『君の奏でる音楽』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君の奏でる音楽は切なくも美しい物だ。
終わりが来ると知っているからとても切ない。
音色が空へ広がって、風が吹くと暑さも飛んでゆく。
花や木が揺れ、私の制服のスカートが揺らめいた。
音楽が止まると私はゼンマイを巻く。
ジジジ、ジジジ、
壊れたオルゴールから音はならない。
でも聞こえる。
静かに空気の揺らす音が
❦
君の奏でる音楽
新しいチャレンジをと言って、年上の彼女がギターを始めた。
初心者用のレッスン動画を見ながら、毎日欠かさず練習している。小柄なので、座って弾くと、ギターのほうが大きいんじゃないかという感じもする。
ポロン、ポロン。
なかなか上達しないなあ、と心の中だけで言いつつも、彼女の真剣な表情を見ると、茶化すのは万死に値する、と自分にしっかりと言い聞かせる。
ひとり、手持ち無沙汰に飽いて、隣部屋からキャンバスとイーゼルを引っ張り出した。
邪魔しないよう、静かにセットしビギナーギタリストを描きはじめた。
小一時間、たどたどしい弦の音を聞きながら鉛筆を走らせた。久々に描いたが、まずまずの出来だ。
彼女のほうも一段落したようで、こちらの絵を覗きに来た。
へえ。わたし、こんな感じなんだ。ちょっと美人すぎない?
サービスで。
あっそ。ねえ、色は塗らないの?
塗っていいの?
どういうこと?
色を入れちゃったら、この絵、もう完成しちゃうよ。
いいじゃん。駄目なの?
だって完成ってことはさ、いまの君の演奏が描かれるってことだよ。ポロン、ポロンの。
(ハッ。ま、まずい。茶化さないってきめたのに……)
言ってくれるねえ。 彼女はキッと睨んだ後、ペットボトルの水をゴクゴクと一気に飲み干した。
絶対に上手くなってやるから。覚悟しなさい。 彼女はまた練習に戻っていった。
あ~あ、また余計なこと言っちゃった。どうしよ。 このままだと、また手持ち無沙汰だな。ひとりでやることもないし……。
しょうがない。僕はまた隣部屋に行き、今度は絵の具を持ってきた。
もう完成させちゃおう。そして彼女の成長の記録としよう。上達したら、またその時に描こう。そう思いながら色を入れ始める。
途切れ途切れで、大きくなったり小さくなったり、不安定で頼りない弦の音。でも逆にこれは、ビギナーの時にしか出せない音。チャレンジの音だ。
ポロン、ポロン。
さてこの音を、何色で描こうか。頑張るって、何色がいいかな。
そんなことを考えながら、僕は彼女の音楽を描いていく。
君の奏でる音楽…
七日間の命の叫び、これぞセミ・ファイナル…!
あなたの胸の中で奏でられる音
この音の速さも温かさも、全部私だけが知っていたい
■君の奏でる音楽
お姉ちゃん、何を弾いてるの?
パパのギター、借りたんだ
この音楽好き!
ふふ、私も好きで覚えちゃった
姉ちゃん、それ何って弾いてるの?
これねぇ、カリンバって言うんだって
優しくて綺麗な音色だね
そうでしょ、思わず買っちゃったよ
姉さん、最近は楽器触ってないの?
うん、弾いてる時間がなかなか無くてね
そっかぁ、また聴きたかったから少し残念だな
カラオケには今でも行ってるんだけどね
姉さんの歌、また聴きたいな〜
そう?また近々一緒に行こうか
うん、楽しみにしてる!
姉の奏でる音楽と、楽しそうな表情が
幾ら時間が経とうとも
ずっと好きなままで。
いつか猫になれたなら
あの人の音楽が聴ける場所で
日向ぼっこに微睡みたいと、そう思う。
ー 君の奏でる音楽 ー
専門用語なんてわからない
音楽の紡ぎ方なんてわからない
ただ、君の奏でる音楽は
なんて楽しそうなんだろう
本当に好きなんだな
その音の奥に隠れている君の気持ちを知りたくて
私も慣れない手つきで弦を弾く
#君の奏でる音楽
『君の奏でる音楽』
会社の有志が集まり、ライブハウスを借りて定期的に行われているかくし芸大会。やる方も観る方も固定しがちでもうただの発表会と化していたのだが、中途採用で入ってきた新人さんが新たに演者として加わることになった。長年現れなかったニューカマーの登場にやる側には気合いがみなぎり、みな練習にも熱が入っていた。
そして当日。かくし芸大会なので何をやるかはやる方も観る方もステージが始まるまでわからない。幕が開いて舞台に現れた新人さんは緊張した面持ちで、笛を吹きます、と宣言した。出てくるのはフルートのような横笛なのか、クラリネットのような縦笛なのか、それとも尺八のような和楽器なのか、変化球でオカリナや篠笛なのか。みなが固唾を飲んで見守る中、取り出されたのはちくわ。楽器ではない練り物を笑っていいものかどうか戸惑う空気が流れたが、それを切り裂いたのはえも言われぬ澄んだ音色だった。一曲、二曲と演奏されるたびにちくわで涙する人があとを絶たない。やがてラスト一曲となり、ちくわから醸し出される最後の一音が余韻を残して消えていく。
