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 夜半から降り続いていた雪は、朝にはすっかり晴れてカーテンから漏れる朝日が眩しい程だった。
 キン、と澄み切った空気を吸い込むと、肺が少し痛い。急いで暖房のスイッチを入れ、思いっきりカーテンを開けると、さんさんと降りそそぐ陽の光に案の定、結露が輝いていて憂鬱な気分になる。
(また拭き掃除…)
 晴れ渡った空の青さが実に憎々しい。
 どんなに晴れていても洗濯物が外に干せるでなし。
 冬晴れは、結露との戦いという意味で中々喜べない――――日中暖房代が浮くのは嬉しいが。
(ほっといてカビるのもヤだし)
 朝のひと手間、私は、急いで乾いた布で窓を拭きにかかった。

1/5/2023, 12:21:56 PM