『日の出』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「日の出」
日って、どこからやって来るのだ…
地球の裏側か
太陽についていって
地球1周すれば、ずっと明るいのだろうか。
なら、月について行けば、朝から逃げられるのか。
そう考えた私は、車で太陽から
1日逃避行計画を立てた。
結果、ただのお出かけとなった。
そして今日も、日が登る。
太陽から一日逃避行計画はあっけなく幕を閉じたのであった。
決めました今年です
なんとしてでも頑張って、
日の出にします
【日の出】
純粋に日の出そのものを楽しみにするのは、
初日の出か絶景スポットめぐりくらいで、
楽しい事がある日の日の出なんかも嬉しいだろうが、
そこには後に待っているコトへの期待を含む。
その逆の、退屈な日々や嫌な業務の幕開けとしては、
何も悪くないのにキッとした目を向けられて可哀想だ。
都合のいい時だけ拝まれて、望まれて、
都合が悪い時には疎まれて、あたられる。
でも毎日そんなことは知らないふうに、
当たり前みたいに、照らしはじめる日の出に、
憧れと尊敬を感じて、ありがたいと思い、
そんなブレない心をもちたいとも思った。
#日の出
- 日の出 -
水平線の向こう。きっとはるかはるか遠くの、その向こう。ぼてっと輝くインクを垂らしたかの如く、光が滲む。滲んで、空の赤い色とまぎれ合うみたいに、ゆっくりとあがっていく。海の表面からじんわりと、顔を覗かせる、小さな眩しい染み。そのまま海水と溶け合って、輝くインクで満たして欲しい。その時の海はどんな味がするんだろう。でも2人の間にはずっとずっと、遠い距離があるから、叶うことはない。夢。
お題:日の出
後日あげるのでお題とスペース保存しておきます。
日の出
1月1日
パッと目が覚めて外を見ると、ちょうど東の空から太陽が登ってきた。
「う、あ。まぶしぃ…。」
眩しすぎて目が開けられないほど強い光を放つ。
これが、俗に言う『初日の出』か。
今まで、太陽が登りきってから起きていた俺は今日、生まれて初めて『初日の出』を見た。
眩しすぎてなのか、初めて見ることができた感動なのか、目から一筋の涙が流れた。
「太陽って、こんなにすげぇのかよ。来年も見よう。」
そう言って、また布団の中に潜り込んだ。
『日の出』
最近のゲームはすごい。
よりリアルに近いグラフィックだったり、
ゲームの味が引き出されていたり...
画面がどんどん明るくなっていく。
ゲームの世界は夜が明けていく。
優しくて明るい日の出。
これがリアルなら暖かいんだろうなあ。
この部屋は暖房が効いてて毛布もある。
暖かいけど...寒い。
スマホで時間を確認する。
...7時前。
あと少しすれば日の出だ。
...今年は見てみようかな。
厚着して外に出る準備を始めた。
語り部シルヴァ
本家に
呼ばれないのは
出自が
ねぇ
辞書だもの
日の出
群青の幕が静かに剥がれ
地平に細い朱(あけ)が差す
夜と朝の狭間でひとり
世界が生まれ変わる光を見る
題名:日の出
お日様が上がる。
たったそれだけでも、すごいものだ。
まだ地球が動いているから。
まだ私が生きているから。
なんだろうな。
当たり前のようにしか思えないんだ。
私が死んだことが無いからかな。
そしたら大切に思えるのかな。
全部が全て、今の状況でさえも。
永遠に綺麗な星空のままの夜もあるの
日の出
日の出
今年の始まり
日の出
良い年であります
ように…
まだ暗い空の先を、睨むようにして見上げていた。
「日の出はまだだ。そのような顔をするものじゃない」
「そんな顔って、どんな顔よ」
隣から聞こえる声に、憎まれ口を返す。
姿は見えない。もう見えなくなってしまった。
「いつにも増して機嫌が悪いな。何かあったか?」
「別に。ただ来年の事を思うと、ちょっと落ち着かないだけ」
「そうか。十八になるのか。もう巣立ちの時期なのだな」
感慨深げな声に、手を強く握り締める。
その声音は酷く穏やかで、別れを惜しむ感情は一切含まれていない。
私だけだ。別れを怖れ、泣いて縋ってしまいたいのは。
小さい頃から見えていた、人ではないモノ達が見えなくなり、声が聞こえなくなってきたのはいつからだろう。
