『一年後』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#0006
#一年後
人は新しい体験や発見があると時間を長く感じるらしい。
旅行でオーロラを見にアイスランドまで来た私はそれを体感していた。
人生に慣れた大人が一年を早く感じるのも、子供の時の小学生時代がやたら長く感じたのもそういったものなのだろう。
特に大人になってから環境や人間関係を一新して新しい体験をするにはとてもパワーがいる。
だから現状に多少の不満があっても「人生そんなもの」と自分を納得させる。
私は目の前のオーロラを見て、一瞬がこんなに長く、人生を実感できたことがなかった。
人生を変えてみよう。そう思えた。
果たして、一年後は一体何年分の体感になるだろうか。
一年後にまた会いに来る。
そう言って固い握手を交わしたはずの友人は、半年もたたないうちに俺の元へとやって来た。
おい、こら、どうしたんだと。
約束の一年はまだ先だろうと問い質してやると、友人は「あれ? もう一年くらい経ったと思ってた。お前がいないと毎日が退屈でさ、時間が経つのも長く感じたからそのせいかも」と、実にあっけらかんしとした様子で宣ってきたものだから、俺は「バーカ。なら旅に出るなんて言って、俺を置いていくなよ」と叱ってやった。
【一年後】
―一年後―
このアプリ続けてますか?って聞きたくなるくらい何も浮かばない。
一年後...
一年後も変わらぬ毎日を今日と同じように歩みたい。
私の1年後は。
(今回はガチめモードです。)
きっとただ読書しているだけの社会人だと思います。
私なんかがさ、
仕事やったって
何かやったって
遊ぶことしかできない。
合コン行ったら行ったで
何故か気に入られて
ホテル連れてかれて
あとはその人の思うまま。
こんな私じゃ
社会で生きていけないもんね、、
「一年後のうち、どうなっとるかな、、、」
うちの名前は明日 花。大阪の小学生。
今うちのクラスでは一年後の自分について作文を書いている。うちの妄想やったら……うちの好きな人、和也と両思いなことかなーー。…ってなふうに考えるだけ無駄なんやけどねー笑 そうやって心を自分が自分で気づつけてるのも分かっとる。でもそれじゃあ和也のこと好きなんバレるやん。
「まあ、ぜーんぜんそれ以外思い浮かばへんし友達が書いたやつ参考にしよかな。」
そしてたまたま和也の作文が見えた。
そこには信じられへんことが書いてあった。
【俺の一年後は幼なじみの花ともっと仲良くなって
一緒に楽しく過ごしていたいです。】
そう書いてあった。楽しくしたい?もっと仲良く?
そんな幸せなことがあってええんかな。。。
和也なら、そう思っていいんかな??
よし、和也を信じる!そう決めたけど、
うちは和也とずっと仲良くしたいけど、もっと仲良くなりたいけど、でも、うちは和也と付き合いたい。そんな時、和也がうちに向かってこういった。
「俺と付き合ってください」
この瞬間、うちは天国にいるような気分になった。
一年後に魔女は消息を絶つ
「一年後、絶対殺す」
そう言った彼の瞳は燃え上がるように鮮烈で。その燃える瞳に恋をした。だから私は四六時中彼を鍛え上げ、時に瀕死にまで追い込み、それでもと喰らいつく彼を焼き尽くすような瞳をずっと見ていた。復讐は何も産まないと言うけれど、せめて当人の中で何か変化が起きるなら。少なくとも絶望して私の前から消えてしまうくらいなら、その身を焦がす炎ごと私は愛したい。その言葉に応えたい。
丹精込めて火種に糧をやり、技術を磨き、鋭い剥き出しの刃物のような存在に。約束通りきっかり一年後、彼は私を見つめて言った。
「約束の日だ」
「そうだね」
風の凪いだ砂浜で、復讐の為に刻んだ傷痕のなんと美しい事か。鍛え上げた身体のなんて雄々しい事か。
「幾度とお前とは手合わせしたな。最初は全く派が立たなかったのが懐かしい」
「あの頃のキミは弱かったからね」
「確かにお前はずっと微笑んでいた」
ギラリと鋒のような瞳が私を射抜く。古今東西、王道から邪道まで全てを私は君に仕込んだ。必ず復讐が成し遂げられる事を願って。
「殺せそう?」
「ああ」