「ありがとうございました」
新人さんが深々とお辞儀をすると拍手と喝采が渦を巻いた。涙を流した人たちはステージに駆け寄って握手を求め、新人さんはそれに真摯に応えていた。
それから後の演目はちくわで温まった客席と、ちくわに負けてはいられないという熱意で大いに盛り上がった。後に伝説の一夜と呼ばれることになったのは言うまでもない。
死にたい死にたい…(›´ω`‹ )。?。。。?。?。?。あう
「書 け る か!」
日常ネタ風の連載形式で投稿を続けてきた某所在住物書きは、配信された題目に天井を見上げ、絶叫した。
音楽だそうである。誰かが奏でるらしい。
そのシチュエーションは明らかに物書きの不得意とする「エモいお題」に違いなかった。
物書きはエモネタがただただ不得意であった。
「アレか、このアプリ絶対エモネタ書かせるマンか。いいぜこうなったらエモエモのエモ書いてやる」
今日中に読める内容のノンエモ閃いたら、ソッコーで投稿し直すからな!物書きの顔は羞恥に灼熱し、己の執筆傾向とその絶対的な不得意を明示していた。
――――――
誰かが執筆した同人小説の1〜2ページ。
耳と手と背中を刺す極寒。
視界の奥行きも、幅も制限する風雪。
夕方降り積もったパウダースノーが、居座る寒気と低気圧に促され、質量ある空気として、
大樹の下で悪天候をしのぐ青年の、制服たる黒スーツと防寒用の白コートを押してくる。
開けた雪原には、古いボロ小屋ひとつと、少し離れた場所に大きなヒノキが1本だけ。
ビュルルルル、ルルル。
氷雪含む風の奏でる音楽は痛覚を伴い、暴力的。
小屋に隠れ息を殺す男の釈明を代弁するように、風が冷気が氷の粒が、黒スーツの胸を叩き続ける。
夜の地吹雪である。天上に雪雲は無く、星と満月が、冷えた冬空を飾っている。
ホワイトアウトは空の下の些事。
風の音が騒がしいのも、雪が飛んでせわしないのも、ましてや、これから繰り広げられるであろう人の子同士の喧嘩など。彼等はまるで意に介していない。
それらはただ静かであった。
『兎が「曲」を「奏でる」前に、全部終わらせろ』
雪国の片田舎に逃亡した元同僚の機密窃盗犯「兎」、多田野 藻部太郎を追い、体感零下2桁の真っ只中で張り込みを続けている「ツバメ」、主神 公助。
上司の条志、「ルリビタキ」から、持ち出された機密の回収と、藻部太郎への「懲戒解雇処分」執行を言い渡されている。
『「演奏」が始まったら、アレを止める方法は無い。Wi-Fiオフライン関係無く、可聴範囲すべてのセキュリティを乗っ取り、鍵はことごとく壊される』
「演奏」とは文字通りの行為。鍵盤に指を置き、押し、音を出すこと。現代科学で説明不可能な振動は、未知の性質を伴って空気を伝う。
そして約30デシベル以上で聞こえる範囲すべてのCPU、MPU、AP等々内蔵機器を掌握する。
全精密機器共通のマスターキーないしコントローラー同然の「音楽」を兎は持ち出し、逃げた。
公助の端末に条志から連絡が入ったのは、夜も夜、22時を過ぎた頃のこと。
『お前の失敗は、つまり安全と平和の終わりだ』
スピーカーから聞こえるのは淡々とした上司の声。
『発……可は……。…………も構わん。確実に……』
話の途中で、音声が途切れる。
天候の影響か、田舎ゆえの電波の弱さか。
「申し訳ありません。電話が遠いようです」
聞き取れない。 風に持っていかれたフードを掴み、被り直し、公助は少し大きな声で要請した。
「もう一度仰って頂けますか、ルリビタキ部長?」
…………………………
「――あっ、なるほど、この先が抜けてるから『落丁本』で無料配布だったワケか」
都内某所、某アパート。
かつての物書き乙女、元夢物語案内人であった社会人が、某同人誌マーケットの戦利品を1冊1冊愛でて昔を懐かしんでいる。
「やっぱお金、ケチるべきじゃないな。有料の完全版貰っとけば良かった……」
乙女が読むのは通称「ツル」または「鶴」。
あるゲームにおける、「ツバメ」公助と「ルリビタキ」条志の、黒白ないし黒瑠璃主従。昔も昔、過去作3月18に登場していたネタである。
噛ませ犬ならぬ噛ませ「兎」は、まさかの6月28日投稿分の「黒いウサギ」が再登場。
鶴も兎も、詳細は割愛する。要するにこの乙女の心の滋養であり、妙薬である。
「で、コレがラストでツー様が奏でる予定の音楽?」
一読通して、再度前書きから読み直し、目に留まったのは、筆者が指定する実在のフリーBGM。
