『何気ないふり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
目の前で一生懸命何かを探す女性。
俺と同じくらい背が高く、一つにまとめた髪とパンツスタイルがよく似合っている。
「川原さん、何を探してるんですか?」
俺の声を聞いて、ハッとしたように目を見開く彼女は、少し幼くて可愛らしい。
「あ、柳さん。ちょっと債権回収の本を探してて。確かこの辺にあったはずなんですけど…」
「え、それもしかしてこの本ですか?」
棚に戻そうと思い手に持っていた本を見せる。
「あっ!それです!柳さんが持っていたんですね」
「はい。もう見ないので、このまま渡しますね」
本を彼女に渡そうとしたら、彼女と手が触れた。
少しだけびくついた彼女。俺は怖がられているのだろうか。まだ先は長いな。
「ありがとうございます!」
にっこりと彼女が笑う。
「ーーー可愛いですね」
「え?」
しまった。笑った顔がとても可愛かったものだからつい真顔で口にしてしまった。
まずい、引かれる…。
「柳さん、冗談でも、びっくりします…でも、ありがとう、ございます…」
うん?思っていた反応と違う。
顔を赤くして、本を胸に抱いて俯く彼女。
抱きしめたくなる愛らしさだったが、怖がらせないように、落ち着いた大人の男を装って、何気ないふりをせねば。
「す、すみません!さ、さて、そろそろ戻りましょうか」
「い、いえいえ!そうですね、も、戻りましょう、柳さん!」
落ち着いた大人の男は失敗したが、資料室の外に向かううちに、少し俺は落ち着いてきた。
やっぱりこんなチャンスそうそうないし、柳さんも嫌そうじゃなかったし、少しだけ。
少しだけ、気持ちのかけらを伝えてもいいかもしれない。
資料室のドアの前、急に立ち止まった俺を不思議に思ったのか、どうしたんですか、という彼女の声が後ろから聞こえてきた。
くるりと彼女の方を向き、彼女と視線を合わせてーーー
「さっき可愛いですねって言ったの、冗談じゃないですからね?」
笑顔と共にそう伝えた時の彼女の顔は、俺だけの秘密にしておこうと思った。
テーマ『何気ないふり』
何気ないふりをしていつも通り過ごしている。でも、それは他の人から見ればとても幸せなのかもしれない。貴方にとっての『幸せ』とはどんな幸せですか? 【何気ないふり】
何気ないふり
高校は退屈だ。
別に頭がいい訳では無い。
ただ単につまらないだけの日常を送っている。
ただそれだけの事。
友達なんて居ない。一匹狼が格好良いから憧れている奴と一緒にしないで?そんなんと違うから。
って僕は誰に話してるんだか......。
そう思いながら、窓の外を見ると先輩達が体育の授業を受けていた。
(外の授業だし、この季節は陸上か......。)と何となく見ていたら、1人の先輩がこっちを見ていた。
その先輩と目が会った瞬間、ニコッと笑顔を見せてこちらに手を振ってきた。
ビックリして、机の上に置いてあったペンを落としてしまった。隣の席の奴は「どうした?」と聞いてきたけど、そこまで仲良くは無いため、何気ないふりをしてしまった。
一旦落ち着いて、もう一度窓の外にいる先輩を見ると校庭をを走っていた。
その走る姿が素敵で、少し授業をサボってみていた。
何気ないふりして
君はちゃんと分かってくれてる
わたしのこと
ずるいな
もっともっと
好きになってしまう
「いつまで私とこうしてるの...?」
『え、そっそれは...』
「ねぇ」
『えーっと...』
「...」
『私が君を救い出せるときま...え?』
「ごめんね...でもこれでもうあなたは解放されたでしょ...私もすぐ行く...早く解放されたい...この呪毒から... 」
何気ないふり。
何気ないふりが
今日は
できたかな?
今日はゆうのギターは
伸び代。
何気ないふりで
今日も大好き。
みんなの前では、笑って、何気ないフリしてる、、、
だけど、裏では、ずっと病んでるし、泣いてる、、、
上履き袋に体操着
お道具箱に防災頭巾
もちろん背中にランドセル
黄色い帽子の1年生
「よこせよ、持ってやる」
ふたつ上のお兄ちゃん
「オレはめっちゃ力持ちだから」
「こんなの小指一本で持てる」
えっ、そうなんだ!
お兄ちゃんてすごいんだなぁ
そう思ってたけど
すごく、優しいんだった
「何気ないふり」
#376
何気ないふり
当たり前のように傍に居てくれたのは
僕のため…?