短い言葉に安堵する。嘆息にも似た吐息が溢れる。
「ようやく。お前の殺し方が分かったからな」
そう、そう。大切な幼馴染を家族を頼もしい仲間を愛する存在を帰るべき故郷を足掛かりにした拠点を応援してくれた街を、全て全てことごとく。目の前で無惨に奪ってみせたのは私。私、私が奪って奪って奪い続けた。出会ったあの日、いつものように気紛れに乱雑に力を振るった時に見た、偶然生き延びたキミの絶望ではなく燃えるような復讐の炎が気に入ったから。うっかり平和に逃げないように、愛に溶かされて諦めないでように、優しさで刃が錆びないように。全部全部目の前で容赦なく私が焼いてみせた。行く先々で丁寧に怨嗟を聴かせた。
「ふぅん」
業火のような目力と、鋭い目線が私を射抜く。私の愛する可愛くって弱いひと。ひとりぼっちのかわいいひと。
「お前は俺をひとりにしたがったがそれは叶わない」
「あら、心の中にみんなが居るとでも?」
嘲笑えばお互い顔が笑顔の形に歪む。弱い弱いか弱い人間。少し力を振るえば容易く吹き飛んでしまう脆い人間。それが漸く私と同等の場所まで来てそして私を見つめている。
「違う。お前が居る。お前が居る限り、俺はずっと、孤独ではなかった」
「は?」
「どんなに繋がりを断ち切っても俺にはお前が居る。狂いそうなほどに縁深いお前が居るから他の何を喪おうと変わらない」
「ああ、そういう」
だってそう仕向けたのだから。
「俺にはお前しか居ない。お前にも俺しか居ない。俺は、お前しか要らない」
「ん?」
「憎めど憎めどその微笑みは、何物にも代え難いほど美しい」
「んん?」
瞬く間に私の前に躍り出ると踊るように私を拘束する腕には火傷痕。私がかつてつけた、交戦の証。
「俺に近づいた女を奪い俺を縛りつけようとした拠点と街を燃やした時には確信した。俺から自分以外を巻き上げるほどの情熱的な愛を」
ちらりと赤い舌に色気を覗かせて今までで一番近い距離でその瞳を見つめて気付いた時には遅い。
「狂うほどに恋焦がれ、それを確かめる為に人と関わる俺の周りを予想通り綺麗に焼き尽くす健気さよ。憎たらしいほど愛おしい、俺の心を焼き焦がす炎の魔女よ」
「違、なんか違うちょっと待って!私を殺すんじゃなかったの!?」
「ああ、殺すさ殺してみせる。憎いお前を殺す方法は」
一息おいて私を抱きしめ口だけを歪める男の美しさよ。
「耽溺するほどの愛情で今後一生を絡めとる事なのだから」
その日以降炎の魔女の行方は誰も知らない。世界に平和が戻り、こぞって一人の勇者が復讐を成したのだと声高く主張する。
実際にある一人の狂人が成したのは夫婦の契りであり、逃げようとする魔女へ戦闘行為という求愛を重ねに重ねただけの結果である。だが、だがそれでも男は幸福だった。復讐と狂気に駆られて目覚めた愛は深い執着として魔女を殺しその肩書きを愛する妻に変えたのだから。
「お前の闘う姿はうつくしいから、俺以外にはもう見せられない」
「ああもう殺しても死なないなんて頑丈な!」
「愛するお前が独りにならないよう、研鑽した甲斐がある」
2023/05/09
一年後
来年のことを私がいうと、みんな変な顔をするようになった。お父さんもお母さんも、お姉ちゃんも、じいじもばあばも。ピアノのコンクールで失敗して泣いて、来年こそはと話したときも、ばあばのお誕生日に肩たたき券を、期限は来年までねと渡したときも、みんなきまって、お腹に痛みがあるように苦しい顔をして、うそみたいな優しい声を出した。みんな何かを隠している。顔をしかめるばかりで、誰も教えてくれない。
それでもひとりだけ、笑ってくれる人がいた。
神社の御堂の縁側に行くと、いつもその人がいた。家にいては、ずっと気味の悪い目で見つめられるから、私は近所の神社で時間を潰すようになっていた。
遠くから目が合うと、その人はにっこり笑って膝をぽんと叩く。私はそこへ頭を横たえる。
雲がゆったりと流れていく。
「あなたがお母さんならいいのに」
そういうと、その人は私の髪をすきながら、優しくつぶやく。
「はやくわたしのものになるといいですね」
雲間から、太陽がゆっくりと顔を出して、私は目を瞑った。
2023/05/09
【一年後】
何していますか?
