『何でもないフリ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「なんでもないフリ」
愛する人を心配させまいとして、仲間にいいところを見せようとして、あるいは世の中の不合理を密かに呑み込もうとして、私はなんでもないフリをする。しかし、それにより私の「あるべき姿」と「現実の姿」は乖離し、心中はかえって苦しむことになる。そういう時は、「人生には敢えて愚かな虚栄心が必要なこともあるのだ」と、わかったフリをして自分に言い聞かせることにしている。
どこかいつかついた傷
平気なフリをしているうちに
どんどん大きくなっていた。
それすらも隠そうとする。
ほら、また傷ついた。
攻撃をされても何でもないフリをするのが得意
パニックになってもがんばって鎮静化するのが得意
傷ついても…その場で傷ついていると自分で自覚するのが苦手
怒りを感じても怒りの伝え方が苦手
ぱって言葉を発してその後を自分で反省会をして、あの言葉を言わない方がよかったかもって引きずったりする自分がしんどいから
でも練習中
成長してるよね
少しずつでも自分の意思
思った事を
伝え方
練習中
今は練習中だから
失敗もするときあるさ
一目惚れだった。
部下として配属された十七歳の女子相手に、三十路のおっさんが何をどぎまぎしてるのか。
色恋にかまけている場合ではないのに、つい目で追ってしまっていた。
「班長」
「……何だ」
「そろそろ休憩では?」
突然意中の女子に声を掛けられた。じろじろ見ていて気持ち悪い、と言われるかと思って変な汗が出たが。どうやら違ったようだ。
差し出された手には握り飯……皆に作ってくれたのか。
「あぁ、悪いな。そういえば腹が減った……皆喜ぶだろう」
「────から」
「ん?」
「班長にしか、作ってないから」
聞き返したら、女子は顔を赤くしてそう言った。
「お、おぉ……そうか」
「ちゃんと、食べて」
「おう……助かる」
「私はさっき休んだ時に食べたから。じゃあ」
ふわりと髪をなびかせて女子は行ってしまう。動いた時に見えた耳も赤かった。
淡々としていたが、あれは。急に顔に熱が集まり、口元が緩んでしまいそうなのを耐える。
「でかいな……」
俺の為だけに作られた、歪な形の握り飯は拳よりもずっと大きかった。
同僚が来て冷やかされる前に早く食ってしまおう。
何でもないフリは俺にはとても出来そうにないから。
【何でもないフリ】
通り過ぎていく人を見ると、
あぁ、この人にもいろんなことがあって
いろんなことを思いながら
生活してるんだろうなって
よく思う
ふと思うこと
彼女と出会って約10年、どうやら彼女出来ないフリをしていたらしい。そんなこと今更どうでもいいのだが、その生き方はどうも、息がしずらくは無いのだろうか?
別に彼女が好きでやっているのならば関係ない、しかし10年も関わってきた彼女、好きな物も嫌いなものも知っている。私の中で彼女は我慢が苦手だ。それも「出来ないフリ」に含まれるのだろうか?
私は彼女が幸せならばそれでいいが、やはり疲れるのでは無いだろうか?
これは私のエゴだ。
少しでも疲れると思うなら、せめて私の前だけでも「素直な自分」になってはくれないだろうか。
俺は気づいている。
君が教室の窓から、運動場を見ていること。
そして、体育の授業をしているのは俺の親友だってこと。
俺は気づいている。
君は親友が好きだってこと。
俺は知っている。
親友が君を好きだってこと。
そして、俺はなんでもないフリをする。
君と親友の幸せを祈っている。
#何でもないフリ
泣いていても、笑って見られるように。
傷ついても、平気だとわかるように。
君に見せるすべての表情が、
君にとっていいものであるように、
―――隠して、偽って、欺いて、嘘をつく。
そして笑顔のまま、
いつか君に「大嫌い」と言ってあげる。
…そのためなら、
何でもないフリなんて簡単なことだよ。
【何でもないフリ】
何でもないフリ
何でもないフリをしている。
本人だけがそう思っているのだ
私は自分が傷つかない為に度々なんでもないフリをしてきた。
周りの人間はそれを知っていたのだ。
ただ、だまされたフリをしていた。
それに気がついたのは少し前のこと。
自分が守ろうとしていたものがいかにくだらないものかを知った。
何でもないフリをするのは簡単だけど
そのフリに耐えられる気持ちがキャパオーバーするからいつかは破綻する
見繕う平穏は薄い薄いハリボテ
大きな風に吹かられたすぐ飛ぶ
人の感情は難しいけど脆い
なんでもない。
そう君が笑う。
横顔は寂しげで、項垂れた様な後ろ姿ばかり見ている。
本当になんでもない君をよく知っている。だって誰よりも見て来たから。
でも、憂いを払う方法だけを知らない。
何でもないフリは見抜けるくせに。全く嫌になる。
それなら本当に気がつかない方が幸せな気さえしてしまう。
何でもないフリ
苦しくても
悲しくても
嬉しくても
幸せでも
何でもないフリ
何となく
自分のことは
何も知られては
いけない気がして
知られたくない気がして
Theme:何でもないフリ
貴方は何でもないフリがとても上手い。
どんなに悲しいときでも、どんなに辛いときでも、平気な顔をしている。
皆は貴方のことを「冷静で頼りになる」「強い人だ」と褒め称える。
でも、私はそんな貴方が心配で仕方ない。
貴方は自分の感情を抑え込むことが当然のようになっている。
確かに周囲から見ると感情的にならない立派な人だ。
大丈夫?自分の感情が爆発しそうになってるんじゃない?
