『何気ないふり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
職場の昼休み。
お弁当を食べ終えた私は、窓際で雑誌を読んでいる彼のことを観察する。
雑誌は星の特集が組まれた科学雑誌。
(星が好きなのね)
熱心に読み込んでいる姿に思わず頬が緩んでしまった。
同じ職場の同僚。先日知り合ったばかりの他人。一緒に動くプロジェクトの中で異彩を放っている人。
そんな相手に、どうやら私は気があるらしい。
つい、何気ないふりで彼の一挙一投足を盗み見てしまう。
あんまりじっと見てると怪しい人物なのでそれとなく。それとなく。
ページをゆっくりとめくる指先。雑誌に落とし込まれた視線に前髪がかかり落ちている。
その表情は夢を見ているように優しい。
ふと、夢から醒めたように彼が目を瞬いた。
私も職場の時計で確認したら、そろそろお昼の時間は終わりそう。
私は、名残惜しさを隠して次の仕事の準備に取り掛かる。
今日、帰りしなにお昼に読んでいた雑誌のことを聞いてみようか。
私は密かにそう決めると、高鳴る鼓動を知らぬふり、次の仕事、彼と一緒のプロジェクトの打ち合わせに向かっていった。
何気ないふり
失敗してしまった時
恥ずかしくて
何気ないふりを装ってしまう
自分が焦っているのを
知られたくなくて
そんな自分が
もっと恥ずかしい
あの国で戦争勃発?!
特効薬のない伝染病?!
円安続きで物価が急上昇?!
何気ないふりをして、やりすごしたかった。
でも世の中はあっという間に変わってしまった。
悪い方に。
動物園でパンダが誕生!
例年より早く桜が開花!
あのスイーツが日本初上陸!
こういうニュースだけ聞いときたいんだよ。
本当はね。
みんなそうでしょう?
#何気ないふり
何気ないふりをして
人を繋げるのが好き
仕事関係の飲み会で
場をつくるのが好き
誰かが好きなものを
一緒に好きになるのが好き
何気ないふりをしてるようで
私自身が楽しみ貰ってる
誰かが笑う、時間が好き…
テーマ「何気ないふり」
小学生の頃 職業についての授業があった。
先生が「お父さんは何のお仕事してますか?」と聞く。
「先生だよ!」「お医者さん!」「お店やってる!」
教室を元気な声が行き交う中、私は下を向いて俯いていた。
先生が「Kさんのお父さんは?」と聞いてきた。
私は「消防士だよ!」と笑顔で答えた。
でも本当は父は消防士でもなんでもない。
全然会ってないから何の仕事をしているかも分からない。
私の父は小さい頃 母と離婚したので生活している中に
[お父さん]という人はいないのだ。
でも周りの子たちはお父さんがいて自分だけいないのが嫌で
私は何気ないフリをした。いや、嘘をついた。
あれから9年。今は父の家に遊びに行ったり泊まったりしている。
たとえ離婚したとしても私のお父さんには変わりない。
小学生だった頃の自分に言いたい。
「もう自信もってお父さんのお仕事言えるよ!
自分で会社作って社長やってる!」
気づくのが遅くなってしまったけれど私の自慢の父で
世界一好きです。ありがとう。
何気ないふり
ドキドキする。
だめ、だめ。平常心。
顔色、大丈夫かな。緊張が体に出てないかな。
呼吸、荒くなってないかな。指は震えてないかな。
いつも通り、いつも通り。
さりげなく、何気なく。
貴方に近づいて、近づいて。
ずっと見てたの、ずっとずっと。
やっと伝えられるね。
「はじめまして、さようなら」
――○月✕日未明、20代男性が自宅で亡くなっている状態で発見されました。警察は事件と事故両方の可能性があるとして…………。
「しくじったな、レイ」
「だってぇ、すっごくドキドキしたんだもん。本当に本当に素敵な人だったんだよ。今もほら、思い出しただけで昂っちゃうな」
「どうでもいいが、後始末は任せていいんだろうな」
「はーい、大丈夫だよ。今度こそいつも通り、鼻歌でも歌いながら、散歩するように」
さりげなく、何気なく。
あなたが疑わない日常を、壊してあげる。
#何気ないふり
お題『何気ないふり』
義母との距離感。
義父との距離感。
小姑との距離感。
小舅との距離感。
旦那の実家での同居は共同生活で色々と難しい。
「嫁」は血の繋がらない「家族」でもある。
正直ストレスを感じることもある。
それぞれ家族みんなお互い様だとは思う。
「喜」「怒」「哀」「楽」の波に揺れながら生活している。
辛いかもしれない。
全てを投げ出して逃げたいかもしれない。
だけど私は旦那を愛しているから耐えられている。
日々の何気ない行動の中に「感謝」や「思いやり」の気持ちを常に持ち続けて過ごしていればきっと大丈夫。
笑う門にはきっと福来たる。
お題 『何気ないふり』
彼女は自分に好かれている自覚がないみたいだ。
それでいい。このまま見ないでいたい。
彼女に嫌われたら、泣いてしまう。
『何気ないふり』
鬱陶しく感じるくらいにニタニタ笑ってて 、困難な壁にあたっても、余裕な表情見せていつも笑ってる君。
でも僕は知ってる。
君が"何気ないふり"をしているって事に。
時折泣いている姿を…見かけた事がある。
なぜ弱音を吐かないのだろう、なぜ表情に出さないのだろう、なぜそんなに隠したがるんだろう。
「…全て吐き出してしまえば良いのに」
それおかしいよ!
