『夜明け前』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
誰もが寝静まった静かな時間。
私はひとり窓辺に寄って、夜明けが来るのを待っている。
闇色が明るい光に照らされて、色を変えるその瞬間。
私は何だか胸に空いた寂しい気持ちが包み込まれたような、許されたような気持ちになるのだ。
きっと地平線から上って降り注ぐ朝日だけは、生きとし生けるもの全てを平等に、照らして行ってくれるからかもしれない。
【夜明け前】
ふと、目が覚めたら夜明け前
夜とも朝ともつかないこの時間でも
生命はそこかしこで活動を続けている
目には見えない場所で
声も聞こえない場所で
私の知らないところで、同じ時間を刻んで。
(夜明け前)
夜明け前
夜明け前に起きる時は、特別な日の始まりになる。
旅行に出発する日と、初日の出を見る日。
年に数回しかないけれど、その分夜明け前の空の色が特別に見える。
特別の象徴が、夜明け前だ。
【夜明け前】
夜明け前に必ず、急に暑くなる時間がある。
レイは体が冷えるのが嫌であまりエアコンや扇風機を使わないが、それでもこの時は寝苦しく、ふと目を覚ますことがある。
(暑い…。てかなんか体が重い…?)
恐る恐る目を開けると、自分の体の上に人影が見えたのでギョッとした。
(座敷わらし…?)
怖すぎて声も出ないし、金縛りにあったみたいに体が動かない。
「あ、お兄。」
座敷わらしから発せられた声はよく知っている妹の声だった。
「レオナか…?お前、何してんだ?」
夜中に兄の上にのしかかるなんて奇行中の奇行だ。
「お兄、来年ファッションショーするんでしょ?音楽、私にやらせてよ。」
「は…?」
妹はしばらく不登校で部屋に引きこもりっぱなしだし、音楽をやってるなんて聞いたことがない。
「何言ってんの…?」
「高校は、女子校には上がらないことにした。お兄と同じ高校行くよ。」
「そんな、今から準備するにはレベル高いぞ?」
「大丈夫だって。いいから、音楽は私にやらせて。」
レオナはそれだけ言うとベッドから下りて部屋から出て行こうとした。
「って、おい。音楽って、お前作れるのか?」
ドアの所で立ち止まったレオナは振り向いて言った。
「任せなって。」
その姿は、夜の部屋に舞い降りる妖精のようだった。昔見た子ども向けの映画のワンシーンだ。
母に他に子どもがいることを話してから、部屋にこもるようになってしまっていたレオナが出て来た。久しぶりに見た妹は、やる事が派手で周りを振り回してばかりだったあの頃と変わらない。
しばし混乱した頭を整理しようと、レイは窓の外を見た。
暁を切り裂く朝日が目に飛び込んできた。
肌寒いな、そう思っていたら顔の横でもぞもぞする気配。
「なぁに?あなたも寒くなっちゃった?」
顔を擦り付けられながら時計で時刻を確認する。
「ご飯はまだよ。もうちょっと寝ようねぇ」
それに不服そうに、みゃーうと返事をしてベッドから軽やかに降りていった。
『夜明け前』
夜中に散歩をしに行く
そして、夜明け前までには戻る
父も母も其の頃には家に戻る
だから、バレないように戻る
けど正直、スリルがあって楽しい
# 122
トイレに目が覚める。
この時、夜明け前だとホッとする。
もう一回眠れるからね。
いや、白んでてもまた寝るか。
朝焼け程個人的に好きなものは無い、
あの澄んだ空気を吸いながらほの暗い空を見てると
自分の悩みが消えていく、
そんな気がするからだ。
【夜明け前】
早く起きすぎてしまった時の、夜明け前の薄明かりが好きだ。
日中とは違う冷え切った空気が、人のいない街路を抜けている。
澄み切った風の心地よさと、まだ眠気の覚めない視界とが混ざり合って、まるで日々の慌ただしい空気から抜け出したような感覚を覚える。
そしてまた眠り、微睡の中へと誘われていくのだ。
秋の涼し気な風
カーテンがヒラヒラと揺れる
気温も低くて気持ちがいい
他の書いていたら全然書かんくなったな。
いつ書く時間をつくれるかな。
枠だけ置いとく。書けたら編集する。
#夜明け前
この前富士山に登った
八合目付近、夜中の三時に起きて頂上を目指してひたすら登り続ける、みんなで頭にライトを付け一つの光の生き物のような一体感がある
苦労してなんとかみんなで頂上までたどり付いた
真夏にもかかわらず富士山の頂上は息が白くなる寒さだった
夜明け前は不思議な高揚感がある
燃え上がるような太陽、不思議と目に焼き付いていた。
寝返りをうつと、ぐっすり眠るあなたがいた。
そっと手を伸ばして、その頬を撫でる。
わたし、いましあわせだなぁ
永遠はないから、時は過ぎる。
この瞬間は、同じ時間は、二度とない。
静かに布団をかけながら、頬を寄せた。
あなたのぬくもりに寄り添って。
「夜明け前」
なぜあんなに空気がすんでいるのでしょう
どんなに徹夜をしても
私の24時間の区切り『夜明け前』になると
