『夜の海』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
-夜の海-
ザザァーと海の波の音が聞こえる
月明かりで海が反射してキラキラと輝いている
そんな美しい光景をイメージするだろう
実際は真っ暗な夜で波の音が聞こえたとしても海があまり見えない
月明かりも綺麗に輝く訳もなく海に反射してない
場所が悪かったかもしれないけど
現実と理想がかけ離れていて思ったのと違う体験ありますか?
「夜の海」
生きるのがつらい。
最近毎日のようにそう考える。
特に学校に行くのがつらい。
受験生の時は確かにここに行きたいと思って、決して楽ではない受験勉強をがんばって、見事第一志望に受かって入れた学校だった。受かったときはもちろんうれしかったし、これから楽しい高校生活が待っているのだろうと信じていた。
でも、そんなことは無かった。スタートダッシュを失敗した私には友達ができなくて、あっという間にひとりぼっちになった。もともと人見知りな私はすでにできつつある仲良しグループに入ることができなくて、ああこれからの高校生活ずっとぼっちなんだと分かってしまった。友達がいないというのは些細なことのようで、私には重大な問題だった。ただ静かに機械的に学校に行くうちにどんどん学校に行くのがつらくなって、生きていたくないと思うようになって、とうとう今日学校をさぼってしまった。
学校の最寄り駅についても降りなかったのだ。降りたくなかった。妙に反抗的な気分だった。このまま終点まで行ってやろうと意気込む。確か終点まで乗ったら海につくはずだ。行こう、海に。学校なんて死ぬほどつまらないところに行くよりずっといい。気が大きくなった私は学校に嘘の欠席連絡をして、電車に揺られ続けた。海は結構遠い。
『終点~終点~』
いつの間にか眠ってしまっていたようだった。車内アナウンスの声で目を覚ます。もう着いたのか。慌てて車両から降りて、私は目を見開いた。駅のホームからもう海が見える。青く輝き、どこまでも広く続いている海が。朝の重苦しい気持ちはすっかり消えて、ワクワクしてきたのを感じた。駆け足気味で駅を出て、海に向かう。
春の日の朝だからか、海にはほとんど人がいなかった。ただ制服姿でいるのはやはり少し気まずいので、人がいない方向を目指して砂浜を歩く。砂浜は真っ白で、きらきらと光っていた。一歩歩くごとにが足を優しく包み込んでくれて気持ちがいい。
そこで私は、岩影に隠れるように座っている不思議な人を見つけた。水着を着ていて、髪の毛が水色の女の人。ただの変わった人だと思って気づかれないように後ろを通りすぎた時、目の端にちらりと青い光が見えた。気になって振り返ると、なんと女の人の下半身が青くてきらめくうろこでおおわれているではないか。まさか、人魚?思わずまじまじと見つめていると、目が合ってしまった。女優さんみたいにきれいだ。女の人はにこっとして手をふる。
「あら、かわいい人間の女の子。こんにちは」
返事もできずに固まっていると、その人はきょとんと首をかしげた。
「もしかしておはようの方が良かったかしら?ごめんなさいね、陸の文化には不慣れで困るわ」
「あ、あのぅ……ほんとうに人魚、なんですか」
「もちろんよ。他にどう見えるっていうの?」
人魚さんはぷうっと頬を膨らませる。こんな顔もするんだ。人魚さんはすぐに笑顔になって、自分の隣をぽんぽんと叩いた。
「そんなことより、私人間のお友達が欲しかったのよ。ほら、おしゃべりしましょう?」
いつもならこんな誘い絶対乗らない。正直怪しくてたまんない。どこの誰なのか、ほんとうに人魚なのかもわからないんだもん。でも、今日の私は学校をさぼった不良少女だ。ダメなことでも楽しそうならやってみたくなる。私は人魚さんの隣に座った。人魚さんからはほんのり磯のにおいがした。
それから私たちは色んな事を話した。人魚さんと私は意外に気が合った。きれいで、広くて、なんでも受け入れてくれそうな海をみながらするおしゃべりは楽しかった。そんな海から来たからか、人魚さんの心は広くて明るくて、話しているだけでもやもやする気分が晴れていく。気づけば私は学校のことも話していた。
「高校デビューに失敗して、クラスに友達一人もいないんです。何しても一人で、さみしくて、学校行きたくなくなっちゃって。こんな理由でって思うかもしれませんけど……」
