『別れ際に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
別れ際に寂しそうに私を強く抱きしめる君が
可愛くて恋しくて愛おしくて抱きしめた
力の強さ分想いを感じた
壊れないように優しく
それでも全部が伝わるようにって
君のそんな想いまで
大丈夫だよと今は胸を張って笑えないけど
君がいてくれるから私は素直に生きられる
いつもありがとう
また次もあるからその日までまたね?
その日、世界は灰色だった。
垂直に地面目掛けて落下してくる水滴が、私たちの傷だらけのボディにぶつかって、音もなく垂れていた。
くたびれて帰還した機兵たちの、長い列が伸びていた。
腱のゴムパーツが断絶した左足を引き摺りながら、ボディの半身が無惨に抉れた部下の、まだ若い機体を揺すり上げて、列に向かって一歩を踏み出した。
神経パーツを断絶されて、だらりと垂れ下がるばかりの部下の爪先が、ぬかるみの泥をふんだんに掬いとった。
泥が跳ねた。
足と部下を引き摺って、列の末尾に並んだ。
前に並んでいるのは、友人だった。
入隊の時期が一緒の同期で、ボディの機種や分類された兵種こそ違ったが、基本研修の時期は同じで、人工脳のバージョンも同じ。
前の作戦で同じ部隊だった。
よう、友人はまるで食堂で会った時のような明るさで、かろうじて破損していない方の片手を挙げた。
よう、私も返した。
「ひどい雨だな」友人はそう言った。
「いや、今日は風がない。まだマシだと思う」
列が一歩進んだ。
「風はないが、雨粒が冷たいじゃないか。これでは体が冷えてしまう」
「…私たちには、温冷感神経パーツはつけられていない。気温に操作されずに動ける」
「そりゃ、理屈で言えばそうだけどさ」友人は口を尖らせながら続けた。
「さすが、現場指揮兵に分類された脳は規格外だな、いろいろと」
列がまた少し進んだ。
友人のこの軽い皮肉は、私たちにとっては挨拶みたいなものだ。
だから私も、まだ意識の戻らない、ずり落ちてきた部下を揺すり上げて前に進みながら、言い返す。
「なんだ、また戦友だの歩兵だの捕虜だのが風邪を引くのを心配してたのか?…お前、やっぱり装甲の下では、血液が涙でも流れてるんじゃないか」
常々、私は半分本気でそう思っていた。だから私は、密かにこの同期のことを“友人”と呼んでいた。
友人はいつものようにちょっと笑って、何も言わなかった。
また列が一歩ずれた。
私たちは使い捨ての兵だ。
人の細胞から作られた人工脳を、屑みたいなスクラップとプラスチックで組み上げた、使い捨ての兵。
人類が、できるだけ被害少なく、倫理的かつ人道的な戦争をするために生み出された、人類の駒。
それが機兵であり、私たちだ。
私たちは、使い捨てで現場の即戦力を想定されているため、安価に作られている。
ボディはそれこそ現場の小さな基地で修理できるほど、粗雑な素材でシンプルに。
知能も、司令官や将校クラスの機兵に積み込まれる人工知能ではなく、人工脳があてがわれる。
人工知能よりも人工脳の方が、学習をするのが早いからだ。人工脳は人工知能に比べるとコストも低い。おまけに、意識を持つため、現場の人間や民間人にも受け入れやすいという利点まである。
私たちは帰還すれば、まず基地の工場に向かう。
そして、選別を受ける。
そこでは、負傷の程度と戦況と物資の状況を加味して、3つのグループに分別される。
