『勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ワスレナグサ、優しい寂しい印象でよく耳にする名前だ。それが理由であまり好きじゃない。今、このお題に何と書けばいいか(反発心のために!)何も浮かばなかったので、せめてウィキペディアで調べたろ、と思って調べてきた。日本ではまぁいわゆる、園芸品種としての花で、アメリカなんかでは広く愛されているとのこと。和名のワスレナグサは、ドイツ名をそのまんま和訳(こう和訳したこと自体はめちゃかっこいいけどね!)しただけらしく、日本での謂れはないっぽい。しかも悪いことに国内では温暖な地域で野生化してるらしいじゃないか。いよいよ嫌いになってきた。野生での姿を調べたろ、と思って画像検索したら、わらわらと優しい淋しげなイラストが出てくる。重ね重ね、ぃや〜〜〜ね。そうそう、こういう所が嫌いなんだわよ。
生きるのに必死ではなくて
ただ今日をなんとかしているだけ。
このまま年を取っていくのだなと思った。
惜しいとも思わない。
それほど価値ある世界ではなかったなと思ったのが中学の頃だった。
終わるんだと思ったらただ悲しくて、世に生まれた意味や今が一番若いんだとか考えることすらおこがましくて浅ましくて。
寂寞…の意味を調べて腑に落ちたの。
雪のしたで眠っています
春の訪れを待っています
あなたがくれたこの花は
小さくて可愛い花が咲く
空の色を携えて
海の色を携えて
真っ先に春を祝福するのです
わたしは思い出すのです
あなたからの愛の深さを
風に揺れる花を見つめて
『勿忘草わすれなぐさ』
ああ、久しぶりだなぁ
約束通り、おまえのことを一日たりとも忘れることはなかったぞ
#勿忘草
亡くなった君が最後に残した言葉
勿忘草を君だけに。だった
【小説 勿忘草】
真っ黒なスーツに身を包んで、久しぶりに通る道をゆったりと歩く。
久しぶりに帰ってきた故郷は相変わらず潮の匂いがして、日本からずっと離れたところから吹いてきた風が手に持っていた青い花を揺らしていった。
海風が吹いてきた拍子に目にかかった前髪を払いながら、俺は一人歩みを進める。
そういえば、昔は左側が暖かかったな。
歩くたびに、揺れる花束から数枚の花びらが舞っていく。まるで俺の帰り道を記すように落ちていくそれに、思わず笑ってしまった。
お人よし。
その言葉がよく似合うやつだったか。
ふと、花束を買った時の出来事を思い出した。
美しい長い髪を持つ可愛らしい若い女性の店員さんが、花束を包んでくれた時のことだ。
花屋の前でどの花にしようか悩んでいた俺に、彼女は優しく気に入った花ではどうでしょうかと提案した。
それはいいなと俺は思わず目の前にあった青い花を指さしたのだ。
「あら。勿忘草とは、良い花をお選びになりますね。」
勿忘草を摘み上げた彼女の表情はとても優しくて、何故だろうかと見つめていたら。奥へどうぞと案内された。
少しだけ嬉しそうに、彼女は大きな紙の中に勿忘草を包み込んでゆく。その姿をぼうっと見つめていたら、不意に彼女が口を開いた。
「勿忘草には、三つほど花言葉があるんですよ。ご存知ですか?」
ちらりと向けられた視線に黙って首を横に振る。そうすると店員さんは少しだけ頬を染めて笑った。
「勿忘草の花言葉は、真実の愛、誠の愛。そして…」
私を忘れないで。
「お前からしたら皮肉か?」
辿り着いた目的地で、誰もいない冷たい石に向けて呟いた。当然返事が返ってくるわけもなく、俺はその場にしゃがみ込む。左手に持ち歩いていたココア缶と綺麗に包まれた勿忘草を石の上に置くいて。それからポケットの中身を漁ってしわくちゃになっている一通の手紙を取り出した。
「僕のことは忘れていいよ。だったか?」
赤い印の押された古い手紙を数年ぶりに開いてみれば、擦り切れた薄い文字が目に入る。
「バカだよなあ。」
