『勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
忘れないでなんて言える程、貴方の中に俺はいないのでしょうね。
それでも俺の中に貴方はいっぱいで、忘れようもないのです。
『勿忘草』
勿忘草
昔、ちいさいあの人から貰った植物
あの人の目の色の花が咲いていて、とても綺麗で押し花にした
あの人がいなくなった今、久しぶりに眺めて、ついでに花言葉を脳内で検索する
「真実の愛」「私を忘れないで」。
ちいさいあの人がこれを知っていたかは分からないけれど
涙が出ない私の液晶画面が少し恨めしくなった。
「お花は素敵だよ」
お花から咲く笑顔って素敵だね
お花をから溢れ出る涙も素敵だね
お花みたいにみんなで仲良く風に揺られる。そんな1日もいいね。
毎日素敵。お花も素敵。みんな素敵。
お花ってすごいよ。素敵だよ。
直接伝える勇気が無いから、この花に願いを込めて渡したの。
私からの願いで、貴方への永遠の呪いを込めて。
勿忘草
真実の愛
そう信じてた
わたしを
忘れないで
なな🐶
2024年2月2日400
勿忘草(わすれなぐさ)
「私を忘れないで」
そう、一言残して花を投げ
亡くなった一人の騎士は
誰かの想い人であった
勿忘草
転校の日に
友がくれた
遠くへ行っても
ずっと友だちだよと
勿忘草
花言葉は
「真実の愛」
「誠の愛」
そして
「私を忘れないで」
連絡とらなくなった今も
忘れない
友と誓った
永遠の友情を
押し花にした
勿忘草を
【勿忘草(わすれなぐさ)】
名前の通り、書いてあるそのままに読むと、なんだか悲しいような気持ちになるなぁ、なんて最初は思ったものだ。
「思いの外、逞しいなぁ、君は。」
優しい青みを誇示するでも無く、可憐に健気そうに咲く姿が、きっと古の人々の心を打ってきたのだろう。
「君を見てると、思い出すなんて言ったら、きっと怒られるなぁ。」
偶然の出会いで持ち帰った可憐な花の名前を見て、複雑そうな少し困ったような顔をされてしまった。
「忘れないよ。だから、お迎えしたのにさ。」
台所に引っ込んでしまった人を背にして、花に内緒話をする。
「むしろ、オレの事こそ、忘れないでほしいのに。」
ちょっとだけ涙が出そうになって、ダイニングテーブルに突っ伏した。
「気を引きたい人間のエゴを託された君は、偉いなぁ。…ツラくない?」
花は、応えない。
「大丈夫?」
頬をテーブルにくっつけていたら、その視界の端にマグカップが置かれた。
「意外と丈夫で、良く咲くんだな。」
花に似た淡い青色の液体が、マグカップを満たしていた。
「色、変えたかったら、絞って。」
爽やかなレモンの香りが漂う。
「あ、喉に良いヤツ?」
テーブルの斜め向こう側に座って、マグカップを傾けている姿が絵になっていて、見惚れてしまう。
「うん、マロウ。」
赤く染めてしまうのは、少し勿体ない気がして、そのままマグカップに口を付けた。
「ありがとう。大好き、かっちゃん。忘れないでね、オレの事。」
花に影を作らない為に、対面に座らない優しさも、そっと傍に寄り添ってくれる暖かさも、全部君が教えてくれた。
「忘れようがないな。これだけ一緒だと。」
忘れなくちゃいけない時、大変なんだとひとつ苦笑いを零してから、君は笑った。
勿忘草も、笑ったような気がした。
勿忘草って聞いたことはあったけど
どんな花か知らなかったから調べてみた
淡い青色で綺麗だった
言われるまでもなく、忘れられるワケなかった。
恋人が死んで、10年が経つが、俺はあの人が好きなままだ。
あの人の墓はない。海に散骨したから。
自宅の遺影に話しかける。
「俺が逝くまで、待っててくれよ」
勿忘草に思いを馳せる。
この世を去る日に思いを馳せる。
誰かの心にいてほしい。
どこかで生き続けてほしい。
私を忘れないで。
『勿忘』を『ものわすれ』と読んでドヤってた私を殴りたい
ー晴れ予報ー
いつも笑顔の人を見ると眩しいよね
頑張っている人を見ると苦しくなるよね
人気者を見ると消えたくなるよね
そんな人たちを見てまた劣等感を感じちゃうよね
でも、そんなに落ち込まなくて大丈夫
それは君が自分と戦っている証拠だから
大丈夫
悩めるってそれだけ変われる余地があるってこと
君は強くなれるよ
今抱いている気持ちを忘れないで
いつか晴れる時が必ず来るから
君なら大丈夫
よく晴れた氣持ちいい日に、自転車で出かけるのが好き。
ちょっと遠出して、氣ままに、思いつくままに、道を選んで進むんだあ。
田んぼの脇にある砂利道をガタガタいいながら走っていたら、途中で水色の群生に遭遇。ちいちゃくてかわいくて、思わず、自転車を止めて、カメラを向けた。けど、わたしの技術では、そのかわいさが伝わる写真がなかなか撮れなかったのよね。
実はそのときはそれが勿忘草だって知らなかった。