目標は達成しましたか?
目標のために今コツコツ頑張っているんだから
ちゃんと一年後も継続してね?
分かった?
来年の桜は、一緒に見られるだろうか。
満開の桜並木を眺めながら、ふと思って隣に座る君をチラと見た。
どうやら二人同じことを考えていたようで、目が合うなり笑い声が上がる。
来年も見に来ような、と囁くと君は嬉しそうに何度も頷いた。
きっと、あっという間に次の春が来るのだろう。
君となら。
テーマ「一年後」
あまり想像は付かないけれど、今取り組んでいる物事で良い結果を残せたら
良いと思う。そうすれば少しは肩の荷も降りるだろう。
一つ一つ改善していけば、それを継続できればきっとどうにかなるはず。
今はそう信じて毎日過ごしている。
一年後も
貴方は私の隣に居てくれますか?
お題
一年後
君との1年後すら想像できない私に
君と過ごす未来を想像する資格なんてない
吐いた息は少し湿っぽい。
まるで体の内側から汗をかいたみたいだった。
見ているだけで満足だった。
告白なんてとてもできない。この胸の高鳴りは今だけ。
一年だけ見守ろう、そう決めた。
一年後…
あたしは口から水を吐いていた。
ただの水じゃない。滝の勢いだ。
おかげで立ってはいられなくて今は台座に固定生活だ。
不思議なことに疲れないし、病気もないしご飯もいらない。
告白?無理を言うな。今のあたしは人間滝だよ。
日々研究されてるわ。たまに小さな淡水魚も吐くから川の水らしい。知ったこっちゃない。
動けないあたしの楽しみはスマートフォンかタブレット(防水)しかなくなっちゃった。
……あー。早く水枯れないかな。
ありがたがって目の前で水汲みもやめて欲しい。
見た目があれだからって体部分に箱まで検討されだした。
早くほろびてほしい。こんな星も、この気持ちも。
一年後
一年後なんて想像がつかない。就活を無事に終えていたいな
なかなか、君は難しいことを聴くね。一分後のことも分からないのに。そうだな、一年後は取りあえずヴァルハラにでも行こうか。
1年後
約束の今日を迎えた
でも、それを知っているのはこの世で僕だけだ
この世界が僕を忘れたから
一年先の話なんかわかるわけ無いんだから、
もしの話なんかしないで。
その『もし』は絶対に無いんだから
【一年後】
※念のためゲーム名は伏せ字にしておきました。
「あなたの余命は、あと一日です」
硬い顔で、そいつは告げた。
まあ、硬い顔っていうか、髑髏顔なんだけど。
「そこをなんとか」
「無理です」
私の担当者だと名乗って部屋に姿を現した死神は、私の嘆願をにべもなく却下した。
「せめて死因を教えてくださいよ」
「うっかり階段を踏み外したことによる転落死です」
「わー私らしい」
「ご納得いただけましたか」
「死因には納得したけど、死ぬことは納得できないなぁ。転落死って聞いたからには、慎重に歩くか、引きこもって動かないかで、避けることができるでしょ」
「そのときはべつの死因になります。死は必ず訪れるものなので」
「うーん、容赦ない。私まだ二十二歳なのに、こんな若い身空で……」
いきなり死ぬと言われても、とうてい受け入れられるわけがない。あがけるものなら、なんとしてもあがきたい。
「そうだ、二人で賭け、というか、ゲームをしませんか? 私が勝ったらもう一年寿命を伸ばしてもらうとか」
「いいでしょう」
「えぇ……そんなあっさりと」
死は必ずうんぬんと言いながら、賭けやゲームの勝敗で寿命を伸ばせるなんて、案外ゆるいな。
死神はなぜか怒ったように、片手の鎌の柄で、ダン、と床を叩いた。うわ、下の階の人に怒られそう。
「わたしだって、こんなに早くあなたを殺したくはないんです。あなたが生まれたときから見守ってきたんですから」