何かがリセットされる気がするんです
よく太陽が沈めば寝て、登る頃に起きるのが
バランスがいいとききますが
このリセット機能がうまく働くんでしょうね
「夜明け前」
夜明け前、僕らは一人の女の子に恋をする。
ある夜のことだ。いつもの男子メンバー4人で、夜の海に遊びに行こうとしていた。いつもの海、いつものメンバー、変わり映えのない1日に僕達は飽きていた。そんな時だ、僕達は一人の女の子に恋をした。一瞬だった。一瞬で僕達の何もかもをとっていった…。
夜は、これからだ。変わるのは今からだ、とでも神に言われている気がした。
【夜明け前】
無限に広がる夜空の果てから、わずかな光がぼんやりとにじんできた。橙色をしたその光は、まるで夜空を侵食しているかのように範囲を広げていく。
夜が明けようとしているのだ。
鉄橋に作られた歩道の中心に立っていた私は、眼前に広がるその景色に見惚れそのまま身を投げ出しそうになる。しかし、すんでのところで立ち止まった。静かにその姿を表した夜明けは私を魅了しその場に縛り付け、橋の上から乗り出した半身を引き戻らせた。
鉄柵についた朝露が掌を刺激して、私は今生きているんだという自覚が湧いた。
ひゅう、と清涼な風が私を覆って通り過ぎる。
下に流れる渓流からは水と岩がぶつかり合う騒々しい音が絶え間なく聞こえる。
私はその上で、ぼうっと夜明けの姿を眺めていた。
実際にどれくらいの時間そうしていたかはわからない。永遠とも取れる数十分だったかもしれない。景色に没入していた私の耳に、ブロロロと機械音が混じった。
その音は私の丁度背後で止まる。私は音の主の方を振り返った。
「おうい、嬢ちゃん。こんな時間に何してんだい」
私が振り返るのと同時に、口周りにひげを蓄えたタンクトップ姿のおじいさんがそう声をかけた。薄汚れた軽トラ、その荷台には野菜だかなんだかが入ったカゴが積まれている。
「いえ、ただ景色を見ていただけです」
「ああ、そうかいそうかい。なんだほら、嬢ちゃんの後ろ姿があまりにも寂しく映ってよう。こっから落っこちまうんじゃねぇかってつい声かけちまったよ」
「あはは、ご心配ありがとうございます」
おじいさんは年不相応に愛らしく破顔し、先ほどと同じようにブロロロと軽トラを発進させた。軽トラの背中が小さくなるのを見送って、私はもう一度景色に振り返る。
ほとんどを橙色の光に覆われた夜明けは、私にまばゆい光を浴びせる。あまりにもそれが眩しかったので、私は手を使って目の上に影を作る。
ふう、と一息ついて夜明けに背中を向けた。すぐ横に綺麗に揃えた二足の靴を履き直し帰路につく。
周囲の山々からは蝉や野鳥の鳴き声が響き渡り始めていた。
夜明け前に、一緒に夜を過ごした相手の部屋を、相手に気づかれないように部屋を出る。
朝までは過ごせない。朝まで過ごしてしまうと本気になってしまう。
相手の言う〈本気〉を試してしまうみっともないことしたくなってしまう。
だから、夜明け前に過ごした部屋を出るのが、1番良いのだ。
#夜明け前 #
ソフィア
夜明け前、というタイミングに出会えることは少ない。だいたいは寝ているし、もし会おうとするなら意図的に、私の場合は目覚まし時計でもかけなければいけないのだが、最近は冷えか、はたまた歳のせいか、トイレに起きることが多々ある。
まだ日の昇らない、動物達がひっそりと息を潜めているあの静けさが好きだ。薄ら寒い、きりっと引き締まった空気も好き。暗いけれど仄かに、もうすぐそこに、朝の気配が迫っている。そんな静寂の中に人工的な光を入れるのが嫌で、私はいつも一階のトイレまで電気をつけずに行き、二階のベッドに戻るまで、薄暗い室内を歩くことになる。
カーテンに指をかけてほんの数センチだけ開くと、空は半分以上が深い闇色で、まだ眠っていられるとほっとする。しかし東側はもう白み始めて稜線がくっきりと見えている。そのさまが美しいのでぼけっと見つめてしまうのだが、そうしていると時計の針がどんどん進むので、私は慌てて布団にもぐりこむ。
ずっと夜明け前ならいい。
大気と植物と自分の気配しかしないあの寂しさが好きだ。
言い様のない懐かしさがこみ上げて、胸がきゅっとなるあの瞬間が好きなのだ。
▼夜明け前
星の海の中でひときわ輝く星がいた
こんなに輝いているのに
誰も気づいてくれないと泣いていた
その星はまもなく消えてしまうのだ
暁の空 星は見えない
#夜明け前
#4 夜明け前
夜明け前
秋の始まりを告げる少し冷たい風
午前3時頃。
誰かが見たかった朝の光は
星の煌きを待つ君にとっての別れの時間。
昨日と同じ日々が始まっているようで
世界は少しずつ変わっている。
星は変わらず煌くから好きと言った君
今も流星群を探している
毎日の空模様が変わるように
僕らの日々も変わる。
毎日そばにいてくれる星なんていないんだから
変わる毎日で輝けるように
君と過ごせたらいいな。