『何もいらない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『何もいらない』
あぁ……またこの手から滑り落ちていく。いつもそうだ。掴んだと思ったそばからこの手をすり抜けていく。こんなに欲しいと思ってるのに、どうして許してくれないのだろう。私が何をしたというのだ。持たぬ星に産まれたというのか、お前には無理だというのか。何度人生を巡りお前を見つけてもすんでのところで逃してしまう。また追いかけ続けるのか、この孤独な時を過ごせというのか。もう私は耐えられそうにない。今この時にお前の手を取れないのであれば、もう何もいらない。
2023/04/21
「何もいらないよ」
いつものファミレス、いつもの窓際のテーブル席、いつもの山盛りフライドポテトに、いつものアイスティー。
変わらないお決まりの場所で、私は彼女に言い放った。
「何もって、せっかくの誕プレじゃん」
アイスティーにガムシロップとミルクをたっぷり入れる。ぐるぐるストローで混ぜて甘ったるいベージュ色になれば、お気に入りの味の完成。
「だって、欲しい物ないし」
濃厚な甘さは脳にくる。だからこそのしょっぱいフライドポテトだ。もそもそとしたポテトはとてもジャンキーで体に悪い味。学生でも気軽に頼める金額とお得な量。深夜のファミレスで溜まるのなら、ドリンクバーとフライドポテトを注文するのが定番だった。
それがいつもの私達の光景。
「あんたって、欲がないよねぇ」
コーラを飲む彼女は、唯一無二の親友。癖のないロングヘアが羨ましかった。
「なんか思いつかない?」
「そんなこといわれても」
欲がないわけじゃない。欲しいものなんて、たくさんある。物欲が消えたことなんてなかった。
「あんた死んでんじゃん」
私の親友は、ここにいない。
私の親友は窓に映るテーブル席で、コーラを飲んでいる。窓には私と親友が向かい合って座っている姿があるのに、現実の席に彼女はいない。
「そうなんだけどさ」
ばつの悪そうな顔をして言い淀む。
彼女はあの頃と同じ高校の制服姿で、私はスーツ姿だった。
「就職祝いもかねてと思って。この町からでていくんでしょ」
いつものファミレス、いつもの窓際のテーブル席、いつもの山盛りフライドポテトに、いつものアイスティーとコーラ。
彼女の命日から、お決まりの場所でお決まりのメニューを頼んだら、窓に映るようになった。
「何もいらないよ」
いつの間にか、お気に入りの味を子ども臭いと感じるようになった。お気に入りのジャンキーな味より、おいしいものを知ってしまった。
彼女は何も変わらなくて、でも、生きている私は変わっていく。
「何もいらないから、私の親友のままでいてよ」
彼女は困ったように笑った。
わかってる。「いつもの」はずっと続かない。
私は彼女より先へ行くだろう。
これからも、この先も。
生きている限り。
「そういうところ、気に入ってたよ」
からんと氷が溶けて、窓の彼女は姿を消した。
とろけたアイスティーを吸う。甘ったるい味あのときと変わらない、子どものときに夢見た味。
お題「何もいらない」
何もいらない
なんてことはなく
何かがいらないって判るくらいに
何かしらを有する必要がある
何かをいらないと思うなら
大切な何かを持ってるんだと思う
それがいかに
誰かにとってちっぽけなものでも
他に何もいらないと思っても
その何かにいろんなものが付随する
だから簡単になくなりはしない
あることを否定しても
否定してるだけでなくなりはしない
仮に捨てれたとしても
あったことはなくならない
なかったことにもならない
あるってことは他の何かもあるってこと
なくてはならないものは
確かにそんなにないのかもしれない
でも何もいらない
そこに辿り着くのには必要なもので
そのことを否定は出来ないし
どんなに煩わしいものでも
なくなりはしないけど
邪魔されないように
工夫することが出来るのは
