『善悪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
●善悪おじさん●
どうしよう…選ばれてしまった、
とある事件の裁判員候補者に。
ある日の事、裁判所から来たお知らせに
私は愕然としていた。
とある事件の裁判員候補にこの度選ばれたのだ。
裁判員裁判の裁判員候補者になっていたのは、
以前来た封書で知ってはいたが、忘れていた。
その当時は確か、
“私には無縁の事”
“そもそも選ばれるわけが無い”と思い、
送られてきた調査票には、
何事も辞退する理由もないので
その旨を書いて返送したのであった。
その時の私は、
選ばれる事なんて微塵も思わず、
すぐに普段の生活に戻り、
いつもの日常を過ごしていた。
それでもその時から、BGM代わりに
つけっぱなしにしているテレビから
流れる出る色んな事件や事故の音に無意識に
耳を傾けていたと思う。
私が選ばれた事件はその中のモノだったからだ。
その事件の裁判員候補に選ばれたと知った時は
テレビでしか見たことの無い有名人に
偶然出会ってしまったみたいな…、
そんな感覚。
有名人に会った事はないけれど、
私の感覚では多分そうだろう。
その事件は、それだけ酷い事件だったから。
裁判所からのお知らせに
当時騒がれた事件を思い出し
じわじわと不安が押し寄せてきた。
私はこの事件の裁判員候補。
他にはどんな人が選ばれたんだろう、
この事件を擁護する人?叩く人?
私はどっち?人が人を裁いていいの?
そもそもこの事件の内容は…。
気がつけば、部屋の中をぐるぐると
歩き回っていた。何週したんだろう。
ポコポコ音がする水槽をみてみると
数年前に縁日ですくった
金魚がこちらを見ていたような気がした。
ちなみに名前はカネコだ。
うーん、うーん。分からない。
そもそも悪い事をしたから悪いわけで、
それで裁判するわけで…。
まだその事件の裁判員に
決まったわけじゃないし…。
私はいつの間にか水槽に顔を近づけていて、
ぶつぶつとカネコに話しかけていた。
その時、ふと思い出した事があった。
友達と祭りを一通り楽しみ、
すくったカネコが入った水袋を手に
そろそろ帰ろうかと歩いていた時、
『この街には善悪おじさんという人がいるんだよ』
そんな言葉が聞こえ
一瞬時が止まった感覚がした。
『何それ?』
『善悪おじさんに私はどっち?って聞くと
聞いた人の善悪を教えてくれるんだって』
『善悪?意味が分からない』
『ねー』
人混みからそんな会話が聞こえたのを
思い出した。
…そう、善悪おじさん。
その時はこの街の七不思議か何かと
友達と笑い合っていたけど
今考えると何でそんな会話が、
あの人混みの中で、鮮明に聞こえたのが
不思議でならない。
私はその出来事が運命だと思い
人の善悪を教えてくれる人なら
もしあの事件の裁判員に選ばれた時
ちゃんと裁きを下せるんじゃ無いかと…
気がつけば靴を履き外に出ていた。
場所は…
『意味は分からないけど面白そう!
