『手ぶくろ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『手袋』
あなたが残して行った右の手袋。片割れとはぐれたまま置き去りにされた様が、まるで私みたいで捨てられなかった。
ぽつんとテーブルの陰に置かれたそれを、もうしばらくと見つめたまま時が過ぎた。どうして片手だけ置いて行ったのだろう。詮無いことを考えた。きっとただ忘れて行っただけのそれに、意味を見出そうとするほうが虚しいのに。
二度と取りに来られることのない忘れ物。触れられないままいくつかの夜を越えるうち、呆然とした時間を共に過ごしたそれに、なぜだか変な愛着を持ってしまっていた。私と一緒に置いて行かれた時、きっとこの手袋も呆然としていたことだろう。
フラれた男の忘れ物をタンスの隅にしまっている女だなんて、文字にすると随分と気持ち悪い。普段は存在を忘れているそれを、思い出すたびそう感じる。そう感じはするのだけれど、やっぱり捨て切れないのだから、これは未練というより執着と呼ぶべき呪いなのかもしれなかった。
あなたに別れを告げられてからずっと、私は私の左手を包んでくれる存在を探している。
探し物
私の探し物知りませんか?
ホカホカ暖かくて
ふわふわ優しくて
ニコニコ笑っていて
ワクワク楽しくて
でも見つかるのは
つーって冷たく
ぎゅーって苦しく
ぐっっ、って痛く
、、、辛い
私の探し物はどこですか?
本日のミッション : 君と手を繋ぐ
気温氷点下。ところにより降雪。
寒がりの君はコートにマフラー、手ぶくろでがっちりと防寒対策をしていた。防御力高いな…。
いや…うん、手ぶくろ越しでもいいんだけど…。
本日のミッション : 君と手を繋ぐ――『失敗』かな。
【手ぶくろ】
『コールドムーンターキー』
冷たい月が口づけせがむ 雲が僕らを隠してしまうその時がきっとチャンスだよ あの子の唄うブギウギが
世界を水玉にしてしまう いつかここで生活をはじめよう 記念日にはパーティーを開こう 冷たい月と約束したんだ
「さっむ...」
流石に上着とマフラーだけじゃ駄目だったか
手袋も必要だなぁ、此れからはちゃんと着けてくか
「おっはよ〜!」
「おう、手前はこんなさみぃのに元気だな」
「そりゃあねぇ....あ!じゃあ」
また、ろくでもねぇ事思いついたのか?
「此れ右に着けて!」
「あ?此れ手前の.._」
「良いから!」
そう言われ仕方無く右に着けた
「そしたら〜、此れで良し!」
「はぁ!?」
俺は彼奴と手を繫いで、ついでに繋いだ手達が彼奴の上着のポッケに入った状態になった
「おい、恥ずいから辞めろ」
「朝だし此処人余り通らないから大丈夫!」
俺の心臓が大丈夫じゃねぇんだよ、糞が......。
# 29
登下校、友達は手袋を片っぽ貸してくれた。
優しさと友達の手袋で、体があったかくなったような気がした。
「手ぶくろ」
ペダル漕ぎ
かじかむ指を
見て悔やむ
予報は雪だと
知っていたのに
手袋にお洒落感を求められる時は余裕があるとき
何も考えられず防寒のみでつける時は自分がいっぱいいっぱいな時
今、いっぱいいっぱいだよ
がんはってるね
手ぶくろの指先には、雪が住んでいる。
幼い頃、本気でそう思っていた。だってそれくらいヒンヤリしていたのだ。
指先にくまさんがあしらわれた、ピンク色の手ぶくろ。
するりとはめると手のひらのあたりは温かくなるのに、指先だけ冷たいまま。
手ぶくろの指先には、雪が住んでいる。だからそう思っていたのだ。
……なんのことはない。筋金入りの末端冷え性だっただけのこと。
未だに指先は冷え切っていて、血を通わせるのに一苦労だ。
雪が住んでるのは手ぶくろではなく、私の指先。
くまさんには悪いことをしてしまったなあ。
五里霧中
はぁ……、もう思考回路がショート寸前。
正解も不正解も無い答えを探し続ける。
『何で?』『どうして?』『何故?』
と、次々と溢れ出る疑問にウンザリしてしまう。
今日も1人で悩み続ける……。
体温と手袋、どこらが主でどちらが従属しているのか。いっけん、手袋にみえるが一つの見方でそれはひょうと覆る。
パリの丸いガードレールの先っぽに
手袋片方はめてあった
ここにあるよ、って
スマホ依存症の私は手ぶくろがそんなに好きじゃない。
全くと言っていいほど使わない。
スマホいじりにくいし、手ぶくろしても結局外すと指先が冷たくなってるし。ポッケや袖に手を入れればそれなりにあったかいし良し!!!!