それがいらないって
区別が出来てるってことだから
何もいらないってことには
やはりならないと思うんだけどね
もっと強く、もっと、もっと
そうして踏み潰してきた屍の数々
僕は今、その上に立っているのだと
僕に降りかかる不幸も幸福も
すべて受け止めよう
誰も僕を助けるな 救おうとするな
いらない、いらないから
わかってるんだそれくらい
わかっているけどいらないよ
お粥にすったりんごにヨーグルト
食べなきゃ治らないってわかってる
優しさは充分受け止めたから
今は静かに寝かせてほしいのですよ
ああもうすぐに戸を開けるんだから…
__何もいらない
※二次創作
※ワルロゼ(ワルイージ×ロゼッタ)
「ごめんなさい……」
何もいらないなんて自分には言えない。
彼に片思いをし、いつまでも共にありたいとは願っている。しかし大切な家族である子供たちや星の民に背を向けて過ごす事も出来ない。
ヘブンズドアギャラクシーでの散策中。湧き上がる申し訳なさを感じつつ、リップの乾きかけた唇から謝罪の言葉が悄然と流れ出る。
視線の先の彼の背中はそれをどう受け止めただろうか。
確かめようにも訊いた先に失望があったらと思うと、未来に怯えて尋ねられない。
彼の足が動き、こちらへ振り返る。
「良いじゃねえか、姫さんだって欲張りになっても!」
普段の意地の悪い笑みではなく、明るくニッと笑う顔を見て運命の矢が胸に突き刺さる。
恋の音――だと思った。
何処からともなくやって来たイタズラ者のチコに帽子を上から取られた彼は『返しやがれー』と血相を変えて追い掛ける。
遠ざかる姿を眺め、消化するには大き過ぎる想いを表すように、胸の前で両手をきゅっと握った。
「そうですね。皆が大切で、良いのよね……」
柔らかい風が植物を揺らし、爽やかな音を立てる。
より彼を好きになった彼女は、風の中で柔和に口元を緩めて笑った。
(おわり)
じきに夏が来るから白いTシャツほしい。バクラヴァって食べてみたい。あとチキンタツタも。Jhon CageのSocrateのCDほしい。ちょっといいスピーカーほしい。開かれた社会とその敵の新訳ほしい。さよならを教えてやってみたい。たくさん本が入る本棚ほしい。知識ほしい。何も知らずに死ぬのは悔しい。一つでも多く面白いものを知りたい。面白いものを知ることができた人生だったと思って死にたい。本当はどれもこれも、手に入らなけりゃ入らないで、あっさり手放せる程度の欲望だと知っている。それでも手放してしまったら最後、心底退屈しきって動けなくなってしまいそうだから、頭の底を攫って使いものになりそうな欲を浅ましく煽り立て縋って、何もいらなくなってしまう日を先延ばしにしている。いつもほしいものを探している。あれもこれもほしい。ほしくてたまらないものがある。それを手に入れるまで死んでも死にきれない。そんなふりをする。あ、置くタイプの観葉植物用の肥料もほしい、切らしてたから。
(何もいらない)
何もいらない No quiero nada
なんと崇高な言葉だろうか
かつてJohn Lennonは歌っていた
Imagine there is no possession と
俺が今一時的に所有している全てのものはいつか俺の手から離れていく
30年以上所有しているギター
子供の頃のアルバム
様々な大事なもの、
毎日愛用しているものもある
ましてや
自分の家族や友達
仕事場の上司や仲間たち
周りの人達は全て居なくなる
最期には、自分の命も肉体も精神もいつかは無くなる
全てを手放し、諦めなければいけない日が必ず来る
そんな時のために、何もいらない、という心構えは必要なのではないか
仏教では、執着が苦しみを生むと考える
全てを解き放った時に本当の幸せがやってくるのだろう
全て捨ててしまえ、何もかも
それでも
俺の唯一欲しいものは世界平和だ
人類が奪い合い、殺し合いをするのは全く無意味で生産性が無い
愚かな人類よ、早く戦争をやめろ!
