『不条理』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
日本中が新年の1日を迎えていた
家族で鍋を囲む者
恋人と肩を寄せ合う者
働き詰めだった身体を休める者
各々がその日を過ごしていた
3ヶ月経った今もあの日常は戻らない
自然はなんて不条理なのだろう
—不条理—
《理不尽》
バリバリ仕事をしたいのにママだから早く帰宅してあげなきゃと親切をほどこされる すこしでも多く子どもの相手をしたいのに残業しないようなヤツは昇進できないぞと冗談めかしておどされる みんなで赤信号を渡ろうっていうのにどうしてお前だけがついてこないんだとキレられる 隕石が屋根を突き破り我が家だけが被害を受ける どうしてできないんだと叱られたからできない理由を詳しく述べたらさらに叱られた そこの辺を歩いていただけなのにキモチワルイと叩かれた 攻撃されたので液を出して対抗したらクサイと非難された ストローを刺して血を吸っていたら潰された 食料を見つけたので全員で行列して運んでいたら多数の仲間が踏まれた 何度も理不尽な目にあわされてさすがに限界がきたので怒ったら怒るなんて暴力的だと当のソイツに諭された
第四十八話 その妃、告白される
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「――好きです」
幸せな瞬間に浸っていたというのに、まさかその本人がぶっ壊しにかかるとは。
「ずっと、あなたのことが好きでした」
約束の内容について、全く察しがつかなかったわけではない。でも、流石に今ではないと思っていた。
こんな戦場跡地で告白?
普通に考えて、有り得ないでしょう。
「……あんた、他に何か言うことあるんじゃないの」
たとえば、任務のことについて。
たとえば、死んでいなかったことについて。
そもそも今も昔も、自己紹介すらまともにしてないことを、何も思わないのか。
「それは勿論あるんですけど、改めて聞かなくてもいいかなって」
「理解できないわ」
「……今回のことで多分、僕は今まで知らずにいた“点”を沢山知ったんだと思うんです。だから時間が経てば、それもいずれ“線”になるのかなって」
「それまで待つ神経が、私には考えられないのよ」
「やっぱり待てなかったら、少しずつ聞かせてもらいたいなとは思ってます。でも、知れることは自分で知りたいなと」
「暇人」
「でも、傍にいてくださるんでしょう?」
「……は? いつ、誰がそんなこと言ったのよ」
「さっき父が、当主の座につくまではいてくれると……」
(あんの糞義父め……)
面倒なことにならないよう、約束を聞いたらさっさと影に身を潜めようと思っていたのに。
「え? まさか、さっきの話は嘘だったんですか……」
そんな悲しそうな顔をされては、放っておくことなどできはしない。
「……当主につくまでの話よ。でも、私のことがあんたにバレた以上、もしかするとすぐにでも任を下ろされるかも知れないわね」
これは、可能性の高い話だ。
残念だが、まだこの国には不条理な人々が多く残されているのが現実。国が滅亡の一途を辿るのであれば、彼等が普通の社会で暮らしていくための人員は、多いに越したことはないだろう。内情を知っている人物であれば、その分対応も早くできる。
だから、きっと寂しがるだろうと思っていた。
「それならそれで仕方がありません」
「……は」
「御上の決定は絶対ですし、配下になった以上あなたは逆らえないでしょうから」
「……あんたねえ……」
どうしてそこで、あっさり諦めるのよ。
ここで男気出すわけ?
いつもベタベタ引っ付いてくるくせに!
