『大切なもの』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あなたの大切なものは何ですか?
断捨離をしていると、何でこんなものを買ったんだ?てものが出てくる。
今はなんでこんなもん?っておもうけど。
当時は大切なものだったんだ。と過去の思い出が蘇る。
その走馬灯に少し心が揺らぐけど、今日は心を鬼にして昔の思い出と向き合う。
思い出させてくれてありがとね。
でも当時は当時、今はもっと大切なものがあるはずだから。
私は今から余計なものはこそぎ落として
スーパー大切なものばかり人間になるんだ!
そう考えつつくだらないなあって微笑む。ふふ。
そんなこと言いながらも、明日から新生活。
頑張らなくちゃね。
無くさないように大事に大事に
しまい込んで
いつの間にか無くしてしまった
ふと思い出して探しているのだが
出てこない
確か何か箱に入れた筈なんだ
鍵がついた木製の箱だ
そんなに小さい物じゃないのに
全然姿形も見当たらない
昔から大事にしたいと思ったものを
何かに入れてしまうのだが入れ物ごと
見失ってしまうのだ
木の実を埋めて忘れる栗鼠みたいに
それは…
おまえだよ…
おまえ…
おまえだけ…
おまえさえいれば…
それでいい…
それでいいよ…
おまえだけ…
幼き日より好んでいた作曲家の、新曲がもう二度と聴けないのだと分かった時。
その言葉にし難い、悲嘆の心。
生きてゆく上で、避けること叶わないもの。
その痛みは、わたしがまだ死んでいない証だ。
——————
大切なもの
私は絵描きだ、私は作曲者だ、私は物書きだ
私は動画編集者だ、私は演奏者だ。
全て私の趣味だ。
全て、やってみたくて始めたものである。
何も知識が無いので、あまり良いものでは
無いかもしれないし、誰も見ないかもしれない。
それでもそれが好きでやっていた。
どれも楽しんでやっている。
他にも色々な事に興味があり
沢山のものに手をのばした。
全て好奇心から始めていた。
時が経ち、私は様々な人と関わり始めた。
少しづつ、沢山の人が私の作品を
みて、きいた。
正直嬉しかった、もっと応えようと思った。
それと同時に、色々な事も考える様になった。
こうすればもっと良いだろうか
こうした方がもっと喜んでもらえるだろうか
他人の事を、考える様になった。
また少し、時が経った。
私は、沢山の人を見た。
皆、とても輝いていた。
悩んだ。
どうすればもっと良くなるのだろうか
どうすれば称賛してもらえるのだろうか
どうすれば、もっと
私 を
見てもらえるだろうか。
こうすれば人気が出るだろうか
こうした方がもっと万人受けして
注目してもらえるだろうか。
そうやってぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃと
考え続けて私は、ただただ
人の目ばかり見るようになった。
いつからか、大切なものを忘れてしまったようだ。
私は、私だけの大切な作品達を
承認欲求の為だけに
利用するようになってしまったんだ。
時と共に変化する大切は
お気に入りのおもちゃや
飼っていた手乗り文鳥
綺麗に磨いたエナメルの靴
初めて自分で買った口紅
彼氏に貰った指輪
等などの物中心だった
歳を重ねるごとに
パートナーや子供達
そして両親
いつの間にやら人物に変化していることに
改めて気付いた
やっと一人前の人になった気分
振り返るとなかなか
興味深い
大切なもの
目には見えない
感じるものだ
無くしたくない
見失わないように
ずっと側にあってほしい
あってくれればそれでいい
*大切なもの
ん〜?
断捨離をしようと
掃除を始めたが?
大切なものが多すぎて
思うように進まず?
どうしたものかと
悩んでいるうちに?
日が暮れてしまったが
掃除が終わってない?
どうすんの?これ?
部屋ごちゃごちゃじゃん。
『断捨離するものなど、
この部屋には存在しないわ』
は?
『だって、どれも私の
大切な思い出のカケラなのだから…』
な〜に言ってんだこいつ
あなたの大切なものはなんですか?