その善悪おじさんってどこにいるの?』
『んー、わたしが聞いた噂によると、
海辺の公園の近くだって』
『あ!ママに近づいちゃ駄目って言われてる所だ』
…海辺の公園の近く。
そこは昔ホームレスの集まる場所だった。
今は一斉退去させられたとかで、
そこに居た人達人がいなくなっただけの
ただの寂しい場所だ。
来週の何曜日だったか
私は裁判所にいかなければならない。
そこであの事件の裁判員になるか
ならないかが正式に決まる。
それまでに、
本当にいるかも分からない
善悪おじさんに私は会いたかった。
善悪おじさんに何が正しいか
聞いてみたかった。
仮に、私が裁判員の1人になったとして、
考えてみた事があった。
すごく酷い事をした奴だから
無期懲役とか死刑が妥当だと、
そう意見を述べよう、と。
そいつは酷い事をした悪い奴だから、
それが正しいと。
簡単な事だ。
“悪いコトをしたなら罰が下る”
誰しもが幼い頃から
ずっと大人に言われてきた事。
だから、判断を下す事なんて、
簡単な事だと、
…そう思っていた。
答えは出さなくても
昔から決まっている事なのに、
無駄に何回考えてもそれは違う気がした。
私にとってあの事件は、
テレビから流れ聞いただけで、
ただ知っている、無関係な人間。
ただそれだけなのだ。
善悪おじさんだったら
どう答えるのだろう。
あれこれ考えてる内に、
海辺の公園の近くまで来てしまった。
ホームレスの一斉退去後に
キレイに整えられたその場所は、
人が居ないせいなのか何なのか、
私には無機質な場所に思えた。
「…居るわけ無いかぁ」と、
思わず独り言。
考えすぎて張り詰めた心が
一気にほどける。
『こんにちは』
安堵にも似たような気持ちになっていた所に、
突然かけられた声。
善悪おじさん!?と、
一瞬びっくりしたけども、
私に声をかけた人は、
この場所に月に何度か
清掃に来ているであろう
作業着を来たおじいさんだった。
作業着に何とか清掃サービスと
書かれている。
「こ…こんにちは…ぁ…」
恐る恐るする必要もないのだけれど、
変な声色になってしまった。
普段誰も近寄らないような場所で、
私一人。しかも平日の昼過ぎ。
普通に仕事は休みだけれど、
例えるなら学校をズル休みして、
ここへ遊びに来た、みたいな
後ろめたい気持ちが声に現れた。
作業服を来たおじいさんは
私の変な声の挨拶に微笑むと、
私の事を気にすること無く
掃除を始めた。
「あの、善悪おじさんって知ってますか?」
『え?』
ここに掃除に来ている人なら
何か知っているかもしれない
つい言葉が出てしまった。
清掃のおじいさんは
突然の問いに驚いた様子だったけど
『懐かしい言葉だね、善悪おじさんか』
まさかの回答だった。
「善悪おじさんの事、知ってるんですか?」
おじいさんは掃除の手を止めず
笑いながら答えてくれた。
『知っていると言えばしっているけど、
知らないと言えば知らないかな』
「え?」
『あやふやでごめんね。
…ところで、ちょっと前まで、
ここがホームレスのたまり場だった事は知ってるかい?』
「は…はい。でも、一斉退去だとかで…」
『そうなんだよ。よく知ってたね。
私は、生まれも育ちもこの街で、
住んでる場所もこの近くだ』
おじいさんは掃除道具を置き
よっこらせと
近くにあったベンチに座った。
隣にどうぞと、
ジェスチャーをしてくれたので
少し離れて座った。
『近所だったからか、
ホームレスの中に友達もいたよ』
「へぇー」
『友達以外の人達もフレンドリーでね、
差し入れしては、よく一緒に飲んだものだ』
おじいさんは言葉を続ける。
『でも、それをよく思わない住民も沢山居てね、
いくら彼らが悪い奴らじゃなくても
住民はそうは思わないわけさ』
「まぁ、そんな…感じに思う人は…
一定数いる…とは思い…ます」
私はめちゃくちゃ言葉を選んだが、
それが正しいか分からなかった。
その様子を察したのか、
おじいさんはさっきのように
微笑んでくれた。
まるで気にしなくていいよと言ってくれてるみたいで、安心した。
『この場所の周りには、
子を持つ世帯も結構あったし、
時々、子ども達が遊びに来たり
していたんだ』
『広い公園は、いつのまにか窮屈になって、
子ども達は何故か遊べない。変な話しだろ?