(そんな風に言ったら、私がそれを求めてるみたいだから絶対言わないけど)
それに、懸念が全くないわけではないのだ。
「……ジュファ様?」
「あんたも見たでしょう」
国の中枢を担っていた輩は、逃げ惑いながら警察の人間たちに捕まえられた。その中には勿論、全てを諦めたかのように呆然と降参した奴等もいる。……しかし。
『こんなに楽しめたのは久々だった。感謝する』
『そう思うならさっさと豚箱にぶち込まれてろ』
『ハハッ。……この礼は、いつか必ず返そう』
『結構よ』
全ての元凶である帝は、まるでそれも知っていたかのように笑っていた。
「悪いけど、あんたの守護の任は下りるわよ。やらなきゃいけないことができたから」
「……帝が、何かをするかも知れないと」
「それもあるけど、今一番問題なのはそうじゃない」
騒ぎに乗じて逃げられぬよう、ロンの結界は十二分に施していた。爆発で逃げ道も封じた。だから、ほぼ全ての人間を捕まえることができたのだ。
……ただ一人、百舌宮の妃を除いては。
「初依って名前も本名じゃないだろうし……」
この国の人間は、俗世から離れるために、本名を捨てる習慣がある。それに加え、呪術などを恐れているからか、近しい者にしか真名は打ち明けないという。
「ならこれからは二人で、その妃を捜しましょう」
「足を引っ張る人間は必要ないわ」
「決め付けないでくださいよ」
「渡した十の守り雛の内、無傷は何人だったのかしら?」
「……も、黙秘します」
「せめて自分の身くらい自分で守れるようになってから出直しなさい」
落ち込む彼の頭をポンポンと撫でながら、自分の言葉を心の中でもう一度反復する。
(自分の身は自分で……ね)
無理矢理持たされた、同じ数の守り雛。雑魚たち相手に必要はないと思っていたが、手持ちの一つだけ、無惨にも首を落とされていた。
前回も同じだった。全く、気が付かない間に。
……百舌妃がいつ逃げたのかも、全く気が付かなかった。
「はあ。次の任に就く前に、山に籠った方がよさそうね」
今度こそ全員、捕まえるために。
そして、……大事なお気に入りに手を出してくれた礼を、きっちり払うためにも。
#不条理/和風ファンタジー/気まぐれ更新
不条理だらけの世界で
抗おうと生きた君は
世の中の不条理に殺された
苦痛に歪んだ君の顔
私はこの世の残酷さに嘆いて
不条理だらけの世界を憎んだ
ー不条理ー
寝る前に私は食器を洗う
水がはねない程度に
強めに蛇口をひねって
コップから皿、箸、フライパンと
泡に包ませ一気に水に流す
シンクの泡がすべて排水溝にくるくると
吸い込まれたのを確認して
蛇口を止めハンドクリームを塗る
そんな別に大した事ない
淡々とした行動に
この世界の不条理に苛立つこころが
少しだけしぼむ
朝起きて乾いた食器と
さらさらな手に安堵して
昨日の自分にちょっとだけ感謝する
不条理
不条理
この世ってのは、大抵不条理でできている。
実際大体が辻褄合わせで付け足されたもので、誰もが身勝手なものだ。
誰かが身勝手に振る舞えば、そのツケはまた誰かに降りかかる。
言わば水の掛け合い。世界は不条理のパズルで回っている。
……少なくとも、自分の目からは世界がそう見えただけだ。
自分は誰かの尻拭いをしていて。
また他の誰かに自分の身勝手の尻拭いをさせている。
もし誰もが同じなら、
道理がどうとか気にせずに、身勝手でいいから幸せに生きちゃあ駄目だろうか。
不条理な世界?
そりゃそうだよ、この世界は不条理でできてるようなもんだと思えばいい。
それじゃ不安定だから、何かに当てはめたくなるのはわかるけどさ。
必ずはみ出すものがあるんだよ。
変な隙間もできたりしてさ。
それでいいじゃない。
ピタッと当てはまるものだけが美しい訳じゃないんだよ。
そもそも美しいって何だよ?
何を美しいと思うか、そこにもほら、不条理はあるじゃないか。
不条理に腹を立てるだけ、時間のムダだ。
世の、不条理が私の首をぎゅうぎゅうに締める。
世の、理不尽が私の背にずごんずごん伸し掛る。
世の、非合理が私の耳にがつんがつん突き刺す。
それでも、打ち勝たなくちゃ生きていけない。
社会貢献に徹するロボットでも、家に引こもるニートでも、学生でも、猫でも、犬でも、社会人でも。
降りかかるネガティブに打ち勝てないと……
『今夜、不条理の庭で』
観葉植物が観られることを忘れて踊る 独りパーティーをする 来客のフリ 乾杯のフリ グラスの中身はなんだっけ? プラスにもマイナスにもならない
変わった人のフリをしよう 自己欺瞞がビオトープで
息を潜めている
しかし現実は上手いこといかない
客からのどうにかしろ!の問い合わせやどうしたらそうなるんだと嘆きたくなるような対応に追われ、この世の不条理さにちくしょう~…!と内心腹をたてている
今日の勤務ははなんとか片付いたから次回は平和だといいな!
