『何気ないふり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
朝友達と一緒に来て、教室に入って、
授業を受けて、お昼を食べて、馬鹿みたいな話をして
また授業を受けて、部活をして、疲れて、
放課後たまに愚痴りながら友達と帰る。
こんな当たり前な日々を何気ないふりして過ごしながら
わたしは1日1日を大切にしてる。
私は琥珀。
隣にいるのは春斗くん。
今は、休み時間。
みんなどこかに遊びに行ってるのか、
クラスに残っている人はあまりいない。
あまりいないというか、私と春斗くんだけだけど。
春斗くん、何かを修理してる。
そう考えていると、
「あっ、やべっ!」
春斗くんの声。
ふと春斗くんの方を見ると、
どうやら強力接着剤で、指を接着したそう。
中指と、人差し指と、親指が、1箇所についてる。
右手の。
しかも、左手は壊れている部分を抑えていて、
手が離せないらしい。
私は春斗くんを助けるために、
ゆっくり剥がそうとした。
力振り絞って、痛くない程度に、離そうとした。
頑張って、私なりに。
でも、全然剥がせない。
もし、あの力が強い人がいたら、
もし、あの文具に詳しい人がいたら、
もし、あの何でも出来る人がいたら。
私じゃ何も出来ない。
春斗くんに「取れない」と伝えるように、
見つめていると、
春斗くんが急に右手の中指と人差し指と、親指を
…離した!
え?どうして?おかしい。私は、本気で助けようとした。
え、騙された?
頭の中をぐるぐると巡っていると、
春斗くんがぎゅっと私の手を握った。
「手、繋ぎたかったから。こうしないと、手繋いでくれなかったでしょ?」
え…!?
いつものように
君から何気なく発せられる
計算のない言葉に
いつものように
何気ないふりして返答する。
そしていつものように
離れてからゆっくり味わうんだ。
本当は心躍ってることを。
先生はとてもおっちょこちょいである。
いつもポンコツで、USBを電子黒板に指したまま、
なんてしょっちゅうだし。
プリントは授業終わりに回収だと
何度も言うのに、結局毎回忘れて号令した後に
「ごめん出席番号順にもってきて!」
の声かけを聞かなかった週はないくらいわすれっぽい。
イタズラなんて絶対引っかからないと高を括っておいて
毎回きっちり引っかかっていたり、
さわやかに「おはよう!」と挨拶した次の瞬間段差に
つまづいていたり。
今までに先生ほどおっちょこちょいな人を
私は見たことがない。
でも知っている。
裏ではすごくしっかり者で、優しいんだということを。
実験室の片付けに不備があって、
実験助手の先生からお怒りの文書が届いた時。
先生を引っ掛けようと
黒板消しを挟むイタズラを仕掛けているところを
隣の校舎から怖い先生に目撃されて、
1時間くどくど怒鳴られた時。
次の授業の時には
もうちょっと俺が言えばよかったね、とか
あそこまで言わんくてもねえ、とか
すごく何気なさそうに言って、
必ず私たちを庇ってくれていた。
裏で頭を下げていたのを偶然見てしまったけれど、
きっとそれまでも同じようにしてくれていたのだろう。
もともと面白くておっちょこちょいな先生が
好きだったけれど、
そんな一面を見てもっと大好きになった。
ねえ先生、恋愛的に好きと思っているけれど、
それよりも第一に人生の先輩として、
先生のことを尊敬しています。
嫌いなヤツの話ほど嫌な物はない。
苦痛だ。
それを何気ないふりして聞いてる。
我慢しなければいけない。
途中で我慢してる理由も分からなくなってくる。
相手は何が正しいか考えた事もない癖に自分を正当化する。
だから、あいつに反吐が出る。
何気ないふり