だから、子ども達は
自由なホームレスの人らに憧れて、
そこに遊びに来てたと思うんだ憶測だけどね』
『そこでボードゲームを知った子が
、有名になった話しもあったなぁ』
話しをしているおじいさんは
懐かしさに目を細めている。
『大人が言っても聞かないものだから、
ある日誰かが怖い噂を流してね』
「あ!」
私の中でおじいさんの
話しがようやく合致した。
『そう、善悪おじさん。ね。
昔はもうちょっと違う名前だった気がするけどね。
色んな噂が混ざって、曲がって
今は善悪おじさんになってるみたいだね』
「そういう事だったんですか…」
…善悪おじさんは
結局の所いなかったのか。
『所で君は、何でその善悪おじさんに
会いたいと思ったんだい?』
「深い事情は言えないのですが、
だ…大学のレポートで人の善悪について
調べていたら、こんがらがっちゃって…」
裁判員裁判の事は言ってはいけないので、
嘘をついてしまった。
『それで、善悪おじさんに?』
「はい、何か教えて貰おうと思って…。
でも、噂は噂でしかなくて結局は居なかった…」
おじいさんは、
こんな私の話を、ちゃかす事なく
聞いてくれてるのに、
私は嘘をついてしまった。
心が痛い。
『それは困ったね』
「はい…困りました」
『ちなみに、その善悪おじさんの噂というのは?』
「私も偶然聞いた話なんですけど、
善悪おじさんに“私はどっち?”と聞くと、
聞いた人の善悪を教えてくれるそうです。
よく考えたらおかしいですよね、
その人の善悪を教えるって。
意味が分からない」
当時、噂話しを聞いてた子が
返した言葉を私も口にしていた。
『確かに意味が分からないね』
おじいさんは笑っていた。
「はは…レポートは振り出しに戻りそうです…」
これ以上ここに居ても
善悪おじさんは噂が歪曲したものだったし、
おじいさんの掃除の邪魔になるだけだ、帰ろう。
帰って、取りあえずカネコに
餌をあげなければ。
裁判員候補の事は明日考えよう。
そう思ってベンチから立ち上がろうとしたら、
『所で、君にとって私はどっちだい?』
「は?え?」
おじいさんの突然の問いに
動きが止まり、それから
あ!と思い
「…善?」と、答えてしまった。
『それは何でかな?』
「私が変な事言ってるのに、
ちゃかしたり否定しなかったし、
色々教えてくれたし…」
『はは、ありがとう。君には
私が善に見えるんだね』
おじいさんはとてもいい笑顔をみせた。
試しに私も聞いてみた
「おじいさんにとって、私はどっちですか?」
『悪かな!』
まさかの即答で悪びれる様子も無く、
答えるおじいさん。
え?私が悪?なんで?
レポートの事が嘘だってバレた?
過去の事もぐるぐるやってきて
心当たりを探る。
私が困惑しているのを見て、
おじいさんが申し訳なさそうに言った。
『ごめんね、そんなに深く気に留めないでほしい。何で悪に決めたかと言うと、顔でなんだ』
「顔ぉ?」
斜め上の言葉に
思わず不服そうな声を出してしまった。
『善悪でしか答えがないなら、
君は悪。それは、他の誰よりも
私の奥さんの方が、美しく可愛いからね』
おじいさんは、
さっきの思い出話をしてる時にみせた、
遠くを懐かしむような、そんな顔をして
目を細めた。
それから、パッと表情が戻り話しを続ける。
『それに、君とは今日初めて会った訳だし、
君の事は何も知らないからね。
今の所顔でしか…と。
そして、君はもしかしたら、
凶悪犯かもしれないし、
詐欺師かもしれないしね』
「え、そこまで考えてたんですか?」
『まぁ、半分は冗談な訳だけど、
善悪なんてそう簡単には分からないものだよ。
私だってこれだけ生きてるのに分からない。
簡単な善悪なら解るかもしれないが。
それも正解か怪しい。
だから答えを聞きに行くために、
毎日ここの掃除を頑張っているんだ』
「?」
『あぁ、すっかり長話になってしまったね。
私はそろそろ帰るとするよ、
今日はありがとう。久しぶりに楽しかったよ』
突然、話しをうちきられた様で
「こちらこそ、ありがとうございます」
そんなありきたりなお礼しか言えなかった。
おじいさんはニコリと笑うと、
掃除道具を持って帰っていった。
数日後、
私は裁判所に行き、
同じように裁判員候補に選ばれた
人達と一緒に、色々と説明を受け、
それから、この事件の裁判員に
選ばれるかどうかのクジで
見事に外れ、
私は、結局選ばれなかった。
裁判所からの帰りに
不思議なおじいさんと出会った
あの場所に行ってみた。
もし今日来たら、
多くは話せないけれど、
せめて、レポートの事は
嘘だったと謝りたい。
しかし…待ち人来ず。
私はしばらく、この無機質な風景を眺めていた。
この場所は、手入れは行き届いているけれど、
変わらず寂しい場所だと感じる。
どれくらい経ったか、
車が止まる音が聞こえ
私はハッとした。
車からは
見慣れない作業服を着た女性が
降り、掃除道具をもってこちらに
やってきた。
『あら、こんな場所に人がいるなんて珍しい』
“こんな場所”という単語に少し
ムッとしたけど
「こんにちは…」
今度は普通に挨拶ができた。
『こんにちは、お散歩か何か?』
「いえ…ちょっと」
おじいさんから感じた違和感がどうも離れない。
「あの!ここの場所の掃除って、
えーと、何だっけ…最後に清掃サービスって付く会社もしてたりしますか?」
おじいさんの会社の名は
難しい漢字だったからあの時は
読めなくてスルーしていた。
『んー、確か私の会社が、
ここの管理を任される前は、
名前の後にサービスって付いてた
会社の名前だったと思うけど、
もうずいぶんと前の話しよ?それに
その会社は倒産したんじゃなかったかしら』
「え?」
ずいぶんと“前”の話し?