…そんな期待も打ち砕かれる
前回とはまた違った嫌な問い合わせや困った対応に終われ再びこの世の不条理に嘆くことになるとは
私は君がいってから人生は不条理だ。君に会うために死のうと何回もした。だが君は怒るだろう。だから頑張ってる。私はいつも不条理だ。
「不条理だけど君に怒られるから。」
お題『不条理』
『不条理』
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。大雨の降る中、俺は傘もささずに走り続けていた。足元は既に泥にまみれ、見るも無残な姿になっていることだろう。それでも、俺はわき目も降らず走り続けていた。奴らに捕まらないように。捕まったら最後、死は免れない。どうして…どうしてこうなってしまったのだろう。
別になんてことない日だった。お腹がすいたはいいものの、家に食べられるものが碌になく、近くのコンビニに買い出しに出ている最中であった。俺の家からコンビニまではそこまで遠くない。徒歩で五分かかるかかからないか、といったところか。人通りこそ少ないものの、街灯の少ないこの場所では貴重な光源である。俺は定期的にこのコンビニに通っていた。コンビニには、珍しくパトカーが停まっていた。どうやらパトロール中の警察官がここで一休憩入れているらしい。結構なことだ。最近はやれ救急隊員が休憩していただ、パトカーが意味もなく停まっているだ、世間がうるさいことこの上ない。自己を主張しやすい世の中になったのはいいことだが、いきすぎた主張はかえって世の中を生きづらくする。何故それを理解できないのだろうか。…おっと、口が過ぎた。予定通り何か食べられるものを買って帰るとしよう。俺はコンビニに入り、おにぎりとスナックを買った。
それは、コンビニからの帰り道であった。いつも通る道の途中にある路地裏から「うぅ……」とうめき声が聞こえてきた。この路地裏はよく酔っ払いが飲んだくれているから、今日も誰かが泥酔しているのだろうと気にせず通り過ぎようとした。しかし、ふと鼻に入ってきたにおいが、普段のアルコールのにおいとは明らかに違った。なんだろう、鉄のような……。血?まさか、誰かが倒れて血が出ているんじゃないだろうか。ここまで血のにおいが流れてきているのであれば、相当出血している可能性が高い。そうであれば話は別だ。このまま帰るのは気が咎める。俺は急いで暗い路地裏を進んだ。
スマホであたりを照らしながら、声の主を探す。声の大きさからしてそこまで遠くはないはず。倒れている人の声を逃さないよう静かに、慎重に進んだ。少しすると、声の主らしき人が倒れているのが見えた。暗がりながらも、赤い血だまりができているのも確認できた。
「大丈夫ですか!」
焦って近づこうとした、その時だった。倒れている人とは別に、違う人もいるのに気が付いた。その人は、倒れている人の目の前にいた。いや、正確には一人ではなかった。複数人いた。どうやら倒れている人を無視して去ろうとしているところであったようだ。全員こちらを振り向くような体勢になっていた。なぜこの人たちは倒れている人を助けようとしないのだろう。そう思いつつ、救急車を呼ぶようお願いしようと息を吸った時だった。
「ヒュッ」
吸い込んだ息を、もう一度吸い込んだ。彼らの内の一人の手に、大きめの刃物が握られているのが目に見えたからだ。しかも、その刃物は赤く光り輝いていた。
間違いない。倒れている人は、彼らによって殺されたのだ。死体をそのままに去ろうとしたところで、俺が出くわしてしまった。現状を、瞬時に理解してしまった。
彼らが何を話しているのかわからない。耳鳴りがし、聞こえてこない。ただ、この現場を見てしまった俺の処遇をどうすべきか話をしているのだけはなんとなくわかった。今俺にできることは、今の状況を背にして逃げることだけであった。
そのまま走る。走る。家に帰るわけにもいかず、焦ってコンビニとは逆方向に走ってしまい、どこを走っているのかもわからなくなってきた。いつの間にか雨が降り始め、アスファルトで覆われていた地面は、雨を吸い込んだ土に様変わりしていた。
とうとう足がもつれて倒れてしまった。と同時に、俺の後ろ髪を思いっきりつかまれ、無理矢理顔をあげさせられた。目の前には先ほどの集団の内の一人の顔があり、微笑を浮かべながらこちらに語りかけてきた。
「すまないね。見られたからには生かして帰すわけにはいかないんだ。君の運の悪さを恨むがいいさ」
目の前の男が言う言葉が、遠くなってきた。
なぜ、なぜこんなことになっているんだ。俺は荒事が苦手だから、誰の邪魔にもならないように静かに生きてきたのに。なぜ「見た」だけでこんな目に合わないといけないんだ。なぜ、このような不条理を受け入れなければならないのだ。
俺は、そのまま意識を失った。
不条理
優しすぎると浮気される
素直すぎると騙される
「正直者は馬鹿をみる」この世の中がおかしいと思う人でいたい
「誓っていたのに」
いまどきこんなことってあるだろうか。
護られるべき血統と、命をかけて護る一族。
この時代になっても続いている、しきたり。
こんなことは自分たちの代で終わらせる。
そう誓っていたはずの親たちも、いつしか子供たちに繋いでいた。
もしも、ふたりが普通の家に生まれていたら……?
