『夏』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
揺れる景色に目が回る
黒い髪にセーラー服
学生時代最後の夏
君の笑い声で
五月蝿い蝉の声が僕に届かなくなる
教科書をパタパタさせて涼しんでいる君の目は
どこか悲しそうに見えた。
夏
溶けそうな暑さとか
子供がプールではしゃいでる音とか
濃い青い空に浮かぶ入道雲とか
風鈴の音とか
鼻をくすぐる蚊取り線香の匂いとか
うるさいくらいの蝉の鳴き声とか
小さくぱちぱちいう線香花火とか
カランとなるラムネの音とか
海のさざ波の音とか(?)
そういったものが
夏を感じさせてくれる。
「素麺とめんつゆを買い物カゴに入れながら」
夏が待ち遠しかったのも、楽しかったのも、子供の頃だけだ。
長く怠惰な夏休み。
宿題はあるが、毎日毎日学校に通わなくてもいい日々。
今から思えば、あの有り余る時間を何故あんなにも堕落した生活で無駄にしていたのだろうと思う。もっと勉強していれば。その後悔があるから、大人は子供に余計なアドバイスをしてしまうのかもしれない。
大人になった今、夏はただ暑いだけの日常。
しかも、私にはお盆休みもないのだ。
いや、もとより主婦業は年中無休であるが。
あぁ、今年もまた、昼食のメニューに悩まされる日々がやってくるのね……
「ええ〜そうめん飽きたぁ」
「暑いからラーメンやだー」
「ジュース飲みたいぃー!」
ひたすら過ぎ去るのを待つしかない季節が、来ようとしている。来なくていいです。帰ってください。
────夏
はじめて会った日のことを思い出しています。先に聴いた声の印象がそのままで僕はうれしく恥ずかしくなりました。今あなたの声がとても聴きたいのは聴けないことをわかっているからで、ないのものを欲しくなるのは僕が苦しくなりたいからなのでしょう。
夏を前にするといつもあなたの苦しさを分けてほしくなります。離れ際にやわらかく触れてくれた僕の右腕は誰にも触れられていないままでいます。
夏は嫌いじゃないと思ったとき、
その理由をなんとなく考えてはいけない気がした。
「夏」
夏の匂いがした。
どんな匂い、と言われても夏の匂いは夏の匂い。
照りつける太陽にバテそうだけど、なぜかドキドキして浮き足立ってしまう、そんな匂い。
海に行きたい。アイスが食べたい。お祭りにも行って、花火も見たい。
そして隣に居るのは君がいい。暑さなんて吹っ飛んじゃうくらい爽やかで、でも太陽よりも明るい笑顔で、笑いかけていて欲しい。
そんな君の手を握って、結局熱くなってしまったとしても…。
→夏、来訪
つい今しがた、夏から電話がかかってきた。
電話の向こう、ハキハキ話すその声に、原色の青色に浮かぶ入道雲を思う。
大きな旅行鞄を手に入れたと嬉しそうに笑っている。
「これで長期滞在もお土産もバッチリ!」
しばらく他愛のない話をして、私たちは受話器を置いた。
あっ! しまった! お土産って熱気パウダーだった! 少しでいいよって伝えようと思ってたのに忘れてた!
熱気パウダーは太陽専用のお化粧品。地元の名産だからと夏は必ずお土産に持ってくる。太陽は大喜びして厚化粧になる。暑いのが苦手な私はバテバテ。夏来訪の風物詩。
窓から生ぬるい風が吹き込んできた。
「仕方がない。なんとか乗り切ろう」
今年も、暑くなる。
テーマ; 夏
“夏”
生ぬるい風に乗って、吹奏楽部の楽器の音とグラウンドを走る運動部の掛け声が聴こえてくる。完全に集中力を欠いた俺は指でシャーペンを回しながら、解答を悩んでいるふりをしてそっと向かいに座る男の顔を眺めることにした。
透き通る様な白い肌、スッと通った外人みたいに高い鼻、長いまつげに縁取られた切れ長の目、さらりと流れる少しだけ伸びた髪。見ているだけで涼しくなる様な見た目の彼はその実ありえないほどに沸点が低い激情家だが、今は課題に集中しているせいか静かにしている。
静かにしてればなあ、なんて彼をよく知る人間なら誰しもが一度は口にしてしまう言葉が頭の隅を過ぎった。
静かにしていれば、確かに彼はとても綺麗な男だった。クラスメイトの女子たちがグラウンドにいる彼を見ながらヒソヒソと話していたとおり、目の保養というやつなのだろう。激情家な一面ばかりを目撃してきたからか静かな彼は少し物足りなさもあったが、目の保養と思えばもう少しだけみていたいという欲も出てくる。なんだか急に喉が乾いてきて、ゴクリと喉を鳴らしたと同時に、彼が顔を上げた。
「さっきからジロジロと人を見やがって、なんのつもりだよ」
目一杯に怒ってますという顔をして睨みあげてくる彼はもう完全に激情家の顔になっていて、良くわからないけれど酷くホッとした。
「なんでもないよ、良くこの暑い中集中が続くなって見てただけさ」
「お前の集中力がないだけだろ」