異常なし、修理、処分の3つに。
異常なしの兵は兵舎で休む。修理の兵は工場で修理。そして、修理すらできないほど大破した兵は処分。
バラバラになって、他の機兵や兵器を治す糧、或いは新しい機兵を生み出す糧になる。
そして、夜が明けて、次の出撃命令が下る。
この長い長い列は、その選別のための列だった。
列は少しずつ、確実に進んでいく。
私は、自分の右肩に体を預け、引き摺られるままである部下を見やる。頭部パーツが力無く垂れ下がり、ほのかに人の体温ほどに保たれるはずの人工脳収納部が、死体が握りしめたままの銃のように冷たくなっている。
…おそらく処分だろう。部下、いや、後輩は。
目の前の友人を見やる。
右腕パーツの破損、左腕パーツの大破、頭部パーツに致命的なヒビ、腹部パーツの中破…。
…友人も処分だろう。
今の戦況は決して芳しくなく、だからこそこの列がべらぼうに長いのだ。
「そんな顔するなよ」
ぽつんと、友人が言った。
私がどんな顔をしたというのだろうか。
「…私の表情モニターは残念ながら破損している。外部から私の意識は読み取れない」
友人はまた、何も言わずに笑った。
列がまた一歩進んだ。
「…お前はさ、修理だろうな。破損が軽微だから」
「…ああ、おかげさまでな」
私は、ぐったりと手応えのない部下の体を、軽くゆすってみせた。
友人は、良い奴だな、いつかご一緒したかったもんだ、と目を細めた。
列が進んだ。
「…お前の負傷は、そっちの腱パーツと表情モニターとそこに付随してた片目の視覚パーツくらいだろ?それくらいなら治るよ。視覚パーツは無理だろうけど」
そう言って友人は笑った。
「上手くやれよ。お前は、生き残れよ」
なんだそれ、私から掠れた声が漏れた。
友人は、聞こえないフリで無視を決め込んだ。
そういう惚け方をする時に、明後日の方向を向くのが友人の癖だ。付き合いが長いから知っている。
ずるい、と思った。
工兵がすぐそこまで歩いてきていた。
修理に分類する兵が多くて列が進みにくいから、選別だけ先にしてしまって、処分と異常なしを列から外すつもりなのだろう。
「じゃあ、さよならだ」
部下のもう一方の肩に、腕を差し入れながら、友人は言った。
「元気でやれよ」
「…あ、」
急に、肩が軽くなった。友人が、部下を肩で担いで、その手をこちらに軽く挙げてみせた。
「…ああ、さよならだな……部下を頼む」私の声はひどく弱々しかった。
友人は少し寂しそうに笑った。
それが、私の大切な人たちとの、最期の別れ際になった。
別れ際に
今日話そうとしてたことをお互い忘れてて全然関係ない話してたな〜って毎回なる
"別れ際に"まだ話していたいと思う相手は
自分の人生において大切な人らしい。
出会ったばかりの人でも
まだこの人と話していたいと思うことがある
相手の話が興味深い内容だったり、何となく居心地がよかったり
そういう相手との別れ際は少し寂しい
けれど、その別れを経て気づくことや得られるものがあると思う。
結局そんな風にして出来ているんだろうな、人生って。
別れ際に
静かな電車。もうすぐ私が降りる駅…。何か気持ちを伝えないと!何か!何か!
まもなく梅田〜
「私、ここだから帰るね。」
また別れ際に感謝の気持ちを伝えれなかった。
別れ際に
影をひとつ ぽつりとおとす
別れ際の
影をひとつ あなたはおって
その意味を 知るとき
荒れくるう 海にも似た
わたしの心に ふれるのでしょう
なんで笑うの?