それじゃ、あのおじいさんは?
誰?
『貴方が探している会社の事だったら、
私、そこの社長さんの事、知っているけど…』
「すみません、帰ります」
『え?ええ…気を付けてね』
話しを遮って私は早歩きで
その場を去った。
きっとあのおばさんは、
あの時出会った清掃のおじいさんの事を
色々と知っているかもしれない。
でも、それを聞いてしまうと
何かが消えてしまいそうで
聞きたくなかった。
私はおじいさんの存在を
箱にしまった。
これで、ずっと消えないはずだ。
家に着いたら、取り敢えずカネコに餌をあげて、
それから今日は疲れたから、早く寝よう。
そして、また何日かしたら
あの場所にいってみよう。
そうしたら今度こそ、
あの時嘘をついた事を謝るんだ。
いつかの夕方、
ポコポコと泡が立つ水槽に
一匹の金魚がいた。
金魚の目の先ではテレビが
つけっぱなしになっていて
その画面には
裁判所の門にずらりとならんだ
報道陣の目の前で
無罪と書いてある白い紙を宙に
かかげるスーツの男の姿があった。
だが、その金魚以外
テレビから流れる音も映像も
気に留める住民はいなかった。
fin,
#今回のお題は【善悪】でした。
善悪は物語のように上手くいかない
物語の中では悪人が倒されてハッピーエンド
現実では弱者が追い詰められ
悪人が大きな顔をしてのさばる
この世界はおかしいね
自分が良かれと思ってしたことは
大抵誰かにとっては迷惑でしか無くて
いい人間の 優しいふりをして
自分自身を正当化したいだけで
なんなら傷つけたりもした覚えがある
だからもう 怖くなっちゃったりして
意味もなく人に優しくしたり
意味もなく人に同情したり
意味もなく人に干渉したり
無意味に関わろうとするの やめた
そんなことをしてるうちに
存在の気配を消すのが得意になった
みんなうちが居ないように扱ってくるから
私が突き放してるのか 周りが離れてるのか分からないけど
無理に笑わなくても良くて
流石嫌われ者 って感じで心地良い
強がりとかではなくて
やたら好かれるよりは嫌われてた方が楽だと思うだけ
誰にも期待されず 誰にも期待させず
友達とか片手余るくらいしかいないし
親友は 親しいだけの幼馴染だし だから別に仲良くもない
そんな曖昧さでいい
親切も不親切も
真面目か不真面目かも
イイも悪いも自分次第
私は、私が良けりゃそれでいい
自己満な人生で構わない。
_ ₃₇
追記、それから はーとが444になりました ゾロ目です
いつも読んで貰ってて 感謝してます
善悪について考えてみると
本当は、善悪なんて概念はないのかもしれない。
結局は善たれと人間たちが勝手にレッテル張りをして
悪を裁いているのかもしれない。
でも、善行を積んだら極楽へいけるからとかそんな大層なことじゃなくても
やっぱり人には優しくありたい。
川辺に束になって生えている、丈の長い草。
ネズミや小鳥が巣を作り、たまに蛇なんかも休憩している。
風に揺れ、サワサワ音を立て靡く緑。
とある地域では、冬に燃やしてしまうそうだ。
虫の卵や草の枯れた部分だけが焼けて、春になったら新芽をにょきりと出すらしい。
夏になるとススキのような、トウモロコシのような穂がポフポフ揺れる。
なんていう植物か、知ってるかい?
