『始まりはいつも』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
卓球部というものは日は当たらないけど世界で1番温かいとこだよ
カモンヌ卓球部
完
始まりはいつもあなたからだった。
最初に話しかけたのも、会話のネタを出すのも、デートに誘うのも、告白も、手を握るのも、キスも。それらは全部あなたからで、私から誘うことは無かった。
それでもいい、とあなたが笑ってくれてることにすっかり安心しきって、私からなにかを仕掛けることは無かった。
それが社交辞令のようなものだとは思わずに。
言い訳になるけど、私、照れていたの。嬉しさと恥ずかしさと幸せな気持ちが先行して、だらけきった顔を見せたくなくて、自分からはいけなかった。
ほんとうに今話しかけても大丈夫?
私なんかが彼に話しかけてもいいの?
まだ心の準備も話す内容も考えてないのに?
そんなことばかり考えて、いつも自分のことで精一杯で。あなたの気持ちなんて、これっぽっちも考えていなかった。
「……うーん」
だからかな。私がそんなだから、私はあなたに棄てられちゃったの?
▶始まりはいつも #29
始まりはいつも、君から。
少し低い体温を頬に感じて、その手にすり寄る。
声もなく笑う君が、より一層近くなって。
そのまま溶かされるように、ふわふわ、ふわふわと。
指先から痺れるような愛を唯、傍受しているの。
【始まりはいつも】
「ケンカの『始まりはいつも』プリンの取り合い、秋の『始まりはいつも』花粉症、逆転劇の『始まりはいつも』誰々。いくらでもアレンジは可能よな」
なんなら「寿司食う始まりはいつもマグロから」とか。「思い出の始まりはいつの日も雨」みたいな某歌詞モドキも、書けるかどうかは別としても。
某所在住物書きは久しぶりの自由度高そうな題目に安堵して、しかしスマホではソーシャルゲームなど、余裕こいてプレイしていた。
そういえば、ガチャのすり抜けによる最大級の落胆の「始まりはいつも」、まずSSR確定演出からだ。
「……物欲センサーの始まりって、どこからだろう」
イベント周回して、ランクを上げて。物書きは貯蓄中のガチャ石に対し、どうせ溶けるとため息を吐く。
――――――
ようやく最低気温が、最低気温だけが、秋を取り戻し始めてきた感のある、最近最近の都内某所です。
某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が暮らしておりまして、
その内末っ子の子狐は、お星様とお花が大好き。
善き化け狐、偉大な御狐となるべく、不思議なお餅を売り歩いて、絶賛修行中です。
今夜は、子狐唯一のお得意様情報によると、明日の明け方までの間で、オリオン座流星群が見頃を迎えるとのこと。コンコン、昼間から子狐、楽しみです。
「おほしさまは、たしか、暗くて、高い場所がイチバンよく見えるんだ」
昔々、父狐から教えてもらったトリビアを思い出して、子狐その場所を探します。
夏の頃、正確には7月8日の過去、まっくらな場所を探しに東京の街を歩いたこともありますが、
森深く、いつか昔の東京を残す「実家」、すなわち稲荷神社が一番暗いと、子狐、学習しておりました。
「どこで、おほしさま見よう。どこが良いかな」
コンコン子狐、東京から一歩も出たことがないので、満天の星も美しい大流星雨も見たことありませんが、
ご近所の中で一番暗い神社の森に、一縷の望みを託します。
一番空が広く見える場所を求めて、とてとて、ちてちて、秋晴れを見上げながら歩いていると、
「こーよー!こーよーだ!」
ほんの5〜6枚、ちょっと色が変わっただけではありますが、
神社の庭の木の1本、そのうちの日のよく当たるあたりの、葉っぱが黄色くなっているのを見つけました。
紅葉です。
「葉っぱ、欲しいなぁ、ほしいなぁ」
コンコン子狐、流星雨そっちのけで、やっと見えてきた秋の証明をどうやって取りに行こうと、くるくるくる。円を描いて歩き、考えます。
秋の始まりは、いつも過去形です。
いつの間にか、それは始まっているのです。
雪降る田舎出身のお得意様は、「雪国の春は目に見え、秋は肌で分かる」と言います。
でも一応いっちょまえに都会っ子、都会っ狐の子狐にとって、秋も冬も、春も、始まりはいつも、「始まってた」、なのです。
その分、「それ」を思いがけず見つけたときの、
幸福な驚きと、喜びと、達成感と優越感といったら!