変なの!
私は絶対やだ!
分かってる。
分かってるよ。
悪気は無いんだよね。
ただ純粋で、
少し目立ちだがり屋なだけなんだよね。
だから、私は何気ないふりをしている。
だけど、私の心は確かに傷ついている。
純粋な笑顔が、言葉が、
ずぶずぶと、純粋らしからぬ音を立てて、
私の心に沈んでゆく。
悪気は無いんだよね。
分かってるよ。それくらい。友達だもの。
「何気ないふり」
【何気ないふり】
今日も学校から家に帰りリビングへと行けば、そこには可愛らしい色に染めた髪を巻き、厚化粧をするお母さんが居た。今日の夜も誰か男の人と遊びに行くのだろう。ゴミやものでぐちゃぐちゃな床を慣れた足つきで歩き、お母さんの方へと近付いた。
『あ、あのね、お母さん、今日私部活で』
『煩い。』
あぁ、今日もまたお母さんの一言で一蹴された。
お母さんはいつもそう。私の話を聞いてくれない。けど私はそれで良い。もう慣れたから。
私はいつまで経ってもこの状況に慣れてくれない感情に苛立ちを覚えながら、唇を噛み締めてまた言葉を発した
『そういえば明日…』
『耳ついてないの?煩い。』
まただ、お母さんはやっぱり私を相手にしてくれない。
私はお母さんに話し掛けるのを諦め、床に落ちているビールの缶と目を合わせながら、リビングの隣である自室へと向かおうとした。
するとお母さんが一呼吸置き、
『あんたさぁ、習い事、なんで行かないの?お母さん毎月お金払ってるんだけど、貧乏なんだけど、あーあ、どっかの誰かさんのせいでお母さんが可愛くなる為の費用が削れていくなぁー、あーあ!』
また言ってる。私の話す事を何一つ聞かず、自分に非が回る事については沢山物を言う。確かに、習い事に行かない私も悪い。けど、こんな仕打ち、酷いだろう。目頭が熱くなり、唇が震えた、けど私は泣きそうになるのを必死に抑え、笑顔でいた。何気ないふりをした。
そして時々思う。私は酷い子供だ、と。
母子家庭で私を育ててくれたお母さんの心を支えて上げれず、満足な結果を出せず、いつしか愛して愛される関係である筈のお母さんを恐怖の対象として見ていた。
私はこれで良いのだろうか。このまま愛されず、愛してあげられない関係で良いのか。お母さんは私のことを気にかけてくれないのだろうか。
ねぇお母さん、一度でいいから、私を愛して。
〜 愛着障害 〜
・何気ないふり
どんなに怒っていても。
どんなに嫌なことがあって苦しんでいても。
いつも通り。笑って。
何気ないふりをして偽っている。
知ってるよ。
本当は言いたい事、たくさんあるんでしょう。
_透明な言の葉で出来た糸が、途切れてしまう前に。
#何げないふり
同じ学校で私の気になっている彼は、
"何げないふり"をよくする。
彼が浮かない顔や困っている顔をしていると、
私達は、
「大丈夫~?」
「どうかした…?」
と声を掛けるが、
彼は、
「大丈夫」
「へーき」
なんて言う。
それは本当の本心なのだろうか。といつも思う。
そこで何日前か彼の弟に聞いた話を思い出した。
彼は、1番上の長男なのだ。
長男だから、弟達の頼れる兄にならないと。
長男だから、しっかりしないと…。
長男だから…
なんて思っているんじゃないか、と
彼の弟達から聞いた。
(昔、母が(彼)長男だから、弟達をよろしくね。
と彼に告げたらしい。)
そんな彼は、
人に頼る……では無く、頼られる側。
そんな感情を何年間もを背負ってきたから、
頼り方や、甘え方を知らないのであろう。
1人で悩んで、1人で悲しんで、1人で苦しんで…。
色々な事を抱え込んでいるのかもしれない。
そんな毎日を
皆に気付かれないよう、
平気なフリをして生きていくことが当たり前になったのだろうか。
そんな彼が当たり前の如く、
