300字小説
最後のプレゼント
ガキの頃から、うちのサンタはじいちゃんだった。小学三年生くらいには気付いていたが、プレゼントにせっせと俺の好きそうなお菓子を買う姿に何も言えなくて、何でもないフリをしてイヴは早寝をしていた。
じいちゃんが亡くなって初めてのクリスマスイヴ。夜中、枕元に気配を感じる。ふと目を覚ますとそこには。
「じいちゃん!」
『とうとうバレたか』
半透明のじいちゃんが、にんまりと笑って仏壇の方に消えていった。
「そういや、大人になった俺と一緒に飲みたいって言ってたもんな」
枕元にあったのは、これまでのお菓子ではなく、じいちゃんの好きな銘柄の日本酒。思わず視界が滲む。
「ありがとう、じいちゃん。これは成人式の後に親父と飲むよ」
お題「何でもないフリ」
12/11/2023, 12:07:42 PM