なるほど、タダで寿命を延ばすことはできないけれど、なんらかの口実があれば延ばすこともやぶさかではない、ということか。
さてはこの死神、いいやつだな。
私はいそいそとゲーム機の電源を入れて死神をテレビの前に誘い、桃太◯電鉄を提案した。余命の残り時間のことを考えて、プレイ年数は五十年ぐらい。勝負は白熱し、最終盤で貧乏神を回避し続けた私が勝った。
当時はゲームのやりすぎのせいか面白い夢を見たなぁ、と思って起きてその後忘れてたけど、あれからぴったり一年後、また髑髏顔の死神が私の夢に現れた。
「あなたの余命は、あと一日です」
「お久しぶりですね!」
「なんで嬉しそうなんですか」
「いや、前一緒に遊んだの思い出してさ。楽しかったからさ」
「死因は交通事故です」
「わー完全スルー! また引きこもらなくちゃ」
「そんなことしても無駄ですよ」
「ここは平和的にゲームで解決」
「いいでしょう」
その一年後、また死神は夢に現れた。私は手を叩いて喜んだ。
「待ってました! ゲームしましょう」
「あなた、わたしのこと遊び相手だと思っていませんか?」
「この歳になると私も友人もみんな社畜化して、一緒に遊ぶ機会が減るんです。さ、どれにします? 今はス◯ブラがアツいんですよ」
その一年後も、そのまた一年後も、そのまた一年後も、死神は夢に現れ、私たちはゲームに興じた。
死神と遊ぶ楽しいひとときを何度繰り返したかわからなくなったころ、私は初めて、ゲームに負けた。
「そろそろ、反射神経も、危うくなって、いたからねぇ」
夢とも現実ともつかぬ曖昧な意識の中で、私はそう言って笑った。
「桃太◯電鉄に反射神経はいらないでしょう」
「そうだった。まあ、あと一日も、生きられるなら、上等だね」
死神はあの頃とまったく変わらぬ髑髏顔で、病院のベッドの傍らに立っている。私は皺くちゃの手を伸ばして、髑髏のつるつる頭を撫でた。しっかりとした感触が、そこにあった。死神に触れたのは、これが初めてだったかもしれない。
「あと一年、を何度も、繰り返せば、九十まで、生きられるもんだねぇ」
死神は怒ったように、ダン、と鎌の柄で床を叩いた。
「あなたの寿命を延ばすには、余命を告げて、あなたになんらかの提案をしてもらうしかなかったんです。神様が見てるから、神様にご納得していただける方法でしか……」
え、神様、ゲームの勝敗で納得しちゃうんだ? ろくな神様じゃなさそうね?
「もしかして、わざと、負けてた?」
「そんなことしたらあなたが怒るので、するわけないです」
死神はまた怒ったように鎌を鳴らす。
と思ったら、髑髏の目から、ポロポロと涙を落とした。
死神にも、涙はあるんだ。
「あなたの担当になれて、よかったです。とても楽しかったです。わたしを怖がらずにいてくれて、ありがとう」
「いや、最初は、怖かったけど、まあ、夢だし……」
死神に触れていた腕から力が抜けていく。そういえば、ゲームをはじめてから、もう、一日は、経ってたっけな。
どこからか、「大ばあちゃん!」と呼ぶ可愛い声が聞こえてくる。ああ、いつのまにか、曽孫たちが来てくれたのかな。でも、もう眠いから、遊ぶのはまた今度ね。
目を閉じたつもりが、まだ閉じてなかったみたい。綺麗な光と羽根を背負った少女が、私の前に立っていた。
「あなた、もしかして」
「はい、わたしです。あなたを神様の御許へご案内しますね」
少女が私の手を引く。
「なるほど、これから神様の審判的な?」
「いえ、あなたとゲームで遊んでみたいそうです」
「やっぱりろくな神様じゃなかった」
来年の誕生日、きっとまた産まれてくる時の話をしながら寝かせてるんだろうなと寝顔を見ながら微笑む