『宝物』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
思い返すと、人生の節目節目で
自分を支えてくれる言葉をもらった。
高校生の時、なにかと不安定だったが、
周囲にそんな素振りを見せられない私は
常に気丈に振る舞っていた。
雨の降る学校からの帰り道、
たまたま一緒になった
クラスの男子が、雨を見ながら何気なく、
あなたは頑張り屋で、何でも白黒つけようと
するけれど、
世の中のことはほとんどグレーなんだよ。
だから肩の力を抜いたらいいよ。
と言ってきた。
私はふいに向けられた言葉の的確さに
驚いてしばらく沈黙し、
その言葉の底に優しいものがあることに気づいて、
泣き出してしまった。
泣き止んだころに
雨が上がって、二人で笑った。
私にとっての宝物は
そんな思いやりに満ちた言葉たちと
それを投げかけてくれる人々だ。
私もそんな言葉の使い手になりたい。
私には宝物がある。それは彼と幼い頃から積み重ねていった幸せの欠片達だ。本当に大切に大切に箱の中にしまって、ずっと私と彼だけの秘密にしようと思っていた。
それなのに、宝箱を仕舞い込んでいた倉庫を誰かに開け放たれてしまった。みんなが箱を次々と開けて欠片達を持って行く。
待って、行かないで、私の大切な。
倉庫を開け放った子が、いつの間にか私の前に立ってこう言った。
「独り占めするのが悪いんだよ」
違うと首を振っても彼女は信じてくれない。私はなんだか泣きたい気持ちになった。他の子達もこっちを睨んでくるみたいだった。
笑わなくなった彼の為だったの。もう一度でいいから、笑顔になって欲しかっただけなの。
そう思ったのが間違いだったのだと、俯瞰していた私が言い放つ。ハッと我に返って、全部私が悪かったのだと自覚した。
私ばっかり幸せで、ごめんなさい。
私は、皆に幸せを分けてあげなくちゃいけなかったんだね。
#宝物
ある日私の宝物を壊された。
随分と昔の物だから古臭いのは百も承知。
それでも大事な物だから大切に大切に身につけて来たんだ。
相手も悪気が有ったわけじゃない。
ただ私を驚かせようとしただけ。
肩を押された衝撃で手から離れて行った私の宝物は地面に飛び散った。
その瞬間、思考が停止したのがわかった。
私は散って行った破片を拾い集める。
もしかしたら直るかもしれない。
「ゴメン そんなつもりはなかったんだ」
声のする方に顔を向ける。
私の落ち込んだ顔を見て更に焦った様に相手は言葉を重ねる。
「本当にゴメン 似たものを弁償するよ」
私の気分は最悪だ。晴れるものじゃない。
周りがザワザワと雑音をたてる。
「わざとじゃないんだしさ、許してあげなよ」
「ほら、新しいの買ってくれるって。それ古かったから丁度良いじゃん」
彼らは飛び散った欠片などに興味は無いようだ。
ただ大きな声でその人が故意で無かったことと、コレを弁償することを周りに訴えている。
そして未だに私が相手を許さないことも。
私が悪いように言う。
ならばトビッキリの悪役になってやろう。
「コレね。私の祖父からの頂きモノなの。赤い実を赤い瑪瑙で、葉を翡翠で南天に模した根付け。それを紐の方を少しイジってあったの。まぁ古いものだから壊れ安かったとは思うけれど。弁償してくれる?」
相手は固まった。
そして散らばった実を拾い始めた。
周りの者は散って行った。
相手は実だけ拾い集めると、さっさと帰ってしまった。
コレでいいだろ?と
翡翠の葉は未だ行方知れずのまま。
題(宝物)
#42 私にとって宝物は何だろう…
今日は特に、生きる意味を感じなくて、ただぼーっと真っ白な天井を見つめていた。
宝物。そう考えると、一瞬、彼が浮かんだ。
あれから、ずっと学校も休んでいるし、彼が学校に来たのかも、何もわからない。彼の姿を思い出していると、昨日、廊下ですれ違った人を思い出した。
少し、雰囲気が似ていた…。もしかして…?
そう思ったけど、流石にそれはないかな。
彼が入院しているはずなんてないよね……。きっと。
___宝物
「なあ、アニキ。」
オーヴィルはウィルバーの目を見た。
「やっぱアニキの宝物って、ヒコーキなの?」
ウィルバーは唇だけで笑う。
「そういう訳じゃないさ。挙げるとしたら、家族だとか、
この場所だとか、色々あるよ。」
「へえ。」
オーヴィルはスパナを握り直し、造りかけの飛行機のネジを締めた。
「…俺、思ったんだよ。」
「何をだい?」
「絶対このヒコーキを飛ばさないと、って。」
ウィルバーは少し馬鹿にしたように笑う。
「『鉄の塊が飛ぶわけない』じゃないか。」
「思ってもないくせに。」
「そうだね。周りの意見ばかり気にしていたら、何も出来ない。」
オーヴィルは最後のネジを締め終える。
「もう寝ないとだろう。明日も早い。」
ウィルバーはオーヴィルの肩を軽く叩く。
薄暗いガレージ内に、月の光が射し込んでいる。
未完成の飛行機の機体を、目映いほどに照らす。
「…ホットミルク作ってくれよ。アニキ。」
オーヴィルは機体の方を見たまま言う。
「お安い御用だ。」
※これは『ライト兄弟』モチーフの話です。(一応)
ライト兄弟は、元々大好きな歴史上の人物です。
性格的なものは3DSのゲームである太鼓の達人、【どんとかつの時空大冒険】
に登場する二人を参考にしながら書きました。
テーマから微妙にずれていますが、個人的には大満足です。
私の宝物は映画の企画でもらった推しさんのサイン入り写真。
家に届いた時、とても嬉しかった事を覚えている。
たまに眺めては推しさんの笑顔に癒されている。
一生の宝物
僕にとっての宝物は他の人から見たらただのガラクタに見えるかもしれないその人にとっての宝物は僕からするとただのガラクタかもしれない自分の宝物は自分にしか価値が分からない。
宝物
わたしの宝物ですか?