テーマ「善悪」
昔、「死にたくて堪らない」と
とあるチャットルームで叫んでいる女の子がいた。
チャットルームの住人は
「そんなことないよ」「大丈夫だよ」
「生きていれば良いことあるよ」と
持てる限りの言葉を尽くして慰めたけど
「そんな言葉いらない」と彼女には何も届かなかった
私は入室して彼女に言った。
「どんな感じで死にたいですか?」
「え?」
「どうせ死ぬなら自分の望む形で死にたいじゃないですか。」
彼女は少し戸惑っている様子だった。
チャットルームの住人達は「なんて事言うんだ」と
私を糾弾し始めた。
彼女はしばらく悩んで
「私、キノコになりたいんです」
と答えた。
「え?」
今度は私が聞き返した。
「ヨーロッパで、死んだ後に菌を埋め込んだスーツを着せてキノコを栽培する、キノコ葬というのがあるんです」
彼女は生き生きと答えた。
その生えたキノコ、どうするんだろうか。
食べるんだろうか。それもどうなんだろうか。
でも
「面白くないですか?」
と屈託なく笑う彼女を見て
私は「善い質問をした」と思った。
「善悪」
草原に身を隠すチーターが
ヨチヨチ歩きの水牛の子どもに狙いを定め
猛然と追いかけた。
木のうろで待つ二匹の子どもに
食べさせねばならぬ。
それに気づいた水牛の母親が
死ぬ覚悟でチーターの脇腹に
角を突き立てた。
チーターは前脚の爪を立て精一杯
水牛の母親に抵抗したが
腹に大きな穴を開け
その場でのたうち回り
やがて息絶えた。
ハゲワシが飛んできて
チーターの肉を喰らい腹を満たした。
酷い爪痕の残る母牛の傷には
ハエがたかって美味そうに血をすする。
やがてハイエナたちが
チーターの子供の匂いを嗅ぎ取り
自分らの子どもらに狩りを教えるだろう。
はたしてこの世界に
善悪 とやらはありますか?
良いとか悪いとかいうことは、極論すると個人の倫理観に依るものだ。
だから俺がそれを善だと言う時、お前がそれは悪だと言うのはおかしなことじゃない。
可能性としては、ありうることだ。
来週の授業で使うディベートの資料をまとめている今、俺たちの意見の合わなさは致命的と言えた。
「お前はこの条件でもBが正しいと思うのか?」
「Bの意見以外に共感出来る訳ないだろ、常識的に考えて」
「俺の話聞いてた?Aに誘導しようって戦略だったじゃん」
「せこい真似すんな、Aは間違ってる」
「俺はAに共感してんだよ!」
「お前、いつも逆張りしてくるよな」
ため息を吐くな、やれやれって顔をするな!
俺は時計を見上げて残り時間を計算した。
「あと1時間で教室追い出されるぞ」
教室の窓の外では部活動に勤しむ生徒の声がしている。
「1時間もあるなら終わるだろ」
「お前がいちいちひっくり返さなきゃとっくに終わってたよ」
「間を取って、AとB並べてどちらが妥当でしょう?っていう問いにすればいいだろ」
「まあ、そうするしかないか……俺ら二人ですら意見割れてるもんな……」
俺はA4のプリントに丁寧に二つの主張を書き込んで、どちらが妥当だと思いますか?と太字で書いた。
「先生まだいるかなぁ」
「書道部の顧問だっけ?部室どこ?」
「向かいの棟の3階の端」
俺たちは立ち上がって荷物を背負い、プリントを持って教室を出た。
「腹減った。ラーメン食って帰らねぇ?」
「俺スイーツの気分なんだけど」
やっぱり俺たち、気が合わない。
「この、あまのじゃく!」
てくてくと先を行く背中に言葉を投げると、あまのじゃくは前を見たままひらひらと手を振った。
「善悪」
彼は、私を、この退屈で灰色の日常から救ってくれた救世主。彼と出会ってから日常に色が差して、生きている喜びを実感する。彼は紛れもなく私の光だ。