──なぁんちゃって
そうだといいなって思っただけだよ
「おはよー!」
後ろからがばっと抱きついてくるのは、俺の幼馴染。
高校生になってもするこの挨拶は、小学生から続いている。
もう高校生で、体つきも育ってきているのに、健全な高校生男子にはきつい事である。
しかし今日も、何気ないふりをする。
「んにゃ、おはよ」
そんなふうに始まる一日。学校生活はあまり話すことはない。そして家に帰り、1人の時間が…と思う日もあった。
俺の部屋でゴロゴロして、無防備な格好でいる幼馴染は、今日も変わらず漫画を読んでいる。
そして、俺とこいつは家が隣なこともあり、遅くまでいることが多い。
なので、お風呂に入ってからくることが多いのだが、それがまたきつい。
なんかいい匂いするし、少し湿った長い髪は色っぽいし、ラフな部屋着でいるため、服の裾から覗く横腹がまたまた…
しかし、俺はそれも何気ないふりをして、なにも考えないようにベッドの上に座り、スマホをいじるふり。
「ねぇー、この漫画の新しいのない〜?」
めんどくさいため、
「自分で本棚探せ」
と言うと、「えー?」と言いながら、俺の横に座ってくる。
ぎしりと、ベッドが鳴る。
「とってきてよ〜、ね?」
と言いながら俺をじっと見つめてくる。しかし、俺は無視を貫く。すると、ぶぅ、とした後に、何かを思いついたのか、ニヤリと笑い、俺に寄ってくる。
そして、毎朝するように、俺にふわりと抱きついてくる。そして、妙に色っぽい猫撫で声で
「お願い、とってきて…?」
俺はもう我慢できなかった。
がばりと幼馴染に覆い被さり、顔を近づける。
幼馴染は、なにが起こったのかわかっていないようだ。鼻が触れるか触れないかの距離で、俺は話す。
「毎日俺にベタベタ触りやがって。こっちは毎日モヤモヤしてしかたねぇんだよ。そっちがその気なら、こっちもその気になってもいいってことだよな」
そう言うと、幼馴染は驚いた顔をした後に、緊張した顔になって、頬を赤らめながら、目を逸らし
「…いいよ。あんたになら、なにされても…」
俺は、辞めるつもりだったが、その言葉を合図に、自分を止めることはできなかった。
俺とお前の、唇が触れた。
緊張してるが、ここでも、何気ないふり。
しばらく連絡を断っていた人
煙たがっていた人
けど血の繋がりのある人
久しぶりの電話があった
気が向いて出てみたら
何もなかったかのように話してくる
何気ないふりしてるのかな
何も考えてないのかな
長電話は疲れるってずっと言えなかったから
1時間になるから切るねって
やっと言えた
断るための第一歩
がんばったよね、わたし
#皿の中の味
ドブの味のするスープの具合はどうだ?
お口に合ったか。
とてつもなく絶望し、しかし自己愛を捨てきれず、
投げ捨てた筈の空の皿を見下していた筈だが?
ぁあ?
腹の虫が鳴るのを放っておいただろう?
まぁ、そこの皿に入っていた飯が気に食わなかったのは分かる。
大いに理解しよう。
その反抗心たるや天晴れだ。
俺もそうだった。
さぁて。
どんな味だ。
お前が初めて自分の手で掴み掛かった皿のそいつは。
あぁー俺の時は、トマトの味がした。
塩も胡椒も何もない、トマトを潰したスープだったなぁー。
「お前は?Mr.」
「... ドブの味だろ。」
「そうか。お前はもっと美味いものを食えよ。」
さて、では次に行こう。
「あんたは?Ms.」
あんたが味わった
希望の味を、俺に教えてくれないか?
あなたは何気ないふりをして、いつものようにねるねるねるねに水を加えて、混ぜ合わせました。
しかし、ねるねるねるねの色は、誤魔化せません。
あなたがどうして、あんな稚拙な嘘をついたのか、私にはどうしても分かりませんでした。
いずれにしても、簡単に嘘を付く人とは仲良くなれないと、私は思いました。
何気ないふり
いつだってキミは
何かあってもなくても
こうしてそばに居てくれるんだ
…ありがとう
すごいな、さすがだな、優秀だな、
羨ましい、私には無理だ。
その裏にある計り知れないほどの
失敗と挑戦と継続の積み重ねを
素質や才能の言葉で蓋をする。
何気ないふりをされてるんじゃなくて
私が見えないふりをしてるだけ。
#何気ないふり
何気ないふり
ラッシュアワーの
駅の通路
何年たっても
苦手です
何気ないふりで
スタスタ歩いて
みせてはいるけど
頭の中は
泡ふくカニが
反復横跳び状態なの
ぶつかりそうになると
時々
ツーステップ踏んじゃうし
颯爽と歩く
いつものあの人
お願いします
弟子にして!
何気ないふりして、台所覗きにくるのやめろ。でかい図体がうろうろしてると気が散るんだわ。
人前だとそっけない。あなたのプライドって本当にかわいい。
お題:何気ないふり
ふとした時に幸せを感じる
本当に小さな幸せ
思わず顔が綻ぶ
言葉にするのも照れくさいし
綻んだ顔を見られるのも恥ずかしい
だから何気ないふりをしてやり過ごす
そんな土曜日の昼下がり
何気ないふり
椅子に座り本を読む貴方を見る。
貴方は物語の中に入り込んでいるのか、私の視線にも気付かない。
コポコポ。
サイフォンが音を立て、コーヒーの良い香りが部屋にただよいだしても、貴方は本から顔を上げない。
そんなに面白いのかな?
私は気になって、まだ熱い2つのマグカップを持って、貴方の目の前に座る。
「どうぞ、まだ熱いけど」
「うん。ありがとう」
ねぇ、今日はせっかくの休みなのに。外も、いい天気なのに。
―――私が、ここにいるのに。
コーヒーを飲みながら、じーっと貴方の表情を見る。
じーっと。
じーっと。
そのうち、貴方の耳が赤くなってくるのを見つけてしまった。
「ちょっと、そんなに見られたら照れる!」
なぁんだ、何気ないふりしながら私の事、気にしてたんだ。
「だって構ってくれないから」
わざとふくれて文句を言うと、貴方は分かったからと言って、本にしおりを挟んだ。
「コーヒー飲んだら、散歩行こうか」
貴方の提案に、私は笑顔で了承した。
了