ただ、私が欲しいのは、あなたがあの子に注いでいる愛情。
それ以外は何もいらない。何も望まない。小さい頃から、何もかも持っていた。欲しいものはなんでも手に入った。祖父が会社を創立し、今は父が2代目の社長。私には兄弟姉妹が多くいるから、多分その中から1人後継として社長になるのだろう。だから、お金は腐るほどあった。大きな家も、権力も、母譲りの誰もが目を惹くような整った顔立ちも、スタイルも、何もかも持っている。
なのに、たったひとつ、私がこの世で一番欲しいものは手に入らない。
あなたからの愛は、二度と私には手に入らない。
だって、私たちは……
絶対に恋愛することの出来ない、
血の繋がった兄妹なのだから__
私は、ある一人の男の子のことが、大好きだ。
今も変わらないのだけれど、どうしてもその人と結婚したい。愛し合いたい。
でも、それは叶わない。絶対に。
わかってる。そんなこと。一縷の望みだってないことも。
昔に、聞いたことがあった。
__「お兄ちゃん、私の事好き?」
『はは、なんだよいきなり笑好きに決まってるだろ。こんなに可愛い妹を嫌いになるわけが無いだろ?』
(…あーあ、そういう意味じゃないのに…一生、わかってもらえないんだろうな。伝えられないんだろうな…)
「……ふーん」
『おい、どうした?顔真っ赤だぞ。熱でもあるのか?ちょっと待て、見てやるから。』
「…っ!急に触るな馬鹿!」
(こっちの気も知らないで…!誰のせいで赤くなったと思ってんだ!)
『おいおい、相変わらず口が悪いなぁ笑まぁでも、俺に向かって怒鳴れる元気があるなら熱は無いな。よかった。』
「ご心配どーも!あ、そういえば私お友達と一緒にお買い物行くんだった。行ってくるね!」
『お、そうか。気をつけて。楽しんでこいよ。いってらっしゃい。』
私は逃げるようにその場を後にした。
何もいらない。
あなたからの愛が手に入れば、それ以外何もいらない。あなたが私のことを好きになってくれるなら、何もかも失っても構わない。
私は___この世界の誰よりも、あなたのことを愛せる自信があります。あなたのことをなんでも知っている自信があります。あなたの好きな、レモンパイをこの世の中で一番上手に作れる自信があります。
__これほど強く願っても、相手のことを想いつづけても、私の恋は、一生報われませんか?
何もいらない
「先輩って物欲ないんすか?」
なんとも唐突な質問に首を傾げながら返事をする。
「あるにはありますが……なぜそんな質問を?」
声帯パーツを取り替えたおかげで声の出し具合も丁度いい。
会話をするならやはりこうでないと。
「いや、声帯パーツも俺が言うまでそのままだった訳だし、何か買ってるのも見ないし……と思って」
ただの会話のネタの一つっすよと言うと彼は床面をゴシゴシと磨き始めた。彼はお喋りだが仕事はなかなか手際が良い。
そんなことを考えながら欲しいものについて考える。
声帯パーツは取り替えたばかりで不具合はない。
ボディにもどこか不具合がある訳でもないし、欲しいパーツがある訳でもない。
話す相手も彼が居る訳で。
「物欲ないですねえ」
「まだ考えてたんすか?! じゃあ俺の物欲の話聞いてくださいよ」
「いいですよ」
そうしてペラペラと話し始めた彼を横目に、友人の様な後輩ができたから他には何もいらないのだと気がついたのだった。
何もいらない
そんな訳が無い
欲しいものは数え切れないほどにあるし
ないものねだりだって多いんだから
手に入らないとわかっていても
欲しいと望んでしまうんだよね
何にも興味が無くなるか
全てを手に入れるかでしか
欲しいものが無くなることはない気がする
#何もいらない
「何もいらない」
君が欲しいものはなんだろう
初めて欲しいものを聞いた時
君はこんなこと言ってたね
何もいらない
なんでいらないのかな
君に喜んで欲しいから
何が欲しいか知りたかったのに
困る僕に君は言ったよね
私はあなたと居たいだけ
何かが欲しいわけじゃない
あなたの笑顔を見て
あなたの手を握って
私はあなたのそばで笑いたい
何もいらないけれど
何かくれるというのなら
あなたを私にちょうだいよ
そんなことを言われたら
貰ってもらうほかは無い
君を貰えるというのなら