フンッとバカにした様に鼻を鳴らした彼はそのまま机に置きっぱなしにしていたペットボトルを手に取った。ペットボトルについた水滴が彼の白い腕を伝って落ちていく。流れる水滴を目で追っていた時にチラッと見えたYシャツの下の二の腕の白さがやけに目について、また喉がゴクリと鳴った。その意味を考えたくなくて目を逸した先には夏の抜けるような青空が見えた。
夏だから、暑いから。ただ、喉が乾いただけだから。
ちょっと飲み物買ってくるわと教室を出る俺の背中に向かって俺のも頼むわと言う彼の声が聞こえた。
夏は好きではないが、夏に纏わる物語は好きだ。
帰れないあの頃の憧憬がそこには広がっている。
入道雲、麦わら帽子、汗をかいたラムネの瓶、安物の玩具を売る縁日の出店、虫食いのラジオ体操カード、虫かご、蝉時雨、夕立。
夏はノスタルジーの宝庫だ。
夏が来る!!ってか、もう来てる気がする。それぐらい、今年は夏前から暑い。
私は夏が嫌い!もっと言うと暑いのが苦手。虫も苦手。
そう!セミが苦手。あの色がとくに。
今日は猛暑だ。扇風機に身を寄せながらテレビをつける。今日は海に行っている人が多いらしいとニュースキャスターが言う。
そっか、やっぱり暑いもんね。皆、行きたくなるよね。海。
私は海にいい思い出が無いと言う訳では無いが海が嫌いだ。何処までも冷たく、広い海。青空を吸い、煌びやかに見せている。
何が言いたいのかと言うと、私はその広くて何処までも果てしない海が怖くてたまらないのだ。何処までも、果てしなくとは無限にという意味に聞こえてしまう。あの、深く、深く、けっして浅くない海が嫌だ。私を呑み込んでしまわないか不安になるのだ。
テレビは次に日焼け対策や熱中症予防についてやっている。
日焼け止め、あったかな。
私は立ち上がり、棚の上を見た。日焼け止めクリームがそこにあった。手を伸ばし、手に取った。蓋を外し、クリームを腕や足に塗りたくる。絶対に日焼けはしたくない。
私はこれから海に行こうと思う。怖いと言ってしまったが、私は毎年この時期になると海に出かけに行く。何処までも果てしなく続く海を克服するために。
「暑いー!!!気持ち悪いよっ……」
夏は嫌いだ。
日焼けするし、夏休みも休めないし、部活もできない、プールも泳げないから、尚更。
海も濡れたあとの気持ち悪さが堪らないから、苦手だ。
それでも、最近休日の朝だけ、毎日続けていることがある。
30分くらいかけて、いつもは行かない場所を歩くこと。
楽しいし、自然も多いし、知らなかったところが知れて嬉しい。
あと……
貴方に会いたいってのも、あるかもね?
柔らかなトーンで咲き誇る紫陽花が、雫に濡れている。
こんなにも雨が似合う花を、私は他に知らない。
この曇り空も、降り続く雨の音さえも、この花を引き立てる為のものに思えて仕方ない。
風に揺れる葵が、上へ上へと咲いていく。
霞んだ視界で、その鮮やかな色に目を奪われる。
打ち付ける雨の中でも、凛と佇む美しさ。
その花があとひとつ、ふたつ、咲く頃には。
じっとりとして空気すら重たく感じる梅雨にも私たちを愉しませて、後に続くうだるような暑さになる夏の、心構えをさせてくれているんじゃないかって、そんなことを考えている。
夏
吹き抜ける海風
照りつける太陽と
急に降ってくるスコール
それは確かに夏だった
異国の地での夏休みが
始まった
夏は君と海辺のデートに行きたいな!笑
可愛い水着着て君にかわいいねって言ってもらうんだから!!笑笑
あと夏祭りにも行きたいな!綿菓子を買って二人で半分越しながら花火も見たいな〜笑
夏はやりたいことが盛り沢山だな!!
【夏】
心身の辛さを人に打ち明けたら
梅雨は気分が落ち込みやすきからね、と言われた
悪気はないのだろうが、軽い返しにモヤモヤした
では、夏になれば気か晴れるというのか?
心身が晴れやかになるというのか?
わかってる、これはただの八つ当たりだ…
もう疲れた
思うように動かせない体
思うことも儘ならない頭
いつまで続くのか
夏がきて、秋がきて、一年がたっても変わらない
もう疲れた
夏旅は 高速道路の 後部座席
手を窄め 作るソフトクリーム 入道雲
夏といえば、素麺、氷菓、花火、川、海。
蚊取り線香に火をつけて、貴方と夏の計画を立てる。
さぁ、今年は貴方と何をしよう?
クマゼミが鳴いている。
「シネシネシネシネシネ」
虫にまでそんなこと言われるのか、私は。
ああ、動けない、暑くて。
寝返りをうつと、太ももに畳の跡がくっきりと。
「うるさいうるさいうるさいっ」
「シネシネシネシネシネシネシネ……」
(夏)
昔憧れたアニメの主人公と
諦めたはずの夢の残像が
いつまでも僕の瞳を焦がすから
自分が幸せだ、と感じれるまで
後どのくらい辛い目にあえばいいんだろ、
そんな暑苦しい事をいつまでも考えてた
どこに行ったって息苦しい
花火に海に眩しいものばかりで
蚊取り線香の煙たさと
頭を垂れたひまわりは
僕みたいだった
今年もそんな夏なのだろうか
だとしたら
耐えれる自信はもうないや、