小さくて素朴な野に咲く花。その可憐で完璧な美しさで存在している姿に憧れる。
『勿忘草』
ああ、俺はこのまま死んでいくのだろうな。ぼんやりと、まるで他人事のように俺は思った。
激しい川の勢いのままに流されているこの体は、冷えでロクに動かせず、重りが増えるように少しずつ沈んでいく。
愛しい人に良い顔しようとして死んだなんて、同僚の騎士達が聞いたら腹を抱えて笑うだろうか。間抜けなヤツめ、と隊長は呆れるだろうか。
それでも――
「ルドルフ!!嫌ぁ!、誰か、彼を…ルドルフぅ!!」
荒れ狂う川の水音をつんざくように耳に届く、愛しい人の狂乱した声。
俺を追いかけようとして転んでしまったのだろう、声が遠くなっていく。
やはり、花を摘みに川に入ったのが俺で良かった。流されるベルタを見るくらいなら、彼女の小さなワガママを叶えて死ぬ方がよっぽどマシだ。
可哀想なベルタ…自分のちょっとしたお願いのせいで恋人を死なせてしまうことになる彼女は、あの蒼い花を抱えながら、一生自分を責めていくだろう。
川を見るたびに俺を思い出し、蒼い花を見るたびに胸を痛めるベルタ。
これからもずっと、ベルタの心に俺の存在が、楔のように残り続ける。忘れようとしても忘れられないだろうし、この先どんな男がベルタに近付こうとも、貞淑な彼女は、一生俺に操を立てたままでいるだろう。そう考えると、これから死んでしまうというのに、何だか妙な幸福感で、心が熱くなるように感じた。
戦場で死ぬよりも、とても光栄なことではないだろうか。
瞼が閉じられていく。今も冷たい水の中なのか、もう分からないぐらい体の感覚は無かった。
ああ、俺の愛しいベルタ。俺のために泣いてくれ、俺をずっと忘れないでくれ。
―勿忘草(わすれなぐさ)―
君とはもうずっと会えていないけれど
僕は未だに君を忘れられない
家族や友人からは
聞き飽きるほど言われてきた
もう諦めた方がいいと
でも、まだ君を忘れられない
私は勿忘草が好きなんだと
教えてくれた君の声は
鈴の音のように凛と澄んでいて
今まで生きてきた中で
君より美しい声の持ち主はいない
僕はまだ君を忘れない
だから今年も
君の好きな花を買いに行く
君が働いていた花屋に
そして今年も
君に勿忘草を渡しに行く
君の眠る墓に
幾度となく、あなたと同じ言葉を交わした
私の名前を紙に書いて
毎日願う様に唱えるあなた
明日になったら忘れてしまうかもしれない
そんな不安も悲しみも消してしまえるくらいに
あなたの愛は深く広く私の心に刻み込まれる
忘れたくて、逃げたくて、
甘く淡い快楽を求めた。
いつまでも瞳の奥に、胸の鼓動に残るように、
あの日あの瞬間を脳裏に焼き付けた。
このざわざわする心を忘れられたら、
あの幸せな一時をずっと感じられたら、
幸せな時もあった、
でも今は苦しいな
忘れたいもの数えちゃって、また記憶が更新されていく。
消したいのに考えるから、ほら、自業自得。
バカみたいね。
だから、あの日のあなたの笑顔を、100万回目の再生をするの。
ああ、見えた。
忘れたくないもの。
忘れたくないって思って、それを覚えておける。
それがこんなに嬉しいなんて、
あなたの笑顔はよっぽどね。さすがだわ。
あなたの笑顔で生きていける、なんて大袈裟な話じゃないの。
ただ、好きな物はもう一度見たくなるの。
そんな単純な話。
―勿忘草―
病室に入ると、君がにっこりと笑った。
「持ってきたよ」
僕は一冊のアルバムを手渡した。
「ありがとう……えっと、あ、あった。見て」
それは、真っ青な勿忘草が咲き誇る高原の写真。
僕と君が写真の中央で笑顔でピースをしている。
「覚えてる?」
「もちろん、僕がプロポーズした場所だもの」
「この子の名前“るり”はどう?」
そう言って君は産まれたばかりの我が子を見つめる。
「るり……?」
「貴方が教えてくれたのよ。この勿忘草の別名は“ルリソウ”って言うんだって」
「うん、良い名前だ。この子にぴったりだよ!」
僕はすやすやと眠る娘の側へ行き「るり」と呼んでみる。
るりは返事をするように小さな指を微かに動かした。
「るりが大きくなったら、今度は3人で行こう」
「うん、約束ね!」
しおれてしまった。
花弁も散った。茎も曲がった。蕾も干からびた。
強く握りしめていたせいだろう。
なんて儚いんだ。
なんて小さくて、か弱いんだ。
この色褪せた花弁を見る度に、君のことを思い出す。
君の手を強く握りしめたら、
私よりも強い力で、君は握り返すはずだ。
君の身体を強く抱きしめたら、
苦しくなるくらいに、君は私を離さないはずだ。
どうして、こんな花を置いていった。
こんなものが、君の代わりになどなるはずがないだろう。
君のことは思い出せるのに、
君の力強さを忘れてしまう。
君の勇敢さも、真っ直ぐなところも。
君に似つかわしくない枯れたこの花は、
君を忘れない道具でありながら、
私の中から君を消してゆくのだ。
#勿忘草