心配で心配で仕方がなかった。
何度も彼に手を差し伸べても
頼り方など知らないのであろうから、
どう頼ればいいのか分からないせいで、
全て1人で全て抱え込んでしまう___。
でもそんな彼は、
困っている時、悲しい時、辛い時。
それをすぐさまに気付いてくれて、
いつも私を助けてくれた。
だから今度は___
私が君を助ける番だ────。
君が好きだと言った音楽をお家で聞く。
君が近くにいる時、友だちにおすすめするふりをして
教室の片隅で流してみる。
#何気ないふり
#4 何気ないふり
私の日常は、何気ないふりの連続だ。
そうやって正気を誤魔化していなければ、
とてもじゃないけど生きていかれないもの。
生きているなんて、不思議な世界だ。
何気なくを装って本棚に手を伸ばした。背表紙を掴む寸前であなたの手と触れ合う。
あ、とお互いに声をあげて手をひっこめた。きっとわたしの声はわざとらしかったし、手を戻す仕草は少し遅かった。
対照的に、あなたの声は偶然の産物で、手を戻すのは早かった。
視線を向けた先にある表情はいつも通りに微笑む……ように見えて、その実ほんのちょっと歪んでいる。隠しきれずひきつっている。
あなたは何でもないような仕草でひっこめた手をもう片手で撫でた。恋に似たそれは本当は嫌悪感だった。
立ち去ろうとするのに気づかないふりをして「偶然だね」と笑いかける。
こうしたらあなたは会話をしなくてはならなくなる。真面目でいい子ちゃんなあなたはクラスの誰にも冷たくできない。話しかけられたらお喋りしなきゃいけないと自分に言い聞かせている。
図書館の静けさを破らない程度の囁き声の会話。あなたのつまさきはずっと出口のほうを向いていた。
何気ないふりばかりってのが、
ここら辺りでは何気ない日常です。
知らないふり
見ないふり
聞こえないふり
とぼけた顔して、上っ面を塗りたくるのです。
何から何を護るためでしょうか。
いえいえ、最早何のためだか、私にはわかりません。
愛のため家族のため平和のためだとか
そんなとぼけた事は一切聞きたくありません。
何気ない日常を組み立てながら生きていくことが
果たして本当に秩序を保つための「正解」でしょうか。
変人狂人扱いを恐れて
半歩だって踏み外さぬように
日々何気なく気を配る者達の行進。
疑問はあれど、それを眺めることにも慣れてしまいました。
ああ、私って奴も何気なく何気ないふりをして
疑問はいつも喉の奥に留めております。
何気ないふり
何気ないふりをできる人は凄い。
何気ないふり
何気ないふり
辛くて怖くてたまらない
寂しくて悲しくてたまらない
でも、何気ないふり
「微笑」「苦笑」「優しい笑み」「暖かい笑み」という仮面を付けて
本当は、誰かに抱きしめてほしい
大丈夫だよと、安心していいんだよと
淡くて儚い空に手を伸ばす
その手は何もつかめない
意味もなく、メリットもなく
ああ、疲れた
仮面じゃなくて、心から笑えるようになるその日まで、私は何気ないふり
何気ないふり
何気ないふりをして、君は今日も笑っている。
何気ないふりをして、君は昨日は泣いていた。
何気ないふりをして、君は明日を生きている。
何気ないふりをしておきながら、君は一昨日死んでいた。
なのに、何故みんな気付かない?死人が生き返っていることに、何故みんな驚かない?
「君は…誰だ」
「あなたこそ、何故気付かないの?みんな、取り繕うのに必死なの。何時もの日常を、死んでも尚守っているってことに、何故気付けないの?」
死んでいたのは、僕も同じ…?
「ー速報でお伝えします。一昨日の夜発生した交通事故による死者が35人となりました。よって、バスに乗車していた乗客全員の死亡が確認されたこととなりました」
#何気ないふり