『入道雲』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夏に誘われ、入道雲の、水玉の模様した青空。
バスが通り過ぎる。見送ったのはヒマワリ畑。
懐かしい匂いがした、蝉時雨が喧しい。
君はどこかで、あの頃と同じ顔でいるのだろうか。
朽ちかけのベンチ。腰を下ろし、夏を揺蕩う。
入道雲は子どもの頃を思い出す。
大きな空と青い色
歩きながら空を眺めてたな。遠いのに大きくて触れそうだと思っていた。
あの頃のキラキラ感を恋しく思った。取り戻せないからそう思うのだろうな。
入道雲
何処迄も高く青い空に、
真っ白な入道雲。
まるで幼子が描く夏の絵の様な、
青と白のコントラストが、
私達の頭上に広がっていました。
余りに見事な入道雲。
夏の象徴とも言える雲を見て。
激しい夕立がやってくるのでは、と、
心配する私の隣で。
彼は、楽しそうに空を見上げて、
この雲が綿飴だったら、
皆でお腹一杯になる迄、
綿飴が食べられるのに。
…だ、なんて、
子供でも恥ずかしくて、
口にしない様な夢物語を、
惑いもなく語るのです。
そんな彼は、私には、
入道雲が浮かぶこの夏の空より、
ずっとずっと眩しくて。
この笑顔を護る為なら、
私は、何でも出来るのだろうと、
眩し過ぎる空に目を細め、
密かに、思うのです。
入道雲
入道雲は描くのが難しい。
何度も挑んだけど、やっぱり思い通りにえがけない。
他の雲と違って、入道雲ってハッキリしてる。
なんだか華やかな入道雲。
うまく描けたことなんて一度もないけれど、いつの日か必ずあの青空にゴージャスな入道雲を描きたい。
『入道雲』
「夏」と言われて思い浮かぶ風景にはあるのは大抵、
水、ひまわり、花火、青空、すいか、風鈴、麦茶、帽子…そして入道雲。
不思議だよね。晴れている間しか見ることができないし、それが象徴するのは大体晴れ。
でも、連れてくるのは雨なんだ。
近くで見たいのに、それじゃあ見れないじゃん。
あ、明日は晴れるかな
#入道雲
空高く立ち上る
モクモクとモコモコと
一つとして同じ形のものはなく
青空のキャンパスに描かれる
空の芸術…
その美しさに惹かれPhotoにする
雲が織りなす芸術と
それに夕日が醸し出す芸術に
いつからともなく
ココロ奪われ続けている…
入道雲見ると感じる。
これから夏が始まろうとしている合図。
今年もあなたと一緒にこの季節を楽しみたい。
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theme 入道雲 2024-6-30
それはとても大きい。
それは神秘の恵みを与えてくれる。
それは古代から今まで人を支えた。
それは歌にもなる。
それは大きい雲だ。
入道雲…
私が小学生の頃、夏休みに
ひとり一研究という課題が出ていた。
ある年の夏、私は雲の研究をした。
研究というほど大層なものではない。
窓から見える雲を毎日スケッチし、コメントをつけた。
猫の頭の形だとか、だんごみたいだとか。
延々と毎日雲を描いた。
入道雲とは積乱雲で、この雲の下では天候が急に変わる。
そんなこと研究するでもなく、休み明けにスケッチブックを
提出したような、しなかったような…
今の小学生は一研究は任意らしい。
地域にもよるのかな?