今、あなたの頭に思い浮かんだものを私も大切にしたい。
大切なもの
母の手製の指ぬき
母が少しずつ
おかしくなり
指ぬきがないと言い出し
私に、あなたが盗んだでしょと
疑いをかけられた。
お金でも宝石でもなく
手芸の指ぬき。
実の母親に盗んだでしょと言われて
私は、当然怒った。
悲しかった。
認知症の始まりだった母の症状。
認知症は、人格が
壊れて行くと実の娘も
他人扱いになり攻撃する病。
亡くなって、指ぬきが10個
私の手元に残された。
指ぬきは、加賀の指ぬきという
絹糸を色とりどり使って
刺繍のように縫う美しい手芸だ。
母が正常だったころ
コツコツ縫い仕上げていた。
泥棒扱いされた嫌な思い出なのに
美しい色合いを見て眺めていると
母がまだちゃんと母として正常だった
姿が脳裏をよぎり泣きたくなる。
母の指ぬき。
大切なものなのかわからない。
だけど捨てられない。
大切なもの、壊したくないもの
誰にも触れられたくないの
触らないで壊れちゃうから
とてもとても脆くてすぐに
壊れてしまうのよ
大切だから、そういって
奥に奥に、誰にも触れられないよう
しまいこんだ心
ああでも誰もそばに
いないのはさみしいなぁ
__大切なもの
当たり前に存在するもの、と問われてキミは何を想像する?
酷く抽象的で曖昧なこの定義に、私はこう答える。
「愛」
愛こそが、そうあるべきだと。私は、そう考えている。
家族から無償の愛を施されて、ただただ無条件にそれを享受する日々。それが当たり前。だから、そう過ごしてきた私はもちろん素直で真っ直ぐな子に育ち、
愛を知り、愛を与える人間になるはずだった。
けれども、どこか他人と違う―――欠陥人間―――だと知ったのはいつだったか。キミにはきっと出会ってない。ずっと、でも遠くはない昔に、私は。
自分が、気づいてしまった。家族やキミ、ましてや世界中の人間と違う価値観を持ってることに。
遅すぎるくらいに、それをようやく感じとった。
それは本当にシンプルなことで。当たり前の環境で何不自由なく育てられた人間が抱くはずがない考えだった。
「愛」がわからない。「愛」ってなに?もっと簡単に言えば、「好き」と「愛」の違いがわからない。
周囲の人間が、当たり前のように誰かに「愛」を抱き、与え合う様子を見ている中で私だけ違った。
同じ「愛」を誰かに注ぐことが、自分だけ出来なかった。私の中で好きと嫌いは当然のように存在するのに、他人と打ち解け合うために必然な「愛」がわからない。
キミは「愛」を感じて、「愛」を与えたことはある?
「愛」ってきっとタカラモノのような物なんだろうね。私はそう、信じてる。だって、たくさんの人に愛されてここまで生きてこられたはずだもの。「愛」を与えられて、上手くそれを受け取れない私が、おかしいの。
誰かに与えることすらできない私が、ぜんぶ、ぜんぶぜんぶ悪いだけ。
、…?キミは、私にとって「好き」な存在だよ?もちろん。だってこんな欠陥人間の話を最後まで聞こうとしてくれるんだもの。なんて優しい世界なんだろうね。私は幸せ者だよ。たぶん。ありがとう。
本当に嬉しい。口だけじゃないよ、私はちゃんと素直で正直な子に育ったからね。
分かってもらえなくても聞いてもらえるだけで嬉しいんだ。
なんかね、心がちょっと温かくなるような気がする。
ねぇ、もしかしてこれも「愛」なのかな?
