『入道雲』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ほろ苦くて癖になる
風にたなびいた煙草が入道雲に滲んでいる
ちりちりと音をたてずほろりと崩れてゆく
鮮やかにめらめら沸き立つ掌におさまった熱
濃い青が灰に沈む、苦い味を頭に殴り付けるように
また貴方のことを考えている
煙草一本分、悔やみきれぬ愛を憎んで
灰皿でちいさな炎をにじっている
子供の頃は夏の日差しに照らされた
眩しく光る海の遥か先の空で
おまえさんがどんどん膨らんで行くのを見ながら
よく一緒に遊んだっけ
たけどどうだい?
近頃のおまえさんったら
太平洋のこっち側からじゃ
山のある方に越しちゃったじゃないか
なんだか性格も昔と変わっちまったね
悲しくなるよ
もうあの頃には戻れないのかい?
《 入道雲 》
入道雲
夏だな
それより暑いアイスでも食べたいや
日差しが眩しくて僕は空を見上げた
雲だ。大きな入道雲
なんだかずっと見てたらわたあめに見えてきた
そういえば来週祭りがあったけ?
あの子と行けたらな
入道雲
「雨の匂いがする」
真っ青な空を彩るように綺麗に浮かんでいる、無限に綿菓子だけ食べられそうな雲を見上げて君は呟く。
首を傾げた。僕には意味がわからなかったからだ。
「雨の匂いってなに?」
二つに分けられるアイスを君と分けながら蒸し焼きにされそうな蒸し暑い通学路を並んで歩く。
君は自転車を歩いて引いて、僕をみるとクスッと笑った。
「知らないの? 人生損してる」
そんなに大事か? と一瞬過ぎった疑問を首を払って忘れる。君はたまに不思議なことを言うからだ。
僕が考えが及ばない何かを知っていた。
「湿ったちょっと冷たい風が吹くんだよ。匂いも草や土が湿る匂いがする。通り雨が来るかも」
「じゃあ早く帰れよ。アイスなんか食べてないで」
君はまだ半分くらいあるチューブ型のアイスを吸いながら、どこか歌い出しそうに笑う。
「雨の中、チャリをぶっ飛ばして帰るのも楽しいよ。家の洗濯物VS雨の勢い。今日は洗濯物が勝つ」
「なんでわかるんだ?」
君はフフンと誇らしげに鼻を鳴らした。ドヤ顔というやつで、不思議なことを言うときに君がよくする笑顔。僕は嫌いじゃない。
「勘。野山で暮らしていたからわかるよ。この辺の匂いは故郷とは少し違うけど」
今年の春に転校してきた君はちゅーっとアイスを吸いながら空をみた。早く降れ、とどこか期待している目で戦いを待ち遠しく感じているような、そんな目つき。
「入道雲でわかるもんじゃないか? 雨降るかもなぁって」
僕も同じように空を見て呟くとふくらはぎに弱い衝撃があって君に振り向く。蹴られたみたいだ。ムスッ面をして僕を親の仇みたいに睨みつけてきた。
「つまんないなお前は。もっと日々に彩りを感じて生き給えよ」
また変な口調になったな、とだいぶ慣れてきた古くなったり最新の流行語になったりする君はフンッと自信満々に鼻を鳴らした。
「じゃあ勝負しよう」
「何を?」
珍しくキョトンとした君が振り向いてきた。本当にわからないような表情なので、少し優越感を覚えてしまう。
「俺は雨の勢いに賭ける。勝負は君の家まで。僕はダッシュするから、君は自転車でも走るのでもどっちでも選ぶといい」
考えるように目を瞬いて、君はニカッと春の太陽みたいに笑った。賭けに乗ってきた、とまた少し優越感を覚えてしまう。
「いいね、ダッシュならイーブン。受けて立とう!」
「っし、行くぞ、よーい、」
「「ドンッ!」」
走り出した青空を入道雲が覆い隠してきていた。
「入道雲」