淡々と書き起こされている言葉の端々に、震えがあることなんて一目みれば簡単にわかることだった。手紙の所々が濃く変色しているのも、何度も書き直したであろう消し跡。どう考えても言葉が本音だとは思えなかった。
「俺、今までお前のいうこと聞いたこと、全くなかったよな。」
問いかけても帰ってくることのない質問は、虚しくあたりに響くだけ。
側から見れば俺はただの頭のおかしな人間だろう。
成人男性が一人、黒いスーツで墓跡の前にしゃがみ込んで独り言。絵面がやばいし通報ものだ。
でも、そう思われてもいいほどに、俺には伝えないといけないことがあった。
「俺、絶っっっっっっっっっったい忘れてやんねーからな!」
大声で、それはもう近隣住民全体に聞こえるような大声量で。俺は叫んだ。勿忘草を選んだのだって、ただ単に気に入ったからではない。最初の理由はそんなくだらないものだったが、店員に教えてもらった花言葉でいいことを思いついたからだ。
「ここに勿忘草を飾っといたら。お前、ここに来る皆に『僕を忘れないでください』って言ってるようなもんだろ。」
そうやってずっと、覚えられてればいいんだよお前なんか。
大声で笑って見せると、なんだか知らぬ間に涙まで出てきて、腹を抱えて地面に膝をついた。
ポタポタと変色していく地面の色が歪んでて、うまく息を吸い込めない。
ばーか。ばーか。ばーーーーか。
途切れ途切れになってしまう俺の言葉は宙に浮かんで消えていくだけ。それがなんだか悔しくて、苦しくて、一際大きくばーか!と笑ってやった。
もしここにいたらお前は。「お前にだけは言われたくない。」だなんて思いっきり顔を歪めたんだろうな。
ああ、嫌だ。
海風が容赦なく体を冷やしていくこの寒空の中、俺はただずっと、目から流れる涙でもなく、風に飛ばされそうになる花束でもなく、寒さで感覚がなくなった手のひらでもなく、ただ一つ。
左側が冷たいことだけが気になっていた。
なつかしい夢を見た。
もう会えない人の夢を見た。
目が覚めた私は天井を見つめて、しばらくぼう然とした。
夢の中の、胸が優しくしめつけられるような暖かさと、冷たい現実の温度差にしばらく何も考えられなかった。
もう一度目を閉じて、同じ世界に帰れるならいくらだってそうしたけど、私は布団を抜け出して、冬のフローリングに立つ。
今からどんなに粘ったところで、同じ夢は見られないだろう。
私はこの上なくはっきりと、あの人が死んだことを思い出してしまった。
もう同じ空の下にあの人はいない。同じ空気を吸ってもいない。どこか遠くで頑張ってもくれない。
あの日笑ってくれた顔も、握ってくれた手だって、もうとっくの昔に骨になった。
骨壺をひっくり返したって、どれがどこの骨かなんて私に分かりはしないのだ。
私はベッドから起き上がって、洗面所で顔を洗い、朝ご飯を食べる。それから仕事にいって、ほどほどに働いて、帰って、また、眠る。
日常を繰り返して、その中で私は少しずつあの人を忘れていく。
そして、あの人が死んだってうっかり忘れたその夜に、また夢であの人に会いたい。
涙にも血にも地図にも止められない君の側の青になりたい
(お題 : 勿忘草)
勿忘草(わすれなぐさ)
黄金の瞬きは流れ
木の葉はざあざあ
風はびゅーびゅーと唸っていて
眩いだけの視覚できない空間に
勿忘草の香りを聴いた 気がした
どうして私は覚えていないのだろう
花の想いも 土の手触りも
全部 全部
残っていたはずなのに
どうして私は忘れているのだろう
流れ出た雫は盆に帰らない
ならばせめて 少しずつ摘み取ろう
忘れないように 忘れないように
勿忘草(わすれなぐさ) それは水色の小さな花
君と出会って僕の枯れ果てた世界は生き生きと染まり始めて
たまたま通りかかった花屋 いつもは気にも留めないのに花に水をやる笑顔に惹きつけられた
ちょっとかわいいな そんな程度だったのに
すみません。おすすめの花を教えてください
ありがとうございます。あれユウくん?
