『モンシロチョウ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
モンシロチョウ
ひらひらと
あの花に行ったりこの花に行ったり
まるであなたみたいね
優しく揺れる葉を眺めながら、樹の下に腰を下ろす。
そして目を伏せ、母なる大地に還りたいと口癖のように言っていた彼を思い出した。
ねえ、貴方は大地に還れた?
貴方はとてもロマンチストで、自然を愛している人だったね。
私の初恋で、一目惚れの貴方。
いつでもどこまでも優しい貴方。
貴方が大地に還ってから、一年が経ったよ。
樹の音に耳を傾けながら、横に咲いている黄色の美しい花を見る。
大地に還った貴方が、一人ぼっちでも寂しくないように私が植えた花。
私は貴方の様に想像力が豊かでもロマンチストでもないから、母なる大地に還りたいと言っていた理由は分からない。
だけど、そんな私にも優しくして、大切にしてくれたのは紛れもなく貴方だから。
一年前から定期的に訪れるこの美しい場所は、きっといつまで経っても変わらないんだろう。
どうか貴方はここで母なる大地に還って、私を見守っていて。
風が吹き、葉が擦れる。花が揺れる。
それを契機にしたように、小柄で可愛らしいチョウが私の鼻先にまで飛んできた。
私は少し考えてから、話した。
「ふふ、大地じゃなくて蝶になっちゃったの?」
クスっと笑ったように、モンシロチョウはまた私の顔に触れた。
モンシロチョウ
空中をヒラヒラ舞っている小さな白色。
あのほんの小さく愛らしい体は、
人間の生や死、復活のシンボルとされているらしく、
死者の魂が宿る、なんて噂もあるようで。
生きたかった人が死に、やっと復活できた器が蝶か。
子供に、時間に、教育の一環としてまで。
軽く殺されてしまうほどに弱い命。
愛されているのに、殺されてしまうの?
そんなに小さくて、
そんなに薄っぺらくて大丈夫なのかな。
そんなに小さくて、薄っぺらくても、
飛べるんだ。
生きられるんだ。
本当に生きてるんだ。
生命というものは、
儚いのか、それとも思っているより、
ずっと強く、図太いのか。
命に触れると、分からなくなることがよくある。
この間、
ヒラヒラすれ違ったモンシロチョウを見て、
思ったこと。
︎︎◌ モンシロチョウ ︎︎◌
モンシロチョウと言われたらこんな思い出がある。
5歳ぐらいの時
家が隣の男の子と
モンシロチョウを虫取り網で追いかけていた。
2人ともまだ小さくて一匹取るのもすごく大変だった。
やっとのことで取れて
彼が持ってきた虫かごに協力して
悪戦苦闘しながら入れた。
私はしばらくの間
虫かごの中にいたモンシロチョウを眺めていた。
彼は「もう一匹取ってくる!」
と笑って言った気がする
少し時間がたった頃だろうか
彼がもう一匹モンシロチョウを取って来た。
その時、私は優しさから虫かごを開けてしまった。
一瞬の事だった
あっという間に虫かごの中にいた
モンシロチョウが逃げていってしまった。
驚く彼の虫取り網からも蝶々が逃げていった。
今でも思い出す後悔と懐かしい記憶
モンシロチョウ
あなたと一緒にいるときは
あなたの好きな曲
好きな食べ物
とにかくあなたのことばかり
別れたあと
私は私のこと
ほとんど
伝えてなかったことに
気づいた
自分のことより
あなたのことが
知りたかったから
手を繋いで歩く時の
道端のたんぽぽ
静かに舞うモンシロチョウ
春のはじめの青い空
全部大好きだったこと
伝えておけば
よかった
そうしたら
あの時間は
もっとふたりの時間に
なっていたのかな
越冬を終え、蛹化から目覚め
草花が揺れる啓蟄の日々の中
明るい色の花々へ口を付けては喜び
白い翅に垂らされた黒い袖紋を
ゆるりゆるりと優雅に振るっている
菜の花畑を漂う白無垢姿の蝶達は
気紛れに花を摘む人の手へ留まり
翅を休め、身支度を整えている
時折、空と草の色を混ぜた様な
優しい色合いの丸い瞳と目が合う
細やかな体毛にも埋もれぬ零れそうな瞳は
人間が纏う宝石にも似た存在感を放っていた。
この春を謳歌する貴婦人や紳士と
先の未来でも、また出逢えますよう…
そして、この美しい翅が
どうか他者に毟られませんよう…
そんな祈りを込めて、近くの花へと
その身をそっと帰したのだった。
ー モンシロチョウ ー
青々と菜を葉を食んでいた君が
いつ蜜の味を知ったのだろう
/お題「モンシロチョウ」より
モンシロチョウ
君はヒラヒラ トンデイル
ミドリの海を駆け抜けて 赤いトマトで輝いてる
キミはヒラヒラ トンデイタ
ミドリの海に溺れ落ち 赤いトマトで輝いた
君はただのモンシロチョウ あの時朽ちたモンシロチョウ
モンシロチョウ
何処にでも見かける
ことができる普通の
蝶々…
ヒラリ…ヒラリ…
と低く飛ぶ
でも…
人間には見えない
紫外線がモンシロチョウ
には見えるらしい…
普通に見えて…
ふつうじゃない
モンシロチョウじゃないと
見えないものもある
ふしぎ
何気ないものほど
侮れないね…
300字小説
胡蝶の夢
俺が小学生のガキだった頃。田舎のじいさんの家に泊まりに行った。ちょうど春の盛りで、俺は毎日のように虫取りをして遊んでいた。