息子の一研究は、ほぼ父ちゃんがやっていた。
父ちゃんの一研究は婆ちゃんがしたとかで。
なんだか夏休みは大人も忙しい。
腹が立つ
見ていて嫌だ、とても気分が悪い
自分を見ているようで、どこか気持ちが悪い
自分と全く同じ考えの人がいれば分かり合える、そう思っていた。だけど共感はできても所詮自分と変わらない自分がいるんだ。見ていてすごく気分がおかしくなる。
自分ってこんななんだと、実感した。
どんな自分なら愛せるかな。
【入道雲】
「サヨちゃん、チヨちゃん、またお願いしたいんやけど」
縁側で涼んでいたら近所の今井さんが庭から訪ねて来て、白い布と「赤い糸」が通った針を私たちに差し出した。
「ああ、千人針やね。今度は誰のん、おばちゃん?」
先にチヨが手に取り、スイスイと齢の数だけ玉結びを縫いつけながら訊ねる。今井さんは縁側の私の隣に腰掛けてひと息つき、手ぬぐいで額の汗をふきながら言った。
「辰悟のんよ。なんやすごいお船に乗組みが決まったそうで……」
今井のおばちゃんはなんとなく萎れた口調で、どこか遠くを見つめて答えた。うだるような梅雨明け前の昼下がりの休日。空には夕立ちを予感させる雲がたくさん浮かんでいる。
「辰にいちゃんのかあ……そっかあ……」
うまく言葉を返せず、チヨは今井のおばちゃんの横顔を見つめ、はい、サヨちゃん。と、縫い終えた千人針の布と糸つきの針を私に回した。
「――子だくさんで騒がしかったんが嘘みたいやわ。おばちゃんとこ、ついに和美と女二人暮らしになってもうた……」
そう言うとおばちゃんは寂しそうに小さく笑った。男の子ばっかりの大所帯やったのに、みんな次々と戦場へ行きはって。ついに末の辰にいちゃんも……お子さん、一人娘の和ちゃんだけが残ってんのね。海軍士官の旦那さんは全然帰ってきはれへんし……辛いやろうなあ。針の手を止めずに心のなかでおばちゃんに同情した。
「……よし、できた。みんな無事に帰ってきはるよう、特に念込めて縫っといたから」
ようやく縫い終えて、はい、と頼まれたものをおばちゃんに返す。なんとなく湿っぽくなった雰囲気を紛そうとしてか、おばちゃんはわざと明るく振る舞って、おおきに〜と芝居っ気たっぷりに千人針をありがたく押しいただいて受け取った。
「息子らので毎回ゴメンな、サヨちゃんチヨちゃん。元年生まれの、しかも双子のあんたらにはほんまにお世話になるわ。これ、ほんのお礼に取っといて」
と風呂敷を広げ、転げ出てきたとうもろこしを何本も分けてくれた。私たちはキャッキャとはしゃぐ。
「じゃあもうお暇するわね。雨の匂いがしてきたし」
おばちゃんが帰って行ったあと、すぐにポツポツと降り出してきてやがてどしゃ降りとなった。けれど日が暮れた頃にはピタリとやんで夜はずいぶんと涼しくなった。そしてその日の晩ごはん時、工場の勤労動員から帰ってきた両親に、二人で今日あった今井さん家のお話しをして、茹でたとうもろこしを家族みんなで美味しくいただいた。
“入道雲”
”あれ、ラプュタみたい“
うちの子供達は決まって
入道雲を見ると言っていた
“言うと思った”
これがお決まりの私のセリフ
いつの間にか
そんな子供達も大きくなり
入道雲を見ても
あのセリフは出てこなくなった
当然私のセリフも無くなった
もうすっかりあの時の
会話は忘れていた
久しぶりに子供達が
夏休みに孫を連れて遊びに来た
孫達が庭で水遊びをしているのを
私は微笑ましく見ていた
すると
”あれ、ラピュタみたい“と
孫が大きな入道雲を指差して言った
どこか懐かしいセリフ
私は忘れていた
私のセリフを言おうとした瞬間
“言うと思った”と息子が言った
その時思った
我が家の入道雲のセリフは
”代々受け継がれて行くかも“と
入道雲
入道雲が空に浮かぶ朝は夏休み。
ラジオ体操が終わり家路につく頃には蝉の声が入道雲から聞こえてくるようだ。
1日の始まり。
3人の仲良しさんが自転車に乗りやって来た駄菓子屋の前。
ショートカットの痩せっぽちポパイの恋人のオリーブに似ているからあだ名はオリーブそれがわたし。おかっぱ頭の一見無口で大人しそうなけれど意志の強い黒曜石のような瞳をしているおませな女の子が高校時代裏番と言われたりっこちゃんでもまだこの時は小学3年生の頃の話。三つ編みに眼鏡の優等生の町内会長のお嬢さんのみっちゃん3人の仲良しさんは今日も駄菓子屋の前でゴム跳び。
入道雲はどんどん大きくなり日差しも力を増して来た、それでも今よりは柔らかい夏何故なら周りに緑と水があったから。
その日もお昼近くまでゴム跳びしたり石蹴りしたりして遊んだ。お昼は、おばあちゃんが冷やし中華をご馳走してくれた。みんな親たちが共働きだったから、おばあちゃんは3人まとめて面倒を見てくれていた。お昼ご飯が済んだら一応夏休みの宿題を早目に切り上げて学校のプールに行く入道雲は手の届きそうなところにまで来ていた。
プールが終わるとお家に帰ります、カルピスを飲みながら夏休み子ども劇場を観てお昼寝から目覚めると近所の憧れのお姉ちゃんが帰って来たから遊びに行く、鬱陶しくつきまといお姉ちゃんのやっていること言っていることを真似る少し大人になった気分になる。それから夕方までお姉ちゃんとお喋りをして、夏休みの夕方は習い始めた剣道教室へ行く週に2回は剣道教室と空手教室にも通っていた、当時は兎に角強くなりたかった。
そうして、入道雲も真っ赤に染まる頃長かった1日もようやく終わろうとしていた。
「ただいまー」
「おかえり」
母の声と晩御飯の匂いが迎えてくれた。
入道雲は
「また、あしたー」
と言いながら、空の向こうに消えて行く
そんな日が永遠に続くと思っていた。
9歳の夏休みと入道雲。
2024年6月29日
心幸
「入道雲」
陽を吸い込んで吐く息が
上へ上へと登る夏
入道雲を見ると泣きそうになる
と言った友達を思い出した
彼は今 飽きた日常から目をそらしている
らしい 最近会っていない
街の明かりで少し翳った夏の大三角
こと座 はくちょう座と何だっけ?