最初は、祖母の家の奥座敷にいた少女だったように思う。
最初の友達。皆には見えないモノを見る、変わった子として周りから爪弾きにされていた私に優しくしてくれた、可愛い女の子。おはじきやかるたなど、昔の遊びをたくさん教えてくれた、優しい子。
彼女に手を引かれ、家の中や周囲の皆に紹介してもらったからこそ、一人の寂しさに耐える事が出来た。
それなのに、数年前から彼女の姿が見えなくなった。戸惑い泣く私に、仕方がない事だと宥めてくれた優しい声すら、今はもう思い出す事が出来ない。
彼女が消え、家の中にいた皆が次々に消えて、声を残して他のモノは見えなくなった。
きっと今年が最後だ。
「ね。あの子はまだ奥座敷にいてくれているの?」
「ああ。彼女はいつもお前の帰りを待ち、見守っているよ」
「いつもありがとうって、伝えてくれる?」
「それは直接伝えるといい。屋敷では常にお前の側にいるのだから」
声は優しく、それでいて何よりも残酷な事を言う。
姿が見えず、声も聞こえないのに、どこに向かって言えというのか。
鼻の奥がツンとする。気を抜けば直ぐにでも泣いてしまいそうだ。
「なんでそう、酷い事が言えるかな」
「酷い、か。そういうつもりではないのだが」
「そうね。これっぽっちも考えた事はないよね」
「やはり機嫌が悪いな。俺といるのは苦痛か?」
声はまた、酷い事を簡単に言葉にする。
耐えきれなくなり、膝を抱えて俯いた。
「少し、疲れた。日の出が近くなったら起こして」
声が何かを言うよりも早く、適当に言い訳をして目を閉じる。泣くなと自分自身に言い聞かせ、声が漏れないように唇を噛んだ。
声はすべて分かっているのかもしれない。泣くのを我慢している事も、別れを怖がっている事も。
これはただの強がりだ。私の精一杯の見栄だ。
それでも良い。
最後に残った声の主である彼には、弱い所は見せずにさよならを言いたかった。
ふと、呼ばれた気がして顔を上げる。
暗い空の向こう。一筋の白を認めて目を細めた。
日の出だ。新しい一年が始まったのだ。
「きれい」
「毎年見ているだろうに」
隣から呆れた声がして、ほっとする。
まだ聞こえている。彼が隣にいる事を感じられる。
こうして最後に一緒に彼と一緒にいられる事が、泣きたいくらいに幸せだった。
「今年で、きっと最後だ」
「すでに決めているのか?」
「まだ。進学も就職も、何にも決めてない。でも働く事になるだろうね。おばあちゃんはもういないから」
祖母は去年の秋に亡くなった。眠るように、穏やかに逝ってしまった。
両親から愛されなかった私を、唯一愛してくれた祖母。子供の私を守ってくれる大人は、もういないのだ。
「ごめんね。おばあちゃんが残してくれた家、きっとお母さん達に取られちゃう。私じゃ、守れないから」
祖母の遺志だとしても。
子供の私の言葉を、大人達は聞いてくれない。適当に宥めすかされ、言い聞かせられて大人の都合のいいように事を進めていくのだろう。
「気にするな。仕方のない事だ」
仕方がない。軋む心に手を当てた。
彼が冷たいのか、そう思えない私がおかしいのか。
白む空を見つめ、その先の昇る日を睨んだ。
朝が来る。泣いて嫌だと叫んだ所で、時は止まらない。
あぁ、嫌だ、と手を握りしめた。
好きなものを守れない私も。さよならに怯える私も。彼を酷いと思ってしまう私も。
弱い私が、私は大嫌いだ。
「夜が明けるな。そろそろ戻るとしようか」
「そうだね」
頷くも、視線は朝日に向けたまま。
丸く、欠けた所のない太陽に嫉妬した。
いいなぁ、と小さく溢し。嫌いな私と比較して、笑った。
大嫌いな私なんて、このまま消えてしまえばいいのに。
声を出さずに呟いた。
ぱちんっ。と。
何かの割れる音がした。代わりに周りの音が消えた。
「え?」
振り返る。そこにいた皆の姿を認めて、声が漏れた。
赤い振り袖をきたあの子。家を軋ませて笑っていた小さい子達。
近くの淵に引きこもってばかりだったはずの青年。踊るのが好きな猫や狸達。
そして、彼。
皆がいた。一人ぼっちの私を支えてくれた、優しい彼らがそこにいた。
焦ったように、困惑し必死で誰かを探している。声は聞こえないけれど、皆誰かの名前を呼んでいる。
「どうしたの?」