#大切なもの
彩を失う瞬間がある。
青雲は寒空の、灰色の雲の下、人差し指でマフラーを少しずらしながら白い息を吐いた。今日は、特にすることもなく、街をぶらぶら歩いていた。ふと、青雲は立ち止まる。
(ああ、また、きた)
瞬間、世界から音が、人が、匂いが、色が失われていく。青雲にとってこの状況はよくあることだった。世界から置いてかれて、世界に一人だけになる。青雲はこの瞬間が嫌いではなかった。
(この世界はなんでこんなにも静かなんだろう)
賑やかな場所が嫌いなわけではない。いつもの4人で騒ぐ時間や誰かと出かける時間は、自分の心にこんなにも深く突き刺さってる。しかし、同時に誰もいない、何もない世界も同様に好きだった。だってこんなにも、自分の孤独を突きつけてくれる。
(結局私は一人なんだ。)
その事実が実に心地いい。私は正しくないのだと、いつだって糾弾してくれる。始まりはいつだったのだろう。この瞬間はふて現れては、消えていく。川の流れみたいなものだった。それに規則性はなく、気ままに青雲の前に姿を現す。ただ、一人になるといつも隠そうとしているものが、自分の前にちらつく。それだけは憂鬱だった。
(きっと、本当の私を知られたらみんな幻滅するんだろうな。もっと、うまく隠さないと。見せないように、分からないように、本当と嘘をどちらも織り交ぜて綺麗に作りあげなくちゃ。大丈夫、今までだってできたのだから、もっとうまくできるはず。だってもう、嘘が本当になっているのだから、私は大丈夫。)
青雲は、自分のそんな思考に気づき、思わず乾いた笑いが溢れた。自分が今どんな顔をしているのか、絶対に見たくないと、心の底から思う。きっと酷い顔か、もしくは何も感じてない顔、どちらも人間らしくない顔で好きじゃない。そんな自分の考えにすら嫌気がさす。
(ひどく、毎日、なんで自分がここにいるのか分からなくなる。もっと早く気づければよかったのかな。私は私に何もないのが分かっていたはずなのに。でも、やっぱりどこか踏み出せない。きっと私が弱いから)
隣に誰かはいるのに、その誰かすらいつか自分を置いていって、一人ぼっちになってしまうのではないかと怖くなる。青雲はマフラーを鼻の高さまでもう一度持ち上げた。ふと浮かぶのは、海想と竹凛、そして蒼原のこと。
大切なものなど本当は一つもない。だけど
「生きているだけで、人は色々なものを背負うんだよねえ…」
その一言で、世界は一瞬で音を、人を、匂いを、色を取り戻す。まばらに、道行く人が通り過ぎていく。戻ってきたというのに、人々の笑い声や、信号から流れる音楽が遠くに聞こえる。安堵と落胆、どちらの感情も湧き上がり、大きくため息をついた。
「…帰るか」
スマホを開き電車の時刻表を確認する。次の電車が来るのはあと34分後になりそうだ。それをもう一度確認してポケットに手と一緒に突っこむ。空は相変わらず、灰色の重そうな雲が広がっている。青雲は周りに一瞥もくれずに駅に向かって歩き出す。寒く白い息が、青雲の歩いた後を流れ、静かに消えていった。
大切なもの
学校でこれをテーマにスピーチをすることになった。頑張って考えるも、なかなかスピーチ出来そうなものが浮かばない。
命だろうか?小さな時から言われ続けている。確かに命は何より大切なものだろう。命ある限り、どうとでもなる可能性がある。ただし、命あるせいで苦しむこともある。私は死にたいと思うほど苦しんだことは無いが、逆に、生きていて良かったと思った記憶も特に思い浮かばない。
では、他には何があるだろう?