3、2、1、そう心の中でカウントダウンをして、曲がり角を曲がった。前から来た君とぶつかって、ようやく君が僕のことを見てくれた。
すみません、大丈夫ですか、と心配しながら、手を差し出すけれど、心の奥底の方では嬉しさでニヤケが止まらなかった。
「運命の出会いだったよね!」
君はそのときのことを嬉しそうにそう語った。ああ、たしかに運命的だったよ。でもそれが最初の出会いでもなければ、運命でもなかったことに君は気づいていない。作られた運命に君は目を輝かせて喜ぶ。
たとえば、君の好きなものや嫌いなもの。家族構成や交遊関係、いつどこで何をして、何を食べて、何を話したのか。全部全部知っているから。
「すごーい! なんでわかったの?」
君がほしいものも、ほしい言葉も、何だって与えられる。君はそのことを運命だと言ったりもするけれど、それがすべて計算だとは気づいていないのだろう。
だから、僕は今日も何気ないふりをする。偶然を装って、あえて知らないふりをして、君が気づかないように、運命という名の歯車を自分の手で回すんだ。
花壇にまた花が増えている。
薄青の丸っこい花弁が可愛らしい花だ。またなにかあったのだろうか、と花壇の主を探してぐるりと視線を巡らせる。春風に染められたような色合いのチューリップが群れ咲く向こう側、こちらに背を向けてしゃがみこんでいる小さな姿が見えた。おおいと声をかけると、一拍置いて振り返る。頬に泥がついている。
「おはよう。また新しい花を植えたのかい」
「おはよう。そうなの、いいことがあったから」
小走りに寄ってきた彼女に頬を指さして見せれば、瞬いたあと、はにかむように目を伏せた。軍手をはめた手の甲で拭おうとするのをそっと止める。それでは余計に汚れかねない。ハンカチでやわらかな頬に触れてから、少し不躾だったかと思い様子を伺ったが、彼女は気にしていないようだった。ありがとうと微笑みかけられ、どういたしましてと返す。そっけなさの混ざったそれが照れ隠しであると彼女にわからなければいいと思った。そらした視線の先で、名前も知らない薄青の花が揺れている。
「……いいことって、今度はなに? まさか前みたいにおみくじで大吉が当たったからとかじゃないよね」
「違うよ。いいことっていうのはね、……うーん」
ふふと彼女が笑う。日に透けて明るく光る毛先が風に踊り、気を取られたその一瞬で彼女が身を翻した。
ひみつ! 跳ねるように言って、駆け戻っていく。反射的に伸ばした手を力なく下ろして、はあとため息をついた。こうなったら意地でも教えてくれないのはよく知っている。作業に戻った彼女はもうこちらのことなど意識の外に追いやってしまったようで振り向きもしない。超えられない花壇を見下ろして、彼女の「いいこと」はなんだろうと思う。ここ最近はとみに植えられる花が増えてきた。その花々の言葉がすべて恋にまつわるものなのは、偶然ではない。きっと。
(お題:何気ないふり)
何気ない日常にも
気をつけないといけない場面が沢山ある
周りの人と話す時の言葉選び一つ一つや
行動、態度、表情
挙げだしたらきりがないくらい
何気なくかけた言葉は
人を癒すことも出来れば
傷つけてしまうこともある
人を傷つけることが怖い私は
毎日を何気ないふりをして
頭の中では常に忙しくしながら過ごしている
#何気ないふり
何気ないふり
努力する時は、何気なくするのが好き。額に汗を流し、苦しそうな顔をして、いかにも自分は努力しているんだという態度は取りたくない。祈るときは静かに神に向かいあいたい。神さまなら私のことを理解してくれるに違いない。確かに、孤独は辛い。しかし、孤独を知らない人生は薄っぺらにみえる。私の努力は神さまだけに知っていただければ十分だと思っている。
どんなこと言われてもどんなに笑われてもへらへらして何気ないふりで今まで生きてきた。処世術ってやつ?