私の愚痴を聞いて、人魚さんは柔らかく微笑んでいった。
「できたじゃない。友達一人。私とあなたは友達でしょ」
「友達」
「そうよ。それに、きっと高校でも友達できるわ。まだ春じゃない。チャンスはいっぱいあるわよ」
「無理ですよ。だってもうクラスでグループで来てるし、部活でもそうだし」
「グループにも話しかけてみればいいのよ。きらわれてるわけじゃないんでしょ」
「無理ですよ……っ。そんな勇気、とても出ない!」
つい声を荒げてしまう。でも人魚さんはゆるぎない瞳で私をじっと見つめ、断言した。
「できるわよ。あなたは学校さぼって一人で海に来る行動力があるんだから」
それに私もいるでしょ、とふふふと笑う。不思議なことに、できる、と言われるとできる気がしてきた。結局私は勇気を出すことを怖がって、もう無理だと言い聞かせて諦めようとしていたのかもしれない。まだできることはあるのに。
「私、やってみます」
私はつぶやいた。いったいどれだけ話していたのか、暗くなってきた海を見る。そろそろ日が暮れる。
人魚さんは力強くうなずいた。
「きっと、できるよ」
空には星が瞬き始めていた。昼の海とは違う、落ち着いた雰囲気。
うん、私はきっと頑張れる。そう思えた。
夜の海
「ここは夜でも静かだね」
空に浮かぶ月を眺めてそう言った貴方は山のほうの出だというから、此処の賑やかさを知らないのでしょう。
目を閉じ、耳を澄ませば聞こえる、岩に当たって砕ける波の音。浜に残された泡の割れる音。遠い海の底で唄う船の声。嵐の訪れを告げる魚の囁き。
それから、砂を踏んでやってくる彼の足音。
これから交わされる私達の会話も、行われる秘め事も。
すべてこの賑やかさの中に消えてしまうのを、貴方はきっと知ることはないのでしょう。
頭上を光が通り過ぎる。左から右へと光が動き、暗い海をすうっと照らす。光を目で追うがそこには何もいない。暗い海がただ照らされるだけ。
日中はまだ暑いというのに、夜の海辺は思いのほか寒い。薄着のせいか、海風のせいか、はたまた季節外れの寒気のせいか。
ただそれでも、この景色を目に焼き付けたかった。
突然会社から有給休暇を消費するように厳命されたのは先週のこと。何がどうあっても今月中に5日は消費してくれと泣きつかれたので、閑散期で少々暇な今の時期ならと致し方なく休むことにした。
仕事をしていることでようやく人としての形を保っていられる私のような人間にとって、連休ほど困ることはない。それなのに、3連休と土日に挟まれて10日間の大型連休となってしまったのだから、泣きたいのはこっちだと不満を漏らす。
降って湧いた10連休。旅にでも出てみようかと旅行雑誌を購入したものの、いまいちどこもピンとこない。どうしたものかと思案していると、ふと思い出したのが灯台だった。
子どもの頃、父の書斎。所狭しと本が積み上げられていたのに、本棚の1ヶ所だけぽっかりと空いていて、そこにあったのが灯台の模型だった。
これは何かと問うた私に父は「これは今も動いている世界で一番古い灯台だよ」と笑顔で答えた。そのあと続けて色々と説明をしてくれたように思うが、聞き慣れない単語だらけで、幼い私には理解できなかった。ただ、その模型の美しさと父の嬉しそうな顔だけは、今でもはっきりと思い出せた。
良い思い付きのように思えた。旅支度を整え、オンボロ愛車に乗り、そうしてやって来たのが海沿いのこの町だった。
日頃趣味もなく慎ましやかに暮らしてきたおかげで、こういう時の軍資金はある。少し贅沢な宿を取り、宿を拠点としてあちこち行ってみるプランにした。
と言ってもやはり根がインドア派なので、そうアクティブに動ける訳でもなく、1日に1ヶ所訪れるくらいで十二分に満足だった。
1日は有名なお寺を参拝し、1日は専門的な博物館を訪れ、1日は苔むす庭園を散策し、大いに旅気分を味わった。
最終日、ゆっくり支度を済ませ宿を後にした。当初の目的、灯台へ向かう。外観を眺めるだけなので、2〜3ヶ所回ってみるつもりにしていた。
朝、最初の灯台は山の上に建っていた。鬱蒼と生い茂る木々の中に建つ白い灯台。地図上では海に近いのでこういう立地もあるのかと驚いた。昼、2つ目の灯台は堤防の先に建っていた。赤い灯台。湾の入口は右と左で色が違うらしい。夕方、3つ目の灯台は岬の先に建っていた。空と海と灯台。思い描いていた灯台はこれだった。ただ、なにか物足りない気がした。