冷たくならないで
、、
また、ふりだし。
"別れ際に"
繋いでいた手が解かれることはなく
むしろ固く、ぎゅっと繋がれる
見上げれば君の寂しそうな顔
思わずつられる
気づけば視界は真っ暗、君の腕の中に
近づく電車の音
雑音のなか君と交わすくちづけ
別れ際に
「じゃあ、またね」
日付けのない約束をする
その日が来ないこと
お互い知っているのに
指先から離れる熱が酷く惜しくて。
もう少し。欲張りたくなる気持ちを抑えて「じゃあね」とあなたに笑いかけるのです。
まだあなたと話がしたい。まだ、あなたと触れ合っていたい。
そんな私の想いが通じたのか、別れ際にあなたは私に愛の証を示してくれました。
そうしてまた、あなたに惚れ直してしまって。
あなたとの別れが、一層辛くなるのです。
『別れ際に』
別れ際に
何か言わないと。
そう思ったのに、何と言えばいいのか分からなくて俯いた。
もうすぐ分かれ道だというのに、二人分の足を眺めて無言で歩き続ける。
気の利いた一言くらい、言いたい。
でも言えないから。
「またね」
「……また明日」
定型文のような言葉を交わしあって、右に曲がった彼女を横目に、真っ直ぐに進む。
明日の別れ際を想像しながら、明日こそは違うことを言おう。
昨日も同じことを考えて何も進展しなかったから、明日こそは、とそう思うんだ。
またねの言葉に返事はなかった。
一度もこちらを振り向かなかった。
胸騒ぎ。
最後の日ではなかったけれど、
残ったのはあの日の光景。
もういい加減忘れたいのに。
-別れ際に-
#別れ際に
バイバイしながらちょっと寂しそうな顔するの反則です。
またすぐ会おうね。
「さようなら」
そういうと、あなたは涙を流し、去る
こうなることは何となくわかってた。
これで良かったのかな……と疑問が思い浮かぶ。
あの人は今日、白い服を着ていたけれど、途中から気づいたらしい赤いことに。
そもそも、さよなら…ってどっちが言ったのかしら
これってほんとに別れ話?
死人に口なし……か。
別れ際にキスをした。
「んっ、付き合おうか」
触るだけのキスをした。
それ以外も沢山した事があったが、少しドキドキした。
結果だけ伝えると、何故か振られた事になっていた。
相手の事を好きかと聞かれるとグレーで、好きになれたらいいなと前向きに思っていた。
その後に、ある事ない事を言いふらされた。先生まで知っているぐらいに。
好きだと言われた。
断ったが、「友達でいいから断らないで。好きになって貰えるように頑張るから」と言われた。
その後、卑怯な手も使われたり、色々あった。
デートっぽい事もした。
「気持ち悪いから、近づくな」
これが正解だったんだろうか?
別れ際にキスをした。
学校の立ち入り禁止の階段で。
ホコリが舞う僕の隠れ家で。
「少し考えさせて」
そう言われた。
⬛︎別れ際に
今までありがとうございました!と叫んでみた。
返事はもちろんない。
また帰ってくるからね、待っていてね!と続けて叫ぶ。
何も返ってこない。
それでも、何も言わずにはいられなかった、と言うべきだろうか。どうしても、たとえ意地でもこれだけは伝えておきたかったんだ。声に出して言いたかったんだ。
お世話になりました!
こだまもしない。観衆はいない。あ、いや、散歩中のあの人ビクってさせちゃったかも。ごめん。
うん、満足した。目の前に広がるのはいつもの町並みの風景。ここの高台、いつ来ても町が一望できて良いな。そう思った。
踵を返して立ち去る。もう暫くは戻れないんだ。
1度だけ振り返った。眩しい橙色、赤色、周りの緑色とそれに混ざる桃色、飛び交う桃色の花びら。
気合を入れて、1歩を踏み出した。
【別れ際に】
あの時なんて言ったの?
あとで聞けばいいと思ってた
なのに君は居なくなってしまった
もう二度と会えない
その声ももう聞けない
別れ際に彼は言った。今度会う時は久しぶりじゃなくて、はじめまして、だね。
そして、いくつかの時が過ぎていったある日、彼は言った。
「○○○○○」
またね、と言って去る君に
またね、と返して何度目だろう
繰り返された、またね、のうちに
たしかな想いが積み重なる
いつか、じゃあね、を前にして
またね、と言ってみせるため
今日も、またね、を繰り返す
〜別れ際に〜#13
チャレンジ69(別れ際に)
近所のラーメン店が、先月で店を閉じた。ねぎチャーシューが美味い店だった。夫婦で営業していたが、ご主人が入院を経験し、やむなく閉店の決断をした。右半身に麻痺が残るご主人は、毎朝の散歩を欠かさない。今朝も挨拶した。
鍋は持てなくなりましたが、足だけは達者でいたいもんで。
別れ際に、ご主人は言った。ゆっくりと歩く後ろ姿は、力強かった。