子狐にとっては、美味しいお肉にも、旬のキノコにも、ちょっとリッチなお魚にだって勝るのです。
「登れば、取れるかな」
最終的にコンコン子狐、小ちゃな体と、まだまだ幼い爪で、少しだけ色づいた秋の葉っぱを取りに行こうと画策します。
意外と知られていないか、結構常識か不明ですが、実は狐はイヌ科のわりに、木登りできるのです。
なお、降りるのも得意とは限りません。
「こーよー、こーよー、葉っぱ欲しいなぁ」
今年最初の秋を、宝箱に収めたいけれど、木登りした後がどうにもならぬ。
くるくるくる、くるくるくる。
稲荷神社の子狐は、紅葉した葉っぱを見上げながら、ぐーぐーおなかが空いて我慢ならなくなるまで、考えて、歩いて、悶々しておりました。
季節の始まりに、いつもその「始まり」を手に入れたくなる子狐のおはなしでした。
おしまい、おしまい。
いつだったか憶えているだろうか
いつだって単純で明快できっとまっすぐ前を向いていた
たくさんの出逢いが試練が自分を変えたけど
きっと自分の代わりはいなかっただろう
俯いていた僕よ。見てるかい?
君がその1歩を踏み出してくれたから今の僕はいるよ
たくさんの感謝と未来を
このかいなに抱きしめて
#始まりはいつも
始まりはいつも
歯の痛みは突然で、耐えられるようなものではないので、歯医者に行く。歯医者に行くと、あっちもこっちも悪いと言われ、何ヶ月も通う事になる。
そう、歯医者通いの始まりはいつも突然の痛み。歯医者には
「定期的にケアに来なければいけませんよ」
と、言われるけれど、あんなに痛くて怖い事をされるのに定期的に行くわけがない。
だから、始まりはいつも突然の痛み。
きっと皆んなもわかってくれると思う、、、笑。
-始まりはいつもあっけないものだ。
学校からの帰り道、一枚のポスターが目に飛び込んできた。近くの美術館で行われている写真展のポスター。何に惹かれたのかは今となっても分からない。ただ心躍る感覚だった。
あの瞬間がなければ、今ここに私はいないだろう。
あの出会いが私の人生のスタート地点だった。
#始まりはいつも
友人が云った。
アイネクライネって曲が好きなんだ。
モーツァルトじゃなくて、米津玄師の方ね。
「今痛いくらい幸せな思い出が
いつか来るお別れを育てて歩く」
ひとは、ひとと別れざるを得ないのだから、
別れを主眼に置いて関係を育むらしい。
私も、彼に従うことにした。
はじめまして。
あなたと楽しい思い出を刻めればいいな。
別れる時はひと思いに
思い出をビリビリに引き裂くのかな。
それとも、感傷たっぷりで
思い出を一枚ずつめくってみせるのかな。
ともあれ、乾杯しよう。
新しい出会いと、ずっと先の別れに。
お題「始まりはいつも」
始まりはいつも
始まりはいつも自分からで、やりたいって思ったことは自分でやってきた。
家事の手伝い、バイト、習い事も。
家事の手伝いは母親を亡くしてからやるようになった。料理はからっきしダメだけど簡単なのから作ってた。今は父親が料理をしてくれてるのでお手伝いするだけ。
料理以外なら部屋の掃除や自分の部屋を断捨離することかな。
人に言われる前に自分からやってきたことだけど。家族の断捨離はまだまだだ。
部屋掃除するとなにかと目についてしまって片付けたくなる笑笑
家事手伝いの他には学生の頃からずっとやってるアルバイトだ。
学生と書いたがバイトも一つのバイトがなかなか成果出ず…、あげくには仕事覚えが悪すぎるせいで長続きせずコロコロとバイト先を代えてきた。
今はやっとだけど接客業のお仕事が続けられてはいるけど、たまにミスすることもあって先輩達を困らせてばかりいる。
こんな感じで一つのバイトがなかなかうまくいかなくてやめてしまうこともある。
でも、やりがいのあるバイトなので辞めずにすんでいる。あと少しで1年になるから頑張るのだ。
バイトの次は習い事だ。
習い事は声を使ったお仕事をしたいと前から思っていて、そういうのを教えてくれる養成所を通っていたこともある。
今はボイトレに通っている。これも自分からやりたくてずっとやってきた。
夢を叶える為に頑張っているところだ。