推しだろうか?確かに推しのお陰で楽しく生活できてはいる。しかし、推しは1人ではない。故にスピーチをすると時間が足りない。推しを紹介するのは目的では無い。だが、推しのお陰で明るく楽しく感情豊かに生活出来ている。推しを大切なものとしてスピーチしようか?でも、一応他にもないか考えてみる。
本はどうだろうか?本はずっと大切にしている。何故なら沢山のことを教えてくれるからだ。例えば、尊厳死、これについて知り、考えたのは森鴎外の『高瀬舟』を読んでからだ。弟を苦しみから救うために弟の自殺を手助けした主人公は罪人か?とても難しい問題だ。他にも、エドガー・アラン・ポーの『告げ口心臓』ここでは殺人犯の罪悪感や後ろめたさがおじいさんの心臓の音として表現されている。
結論から言えば、上記の中でスピーチが出来そうなのは推しが本だろう。やはり、生活を豊かにしてくれるものは語りやすい。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
#大切なもの
「大切なもの」
それを大切なものだと
断定は出来ないよ
時の流れは基準の目盛を
度々変えてしまうからね
それを大切なものだと
言ってしまえる無責任さ
僕はそれが恐ろしいね
それを大切なものだと
言いながら
人類はどれほどの罪を
犯したことか
大切なもの
家の片付けをした時に出てきた
小学校の宿題で出た作文。
タイトルは大切なもの。
あの頃の私には大切な家族も友達も居た。
今はいないけど、ね。
大切な物なんてどこにもない。
たいせつなもの。
わたしの大切なものはいっぱいあります。
でも一番大切なのはわたしです。
ままやぱぱ、じいじとばあば
くまのさっちゃんやうさぎのみーちゃんもすきだけど
わたしが大切なのはわたしです。
なぜなら人は何おく分の一のかくりつで
生まれるって言うのをテレビで見ました。
わたしはわたししかいなくて
わたしいがいはわたしにはなれないです。
だからわたしはわたしが大切です。
私の大切なものは自分自身
『私』が『私』らしくいられなくなったら
何のために生きているのか分からなくなってしまう
自分を愛することは自分の欠点も
認めないといけないから難しいことだけど
心を守るためにも
自分だけは自分を大切にしようと思うんだ
#大切なもの
とっておきの仮面を見つけた
大きな赤色の口は
両端が持ち上がっていて
目元のデフォルメされた雫や星は
おもちゃ箱みたいで
かわいらしい
大丈夫だってなあこっちからやってくれよお前ならいけるっしょ
大きな口は両端が上向きなまま
YESと動く
みんな笑顔になる
ほらねなんだかいい感じ
雨降りで輪郭が解けた雫と星
滲んでぐちゃぐちゃになった鮮やかな赤
大丈夫だってこっちからやってくれよお前ならいけるっしょ
ぐちゃぐちゃの赤は両端が上向きなまま
YESと動く
みんな笑顔になる
ほらねやっぱりいいかんじ
「大切なもの」
むかしから仕舞い込むくせがあった。だれにも知られなければ私だけの思いをだれかと共有して安いものにしなくても済むからだ。
最初のころ、家の敷地以外のところに隠していたら、ある日突然工事現場となって立ち入りができなくなった。私が隠していたものはむざんにも掘り起こされ、名もなきゴミとして集積所の一部となったのだ。いくつ歳を重ねても、街中で工事業者の名前を見かけるたび、あの日のことが乱暴に呼び起こされ、口の中が苦くなる。
それからは一等だれにも触れられたくないものは、隠し場所にいっそう気を使うようになった。何度も何度も隠しては失う経験をしていくうちに、安全なのは意外にも自分の部屋の中であることに気づいた。灯台下暗しとはまさにこのこと。
そうやって大切なものを大事に大事に隠してきた私が、大切なものをだれかに見せるようになるなんて誰が予想しただろう。
足元に擦り寄ってくるちいさな生き物の喉をくすぐるとゴロゴロと音を立てる。ふわふわとした毛並みのこの子と出会ったことで一変し、今ではそれが私の生き甲斐となっている。
スマートフォンの容量を圧迫しつつある写真は、私のちいさなコミュニティの一端を担い共通の話題となりつつある。
「あんなに近寄りがたかったのに」
「本当に見る影もないよねー」
「人生何が起こるかわからないよね」
古い友人たちのわざとらしい言葉も、愛猫を可愛がるのに忙しい私の耳には留まらず、素通りしていった。
【大切なもの】