声をかけても、誰も私に気づかない。
そこでようやく理解した。
私は、いなくなってしまったのだ。
口元が無意識に緩む。くすくす、と声が漏れてしまう。
彼らが私を探してくれている。それが何より嬉しかった。
彼の側に寄る。久しぶりに見る事の出来た彼の姿に、初めて見る焦りを含んだその表情に、益々彼を好きになる。
大好き、と小さく呟いて、彼に手を伸ばす。
彼に触れる事なくすり抜けた手を、少しだけ残念に思いながら。手を引いて、数歩下がる。
彼を見て、皆の事を見て。
「ありがとう。さようなら」
笑う。皆が好きだと言ってくれた、とびきりの笑顔を浮かべた。
くるりと彼らに背を向けて、歩き出す。
これからどうすればいいのかは、何一つ分からない。けれど何とかなるだろう。
不思議と怖くはなかった。大丈夫、と弾む声音で囁いて、飛び跳ねるように道を行く。
何だか楽しくて仕方がない。
「こ、のっ!大丈夫なわけがあるか!」
ぐい、と腕を引かれた。バランスを崩して背後に倒れ込む体を、大きな影が包み込む。
「お前、日の出に何を望んだ!何を望めばこうなるんだ!馬鹿なのか?いや、馬鹿だからこうも気楽なのだろうが。あぁ、まったく!」
「え?えと、あれ?」
背後から降り注ぐ声に、訳も分からず目を瞬く。
「さっさと何を望んだのか説明しろ、この阿呆。呆けている暇があるなら、この消えかけている状況を何とかする努力をしろ。本当にお前は、昔から突拍子もない事ばかりするのだから」
「いや、そんな変な事ばかりしてないし。というか、何が起こっているのか私にも分からないし」
「おい、黙ってないで何とか言ったらどうだ。いつまで黙りを続けているつもりだ」
おや、と首を傾げる。
ねぇ、と体を抱き留めている彼の腕を叩き声をかけるが、反応はない。
伝わらない事にどうしようかと悩んでいれば、小さな手が腕に触れた。
はっとして視線を向ける。柔らかな、それでいてどこか哀しげな笑みを浮かべた赤い振り袖の少女が、腕から手首へと手を這わせ、そのまま強く手を繋いだ。確かめるように、離れないように繋がれた手に、思わずごめん、の言葉が零れる。
「声。聞こえていないのかも。さっきより姿も薄くなっている。わたしたちが分からないのかもしれない」
「そう、だな。先に隠してしまった方が良いか。また消えられてしまったら、探す事も叶わんからな」
「お屋敷は、こちらで隠しておくから。それじゃあ、彼方で」
「あぁ。後でな」
するり、と手が離れ、少女は背を向け去って行く。
名残惜しげに手が彼女を追うが、きゅっと強くなった彼の腕に、身じろぎして彼を見た。
目線は合っているはずなのに、視線が合わない。彼の目の中に私の姿が見えない。
「世話の焼ける子だ。精々、軽率に俺らに望む事の愚かさを、彼方で悔いる事だな」
呆れを乗せた声音で呟く彼の周りを、風が舞う。
ざわり、ざわ、と渦を巻いて、周りの景色を歪めていく。
怖くて彼にしがみつけば、小さく笑う気配がした。
「お前のほとんどが消えた原因の説明を聞いた後は、説教だな。言いたい事がある奴らで、順にしてやろう。足のしびれで立てなくなるだろうが、自業自得というやつだな」
久々に見る、彼の怒りの込められた凶悪な笑み。
最後に見たのは、夜の冒険に憧れて一人家を抜け出した時だったか。
あの時は泣いた。涙が涸れるくらい泣いて、謝って。一日二日で終わらない説教に、もうしませんと固く誓う程の恐怖は、決して忘れる事は出来ない。
ひぃ、と声が漏れる。逃げようと暴れる私に気づいて、彼の笑みがさらに深く、怖ろしくなっていく。
「今までは泣くお前が不憫になって、手心を加えてやっていたが、今回ばかりはそうもいかない。俺を含めた皆の説教が終わるまで何日かかるか分からんが、まあ気にするな。彼方は時の流れなど、あってないようなものだからな。存分に泣いて、叱られろ」
もうすでに涙目である。
彼の笑顔をこれ以上見ているのが怖くて、必死で顔を背け、目を瞑る。
「本当に、何を望めばこうなるんだか。これだけ狭間に近づいても、お前の姿がほとんど見えないとは。烏の気まぐれにも困ったものだ」
「からす?」
「まだいるな。折角だ。元に戻してくれと、望んでみたらどうだ?」
促されて目を開け、太陽を見る。
