『冬晴れ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「消えるならこんな日が良いな」
彼女はベランダで煙草をふかしながら言った。
外は朝日に照らされた、雪が輝いていて、
「雲海みたいで綺麗じゃない」
それはいつか乗った飛行機からの景色に似ていた。
「天国の景色もこんな感じなのかな」
感嘆で漏れた息が白く輝く、
魂に色があるなら、きっとそれはこんな色だろう。
「綺麗でもやっぱり朝は冷えるね」
そう言って笑う笑顔には、
一つの陰りすら見つけられなかった。
「でも、こんな朝が好きだな」
私も冬晴れの朝が好きだよ。
「日の有り難さがわかるじゃない」
そうだね、
でも、寒くないと、
暖かさの価値がわからないのは、
悲しいことだと思うよ。
「こんな朝に思い出して」
笑顔で吐いたタバコ混じりの白い息は、
白銀に輝いて、
それは命そのものに思えた。
#冬晴れ
綺麗だから言葉にはしないでおこうと思う
『冬晴れ』
夜半から降り続いていた雪は、朝にはすっかり晴れてカーテンから漏れる朝日が眩しい程だった。
キン、と澄み切った空気を吸い込むと、肺が少し痛い。急いで暖房のスイッチを入れ、思いっきりカーテンを開けると、さんさんと降りそそぐ陽の光に案の定、結露が輝いていて憂鬱な気分になる。
(また拭き掃除…)
晴れ渡った空の青さが実に憎々しい。
どんなに晴れていても洗濯物が外に干せるでなし。
冬晴れは、結露との戦いという意味で中々喜べない――――日中暖房代が浮くのは嬉しいが。
(ほっといてカビるのもヤだし)
朝のひと手間、私は、急いで乾いた布で窓を拭きにかかった。
『冬晴れ』
「今日もいい天気だね~」
彼女が空を仰いで嬉しそうに笑う。
「そだね。」
今日から仕事始め。久しぶりに出勤し、姿勢を正して恭しく年始の挨拶などをして回る。
後輩である彼女にも形式的に挨拶して、お互いにクスッと笑った。正直、周りにはもうバレているが、そこはもう皆大人なので、温かく見守ってくれている。
ランチに二人で外へ出て、冬のシンと冷えた空気を深呼吸する。彼女の嬉しそうな笑顔の輝きは、冬晴れにも負けていない。
「少し散歩してから戻ろうか。」
「うん!」
こうしてただ肩を並べて歩くだけで、自然と気持ちが安らいでいく。年始早々の急務の束の間に、ひと息つけるだけでも楽になる。
はぁぁ、と吐き出した白い息に手を擦り合わせ、そっと彼女の手を握った。
目を合わせて微笑む彼女に微笑み返す。
ひとときの冬の散歩道に、あたたかな癒しを貰った気分だった。
数週間ぶりの晴れがやってきた。
少し雲がかっている、何とも言えない晴れ。
外はまだ雪が積もっていて、まだ溶けきっていない。
メッセージには彼からの新着が一件。
「久しぶりに会わない?」
久しぶりにって言うけれど、彼の会うはきっと、
最後にする"会う"だと思う。
彼が浮気していることは、薄々気付いていたのが
確信に変わっていた時期だった。
スマホと財布、彼の他の浮気の写真も持って、
「じゃあ、いつものカフェで。」
メッセージにそう入れて、私は家を出た。
『雨を忘れて』
渇いた季節がやってきて あかぎれ滲みるアルコール
土埃が舞っている もぐらが忘れたサングラス
雨を忘れた空を見る 僕らは何に期待してるんだろう
思わず三度見の渇水の空
冬晴れ
肺いっぱい吸い込んだ
朝の冷たい空気
ランチへ向かう足の
背中をそっと押す北風
澄みきった暗闇に
ハッキリと浮かぶ星と月
早起きは苦手だ
特に冬は、
空気は冷たくって
布団は暖かい
そりゃあ
布団から出たくないに決まってる
でも
学校には行かなければ
正直いやだ
でもふとしたときに
空を見上げると
ものすごくきれいな冬晴れで
なんとか今日も頑張れそう
冬晴れ
あなたと会うのは
さむい冬晴れの日
あなたはいつも…
かっこよくてステキなの…
あなたと会えるなんて
夢のよう…
神様…ありがと…
『冬晴れ』
風の強い日
コートの襟を立てて
陽の光の中歩く
髪はたなびき
向かい風の中
しゃんとして
コツコツと足音ならし
寒さと暖かさにまじって
息を吐く
冬晴れの午後
まるで宝石のように
キラキラと光る雪の眩しさに
冬晴れの穏やかな風を感じる
暖かいその風は私の背中を優しくさすりながら
「いってらっしゃい」と囁く
『あ、青空!』空に向かって指を指す君
さっきまで灰色の雲がかかっていたのに
今ではすっかり晴れている
『晴れたね』って僕の顔を覗き込む
彼女は先程まで怒っていたのに、もう笑顔だ
『そうだね、冬晴れだな』
空なのか、彼女の笑顔への言葉なのか
それは僕だけが知っていれば良いのさ_。
春の陽気も
夏の日差しも
秋の釣瓶落としも好きだけど
冬晴れのピンッと張り詰める澄んだ空気は
汚れた私を洗い流してくれるようで
もう一度もう一度と
澄んだ空気を逃さぬように
一生懸命に呼吸を繰り返す
テーマ《冬晴れ》
雲ひとつない晴天
風は冷たいが、寒くはない。
【冬晴れ】
辞書を引くと「穏やかに晴れ渡った冬の日」とある。
寒いとどうしても不機嫌になってしまうけれど、空は人間のことなどお構いなしに、いつも同じ。
自分の心がささくれだったとき、そんな高くて澄んだ空をみると、なぜだかホッとする。冬晴れの空のように、いつものんびり穏やかでありたい。
「冬晴れ」
寒い冬でも、空が晴れていれば少し暖かく感じる。
冷たい空気もあいまって、清々しくも感じる。
冬の晴れは、お昼過ぎには曇ることが多いから
1日中晴れている日はなんだかラッキーだ。
不安定な冬という時期の晴れだからこそ貴重で、
何しようか、洗濯を干そうか、外へ行こうか、
そんな想像が頭の中を駆け巡る。
「冬晴れ」
冷たい風が吹いている時の冬晴れは寒くてもお出かけしたくなるお天気だけど、早く家に帰りたくなる。
日が暮れるのも早いし春がくるのが待ち遠しくなる。
朝はまだ暗いしずっと寝ていたい。
冬眠出来るなら穴を掘って眠っていたい。
暖かい穴蔵で眠れたなら楽しい夢もいっぱい見れると思う。
おもろいおばさん
「冬晴れ」
今年はこの言葉を深く感じる。
例年のような冷たい北風が吹く日が少ない。
正月三が日、穏やかな天気に恵まれていた。
そうで無い地域の方には申し訳ないが、何
年ぶりだろうか。
ゴミ出しに行って会った近所のおばさんと
も、そんな話をしたばかりだ。
見上げる空は澄んだ青空だった。
冬晴れ
雪かきしている時に、空が晴れる瞬間がある。
そのときの景色は本当に綺麗で、疲れを忘れさせる。
雪かきも悪くないなって思わせてくれる。
冬は嫌いだ。寒いし、暗いし、何よりも起きろとうるさく言われるのが嫌いだ。
寝起きの悪さを自覚する瞬間はもっと嫌いだ。