何だろう‥。
友達かなぁ。
ありきたりだけど。
行く宛がなかった俺を家に置いてくれたこと。
家事がある程度できるようになって褒めてくれたこと。
俺の誕生日を祝ってくれたこと。
休日に一緒に出掛けて見たことのない景色を見せてくれたこと。
俺からのプレゼントに喜んでくれたこと。
体調を崩した時に苦手な料理を頑張ってくれたこと。
貴方との思い出は挙げればキリがない、過ごした日々は全て俺にとって大切で忘れられない宝物になりました。
「これからも一緒に宝物を作ってくれますか。」
「もちろん、ずっと一緒だよ。」
照れ臭そうに目尻に少しばかりの雫をつけた貴方の笑顔はまた、俺の宝物になった。
「ああ、ずっと一緒って言ってたのになぁ……。」
俺はそう小さく呟き、冷たくなった貴方の手を握った。
この出来事も宝物?
ぼくのたからもの
ぼくのたからものは
おかあさんのふく
おかあさんのかばん
おかあさんのバレッタ
おかあさんのかみのけ
おかあさんのは
おかあさんのゆび
おかあさんのあたま
おかあさんのからだ
おとうとができるっていうから
はらがたって
すこしわなをかけたら
おかあさん
ふたつにわかれちゃった
おかあさんとぼくは
ふたりでくらしてるから
だれもしらない
さいきんすこしにおうよ
でもぼくのたからもの
おとうとなんかいらない
おかあさんはだれにもあげない
だってぼくのたからもの
おかあさん
部屋の整理していたら、懐かしい物が出て来た。
小さい頃、親戚のおじさんに買って貰ったやつ。
一度も使うことなく、宝物としてしまいこんでいたのを思い出した。
親戚のおじさんは数年前に亡くなったが、これは今だに宝物として取って置こう
【1.宝物】
私の宝物は私の近くにいる彼。
・・・・・・
いや、
ただ近くにいるようにみえるだけなのかもしれない。
実は天と地のような距離感なのかもしれない。
だけど、
私は今の彼が世界で一番の宝物なのだ。
「ずっと…心の中に....」
お題「宝物」
大切だから、しまっておくの。
誰も分からないところに隠しておくの。
そうして私も忘れてしまった。
長い時間が経って、ふとそれを見つけたの。
長い時間は経ったけど、それはやっぱり私の宝物。
大切だから、しまっておくの。
宝物。
私の宝物は
Liveに行った
時間。
やっぱり生で見るのが
一番。
よく、子どもは宝物だ、なんて言うけど、僕はそうと思わない。
キラキラしたものが宝物かと問われれば、それも僕は賛同しかねる。
高価なものなら価値のあるもの? それもなんだか違う気がする。
それじゃあ、僕の宝物はなんなのか。
平和に生きていられる事が、そうなのかな、という考えに落ち着く。
僕はちょっと昔に、子どもができるはずだった。でも、パートナーの都合で、その所謂「宝物」を見ることはできなかったし、悲しくもなかった。
生まれて初めて、婚約指輪というキラキラしたものをもらったけど、別にそれも「宝物」とは言えなくて。
君のほしいものを何でも買ってあげる、と、マンションや車などの高価なものを貢いでもらっても「宝物」だとは思わなかった。
今、無機質の天井を動けぬ身体でぼんやり見つめて思うんだ。
自由に動けて、普通に喋れて、平和にすごせる日常が、ありきたりながら、「かけがえのない宝物」なのだ、と。
【宝物】
宝物、それは儚いもの
宝物、それは
大切に
大切に
そうしてきても
いつか消えてしまう
宝物、それは何だろう
そら豆が音符のように散らばってどこから歌いだしなのかハミングしている私
やけに歩道が混んでいるなあと思ったら、マラソンのコースだったようだ。
ちょうどランナーが通り過ぎていくところで、歓声が上がっている。
先頭のランナーが突然走るのをやめたのは、体の異変ではなかったようだ。
「はい、これ。大事なものでしょ?」
「ありがとう、宝物なの!」
沿道の子どもの手から落ちたぬいぐるみを、ランナーは拾い、その子に返したのだった。
一人、二人と抜かれたランナーはまた何事もなかったかのように走り出した。
そんな宝物のような光景をわたしは見ていた。
その悲しみは宝物だ。ええ思い出を貰ったな。
勉強なんか落第しない程度にしたらええ。
それより今は、今でしか作れん財産をいっぱい作ることだ。
それがいつか役に立つときが来るけんな。
(しげる少年の父「のんのんばあとオレ」より)
初恋の女性千草を病気で亡くし、
落ち込むしげる少年にかけた励ましの言葉
宝物
色褪せたものでも…
大切なの
色々なんて
疲れちゃう…
一つがいいの…
大切に大切に
したいの
宝物