私は琥珀。
隣にいるのは春斗くん。
今は、休み時間。
みんなどこかに遊びに行ってるのか、
クラスに残っている人はあまりいない。
あまりいないというか、私と春斗くんだけだけど。
春斗くん、何かを修理してる。
そう考えていると、
「あっ、やべっ!」
春斗くんの声。
ふと春斗くんの方を見ると、
どうやら強力接着剤で、指を接着したそう。
中指と、人差し指と、親指が、1箇所についてる。
右手の。
しかも、左手は壊れている部分を抑えていて、
手が離せないらしい。
私は春斗くんを助けるために、
ゆっくり剥がそうとした。
力振り絞って、痛くない程度に、離そうとした。
頑張って、私なりに。
でも、全然剥がせない。
もし、あの力が強い人がいたら、
もし、あの文具に詳しい人がいたら、
もし、あの何でも出来る人がいたら。
私じゃ何も出来ない。
春斗くんに「取れない」と伝えるように、
見つめていると、
春斗くんが急に右手の中指と人差し指と、親指を
…離した!
え?どうして?おかしい。私は、本気で助けようとした。
え、騙された?
頭の中をぐるぐると巡っていると、
春斗くんがぎゅっと私の手を握った。
「手、繋ぎたかったから。こうしないと、手繋いでくれなかったでしょ?」
え…!?
3/30/2023, 2:51:44 PM