他にはもう
何もいらない
今日 私の好きなアイドルがお星様になったことを知った。
その人は 本当に笑顔が素敵な人で
元々 身体も心もそんなに強くはないような人だった
それでもメンバー達と仲良く話したり
笑ったりする姿がすごく愛おしかったし
彼の妹もまた、アイドルだった。
彼は妹を溺愛していた。
妹も兄である彼を愛していたし尊敬していた。
すごく急だった。
急すぎて未だ実感が湧かない。
これは実は少し悪いドッキリで数週間経てば
ジャーン!!と出て来てくれないだろうかとも思っている。
けれど 居ない人は居ないし
戻ってこない人は戻ってこないものなのだ。
彼はまだ25歳だった。
今年誕生日を迎えたばかりで、あともう少しで来日も
する予定だった。
まだ死因は詳しく分かっていない。
脳卒中だったとも言われているし自らとも言われている。
どちらにしろもう彼はこの地球の長い歴史の中で
戻ってくることは無い。姿を見せることも無い。
それがすごく悲しくて
私も消えたくなった。
昨日 マネージャーが自宅で冷たくなっている彼を
発見したのだそう。
もし彼が自らなのなら、誰かが止めていれば
こんな風にはならなかった。
彼は一人にしてはいけなかったのかもしれない。
思い詰めてこの生き辛い世界から消えたのだ。
いや、もしかすると私達が想像するより
思い詰めてはいなかったかもしれないし
私達が想像するよりももっともっと思い詰めて
いたのかもしれない。
彼は眩しかった
太陽のような存在だけれど
肌は雪のように白く、雰囲気もどこか儚かった。
彼は7年 アイドルとして努力し、
その前からも子役として努力した。
体は鍛えてたくましくても 心が繊細過ぎた。
優しかった。
彼はまだお星様になるには早すぎるし、
もっと色んなものを見て
もっと色んなものを食べて
もっと幸せになるべき存在なのだ。絶対に。
その為に生まれてきたと言っても過言では無い。
彼は天使だ。
この世界にただ少し似合わなかった。
少し遊んでまた戻って行っただけの事なのかもしれない。
何もいらない
何もいらない
ほんとに何もいらない
だからもう一度彼を見たい
遠くからでもいい。
画面越しでもいい。
彼に戻ってきて欲しい。
何もいらないから
彼に戻ってきて欲しい。
とても恋しい。
涙が止まらないのだ。
10秒でもいいし 5秒でもいい。
ただ少し顔を覗かせて欲しいだけ。
ノンフィクション
[ お題 - 何もいらない ]
何もいらない
もう、何も
私たちは求めすぎた
欲を持ちすぎたのだ
でも、安心してほしい
私が全てを終わらせる
求めすぎた者たちへの断罪
欲の殲滅
自らの罪の償い
あなたたちはただ祈っていればいい
目を瞑り
ただ、祈ればいい
次目を開ける時には
もう全てを、私が終わらせている
何もいらない
全部
いらない
心も何もかも
かんじょうも
ぜんぶ
いらない
今は
天上天下唯我独尊のまま
何も
感じないで
「死ね」
今は
何もいらない
花束も
宝石も
何もいらない
たった
一言
おめでとう
それだけでいい
他に
何もいらないんだよ
ねえ〜気づいて
今日は私の誕生日
本当はね色々と欲しかった…
自分に向けてくれる気持ち
時間、愛情、興味、全て欲しかった…
本当はね…寂しかったの…でも、素直に言うの怖かった
何もいらない
何もいらないのか?と聞かれれば
とりあえずは足りていると答える。
何かほしいモノは?と聞かれれば
あえて言うならば、安心がほしい
と答える。安心する場所で安心で
きる人と過ごす時間。それで充分。
元々小さい頃から
物欲はあまりない方で
時に欲しいと思っても
特にねだることはしませんでした。
大人になっても差程変わらず
本当に欲しいものだけ
お金を貯めて買いました。
そんなわたしが
強欲になったのは
あなたの女房になってから。
あなたの傍でないと落ち着かないから
他はもう何も要りません。
あなたと今を共に生きることが
わたしの全てだから。
何もかも、いる。
欲しい。抱えきれないほど。
けど、身に余る欲は
生きる活力じゃなく毒だ。
なにもいらない。なんて
格好はつけられない。
ただ、本当に必要なものも
未だによく分からないんだけどね。
【お題:何もいらない】