ここで最後にしようと思い、しばらく海を眺めていた。夕焼け色に空が染まり、宵闇が迫りつつあった。刻一刻と変化していくグラデーション。自然の見せる圧倒的な美しさに見蕩れていると、不意に頭上が明るくなった。灯台が点灯したのだ。
光が遠方まで照らす。左から右へと移動する。光を目で追う。振り返り、灯台を見上げた。ああ、そうだ、灯台の本当の姿はこれだ。暗闇の中、海を照らし船人を導く、これぞまさに灯台の真骨頂ではないか。
あの日、父の書斎で見たあの灯台は、本棚の暗がりの中にいた。光りこそしていなかったが、暗い中でも凛と立つあの姿が、私が求めていた物だったのだ。こんなに当たり前のことに気付かないとは、正に"灯台下暗し"だ。
震えているのは海風の冷たさのせいか、はたまた寒い冗談のせいか。独りくすりと笑いながら、満たされた気持ちで帰路に着いた。
―――灯台の思い出
#43【夜の海】
水平線の向こう側には化け物がいる。そんな気がする。月明かりも届かず、波風が立たない真っ黒な夜の海を見ながらそんなことを考えていた。
砂浜を歩いていると、コツンと足先になにかが当たった。拾ってみると、小瓶だった。中に丸められた紙が入っている。きっとこの海を長いこと旅してきたのだろう。瓶は傷だらけになっていた。これを海に投げた人は、誰かに届くことを祈っていたのかもしれない。瓶の蓋を開けて中の紙を取り出すと、小学生が書いたような文字で「ともだちになりたいです」という言葉とその下には電話番号が書かれていた。きっとこの持ち主はいつかこれを拾った人から電話がかかってくることを期待していたのだろう。
普通こんな時間に電話なんて迷惑だろうが、海の向こうの化け物がそんな無礼も許してくれるような気がした。書かれた番号に電話をかけてみる。無機質なメロディがしばらく流れたあと、女性の静かな声がした。
「どちらさまでしょうか」
本当に出るとは思わず、言葉に詰まった。落ち着こうと深呼吸をする。
「すみません、突然電話して。実はたった今、砂浜で小瓶を拾ったんです。その中に入ってた紙に友達になりたいという文とお宅の電話番号が書かれていたので、つい掛けてしまいました。おそらく、お宅のお子さんのものではないでしょうか」
「あぁ、確かに息子と瓶を海に流しに行った記憶があります。でも、すみません。離婚してしまって、息子はもう家にいないんです。もう成人しているのですが、離婚以来一度も会っていなくて……。ご迷惑でなければ、その瓶を私の家まで持ってきていただくことは可能ですか」
郵送ではなく、持ってきて欲しいと頼まれた。断る理由もなく、僕は住所をメモして次の日の朝には出発した。遠く離れた田舎の中にある一軒家に向かう。
迎え出てくれた女性はやつれていて、なにかの病気ではないかと心配した。家の中に入り、小瓶を手渡す。中を広げた女性は静かに涙を流した。
特にそれ以上深く話すことはなく、玄関まで見送ってもらった。玄関の靴箱の上には家族写真が置かれていた。その人物と目が合って、心臓が止まりそうになった。女性は不思議に思って、どうされましたかと聞いてきた。
「この人、僕の、父親です」
「じゃあ、あなたは……」
女性は僕の名前を呼んだ。こくりと頷く。
「どうして、どうしてこんなにやつれているの。元気にしているって聞いていたのに。ねぇ、どうしたの」
母は力強く抱きしめた。やつれているのはお互い様だった。
「ねぇ、母さん。夜の海の向こうには……」
「化け物がいるんでしょう。人を食べる化け物」
「一緒に、行こうよ」
耳元で囁かれたいいよという言葉を合図に、僕たちは化け物が待つ方を目指して手を繋いだ。
星のように輝いている10本の腕をつかむ航路へ
『夜の海』
8/15 お題「夜の海」
何も、見えない。月も星もない。ただ波の音がするだけ。
ふらり、ふらりと、女が歩く。裸足が砂を踏む。生ぬるい夜風が女のワンピースをなびかせる。
「帰って来て」
ぼそりと、女は口を開いて言葉を落とした。
「帰ってきてよ」
両足から力が抜け、がくりと膝をつく。腕は支えにならず、女は砂の上に突っ伏した。
「置いて行かないで…」
何も、見えない。月も星もない。ただ波の音と、すすり泣く声がするだけ。
(所要時間:6分)
〜 夜の海 〜
波の音だけが静かにささやく砂浜
暗黒が目の前に広がる
黒色の深さ
包み込まれてしまう
優しさの深さ
包み込まれてしまう
その先に見える街の明かり
日常の喧騒を忘れさせてくれる