大分高く昇った太陽は、歪む周囲の景色に逆らって変わらずまん丸で綺麗だ。
かぁ、と鳴く声。僅かに残っていた木の一番高い枝に、一羽の烏が留まっていた。
こちらを見下ろしかぁ、と鳴き。金色の翼を広げて飛び上がる。
――嫌いなあなたはいなくなった。好きなあなたは好きなように生きればいい。
優しい声音でそれだけを告げ、太陽を目指し飛んでいく。
「嫌い?好き?一体何の事だ」
困惑する彼の声を聞きながら、歪んで消えていく太陽と烏をただ見つめていた。
20250104 『日の出』
みんな俺を必要としていない俺は死んだ方がいいわがままだし嫉妬深い妹にだって嫉妬して強く当たっちゃうこんな自分の事が大嫌い自分を殺したい
「日の出」
「明けない夜はない」と皆口を揃えて言うけれど、私の心はずっと夜だ。今までもこれからも、ずっと夜のまま。
静かで、寒くて、誰もいない。それが私の心。
かつては日の出を見ることを願って、空虚な嘘で心を満たしたこともあった。でも、やはり意味なんてなくて、ただ夢が夢で終わっただけで。とても疲れた。
やはり私は、このまま永遠の宵闇に身を置くのがお似合いのよう。だからこれからも、夢は見ない。
そう思っていたある日、どこかでこんな言葉を見かけた。
「夜の中に美しさを見出せばいい」
そうだった。私は無理をして夢を見なくてもいい。光を浴びなくてもいいんだ。
分厚い雲がたちこめたこの心の静寂も、冷たさも、孤独も。
全て私だけのもの。
そう思えば、心が温かくなった。
これからも、私は永遠の夜と共にあり続ける。
「なァ相棒。今年は初日の出、見てみねェか?」
と、気怠げに問いかけてきたのは。ふと思い返せば正月は大体バトルアリーナに行っているか、今のようにコタツで雑魚寝しながら駄弁っているかのどちらかだった。
「それもいいかもね」と返せば、何時もへの字の口でつまらなさそうな顔がぱぁっと光り輝いた様に笑った。
「約束だからな、相棒。寝たらボクちゃん拗ねちゃあう」
なんてまるで少年みたいに言うものだから思わず笑ってしまった。いつも正月は寝ないけれど、今年は楽しみで尚のこと眠れないなと思いつつ蜜柑を頬張った。
日の出
足を引きずりながら帰路に着く。
今日も誰にも褒められない労働をし、寿命を削り取られるような人に出会い、身も心もボロボロだった。
暗い田舎道。砂利の音が自分が今歩いているということを示してくれている。
人は寝静まり鳥の声しか聞こえない。
いつのまにか自分の口から絞り出すような泣き声が漏れる。
悲鳴にも似た音は冷たい空気を揺らし孤独感を増幅させる。
家に帰っても温かく迎えてくれる人はいない。
食べ物も豊かな暮らしも手に入れられる現代で、こんなにもひもじく悲しい思いをしているのは私だけだろう。悲劇のヒロインとしてでも主人公にしてもらわないと報われない。
頬に涙がつたい、冷たい風が容赦なく吹きつける。
ふと立ち止まってしまおうかと考えた。
歩みを止めたら冷たい風に吹かれることも悲しい思いをすることもない。
周りが歩いているから何となく歩いてきたが、私はここでリタイアしても許されるのではないだろうか。
足の運びが遅くなった時だった。
空が白み始め、目の前が明るくなった。
遠くの山の影が見え始めた。
鳥が翼をはためかせて飛んでいく。
どこからか人が動き始める気配がする。
自分の息が白くなっているのに気付いた。
涙はいつのまにか乾いて、風が止んだ。
その瞬間強い光が体を包み込んだ。
全てのものが色づき、光や熱を求めて必死に背筋を伸ばす。
夜明けの一番暗い時間を超えた。
私はまた歩き出した。
一緒に年越しをしようと誘ってきたのは貴子だった。
結婚をせずずっとひとりでいた貴子にとって、クリスマスから始まる年末年始のイベントは少し憂鬱なものだった。親戚の集まりに行けば結婚を仄めかされ、世間一般に行われる行事に参加するには腰がひけた。
だから、貴子はこの時期はできるだけいつもいる場所から離れてゆっくりと過ごす事にしていたのだ。パートナーがいる時はパートナーと、いない時はひとりで新年を迎える。迎える…と言うよりはやり過ごすといった感じだろうか。昭子がひとりで正月を過ごすと聞いた時、昭子も自分と同じような気持ちになる事にせつなさを覚えたのだ。それで思わず誘ってみる事にしたのだ。