どれも始まりはいつも自分からだ。
終わり
始まりはいつも。真実はいつも一つみたいなお題だ。このお題に続けるとしたら突然にかな。始まりはいつも突然にって感じで。
始まるのは出会いと恋が定番だな。どんなジャンルでも色恋は大抵あるし。
この手の話は現代学園ものがお約束って感じするけど今だとなろうかな。異世界に転移して女の子と出会って、というパターン。
でも最近はこれ古いんだろうな。昔は結構なろう見てたけど最近はまったく見なくなったし。
前にちょっとなろう見に行ったらランキングが女性ものばっかになってたな。女が参入したら廃れる、なんて聞くけど本当かね。
今のところなろうはまだまだ主流に思えるけどそのうちあっさりブームが消えるのかな。現代の流行り廃りは速いからな。
テレビなんかも廃れるなんて昔はまったく想像してなかったけど今はもうテレビなんて見なくなったしな。
ゲームなんかもそうだな。まさか実況動画が主流の時代が来るとは。未来を予測するのは難しいものだね。
光
風
音
子供の頃から大きなものが怖かった
鯨に始まり海の広さ、太陽系の星の比較、もっと遠くの銀河系、最新の望遠鏡で見た巨大な…
今いる所を想像しただけで身震いしてしまい、怖くてご飯が食べられない
食べなくて病気ばかりで困るので、
もう何にも考えないようにと家族は言った
今でも当然だろうとは思う
だけどそういうフリをやめ、あるがままでいようとすると、この「怖い」がつっかかってしょうがない
窓から向かいの庭を見る
葉っぱがはげしく揺れている
吹きつける風 風の塊
窓枠の中に見えている風景
この目の解像度
それを超えて確かに感じている
とてつもなく大きいこの…
うわ怖い、無理!
けどそれはある
目を閉じても耳を塞いでもどうしたって、それは「ある」
そんならもう、怖がるのはやめにしない?毎回しんどいし
うん、もうやめよう
では今後、その感覚を私は採用しないことにします
オレは見えないし聞こえないし感じないし何も分からんし、そんなこと
どうだっていい
そうなんだ
そうなんだね
不安だ。
上手く
やっていけるかな?
今のほうが良かった
って後悔しないかな?
まだ見ぬ世界は
想像がつかなくて
一歩踏み出すのが
怖い。
―――大丈夫、
今までだって
怖かった。
初めてだから
怖くたって
当たり前。
怖い思いしながら
ここまで
なんとかやってきて
それでも
やってみたい
って
思ったんだから
踏み出せ、
わたし。
#始まりはいつも
始まりはいつも自分から。特に最近は。新しく始めたいことは次から次へと見つかるけど、誰かに誘われたり、巻き込まれたりはしない気がしてる。迷惑なくらい巻き込まれてみたい。自分から始めたことがいつか孤独に変わってしまう前に。
真っさらな
無色透明な
傷ひとつない
何も知らない
期待という余白が残っている
手を伸ばす
足を踏み入れる
汚してしまうと分かっている
でもしょうがない
だってそうしないと、なにも---
『始まりはいつも』2023/10/21
はじまりはいつも唐突なものだけれど、私が絵と出会ったことは、より唐突なことだった。
私は人付き合いが苦手で、自己表現が苦手だった。文章を書くのが上手い友達、かわいい絵が描ける友達、内気な子たちはそういう特技を持っていたのに、私には自分を表現できるなにかがなかった。ただ無表情に黙りこくる可愛げのない子供が私だった。
成長するほどに自己表現を求められることがどんどん苦痛になっていって、比例してどんどん口数が減っていった。
中学校に上がり、一層外に出ていくことの減った感情は、私の中に溜まって、体積を増やしていく。吐き出したいのに、吐き出すための言葉を私は全く持っていなくて息が苦しかった。
そうして、限界を迎えたとき。
私の目の前にキャンバスがあった。
美術部が用意したものの、誰も何も描かなかったからそのまま放置されたらしい真っ白なキャンバス。近くにはおあつらえ向きに筆とパレットも置かれていた。
どうしてそのとき、私がそこにいたのかをよく覚えていない。
私は筆を取って、なにも考えず、衝動的にキャンバスへ振り下ろした。