偶然にも昔の高校の元カノだった
え、うわびっくりしたー
久しぶりの再会に胸が躍った
お互い遠くに離れたから何となく自然消滅になっていた
それから君とたくさんの話をした
甘酸っぱい気持ちを思い出し自然と君に惹かれていって愛を育んでいた
じゃあまた明日ね
そう言って僕はまた明日が来ると信じていた
次の日君はあらわれなかった 交通事故だったらしい
あれから何日が過ぎただろう
墓に僕は小さな花を手向けた
君が教えてくれた唯一の花
勿忘草
花言葉は真実の愛
私はずっと、大親友だと思ってたけど。
通学路が変わっただけだけど。
あなたにはもう、日常を共に過ごす大事な人がいるんだね
よかった!引きずってるのが私だけで
もう私はあなたのことを、あなたの今を知る権利はないみたい
私のことなんて忘れて、皆で仲良くしてね
『勿忘草(わすれなぐさ)』
あのひとのまなざしは、お祈りを捧げるようだった。
青い綺麗な花びらに、じっと何かを託すようだった。
わたしは何も聞かなかった。
乾いた白い頬と、軽く伏せられた睫毛を見ていた。
凛と引き結んだくちびるが震えていた。
言葉はなかった。
世界で一番美しくて悲しい、一枚の絵のようだった。
#勿忘草
お出掛けの約束を破った事は
仕方ないから許してあげる
私をおいて何処か遠くへ
逝ってしまった事も許してあげる
だからどうか 、 ── 私のことを忘れないで
青い、ちいさな花が足元に咲いている。
この花の名前はなんだったか。
ずっと前に君に教えてもらったこの花の名前を僕は忘れてしまったみたいだ。
君は花が大好きで、一年中花を見かけるたびに僕に馬鹿みたいに楽しそうに、数えきれないほど多くの花の名前を教えてくれた。この花だってその中の一つ。
だけど僕は花に興味なかったから、覚えてる花の方が少ないよ。
でもさ、君だって僕が教えた虫の名前全然覚えてくれなかった。お互い様だ。
・・・この花の名前は忘れちゃったけど、この花を見つけた時の君のまるで花が咲いたかのような笑顔は、忘れてないよ。
忘れてない。
覚えてる。
ずっと。
『勿忘草(わすれなぐさ)』
こんな可憐な花に
悲しい名前をつけたのは誰?
いつもパンを買うお店の屋根のような
優しい青色
健気で、ちょっと神秘的で、
忘れようはずがない
勿忘草(ワスレナグサ)
勿忘草がどんな植物か想像できなくて、すかさず調べると、青くて小さい花が主に出てきた。花言葉は「真実の愛」
「誠の愛」「私を忘れないで」だそうだ。
「私を忘れないで」と言いたい人がいる、父だ。反抗期はなかったけれど、父と喋ることがなんか気恥ずかしくて、普通に喋れるようになったのはとても最近だった。
人は失うことでしか大事なものを確かめることができないというのは本当にその通りだと思う。
運転姿も振袖姿も見せることができないまま、私は父を失った。
お父さん、どうか私を忘れないで。
勿忘草を模った指輪。
花弁は青玉髄、花芯は金。
それを持って僕は、君にプロポーズをする。
君の愛を確かめるみたいに。
今日、私は死んだ。病死だ。
発見した時にはもう手遅れだった。
病院生活は意外と楽しかった。
違う病室の子と沢山のことを話した。
でもやっぱり、もう少しだけ
貴方と一緒にいたかった。貴方と生きていたかった。
彼の幸せを願いたいのに、私を忘れてほしくない。
彼の幸せが私であって欲しいと思ってしまう。
ある春の日。
静まり返った病院の一室でピーと音が響いた。
机の上には
彼に宛てた手紙と勿忘草。
「勿忘草」
青色の一本線が目尻駆け
今日の私が焼き付けばいい
(勿忘草(わすれなぐさ))
忘れたいことは、いつまでも頭から離れず
忘れたくないことは、すぐに色褪せてしまう。
人間の不思議な習性。なんでだろうね