その日は畑の上のモンシロチョウを捕まえようとしていた。虫籠を下げ、虫取り網でひらひらと舞う蝶を追っていた。蝶はすいすいと網を避け、いつの間にか畑から小道に、小道から古い大きな屋敷の庭へと入って行った。
綺麗に整えられた庭には、縁側に面して座敷があり、奥に布団を敷いて若い男が眠っていた。蝶が顔にとまり、男はむくりと起き上がった。病人特有の痩せた青白い顔で男は、庭に入ってきた俺を見て、にこりと笑った。
「しつこく追い回すなんて酷いな」
俺は悲鳴を上げて逃げ、以来、蝶は見るのも苦手だ。
お題「モンシロチョウ」
「モンシロチョウ」
モンシロチョウが自由に花の周りを飛んでいた。
花の周りから遠くへ自由に飛んで行くモンシロチョウを見て、私は、どこまでも自由に飛んでいけたら、いいなぁと思った。
「モンシロチョウ」
私は小さい頃、人とは違う何かと出会った。
そのヒトは名を”ヤミノカミ”と言った。
自分を”神のなり損ないだ”と言った。
そして、名前を聞かれて”美月”と答えた。
その頃は深い意味は分からなかったが、”神”ということから”すごい存在”ということだけを思っていた。
その”神のなり損ない”は、私にこう言った。
「お前はいずれ、人の世で生きられなくなるだろう。
人の世にいずらくなったら、こちらに来るといい。」
それから十数年。
高校生となった私は、生きるのに疲れ果てていた。
小さい頃から否定され続け、理不尽に合い、猫を被らなければ”普通”でいられない。人と仲良くなっても、すぐに相手の”裏の顔”が見えて怖い。
辛くて、苦しくて。
死にたくなってしまった。
人の輪の中にいることに”違和感”と”罪悪感”を感じてしまった。
死のうと思ったけど、死ねなかった。
そして、ある日。
小さい頃に会ったヒトのことを思い出した。
そして、森に行くことにした。
その道中、不思議なモンシロチョウが飛んでいた。
私はそれに惹かれるようにして、後を追った。
その先にいたのは、小さい頃に会ったヒトだった。
「よく来たね、美月。
人の世に疲れてしまったんだね。」
そして、ヤミノカミが私の頭を撫で、抱きしめる。
「もう、頑張らなくていい。
気を使う必要も、我慢する必要も無い。
美月が傷つくこともない。
よく頑張ったね。」
そして、私は泣いた。
その間、ヤミノカミは私を抱きしめ、頭を撫でていてくれた。心から安心し、人の腕の中で泣くのはいつぶりだろう。今まで我慢していたものが全て溢れ出た。
そして、私は寝てしまった。
モンシロチョウ
白くて。
小さくて。
けど、必死に空を飛んでる。
可愛い蝶の一種。
虫を可愛いとは思わない。
それに、好きではない。
けど、蝶が目の前で飛んでいると。
なぜか指先に乗せたくなっちゃう。
必死に飛んで。
小さな体で生きているんだ。
すごいな。
前をモンシロチョウが横切ると。
歩みが遅くなったり、止まっちゃはない?
嫌いとか言っておきながら、殺そうとは思わない。
まあ、家に入ってくれば話は別よ。
虫を大切にするってことは。
自然をも大切にすることだと思うんだ。
たまには、見守るのも一つの手かも、、。
モンシロチョウが低く舞う ひらひら
私のまわりに ひらひら ん?
何かのメッセージ? そっか…
雨だから私の傘に入ってきたんだね
23作目✴️モンシロチョウ
【モンシロチョウ】
ひらりと目の前をモンシロチョウが通る。
あぁ春がまた来たのか。
春は別れと出会いの季節。
今年も沢山の人と別れ、沢山の人と出会った。
モンシロチョウは春を伝える。
【題】モンシロチョウ
ヒラヒラと毎年春の暖かい空気の中花の周りを
飛んでいるモンシロチョウをよく見る
その度いつも隣で見ていた【彼女】も思い出す。
ただ今年はもう【彼女】は居ない。
でも、またあの頃に戻りたいとは思わない
なぜなら今隣にいるのは
【彼女】ではなく
【僕の妻】になったからだ
今は去年よりも一昨年よりもずっとずっと幸せだ
『モンシロチョウ』💚
近くにいるようで、遠い。
触れそうで、触れない。
あなたはいつもそう。
僕に近づいて、
あと少しのとこで
また離れていく。
僕を惑わし、
魅了していく。
モンシロチョウ
小学生のころ理科の授業
モンシロチョウを捕まえて持っていき
観察するために指で羽をつままれ
授業終わりに教室の窓から放たれた
モンシロチョウたちは皆
飛ばずに落ちてく
はかないいのち
もろい命
もともと苦手だったのが
さらに苦手になりました
モンシロチョウはまったく悪くない
けれど身の回りにこられると
ギャっと叫ぶほどの拒否反応
もう虫は基本近寄ってほしくない
あっけなくシガイになるのがこわいのです
白色の肌。
羽ばたく蝶の様に可憐な見た目。
その中にある元気を彷彿とさせる性格。
正にモンシロチョウ。
春が好きな君を僕は好きになった。
貴方はモンシロチョウの擬人化。
そうポロッと彼女の前で呟いてしまった。
は?と君は反射的に声が出たが、笑ってくれた。
面白いねと。
今日もモンシロチョウを見ると彼女を思い出す。
4月の青空の下で亡くなった彼女を思い出す。
愛おしい君の姿を。