たとえ世間から後ろ指を指されても、私だけは彼の善性に救われたのだと主張する。私だけが彼の、彼だけが私の味方で理解者、だなんて、彼の瞳に映る自分を見つめていると本当にそう信じられる。背徳感にまみれた甘い蜜に溺れているんだってわかってる。悪事を働いている自覚がないわけじゃない。
先の見えない関係だから、精一杯の美しい私で今日も彼に微笑みかけた。この時間が少しでも長く続くことを祈って。
彼女は俺をヒーローだと言う。世界が変わったのだと爛々とした目で訴えてくる。俺は君と出会ってからも、そしてきっと別れた後も何も変わらない。俺の囁く甘い言葉で喜んで、滑稽な悪行を犯す君を本気で愛すことはない。
それでも、蕾のまま萎れてしまいそうだった女性が、自分のの言動で活き活きと咲いていく姿にはたまらない達成感があるから、俺はまた同じことを繰り返すのだろう。
彼女の微笑みで引き際を察する。美しく咲き誇る笑顔は別れの合図だ。
バレる前に清算すれば、傷つく人間はいないのだから。
善悪の区別は時々曖昧
窃盗や人を傷つけることはいけない
間違いなく悪だとわかる
ボランティアとか
人のためになることなら善になる
それなら
人を傷つけないようについた
優しい嘘はどちらになるのか
嘘は嘘だから悪
それとも
優しさだから善
善も悪も区切りは曖昧で
行動する人がどんな思いで行動しているか
受け取る人がどう受け取るかで
善悪は変わると思う
「善悪」
善悪は本来は一つ
悪がなければ善が善であることすら分からない
相対的なものは全て統合すれば無になる
だが、愛で包むなら、それは光となる
地球に来る時
人も、神々もそれぞれ宿命を持っていた
トップクラスの悪魔は
この地球に来る時、覚悟をした
人を苦しめたり悲しませたりすることも含め
悪いことをすれば
ブーメランの法則で自分に返ってきてしまう
それでも
自らの痛みに耐えてまでも
人々の魂を浄化し
悪の存在で人々を光に導こうとしてきた
また、耐え難い苦しみの果てに
悪魔になった者達がいることを
伝えなくてはならなかった
閻魔大王は人を裁く代わりに
自ら拷問を受けるという
悪を排除したり、戦ったりしても
悲しみが悲しみを呼び、
憎しみが憎しみを繋げ、
いつまでもそれが続いてしまう
そしてミロクの世には
新時代はもう、悪は必要なくなる
目に見えないものも感じるようになるし
世界の仕組みも分かってくる
そもそも魂を自ら浄化できるようになるのだから
体感としての悪を必要としなくなる
愛のない悪は自滅していくし
愛のある、悪役は役をおりる
新時代こそ、
愛により統合した世界だから
愛のない不必要なものは統合して消えていくし
愛で包まれたものは悪さえ善になる
両手広げ、真実の愛でこの世界全てを包もう
もうすぐ世界全ての闇も悪も
優しく暖かい光となる
善悪なんて、誰にも決められやしない
分かりきったことだ
立場、時代によって変わる
だから私なりの考えをここに書いておこう
私は、
選択の自由があること
そしてその自由を得るための平等な場所があることが
善であると考える
私は、
人間らしさを失い
物言わぬ機械のように生きたり
他者が不幸になるほどに傲慢であることを
悪であると考える
進むも止まるも
どちらか一方を押し付けられるのではなく
どちらも選べる方が良いのではないだろうか
少なくとも私は
人間らしく生きていたかった
生きていたいと思えない世界だからこそ
それが自分にとっての善につながると信じて
お題:善悪
タイトル:矛盾
あいつは善悪が分からない。今日も死体を持ってきた。本当に意味が分からない。どういうことだよ、ガチで。
「……なんなんだよ、本当に。何度も聞いて悪いが、その死体はなんだ?」
「古郡勇雄」
「誰だよ……」
もう慣れた。慣れるはずがないのに。どうして殺す。どうしてわざわざ俺に見せる。どうしてお前はそうやって!