僕は今 どうでもいいことを忘れるため
歩いてしまえばいい速度で走っている
走るのは嫌いだ
でも遠回りして帰るのは好きだ
僕って人間は本当に白々しいのに
ひとつも面白い話ができない
あの子の前でだけ不自然体だ
今日の空回りは明日の臆病につながる
不安で涙が溢れないよう空を見た
入道雲が泳いでいた
もう夏がきたようだ
君がいなくなってちょうど十年。今日も来たのにこんなにちっぽけな霊園で君の墓石は見当たらない。あれから毎日君に会いに来てるのに。
「やっぱり今日もか」
やっぱり君は、、、
あなたが突然消えてからちょうど十年。今日も私はあなたを探す。
「、、また逢いたいな」
あなたに触れていたい。暖かくて、大切に私を愛してくれるあなたに。でも、偶然見つかるなんて。そんなことはなくて。
あれ、あの雲懐かしい。君がいなくなる前にみた低くて触れない入道雲。確か、あの時僕と君を隔てた入道雲もこんなんだっけ。あの雲は僕の全てを連れ去って夏の日差しに消えてった。
あ、あの雲。あなたを消した入道雲みたい。皆に話すと「そんなのフィクションだー」なんて言うけどやっぱり信じてみたいの。君がいるのはあの雲の先なんだって。
思い出したくないよ。そんなの。君との初めて喧嘩した日から会えないなんて。信じられない。きっかけなんて大したことなかったのに。もう、謝りたいよ。でも、もっと言いたいことあるよ。
あ、私泣いてるじゃん、だっさ。あなたと喧嘩したの。ムカついたけどちょっと嬉しかったよ。だって意見が食い違うなんて初めてだったじゃん。またやり直すことができたらなぁ。真っ先に言うよ。
「え、奏?」
「、、あ、冬夜くん?」
雲ひとつ無い、突き抜けるような群青色の空と
入道雲のコントラストが、鮮明に記憶に残っている。
「ソフトクリーム!」
小さな指が空を指す。
「ん~、あれは綿菓子に見えるなぁ」
「外の植木に積もった雪」
「ソフトクリームだもん!」
二人の間で飛び跳ねる小さな体。
「ソフトクリームにも見えてきた」
「ほんとだ」
二人の手が同時に上がり、小さな体がふわりと浮く。
「ソフトクリーム食べたい!」
「じゃあ買って帰ろっか」
「僕はアイスコーヒーにする」
浜辺を歩く三人の声が、雑踏の中に消えていく。
後に残った入道雲が、帰路につく彼等を見守るようにむくむくとまた大きくなった。
END
「入道雲」
朝
「おはよう」って言えないかな…
登校のタイミング合わないかな…
そんな事を願いながら、登校した。
校門前、自転車で来る姿を見た
玄関で挨拶出来るかも……!
いつもより足取り早く玄関へ
言えるかも、間に合えたかも。
心臓の音が…止まない
「おはよう」
必死に出た声、変じゃないかな…?
「おはよぅ」
先に着いた貴方は振り向いて。
この先の声が出せなくて
話したい…でも…心臓が持たない…
放課後
帰るタイミングが同じ
友達も貴方の友達もいる
「バイバイ」なんて言えないよね…
友達と駐輪場に向かった
貴方も同じ道へ
その近くには他クラスの女子達
言えないか〜って諦めそうだ
自転車を持って駐輪場から出てきた
目が一瞬だけ合った
手を振るだけでも……
小さく手を振ってみた
貴方も小さく手を振り返した
少しでも近づきたくて
でも心臓の音がうるさくて
気持ちがぐんぐん上がってく。
〜入道雲〜
晴れ渡る空に入道雲。
こんなに晴れているのに、入道雲は雨を運んでくる。
このちぐはぐさがなんだか好きだ。