白いキャンバスに青が一線引かれる。これが私の悲しみ。
白いキャンバスに赤が一線引かれる。これが私の怒り。
白いキャンバスに黄色が一線引かれる。これが私の喜び。
白いキャンバスに緑が一線引かれる。これが私の楽しみ。
真っ白なキャンバスに色を置くたびにすっとした。吐き出したくても吐き出す方法を知らなかった感情がするすると出ていくのだ。色が重なり合って黒く濁っていくのが、感情を溜めすぎていっぱいいっぱいになった私のようだった。
あああ、とか、わああ、とか奇声を上げながら殴りつけるように筆を振り下ろす私に気付いて先生がやってきても止めなかった。
「……できた」
最後に私は、そう言って筆を置いた。
具体的なものがなにも描かれていない抽象画。技法なんてなにも知らない私の作品なんて、子供の落書きと変わらない。それでも私は、生まれてはじめて自分の感情の出し方を知ったのだ。
荒い筆跡で描かれ、端はカラフルだけれど、中央に向かうほど色が混じって黒くなっている。
これが、今の私の感情。
出来上がったものを眺めて呆然としていた私に、先生は「美術部に入らない?」と聞いた。
綺麗な抽象画だね、もっと感情を正確に描けるような方法を知ってみない?
勝手に美術室に入ったことも、勝手にキャンバスに絵を描いたことも怒らずに、チャンスを逃すまいと声をかけてきた先生に私は二つ返事で頷いた。
あれからずっと私は絵を描き続けている。上手いか下手かはどうでもいい。
これが私の感情だと、世界に突きつけるために描き続けている。
「始まりはいつも」
君から始まる小さな苛立ち
しんどくなって終わらすのは僕の役目
こんなに積み重なると
終わらすのももう面倒くさい
君の顔した何かがわーわー言ってる
もうなんにも聞こえない 聞かないよ
始まりはいつも
何かを始める時はいつも、どきどきする。
それは不安だったり、楽しみのどきどきだ。
自分で選んだこの道の先には何が待っている?
どきどきと胸躍らせ、新しい世界に、いざ 飛び込んだ。
始まり始まり。
何が始まる?私の物語?あなたの物語?
ちがう。ちがう。そうじゃない。
これは始まり。
幸せ?嬉しい?苦しい?辛い?
そんな感情の始まり?
入学式?入社?結婚?
そんな一区切りの始まり?
ちがう。ちがう。そうじゃない。
これはちょっとした始まり。
なんの特別もない始まりだけど、
私が、あなたが、みんなが、彩れる。
そんな小さな始まり。
さぁ、あなたもそんな1歩を今触れてみようよ。
その先はあなたしか分からない。
#はじまり
始まりはいつも (10.21)
————はもう彼女いるらしいよ!
始まりはいつも、酷くあまい匂いがする。
くらくらする頭ばかりたっぷりとあまくて、何かがチクチクと胸を裂いてくのを不気味な笑顔で誤魔化している。
————ごめん、他に好きな人がいるから。
始まりはいつも、耳が燃えたのだと思う。
かっと熱くなったと思えば、羽虫がたかるようなぶうんという音で何も聞こえなくて。異様に顔が赤いのを自覚して、そっと握った指先の冷たさに震える。
始まりはいつも、すきま風が吹いて。
カチカチと歯を鳴らして、ベッドを恋しがりながら古びたふとんに体を縮めている。
————別れて、くれないか?
始まりはいつも、終わりさえわかっているのに。
あまくあたたかくとろけた時間に脳を溶かしこんで、喜んで思考を放り捨てるのは何故なのだろう。
今抱える気持ちを言葉にしようとして、ふと不思議に思った。
この『気持ち』の始まりは、どこからなのだろう、と。
一体いつから? 昨日? 一昨日? まさかとは思うが、出会った時からだろうか。
「いつから好きになってくれたの?」
昨日、彼にそう問われた時、私は何一つ答えられなかった。
この気持ちは、いつ生まれたんだろう。
最初はただ楽しかった。
一緒にいるのが楽しくて、居心地よかった。
次第にもっと、彼を知りたいと思うようになった。
彼を知っていくうちに、他人と彼の関係に嫉妬した。
この気持ちは、いつ始まったのか。
好きの始まりが、私にはいつもわからない。
始まりはいつも