「ムカつく」
「なんでだよ?」
「分からないのか」
「うん」
「お前は俺の弟だよな」
「おう」
「俺にはお前が他人のように思えるよ。あるときから憎さだけがクソつのって、兄弟愛なんざ忘れちまった。お前はどうだ」
この俺の言葉もやはり聞き入れずに(もしくは聞いた上での開き直りか)、そいつは家から出ていった。墓を作りに行くのだ。知らない奴を埋めるために。お陰で庭には棒が百本ほど生えている。気が滅入る。奇妙な光景だ。本当にやめてほしい。ふざけてるにしても面白くなさすぎだ。
「兄ちゃん」
「なに」
話しかけてくるな、面倒な奴め。
「いい枝がない」
……くだらねえことにこだわりやがって。
善悪
良いの反対は悪い、高いの反対は低い、早いの反対は遅い、重いの反対は軽い、明るいの反対は暗い。このように分けて考える。絶対はないと言うことだ。限りなく分割していく。と言うことではない。日本は敗戦によって価値が変わった。いわば背景の色が変わってしまった。自分は全く変わっていないのに、周りが変わってしまったんだ。みんなに虐められたよ。でも僕は自転はしたくない。もう一度あの時の輝きを取りもどしたい。自分というものは、どこかで誰かと繋がっている。時間がたてば昔の仲間に出会えると思っている。
【善悪】
善悪の区別がつかないとか言われ慣れた言葉だった。発端は簡単。塾休んだだけ、それも一回。頬を引っ叩かれて叫ばれた。わざわざ叫ばなくたって聞こえているというのに。お決まりの一言だ。
「アンタは善悪の区別がついていない。」
これ以上、何があるわけでもない。頬を引っ叩かれる以外に何をされるわけでもない。あるとすれば罵声を浴びせられるだけ。慣れたもの。慣れたくはなかったけど、誰も助けられない状況の中こうするしかなかったんだ。一人っ子でよかった。こんなの一人じゃなくて、下に兄弟がいたとしたら守れる気はしない。上にいたとしても守ってもらおうとも思えない。嫌いなんだ、この人たちが。好きになれない、この家にいる時間が。まさか、親が再婚すると思わないじゃん?
【善悪】
昔の僕は
先生や指導者に従うことが"善"
従わない者は"悪"だった。
細かい基準はあると思うが、
それが昔の善悪の基準だった。
今でもその名残が残ってはいるが
全てを誠実に従わなくてもいいと分かった
"解放された"今の私は
本当に解放されたのだろうか。
従わなくとも動ける人でいたはずだが、
最優先が"指導者"からの指示。
従えなかった時は落ち込んでいた
従わない友達は僕の中で悪だから関わりたくなかった
でも「友達と過ごせ」と言うから
その友達と過ごした。
自分とすれ違わないように
その友達の価値観で過ごせるようになりたかった。
合わせていくうちに
機械のような僕は消えていった。
その時の僕の指導者は親友以外の
数少ない光だった
でもそのままの僕だったら
これからの人生何も楽しめなかったと思う
今の私にも思うことはあるけど
つまらない人生ではないしね。
私は私の思う善で生きていく。
――――――――本物の悪はなんだったのか
テーマ : 善悪
こりゃ、またさ、使い勝手の良さそうな
かと言って、意外と使うの難しいテーマだね
解釈はいろいろあるよね
僕的な解釈だと
善は良いもの 悪は悪いもの
はたまた
何かにとっての善は何かにとっての悪
何かにとっての悪は何かにとっての善
みたいなね
難しいよね〜ww
簡単に例文作るとしたら
「甘いものは体にとっての悪だけど、心を安定させるものと考えれば善になる」とかね
全然、関係ないけど僕 わたあめが好きです
なんだろうなぁ
こうやって見ると、善と悪って結構 同じ意味なのかなって思ったりもしちゃう
だって、何かにとっての善は何かにとっての悪なんだから
見た目は違うだけで、意味は同じみたいなね
んー…今回のテーマはまじで難しいな
まぁ、でも
【善悪】ってハッキリしてそうで、曖昧な感じもするし
今日の僕も曖昧な感じで終わろっかなって思ったり
ね、誰かの物差しの善悪じゃなくて
自分の物差しの善悪で見たらいいと思う
良い悪いって人が決めることじゃない
自分がどう思ったかを考えた上で決めることだと思うし
一般的とか普通とか置いといてさ
まずは、自分の価値観を優先するべきだなって思う
わぁ、僕めちゃくちゃ良いこと言っちゃった…
じゃあ、今日はテーマには戻らず終わろう
みんな、おやすみなさい!
『 善悪』
この世界に産まれてきたからには善悪と言うものを知らなければならない
この世界には善も悪もない。
自分の視点、価値観の色眼鏡で白にも黒にもなる。
善悪を存在させているのが、人間の思考というだけ。
幸せ?
苦しい?
楽しい?
悲しい?
価値観の外に出れば、見え方は変わる。
今の自分を変えられるのは自分だけ。
私という価値観を卒業する。
善い行い、悪い行い、それぞれ基準がある。
でも、人によって、感じ方は違うから、
その基準だけを頼りに生きていくもんでもないと思う。
〜善悪〜