白き影が空に立ち塞がり、黒き影が前を塞ぐ。
空のアート。
おんなでも おとこでも
なかった
遠い遠い夏の日
笑っていた わたしは
何者でもないということを
楽しんでいた
白く輝く入道雲は
うれしさに ふくらんで
嘘偽りのない日々に
いつも明るく光っていた
あの日々には
まだみんながいた
いつの日か
思い出がこの先の
わたしを支えてゆくことを
子どものわたしは知らない
#入道雲
ペロリと舐めた
ソフトクリーム
似てるよね
笑顔の向こうに
入道雲
少し前を歩く君に、
話しかけようとして
手を伸ばして
でも怖くて止まってしまった私の足は
君に追いつけない。
入道雲を見つけた日は、そんなことを思い出す。
進む君と、止まった僕の
縮まらない隙を何で埋めよう。
まだ素直に言葉にできない私は
天性の弱虫だ。
あの大きな入道雲のその上では何が見えるのだろうか。
きっとあの雲の先にはきっとわたがしのようにやわらかな景色が見えるのだろうな。
入道雲。
天高く昇る入道雲。
夏を感じさせる入道雲。
青春を感じるさせる入道雲。
全部同じ入道雲。
あなたがいないこの夏にみる入道雲。
どんなことを思うんだろう。
入道雲…
それは、恋心と同じ(私だけかもしれないけど)
恋をすると、気持ちが膨らみ
入道雲は、水をすう
失恋すると恋心はしぼみ
入道雲も雨を降らすと小さくなる
入道雲の下は雨かな
でも入道雲にウキウキする人もいる
誰にも都合のいいものなんてないかもね
『入道雲』
「ねぇねぇ、あの大きい雲なんに見える?」
「ん〜そうだなぁ、ん?入道雲じゃん」
急に走り出した彼を不思議に思う私に
「雨降るから急いで!」と。
降るわけないじゃん。と思っていたら
あら、本当に降ってきた。
雨を眺めている私に彼が得意そうな顔をして
入道雲の話しを始めた・・・
どんな雲なのか
ググったらあらま(・・;)ってなった
青空にはキレイと思ったけど
とんでもない雲みたいね、
不思議な感じだった。
#入道雲
入道雲が出ると激しい雨が降りますよね。
私はあの土埃の匂いが混じったあの暖かい雨を浴びるのが好きなのです。
太陽がギラギラ輝き、陽炎が立ち込めたアスファルトに叩きつける雨ほど爽快なものは無いでしょう。
#入道雲
入道雲
君は何の形に見えますか
犬、猫、ソフトクリーム
君の瞳にはどんな風にうつるんだろう
僕も君と同じ景色をみたいな
-入道雲-
18歳の時、車の免許を取りました。
私の初運転は家族で外食に行こうという話になり、パパを助手席に乗せた時は緊張したな(笑)
パパは大型二種の免許を持った強者だから。
トロトロの運転を小馬鹿にされながらコツを教わったりしてました。
そして今日の話ですが、ひとり車でお買い物に行きました。
最近はとても蒸し暑いくて鬱陶しい。
なのに私は自由で恵まれていると思ったのは、駐車場の真正面にある入道雲を見たから。自分の影で凹凸が強調される立派な座り雲。
静かに亡き父を想った。
それは誰でも
目を向き,惚れるように,目に焼き付けて見ている
きっと彼も,この光景を長々と見つめているだろう
少し嫉妬してしまうが
私も彼の目に映し出されている美しい光景になれたら
惚れてくれるだろうか
大好きなんだよ
この気持ちは貴方が想像しているよりも。
青く青く澄んだ空に、大きく映えるは白い雲
夕立の気配を立ち込めて、上へ上へと登りゆく
大きな口を開けて笑う彼女の後ろで、存在感を放つその雲は
今年もきっと、夏を連れ立って会いに来るから
そしたらまた、その時は
取っておきの笑顔の彼女と、フィルムに収めようじゃないか