小さな葉っぱ

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※二次創作
※ワルロゼ(ワルイージ×ロゼッタ)


「ごめんなさい……」

 何もいらないなんて自分には言えない。
 彼に片思いをし、いつまでも共にありたいとは願っている。しかし大切な家族である子供たちや星の民に背を向けて過ごす事も出来ない。
 ヘブンズドアギャラクシーでの散策中。湧き上がる申し訳なさを感じつつ、リップの乾きかけた唇から謝罪の言葉が悄然と流れ出る。
 視線の先の彼の背中はそれをどう受け止めただろうか。
 確かめようにも訊いた先に失望があったらと思うと、未来に怯えて尋ねられない。
 彼の足が動き、こちらへ振り返る。

「良いじゃねえか、姫さんだって欲張りになっても!」

 普段の意地の悪い笑みではなく、明るくニッと笑う顔を見て運命の矢が胸に突き刺さる。
 恋の音――だと思った。
 何処からともなくやって来たイタズラ者のチコに帽子を上から取られた彼は『返しやがれー』と血相を変えて追い掛ける。
 遠ざかる姿を眺め、消化するには大き過ぎる想いを表すように、胸の前で両手をきゅっと握った。

「そうですね。皆が大切で、良いのよね……」

 柔らかい風が植物を揺らし、爽やかな音を立てる。
 より彼を好きになった彼女は、風の中で柔和に口元を緩めて笑った。


(おわり)

4/20/2023, 3:25:21 PM