もしかして、本当に「何でもない」って思い込んでるんじゃない?
自分の感情を、大切にできる場所はあるの?
感情に流されない立派な貴方はすごいと思う。
でも、だけど、すごい人でなくていいから、時には「何でもないフリ」はやめて素の貴方でいて。
貴方の心が壊れてしまったら、私はそれが一番辛いから。
今思えば初めて会った時からそうだった。
シャイで人見知りな俺にも臆さず、
「君、かっこいいな!」なんて声をかけてきたお前。
誰に対しても素直で裏表なく接するもんだから、どんな人からも愛される。
どんな人から、も。
大きいだけじゃなく水分を含んだ目で俺を上目遣いしてくる仕草。
Tシャツの裾で汗を拭く無防備さ。
今もスキンシップ過多で話すからあいつも勘違いして顔を真っ赤にしてる。
…そう、こいつは無自覚で煽るような真似してくる。
「お前…、そういうとこだぞ。」
顔を真っ赤にしたあいつの気持ちがよくわかる俺は、何でもないフリでそう伝える。
どんな人からも、ましてや俺からも愛されてしまっているのに気づいていないんだろうな。
あーあ。
もう、どうしてくれんの、本当…。
231211 何でもないフリ
「あなたはいつも笑顔ね」
親にも先生にも友達にも
よく言われる言葉
辛い時も悲しい時も
今日も本当の自分を偽るために
何もかもなかったように
起きて
働いて
食べて
歩いて
笑って
働いてる
今夜の
夕飯
ステーキ
あつい
300字小説
最後のプレゼント
ガキの頃から、うちのサンタはじいちゃんだった。小学三年生くらいには気付いていたが、プレゼントにせっせと俺の好きそうなお菓子を買う姿に何も言えなくて、何でもないフリをしてイヴは早寝をしていた。
じいちゃんが亡くなって初めてのクリスマスイヴ。夜中、枕元に気配を感じる。ふと目を覚ますとそこには。
「じいちゃん!」
『とうとうバレたか』
半透明のじいちゃんが、にんまりと笑って仏壇の方に消えていった。
「そういや、大人になった俺と一緒に飲みたいって言ってたもんな」
枕元にあったのは、これまでのお菓子ではなく、じいちゃんの好きな銘柄の日本酒。思わず視界が滲む。
「ありがとう、じいちゃん。これは成人式の後に親父と飲むよ」
お題「何でもないフリ」
えっ…祥子今度正志と結婚するの?えーいーじゃん!2人お似合いだしね〜。え?式に親友として出てほしい?勿論!私とアンタの仲じゃない!トーゼンよ!あ、ちょっとトイレ行ってきてもいい?
…もしもし?ああ、そうなの。祥子今度結婚するんだって。え?大丈夫って…大丈夫…だとッ思う…ッよ。あはは、なんか涙出てきちゃった。ずっとッ前から失恋してたッのにぃまだ祥子のこと…ッ好きなんだなッて思ったら涙出て…
私は、家では存在感がない子供だった。
だから、親からはいつも無視されていた。
でも、お兄ちゃんだけは私のことを見てくれていた。
そんなお兄ちゃんが大好きだったから、親との関係については何も話さなかった。
心配させたくなかった。
でも、いつも心の中はモヤモヤ。
でもね、何も無いフリ、慣れてきたよ。
微笑みで口を結んで目を細め
手がかり一つ
見せないように
/お題「何でもないフリ」より