心地よい孤独感
花火をしようと夜の海へ連れ出された。正直暗くてあまり夜の海は好きじゃない。
だけど楽しそうにはしゃぐ君がいると、なんだかこれもいいな、なんて思うのだ。
32.『夜の海』
サカイと付き合うことになってすぐ私は19歳になった。バスで一緒に帰ってうちに泊まったよね。
人生初のキスがどこでどんなだったか覚えてないなんて、なんて奴だよって自分で思うけど、サカイとだったことは間違いないよ。覚えてたら教えて欲しいな。
体の奥深くに初めてサカイが触れたときのことは、今でもはっきり覚えてるよ。お互い不慣れで、なかなか上手くいかなかったね。でもちゃんと優しくて丁寧で気遣ってくれたから、初めてがサカイで良かった。
それでも、恥ずかしくて照れくさくて、次の日どんな顔したらいいのかわかんなくって居心地悪くて。世の中の恋人たちはなんで平然としていられるんだろうって、大人になった世界はなんだか違ってみえた。
人の体温がこんなにも優しくて温かいってこと、教えてくれたのはサカイだった。サカイに抱きしめてもらうのが好きだったよ。
ザザー
ザザーン
ザザザーン
……
吸い、こまれそう
夜の海(2023.8.15)
夜の海を眺める
黒く、静かに、さざめく波
白く、冷たく、浮かぶ月
足を踏み出せば、波の上を歩いて、手が届きそうだ
そう思ったわたしを、私はあの海に置いてきてしまったのだろうか
君とみた夜の海の波は穏やかで、
ちょこっと肌寒かったけど、
一緒にいる時間はすごく楽しかった。
あれがきっと、最初で最後かな。
#夜の海
夜の海に波の音だけが繰り返されている
遠浅の砂浜が続いている海岸に僕は降り立つ
遠くの台風の影響か、少しだけ風が強い
しばらく波音を聞いていると
理由もないのに悲しくなってくる
この音は僕をひとりぼっちにさせる
実際、ひとりで来たのだが、、、それ以上に孤独を感じてしまうよ
久しぶりに君の文章を読んだよ
幸せそうだね、よかった
それだけなんだが…
本当にそれだけなんだが…
何だか僕も呟きたくなった
駄目だ、夜の海は人恋しくなるね
はじめまして、今日が初の投稿です。
夜の海、、、
あなたならどんな海を想像しますか?
私は真っ暗な海、というよりは月明かりで照らされた少し明るく広がっている海を想像しました。
感じ方は人それぞれ、
その人の心の状態や周りの環境によっても変わってくるのではないでしょうか。
色々なことに追い詰めれている今、私はちょっぴり重苦しい気持ちもありますが夜の海、行きたいなと思いました。海って心を安らげてくれる気がします。たまには1人で海を眺めるのも良いですよね、、。
お題「夜の海」
夏休み
家族旅行
海水浴
毎年定番の過ごし方
遊び疲れ、火照った全身
眠いのに眠れない
静かな部屋に波の音が
耳の奥に滑り込む
こっそり起き出し
カーテンの隙間から外を見る
真っ暗だった
月も星もなく
ただただ真っ暗な視界
空と海の境もわからず
波の音、潮の匂いで海があるとわかる
とてもとても怖かった
昼間あんなに楽しかった場所なのに
たまたま雲が掛かっていただけなのに
まったく別の世界を見ているようだった
それから夜の海は特別で
大人になってもあの暗闇にのまれそうで
ちょっと怖い
ずっと残っているトラウマ
【夜の海】
静かに横たわる夜の海を何も言わず見ていた。隣に立つ人も口を開こうとしなかった。それを自分への言い訳に、ただ黙り込んで水面を見ていた。
波の音だけが響く静かな世界。柔らかな沈黙と穏やかな月光が二人を包み込んでいる。水晶の中に閉じ込められたかのような、泣き出したいほど美しい夜だった。
泡沫と眠る夜の海
冷たい潮風と浜辺に足跡
辿る先は忘れられた大聖堂
#夜の海
夜の海は深く暗く、全てを飲み込みそうなほどの大きさを湛えている。
このまま飛び込んでしまえば、二度と出れなくなりそうなほどだ。
視界が霞む。
目の前のそれに飛び込むことなんてないのに、まるで吸い込まれてしまいそうなほどの暗闇が視界を覆う。
僕は何をしにきたんだっけ。その記憶ですらも朧げになってしまうほどに、
僕はその暗い海に魅せられている
辺り静かの中波打っている音。辺り真っ暗だか、月の光によって明るくなる。夜の海は、朝の海、昼の海とは違いとても落ち着く。私は夜の海が好きだ。月の光によって姿を現す海。波の音。「ザーザー」と朝と昼の海の音とまるで違う。悲しくなったら夜の海に行く。