やけに歩道が混んでいるなあと思ったら、マラソンのコースだったようだ。
ちょうどランナーが通り過ぎていくところで、歓声が上がっている。
先頭のランナーが突然走るのをやめたのは、体の異変ではなかったようだ。
「はい、これ。大事なものでしょ?」
「ありがとう、宝物なの!」
沿道の子どもの手から落ちたぬいぐるみを、ランナーは拾い、その子に返したのだった。
一人、二人と抜かれたランナーはまた何事もなかったかのように走り出した。
そんな宝物のような光景をわたしは見ていた。
11/20/2022, 11:33:50 AM