でも手ぶくろは見た目が可愛くて好き。
貴方と私の記念日。
夕暮れ時の、湖が光っている橋。
ここは何て綺麗な場所なのだろうか。
目の前には、沈む太陽に照らされて、光り輝いている湖。
そして、横には私の愛する人が居る。
「私の事、好きですか。」
私が貴方にそう言うと、貴方は頬を少し赤らめた。
「何を今更言うんですか。はい、大好きです。」
貴方は私の目も合わせずにそういった。
今日は私達が付き合って、半年を迎えた。
そう、記念日だ。
「私ね、貴方の事が大好きなの。」
私がまた貴方にそう言うと、貴方は微笑んで、私の頭を優しく撫でてくれた。
「はい、分かってますよ。俺も大好きです。」
私達が付き合って、初めての時もこういう会話をし続けた。
「私ね…私、貴方の事を…愛しているの…」
私は自然と涙がポロポロと落ちてくる。
それでも貴方は、私の涙を拭ってくれた。
「分かってます。分かってますよ。だから…
死なないで。」
「えっ…」
今日は愛する人との記念日。
そして、今日は愛する人の命日。
手ぶくろ
20xx年。人類は1人1人ガラスケースの中で生きる法律ができた。
あらゆる対人での事故や事件を防ぐために生み出された法律と噂されていた。
法律ができた当時、私は20代後半だったが私より上の年代は反対していた人が多かったことを覚えている。
だが反対も虚しく、全人類ガラスケースに閉じ込められた。
人間恐ろしいもので、そんな生活を何十年も過ごしていれば人の温もりや心通った関わりをほとんど忘れてしまうのだ。
そんな中で私に人の温もりを微かに思い出させてくれるのはかつて家族に編んでもらった手ぶくろだ。
お店に売られていない私だけに作られた手ぶくろ。
スイートピーが刺繍されたこれだけが、記憶の中の温もりを思い出させてくれる。
亡き恋人の唯一の形見だ。破れたりしてもまた縫い直して使い続けている。そもそもそんなに破けない。そんな鮮やかなピンク色の手袋を毎年使っている。
手袋を履くと彼女との日々を思い出す。お互いお金が無かったのにお揃いの物が欲しかった。すると彼女がある提案をした。
「手袋を1つ買ってお互いに片方ずつ持つとか?」
正直狂った提案だと思ってしまった。それだと片方が冷たいだけでは無いのか? しかし、よく考えてみると空いた手は繋げばいい。そう思って2人で買った。
真冬の寒い日のデートに2人で手を繋いで帰ったあの時。生涯忘れることは無い一時の1つだ。
社会人となった僕は今も形見の手袋を使っている。帰社する時にはいつも手にピンク色を身に付けている。ピンクは目立つから好きだ。いじめられた学生時代、僕を救ってくれたのは彼女とピンク色の□□□□だった。
「今日も寒いなぁ〜」
虚しい独り言が雪に溶けて消える。きっと溶けるのは彼女が聞いているからなのだろう。
「今日も仕事お疲れ様!自分!」
<私が人生で1度は書いてみたかったあとがき>
皆さんは□□□□にどんな言葉が入りますか? 僕はピンク色のTシャツを着てからいじめを気にしなくなりました。明るくなれたのはピンクTシャツのおかげなので今では週3で着用しています。僕はまだ中学生ですか皆さんもお仕事や勉学を頑張ってください!応援してます!
きみの誕生日に贈るねって言った手ぶくろ
余った毛糸も、できそこないの手ぶくろも、
全部ぜんぶごみ箱に捨てた
きみがいないと、意味ないから
#手ぶくろ
手袋
人と人との縁を結ぶように
糸を縦横に折っている
それは簡単だけど
とても大切なもの
冬の寒い日に
凍えて震える人たちに
暖を送ってくれるもの
それは誰かのために用意されたもの
あの日私の手だけでなく、
心までをも温めてくれた
そんな日をわすれない
手ぶくろ
何故かいつも、手袋の片方だけなくしてしまう…去年は緑色、一昨年はオレンジ、一昨々年は紺色…しかも決まって左手…気が付くと、ポケットの中には、右手だけがポツンと入っている…そんな私に、あの人はくすくす笑い乍ら、いたずらっぽい瞳で、
また無くしたの?仕方ないね~手袋買いに行こう
って言ってくる…ごめんね、って言うと、あの人は嬉しそうに、右手を差し出して、左手に絡めてくる…
悴んで使いものにならない。
特に一番使うのに。
息を吹きかけても
袖で隠しても
なかなか温まらない。
包み込む包容力は
少しゴワゴワだけど
その力は十分。
しばらくお世話になります。
–手ぶくろ–