「ツー様、この展開から『曲演奏する』って、裏切るの?それともウー君が弾いた後の解除キーか何か?」
推しの奏でる音楽は、一体どのような結末をもたらす予定であったのか。
乙女は指定のBGMをダウンロードし、早速リピート再生しながら、結末欠ける物語の2周目を味わった。
私は所謂音痴で、
自分でも分かる程の音程のなさで
そんな私が当然始めるイントロドンで
必ず歌を当ててくる貴方
同じ歌をうたっているのに
こんなに違うなんてね
力強い歌でも、
貴方が歌うなら子守唄のように心地良い
このまま抱っこで歌っていてほしいな、ずっと
この世界は音で溢れている
風の音 雨の音 葉擦れの音
鳥や虫 犬に猫
様々なものが音を発する
人も例外なく音を有する
声も勿論だが心臓の音 手を叩く音
音を出す楽器も発明してきた
心地よい音色も耳を塞ぎたくなる雑音も
音という意味では同じ
だけど音を楽しむことが音楽
どうせ聴くなら心地よいものがいい
自然の奏でる協奏曲もいいけれど
好きな人の声ならば
何時まででも飽くことなく聴いてられる
だからお願い
貴方の奏でる言葉という音楽を
ずっと傍で聴かせて
「君の奏でる音楽」
君の声が好きだ。
君の唄が好きだ。
叶うなら一晩中聴いていたいと思う。
でも生憎僕にはその資格がない。
「あいつ昨晩どうだった」
「ああ、評判通りだ。いい声で啼いてたぜ」
そんな会話を背中に聞きながら、遠目で今日も君を見つめる。
僕には、それしかできない。
(お題:君の奏でる音楽)
詩(テーマ)
『君の奏でる音楽』
その生命が 僕の主題歌
生まれた日から 軽やかなリズム
そのスマイルが 愛のジャケット
悪意の傷も かさぶたで治す
君の奏でる音楽が
誰かを支配し振り回しても
みんな癒され聴いている
「愛してる」に
抱かれたくて……
その歌声が まるでナビなんだ
おんなじ日々を 生きているチカラ
この悲しみが 死へと誘っても
イントロ聴けば ヒーローへ変身!
君の奏でる音楽が
呼吸が鼓動がノックしている
ドアを開ければ青空さ
「大好きだ」って
叫びたくなる……
君の奏でる音楽
どこの誰が奏でているのか知らないけれど、俺はその音楽に身を委ねる。
リズムに乗って身体を動かしていく、リズムに乗って心を踊らせていく。
不特定多数の多くの音楽、多くの場所で、音楽に身を委ねる。
そうやって身を委ねていると、どこにでも行けるんだ。どんな気分にもなれる。行ったことのない場所にも行ったような気になって、体験した事もないような事も体験したように感じれる。
たまにこうやって気分転換するのは、とても心地よいね。コロナで全然気分転換出来なかったからさ。このくらいの我が儘許してよ、君の我が儘も許すから。
12
君の奏でる音楽は
どれも素晴らしく
綺麗な音色を奏でていた。
僕は、その音楽と共に
君の姿に目が釘付けになった。
君の奏でる音楽は、
懐かしくて、心地良くて。
こうして耳を傾けていると、
あの頃の僕らに戻ったみたいだ。
あれから月日が経って、
二人とも、ずいぶん変わってしまったけれど。
君の音色は、
いつまでも変わらないでいてくれるのかな。
《君の奏でる音楽》
リズミカルなシャーペンのカチカチ 朝ご飯の包丁のとんとん ナッツを噛み砕くガリガリ 歯磨きのしゃこしゃこ 咳が出てゴホンゴホン 龍角散にむせてぷはっ お茶碗を洗うゴシゴシ 自転車はぐんぐん ときどきラジオ体操 キスシーンにドキドキ あなたにてれてれ なにげない気づかいに惚れ惚れ おやすみなさい……からの、寝息
ぐらぐら
ぐつぐつ
ことこと
ぽこぽこ
ふつふつ
じゅーじゅー
とんとん
きょうもありがとう
#君の奏でる音楽
君の奏でる音楽
ピアノを引くお嬢様に恋をした使用人の話、って感じのお題だ。
明らかに小説向けのお題だから今日は小説でも書こうと思ったけどやめた。めんどくさいからな。
それに小説は小説。日記は日記とちゃんと区別したほうがメリハリが生まれる気がする。だからこのアプリでは小説は書かない。
しかし今日も暑いな。それでも去年よりはましな気がする。去年はバイト先と帰り道があまりに暑くてアイスベストを買ったけど今年は一度も使ってない。
どうもエアコンを買い換えたからだけじゃなくて外の暑さも去年よりは控えめな気がするんだよな。正直今年は楽勝。
ただエアコンが壊れたらガチで死ぬだろってレベルの暑さなのは間違いない。エアコンあってこその余裕なんだよな。
君の奏でる音楽
コーヒーの香りで目を覚ます。
彼がカタコトと淹れているのが聞こえる。
微睡む中でそれはまるで素朴な音楽のようだ。
奏でられているそれらはもうすぐ終わる。
おはようという彼の言葉と共に。