秋が始まる頃に年末の過ごし方を考える。今年は海外にでも行こうかと思っていたが、海外旅行に誘うのはさすがに気が引けたので、近場のホテルで過ごすのはどうかと誘ってみた。
昭子にとって正月は家族と過ごすイベントだった。結婚してからは義実家への新年の挨拶に行くことが儀礼だったし、子どもができてからも毎年のように通っていた。義両親が他界した後も夫や子供と過ごしてきた。孫たちが遊びに来てくれたりとかけがえのない時間だった。
家族がいなくなった今、新年の迎え方がわからずにいた。むしろ、新年を迎えるということすら意識していなかった。
そんな時に貴子から提案された年越しはとても魅力的に感じた。
師走になると、世間は慌ただしい雰囲気になるが昭子の日常も貴子の日常も変わることはなかった。
以前であれば、大掃除をし、年賀状の手配をし正月の準備を整える。そんな慌ただしい日々を過ごすことになる。だが、こじんまりとした昭子の部屋は大掃除をするほどのことはなかったし、年賀状も数えるほどしか出さなかった。正月の準備も正月飾りを玄関にかける程度のものだった。
それよりも久しぶりの友人との旅行にわくわくしていた。
12月31日に電車に乗り海辺のホテルを目指す。海水浴場に面し屋外プールを備えたそのホテルは夏には家族連れで賑やかだが、寒い冬には宿泊客がぐっと減る。とは言え、年末年始ということもあり、それなりの賑わいを見せている。
海が一望できる部屋に通された。
「いい眺めだねぇ」
夜の食事はレストランを予約している。年末のコース料理が出された。
互いに朝は早い。5時には目を覚ました。外はまだ暗い。
「海岸まで初日の出、見に行こうか」と言い出したのは昭子だった。
海岸まではホテルの庭園を通り抜けて10分ほどだ。すでにたくさんの人が初日の出を見るために集まっている。
「寒い!どっちから出てくるの?」「多分、あっちかなぁ。うー、寒い」
空はすでに青くなりつつあるが、まだ太陽は出ていない。
身体を震わせながらしばらく待っていると、周りのざわめきが聞こえる。
水平線にうっすらと赤い光が覗く。息をのみながら光の動きに注視する。赤い光が大きく丸みを帯びてくる。何も言えず、ただ見つめる。心が無になる。無心。
やがて丸い太陽が姿を表す。バラバラと周りの人が海岸を後にする。昭子はただ立ち尽くしていた。太陽の熱が身体を温めてくれたのか、知らぬ間に寒さも忘れていた。
「そろそろ行こうか?」という貴子の言葉でハッと我に返る。
「うん、すごく良かった。私、ちゃんと日の出を見たの初めてかも」と昭子。
「初日の出、見れてよかったね」
「うん、なんか生まれ変わった様な気分だよ」
——————-
お題:日の出
小学生の頃、3歳年上の兄と二人で初日の出を見る為に、
元日の朝に近くの山に登った事を思い出しました。
今となれば何でもない事でしたが、まだ外が暗い中を二人で山を登り、
寒い寒いと言いながら朝日を待ち、やっと朝日が顔を出した時はめちゃくちゃ嬉しかったし感動しました。
思い出や印象的な記憶は、五感で覚えてるもんなんだなぁと思いました。
今はネットがあれば美しいものが何だって見られるし、
現に私はネットに頼りっぽなしなんですが、
実際に体験する事の大切さを忘れちゃいけないなと思いました。
日の出
「はぁ、今日も寒いなぁ」
ダウンのポケットに手を突っ込んで歩く
人も車も通らないこの時間、この場所を歩くのは年に1回だ
行き先は開けた丘
そこが1番 日の出が綺麗に見える…気がする!
「着いたー」
丘の上から見える街の夜景は綺麗だ
これもここに来る楽しみだ
「5時30分かー
ちょうどいいな」
スマホで時間を確認して、思わず頷いてしまう
持ってきた折り畳みのミニ椅子を広げてひざ掛けと保温性の高い水筒に入れたコーヒーをコップに注ぐ
「はぁ、あったか…」
湯気が立つコーヒーを口にしてホッと一息つく
そこからはただひたすら日が出るのを待つ
だんだん辺りが明るくなり、日が顔を出す
「眩し…」
眩しすぎて掌で影を作る
完全に日が昇るまで見届けると広げていた物を片付け、陽の光を背中に浴びながら帰路につく
今年も初日の出が見れて満足だ