声のトーン
部活、勉強、人間関係…
人はそのような悩みを抱えて生きる。
でも、それを他人には見せてはいけない。
暗黙のルール。
何気ないふりをして笑顔を振り撒く。
そうしないといけないから。
そういう社会だから。
このルールを飲み込まなければならない。
だから、私は声のトーンを少し上げ、今日を歌う。
<何気ないふり>
生理中の女の子みんな
この世で1番生理痛いらねぇ
って思ってます。
彼氏の皆さん
身体を温めるもの、痛み止め、食べやすいもの
これさえ準備してくれれば
女の子は嬉しいし喜びます。
何気ないふりをして近づいても、
すぐに気づいて逃げてしまう鳥たちが、
挨拶しながら跳んでくる。
色とりどりの香りが広がる庭をかけまわる。
あおいあおいあおいそらのもと、
舞い上がる色白な花に包まれて。
音階が上がっていくように響く笑い声を耳にする。
細いゆびさきがつまむカップの取っ手が
今夜の月みたいだなんて思いながら、
バームクーヘンでも食べようか。
『離陸』
何気なく立ち読みしてる雑誌の内容 記憶にないな
時間を潰してるだけだから 君に優しくできたらいいなぁと思って カスタードたっぷりのシュークリームを選んでる 地元では結構評判のいいお店だよ
小さなカフェスペースもあるんだよ 今度どうかな?
一緒にどうかな? 思ってるだけじゃ何も変わらなくて 感情だけが離陸していく あーあ行っちゃったな
雲に紛れてもうどこだかわからないよ 悲しくなりたくなくて またコンビニで立ち読みしてる 何気なく
ただ何気なく 傷つくのが嫌なだけなんだ
何気ないふり
今日も私は何気ないふりをする。
貴方に会うと胸がドキドキして気を抜いちゃうと声も震えちゃう。
でもこの気持ちは貴方に気づかれたくないの。
だから私は何気ないふりをするの。
「おはよう。」
何気ないふりで痛いとこついてくるんだよ
『あれこれ頭ん中で考え込んで悩みまくってるの、そういうの妄想って言うんじゃないの?』
ううーん
『取り敢えず少しだけやってみ?』
くやしいけどその通りだ
顔を見たらもうあっちを向いている。とても自然に、俺なんか言ったっけ?という顔をしている。まるで今から鼻歌でも始めそうな、その何気ない口元の君がとても好きだよ。
私はどうやら、溜め込むタイプの人間らしい。
最近、人間関係を保つのが面倒になった。頼みを断れない、相手を第一に考えてしまう、周りの目を気にしてしまう。これらは悪いことじゃない。人間が生きていくのに必要なことだ。ただ、ストレスが溜まる。
私は都合のいい人間でいるために努力する。だから、他人に嫌われまいと都合のいい人間のふりをする。どんな無茶振りをされても、どんなことを言われても、どんなに利用されても。私は何気ないふりをして、私を騙す。
だからこそ、誰かの何気ない一言で救われるのだ。私自身が無意識に追い詰めた自分を引き戻してくれる、誰かの何気ない優しさに溢れた、何気ない一言。「何気ない」とは、心強い。
今は何気ないふりして君と話すけれど
私は寂しがり屋だし嫉妬深いです
そんなに嫉妬させに来ないでよ
嫌な気持ちで落ちたくないの
君と時間を過ごせる時くらい幸せでいたいから
# 何気ないふり
彼女の柔らかな黒髪を見つめる。細く美しい指が髪を耳にかける仕草すら、冗談みたいに綺麗だ。
彼女がふとこちらを見た。僕は何気なく空を仰ぐふりをする。彼女が笑う気配がして視線を元に戻せば、悪戯っぽく微笑んでいた。
頬杖をついてこちらを見る彼女の、細められた黒水晶のような瞳が忘れられない。
何気ないふり
疲れているその人が
突然鼻歌を歌い出す
考えたくないことを
考えていないふりを
して自分を守っている
今はただ、自分がこれ以上
崩れないようにすることが
精一杯で、ないふりをする