ごく普通の家で育った、ごく普通の幼馴染のふたりは、ごく普通の恋をして……
何度も空想し、願っていたこと。
ささやかな空想は、希望だった。
それが叶うことがないものだとは知らずに。
君は俺の前に飛び出す。
────不条理
すべては不条理
すべては偶然
根拠のない人生
根拠のない私
かつては意味が欲しかった
今もやっぱり求めてしまう
でも意味なんてなくていいと
最近は生きている
不条理
なんで…ねぇ、どうして…
眼の前の光景が…
国道に止まっている車の上に、他の車が乗っていたり、電信柱や電線に、木の枝葉が引っ掛かっていたり、崖崩れで道がなくなったり…8月7日の朝、前夜の大雨の後の姿に愕然とした…平穏な日常が、大きく変わり、真夏の猛暑も加わり、消毒の匂いと溝の臭い…あの水害が怖くて、恨めしい…
必ずしも芽吹くとは限らない。
それでも、重ねてきた努力が何一つ報われないなんて、そんなの。
最後に残されるのが結果だとしても、苦しみの過程の上に成り立ってきたのだと胸を張れるように。
世界でたった一人、味方が自分の肯定感だけになってでも、心を貫き通せる人であり続けたいんだ。
【不条理】
不条理なこの街を 白いカーテンで隠して…♬
あの人から引き継いでくれて、ありがとう!
複雑な想いは通り過ぎたやろか?
四半世紀を飛び越えて…。
【WANDS 上原くんへ】
こめかみが軋むほどの怒りを覚える。
世の中の不条理さに俺一人が嘆き、怒り狂ったとて世は変わらない。
"それでも、許されぬべきことが今どこかで起こって、その度に、傷つく誰かがいることが俺は許せない。"
いつかの英雄は語った。
理不尽で淘汰されるべきの弱者だと諦めず、彼は世に抗った。
その結果、彼は不条理な定理の多くを覆し、代償として、美しく散った。
そして今、その英雄は世間に石を投げつけられている。
彼は命を賭してまで俺たちのために働き、犠牲となったというのに。
結局、人は利益の追求ばかりを考える醜い生き物だ。
救われた恩など知ったものかと、それは昔の話だと棚に上げ、救われた身でありながら平気でその墓石に唾を吐きかける。
どうせ、こうなるんだ。
命を懸けてまで、こいつらを救う価値などなかった。
お前が死んでもなお、世の中など何も変わりやしない。
緑の茂みに身を隠しながら俺はかつての友であり、もう会うことは叶わない英雄に悪態をつく。
男は、彼の墓に供えてあった花を踏み荒らされ、蘇らぬ墓の主である友の彼を罵られようとも、息を殺しながら怒りと恐れに身を震わせることしか出来ない。
ほら、お前一人が不条理に立ち向かっても、何も変わらない。
俺たちのような愚か者は、お前が身を犠牲にしても、まだ震えて、その場で足踏みすることしか出来ないのだ。
だから、不条理な世のままで良かったから、それで構わなかったから、まだ、せめてお前は、俺の良き友人として生きていて欲しかった。
男は、体を震わせながら、叶わぬ望みを、墓に眠る英雄にぶつけるほかなかった。
それしか、目の前の男には出来なかった。
―――変わらぬ世
お題【不条理】
誰かの創った世界。主人公に必然的な道筋があるのなら好都合、見切り発車のご都合主義ならこの不条理に身を任せるしかない。創造主が筋書きを準備してくれるまで。